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第二章

パーティ

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ロベルトは、4日間だけ滞在して国に帰っていった。
滞在中、何度かランチタイムにやってきたり、授業参観をしていた。

帰り際に
「ジーナ、やりすぎないようにね。」
とだけ言ってバイバイした。

ロベルトが、安心して帰ったのは、ユウトがテイルのスキル『ストレージ』『転移』を手に入れたのもある。
その頃ユウト(ジーナ)はインディー王国の王宮のジーナの部屋と、ツンドラ帝国騎士学院女子寮の部屋とを『転移』で瞬間移動できるようになってたからだ。





エロイカ先生が書類の束を持って教室に入ってきた。

「明日から3日間、皆さんには、実戦訓練としてダンジョンに行ってもらいます。3人でパーティを組んで下さい。
パーティは、必ず男女混合とします。
寮で同室の人とはパーティを組まない。
パーティを組む上での条件は以上です。
パーティのリーダーには、『リレミトール』の腕輪を渡します、これに魔力を注げば、手を繋ぐ全員をダンジョンから脱出させられます。
緊急時のみ使用して下さい。緊急時でない場合の使用は、評価にマイナスが付きます。
全員にハイポーションを一本ずつ支給します。
それ以外の、食料、装備などは各自で用意すること。
尚、この実戦訓練では、死者・重症者が出ることがあります。
リーダーは退却の判断を誤らないように。
実力以上の階層には無理して進まないようにして下さい。」

「危なくなったら、先生助けに来てくれるんですか?」

「行きません!ダンジョンの外にいます。
甘えは、死に繋がります。
ここに『死んでも、学院の責任を問わない』誓約書と『退学届』が有ります。
全員どちらか好きな方にサインをしてもらいます。
この部屋から出る為の条件は、パーティ届と誓約書を揃えたグループまたは、退学届にサインした個人とします。」



「腰かけの女子は、ここでサヨナラだな」

テイルが呟いた。


ユリウスは、たくさんの女子に囲まれていた。

「ユリウス様、わたくしをあなたのパーティに入れて下さい。
ユリウス様と一緒なら、わたくしダンジョンだろうと、どこだろうと参ります。
どうか、わたくしをお守りください。」

「わたくしよ、わたくしがユリウス様と」

「わたしよ。貴方なんか役立たずよ。」

「何よ、あなたなんか胸が大きいだけじゃない」

「あなたなんか、ユリウス様の足手まといにしかならないわよ」

と、ユリウスをめぐって小競り合いが始まっている。


一方ジーナもユリウスと似たような状況で、男子からの売込みが熱い。

「ジーナ、将来をぼくと共にしよう。
ぼくの伴侶、いやぼくが婿入りでもいいよ。
ぼくは、退学したくないんだ。」

もろに自己中の軟弱男だ。

「弱い人嫌い、うっとおしいわ!
シッシッ」と手で払う。

そこへユリウスが女子を引き連れたままやって来た。

「ジーナ、ぼくと組まないかい?
君ほどじゃないけど、ぼくもソコソコ戦えるよ。」

「ユリウスと私が組んだら、飛び抜けて強くなり過ぎでしょう。辞めとくわ。
そうだ!キャロライナはどう?
あと、テイルもいいと思うけど」

ユリウスの周りの女子から落胆の声が漏れた。

キャロライナは、ちょっとクネクネして恥ずかしそうにしてる。

「私が王子様とパーティなんておこがましいわ」
テイルも借りてきた猫みたいになってる。

「ジーナの推薦なら、そうしよう。
キャロライナ テイル
よろしく。」

「よかったわね、キャロライナ テイル。
頑張ってね。」
ジーナはサムズアップした。

「自分の身くらいは自分で守るから」
「私はユリウス王子様の盾となります」



「ところでジーナ、ぼくからも君のパーティ要員を推薦してもいいかな?」

「ええ もちろん。困ってたのよ。助かるわ。」

「おーい ルーク カイン こっちに来てくれ!」

ユリウス程では無いけれど、それぞれ数人の女子が纏わりついてた二人がやって来た。

「ルーク カイン ジーナとパーティ組めよ」

「あれ、ユリウスがジーナとパーティ組むんじゃなかったか?」

「ジーナには振られたよ。ハハハ、残念。
君たちとジーナなら、最強パーティが出来ると思ってさ」

「良いのかい?で、ユリウスはどうするんだ?」

「キャロライナとテイルと組むことにしたよ」

「なるほど~、そっちも強そうだな。
でもジーナが居るからこっちが最強だな。」

「ああ、お前たち居なくても、ジーナ一人で最強だよ。せいぜいジーナに守ってもらえよ」


誓約書とパーティ届を出して、ルーク・カインと一緒に教室を後にした。

「3日分の食料に装備かぁ、結構な荷物だよな。
小さくてもジーナは女の子だからテントも居るよな。」

「とにかく買い物だなぁ
干し肉とか、あまり好きじゃないんだよなぁ」

「それだったら、わたし『ストレージ』持ちだから、荷物は任せて」

「うぉ!そりぁあ凄いな!買い物し放題だなぁ」

「おいルーク!そんなにジーナだよりだと俺たちダメ人間になるぜ」

「そうかも知れないけど、有るものは使わないとな。
ユリウス羨ましがるだろうな」

「それはないわ。テイルも『ストレージ』持ってるから」

「え~ へ~~え テイルが『ストレージ』持ちかぁ
知らなかったよ」

「そうね、つい最近発現したから、ルームメイトの私位しか知らないはずよ」

「それってさぁ ジーナが関わってるの?」

「うん、まぁ キッカケ位はね」

「それじゃあさ、俺やカイトの隠れた才能とかも発現出来るかもって事だろ。すげぇや。
どうするんだい?」

「おいおいルーク!そんなにグイグイいくんじゃないよ、ジーナ嫌がってるぜ」

「そ そうか ジーナごめんね。」

「二人とも、自分の魔法適性ちゃんと調べて、知ってますか?」

「もちろんだよ」
「ああ そうだよな」

「テイルは、ちゃんと調べて無かったの。それで発現が遅れたのよ」

「つまり、俺たちに隠れた才能は無いってことかぁ」


3人は、そんな会話をしながら買い物をして回った。

ルークは大盾と槍
カイトは剣と数本のナイフ
ジーナは、短剣を二本買った。

串焼きの屋台を買い占めて、焼き上がるはしからどんどんストレージに放り込んだ。

食堂に入って、二十人分の注文をして、これも次次とストレージにしまった。

「ルーク!もう10日分位の食べ物在庫あるよ~」

「腹が減っては戦はできぬ。これくらいでちょうどいいんだよ」

「ジーナ ルークは歩く胃袋だから無駄に大食らいなんだよ。」

「カイトさんは?」

「まぁ俺もニ人前位はペロリと食えるが、俺の戦闘スタイルは、身軽さを活かしたスピード重視なんで、食うのは太らない程度だ」

「私は、体の割には食べる方だよ。」



「さぁ、明日はダンジョンだ。ジーナ、ちゃんと寝ておけよ」

「おい ルークお兄さんぶってるつもりか?
俺たちの方が、お世話になりますだろうが」

「いいだろぅ
少しは、カッコつけさせろよ。
実力もスキルもそうだけど、知らない人が見たら、小さな女の子を守ってる、二人の兄の図だろう。」

「ルークお兄さん カイトお兄さん よろしくおねがいします。」

「ジーナ!可愛い!
抱き締めてもいいかい?」

「それは駄目!」

「はあ~残念」

「ルーク お前ロリコンだったのか?」

「違う違う!10年後が楽しみだ」

「お前これから10年独身通すのか?」

「カイト!そうやってすぐ人の夢を現実に引き戻すよな お前は」

「え~ん わたしルークのお嫁さんになれないの?」

「えっ ジーナちゃん?」

「へへっ うそ泣きだよーん
二人仲良いのね。ちょっとからかいたくなっちゃった」

「天然の魔性か?」

「小さくても、女子は、怖いな」
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