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第二章

停戦、そして………

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インディー王国とツンドラ帝国の停戦は合意に達し、プチーン前皇帝は、キーウィの町の広場で公開処刑の段となった。

「何か、言い残すことがありますか?」

「古来より
親をば討つ身の
キーウィで
報いを待てや
ユリウスよ」

「どこまでも、小物な。
あなたの血を引くことを、恥ますよ。
あなた一人の命で、数万の兵や民の命を助けるのです。
あなたがゲス野郎でよかった。
これで、躊躇なく処刑できます。」


「やめろ!助けて!助けてくれ!
ユリウス お前は親殺しだ!
恨むぞ!呪ってやる!」

プチーンは後手に縛られたまま首を台にはめられた

処刑人の刀を持つ手が震えている。

ユリウスが処刑人のそばにゆき、一言二言話をして、その刀を受け取った。

そして

「父上 お覚悟!」

プチーンの頭が胴と切り離された。

「親殺しで結構。好きなだけ呪いなされ!」

広場は歓声に湧いた

ロベルトがつかつかとユリウスのそばに行き

「お見事!シッカリと見届けました。
これで、両国のわだかまりは、全てなくなりましょう」

と声をかけた。


停戦の合意内容に基づき、ツンドラ帝国兵は、町の復興に協力をし、戦争で亡くなった遺体を埋葬した。


ジーナにユウトが頭の中で話しかける。

『ジーナ、君はもうわかっていると思うけど、とんでもない強さを持ってるんだ。
思うがままに力を使えば、王宮だって一瞬で吹っ飛んじゃう。
これからは、やりすぎないで欲しい。
王宮には、国の宝もたくさん有ったんだよ。
二度と作れない昔の名工の作品とかね。
それから、自分の為じゃぁなくて人の為に力を使うようにして欲しい。』

『ユウト なんでそんなこと言うの?まるで居なくなっちゃうみたい。
わたしまだまだユウトと離れたくないわ』

『もう、ぼくに出来ることはないよ。
ジーナは、一人でなんでもできるだろう。
良いことと悪いこともわかるよね。』

『でも 寂しいよ、いなくならないで』

『ぼくも、ソロソロ自分で自由に身体を動かしたいんだよ。
ジーナの身体を借りじゃなくて、自分の体が欲しいんだ。
泣かないで、ジーナ』

『だって、こんな力があると怖がられて、また嫌われるかも知れないし』

『ジーナは、今の力がある前 大人のことはみんな怖かったかな』

『ううん 怖い人もいたけど、優しい人はこわくなかった』

『優しい人も、ジーナよりは大人だから力があっただろう。でもその人のこと、怖くなかったんだよね』

『わたしが優し人で、人を傷つけない人なら、怖がられない』

『そうだよ、もうわかったね。
教会に行って、女神に祈りを捧げてくれるかな』

『うん』

ジーナは、泣きながら教会に向って歩いて行った。

何人かの人がジーナに声を掛けてきた。

「お嬢ちゃん、迷子かな?ママを探してるのかな?」

「教会に行くの」

「なんで泣いているのかな?大丈夫?お家はわかるの?」

「教会に行くの」

「どうしたの?お腹が空いたのかな?飴ちゃんあげるよ」

「教会に行くの」

『ほら、みんなジーナに優しいね。』

突然ジーナは大人の人に手をつかまれた。

ジーナは身体強化をして、そのまま歩いた。

「な な なんだこのガキは?
離しやがれ!」

ジーナの腕を掴んでいるのは男の方だが、男の手はジーナから離したくても離せない。

その様子を見て、兵士がやってきた。

「おいお前!小さな女の子に何してる!」

「教会に行くって言うから、連れてってやろうと思って」

「兵隊さん、嘘よ。このオジサンいきなりわたしの手をギュッと強く掴んだの。
痛い痛い離して~~」

「手を離せ!お前には、ちょっと来てもらおう。
お嬢ちゃん、大人の人と一緒じゃ無かったのかな」

「もう教会は、直ぐそこだから、一人で大丈夫。
兵隊さんありがとうございました。」

「それじゃ 気をつけて行けよ。」

「は~~い」

『ジーナのことを知らない人から見れば、可愛くて守ってあげたくなる小さな女の子だよ』

『うん』

ジーナは、泣きやんで教会の扉を開けた。


※※※※※※※※※※※※※

ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。
二重人格の話はここで完結します。

この続編
「『穢れた子』の異世界生活」
連載をスタートしました。
ユウトがついに自分専用の体を手に入れます。
様々なトラブルに巻き込まれながらも、逞しく生き抜くストーリーです。
『神の手違いで二重人格…』同様 お楽しみいただけたら幸いです。
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