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第一章
決闘
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あと2ヶ月程でロベルトが15歳となる頃、事件が起きた。
「マリーンが連れ去られたって!どういうことですかアングリさん」
「今日ジョン殿下が、城下の視察にお出かけになられる際に、マリーンも警護の任に着きました。
それでジョン殿下がたいそうマリーンのことを気に入られ、お持ち帰りになられたんです。
お止めしたんですが、お聞き下さいませんでした。
私はロベルト殿下とマリーンの仲をお伝えしても良いものか悩みましたが、ロベルト殿下がマリーンと婚姻の約束をされてるとお伝えしたところ
『ロベルトか、ちょうどいい、ヤツに伝えろマリーンは俺がもらう、取り返したかったら、決闘だ』とおっしゃったんです」
ぼくはアングリさんが話し終える前に、走り出した。
マリーンが、ジョンの物に!
そんなの絶対許せない!
「ドンドン バキッ」
ジョンの部屋のドアを蹴破って中に入った。
「ジョン兄さん、夜分おじゃまじます。
そちらのマリーンを、お返し下さい」
「何の騒ぎだ?!ロベルト
この女が、お前の物だとでも言うのか?」
「いいえ、わたしの物では無くわたくしの大切な人です。」
「お前の物じゃないなら、お前の気持ちは、関係無い。
こいつは俺の物にする。」
「マリーンは、兄上のものにはなりません」
「ほう 未来の王たる兄の俺様に妾腹の弟が歯向かうのか?」
「人の心を考えず、自分の欲望のままに権力を傘に押し通すのは、国の王となる人がすることでは有りません。
お願いです。どうかマリーンを解放して下さい。」
「お前の意見はどうでもいい。
俺はこの女とこれから楽しむんだ。
さっさと帰れ!
それともなにか?
力ずくで取り返すか?
ハハハ できもせんだろうに」
ロベルトは『鑑定』で兄のジョンを見た。
元々このスキルを持ってた人は『人には使えない』と言ってたが、ロベルトは人に対しても『鑑定』をなぜか使えた。
名前 ジョン インディー
インディー国 第一位王位継承者
スキル 威圧 束縛
気迫で押されたら、スキルで拘束されるのか。
それなら、問題ないな。
「兄上 力ずくでも、よろしいんですか?
それなら簡単で助かります」
ジョンは、スキル『威圧』『束縛』を使ってきた。
ロベルトは既に『剣気』を纏っていた
「なに!俺のスキルが効かないだと!
ふざけるな!」
ロベルトはジョンの脇を通り過ぎる
ジョンは、ロベルトの服を掴んで、それを阻もうとしたが、ロベルトはその手を振り払った。
ロベルトは、怯えた表情のマリーンに手を差し伸べて
「さあ、ボクと帰ろう」
バチッ
マリーンに触れようとした瞬間、静電気が弾けたような衝撃があって、ロベルトは手を引っ込めた
「ジョン マリーンにかけたスキルを解け!」
「この兄に貴様が命令だと?血迷ったか
ムハハハハハ
死にたいようだな」
「ジョン 私はあなたに決闘を申し込みます。
これでいいですか?」
「ウハハハハ
お前が俺様に?
決闘だと?
ちょうどいい
いつかお前のことは始末してやろうと思ってたんだ
お前の方から申し込んだんだ、もう逃げられないぞ
おいアングリ、この女は、賞品だ。
決闘の日まで逃げないように牢に入れておけ。
ロベルトが連れ出して逃げようとするかも知れないからな。」
「殿下 ですが無実の者を牢には」
「だったら見張りを付けて部屋でもいいから、兎に角逃がさないようにしておけ。
逃がしたときは、見張りとお前の首が飛ぶことになるからな」
こうしてその日から5日後の正午に闘技場で決闘が行われることに決まった。
決闘の前日 アングリさんの計らいでロベルトはマリーンとの面会を許された
マリーンが軟禁されている部屋のドアが開いた瞬間
ロベルトは「マリーン」と彼女の名を呼んで駆け寄る。
マリーンもまた「ロベルト」と呼び、二人は抱きあった。
アングリはそっとドアを閉め部屋から出て行った。
しばらく無言で抱きあったままの二人だったが、マリーンが口を開いた。
「ロベルト、あなただけでも逃げて。お願い。
殺されるわ。
わたしロベルトがいなかったら生きてゆけない
どこかジョン殿下の手の届かない遠くの国に行けば………」
「マリーン。ぼくは逃げも殺されもしないよ。そしてジョンも殺さずに降参させる。安心していいから。」
「そんなこと できるわけないわ
ロベルト あなた 私にだってまだ勝ってないじゃない」
「マリーン ごめん。君に隠してたけど、もうとっくにぼくの方が君より強くなってるんだよ。
これまで、わざと負けてたんだ」
「ウソよそんなの。私を安心させようと、言ってるんでしょ」
「マリーン、魔眼でぼくを見てて」
ロベルトは気を高めて見せた。ロベルトの気は彼の周りだけではなく、部屋の中いっぱいにまで広がり、マリーンを包みこんだ。
マリーンは優しく、暖かく、しかも力強いロベルトの気を感じた。
「ズルいわよ こんなの」
マリーンは涙でいっぱいになりながら、笑顔を見せた。
「本当に強く、私より遥かに強く成ってたのね。
それじゃあ 約束のご褒美をあげなきゃ」
マリーンは、目をつぶり、二人は熱いキスをした。
ロベルトの手がマリーンの胸に伸びると、マリーンは手首を掴んで
「セイッ」
ロベルトを投げ飛ばした。
「その先は、結婚するまでオアズケよ。
フフフ 今日も私の勝ちね」
マリーンは、大の字に倒れてるロベルトに、上から覆いかぶさって、キスをした。
物音に驚いてアングリさんが部屋に入って来たのはちょうどその時だ
「うう これは失礼しました。
激しいですね。ハハハ」
とだけ言ってまた部屋を出て行った。
ロベルトはゴロンと体制を入れ替えて、上から何度も何度もマリーンにキスをした
何度目かのキスの後、マリーンは手を唇の上に置いてブロックした。
ロベルトが手をどかそうとすると。
「今は、もうダメ。オアズケ。下も当たってるわ」
ロベルトは真っ赤になってマリーンから離れた。
「明日の決闘は安心してていいからね」
そう言ってロベルトは、マリーンの部屋を後にした。
部屋に戻るとユウトが話し掛けてきた
「なぁロベルト 決闘で、ジョンは本当に殺さないのか?」
「そのつもりだけど」
「その後ジョンの処遇はどうするんだ。」
「身分をはく奪して、国から追放する」
「それって、よその国に迷惑じゃないか?
『威圧』と『束縛』が有るだろ、マリーンクラスでも抑え込む力が有るんだぜ
盗賊やテロリストにでもなられたら大変だし、冒険者になったとしても、絶対トラブル起すぜ。」
「ユウトはぼくに兄を殺せってこと?」
「いや、そうじゃないよ。そんなことしたらロベルトは一生悔むだろ。
その上兄殺しって言われるだろ。
だから追放しないで幽閉するんだ、その上で、裁判にかけ処刑するんだよ。
罪状はいくらでも探せば出てくるだろ あの男なら」
ロベルトは、しばらく考えこんでから、
「わかった。そのとおりにする。結局兄には死んでもらうしかないのか」
「更生は難しいと思うから、仕方ないな」
決闘当日
闘技場は王族貴族を始め、たくさんの観衆で埋め尽くされた。
「この決闘は、どちらかが死亡、戦闘不能、若しくは降参することで勝敗を決します。
勝者は、敗者の処遇を自由に決めることができます。
両者共よろしいですか?」
「それでは、始め!」
「ロベルト、お前よく逃げなかったな。褒めてやるよ。俺の剣の錆にしてやるよ」
ボン
ジョンは薬瓶をロベルトの足下に叩きつけた。
瓶が割れ、中の薬のツンとした臭いがする。
ジョンが『威圧』『束縛』
を使う
「どうだ、いい匂いだろ!そろそろ毒が効いて来た頃だ!」
「汚い手を使うんだなジョン」
「決闘だぜ、どちらかが死ぬ迄やるのに、汚いもへったくれもあるか!
正義ぶったって死んだら負けなんだよ。」
「ジョン兄さんらしいゲスぶりですね。
おかげでぼくも、踏ん切りがつきました。」
「ロベルト、お前毒が効いてないのか?
俺の『威圧』も『束縛』も?」
「全部効いて無いよ。残念でした。」
「なら、切り刻むだけだ!俺を舐めんなよ。ウリャアー」
ジョンは『身体強化』を使って攻撃してきた。
流石 騎士学院を卒業しているだけの実力はある。
しかし、それだけだ。
「ジョン、本気出しなよ。そんなんじゃぼくの首は獲れないよ。」
「なにおー」
ジョンは、真っ赤な顔をして打ち込んでくる。
「ジョン、降参しなよ。今ならそれでやめてあげるよ。」
「ロベルト、ふざけるな、貴様~~俺様を馬鹿にするのか!」
「仕方ないなぁ~」
ロベルトが一瞬動いたように見えた。
「うわぁ~~~」
ジョンの左手首から先が無くなり血が噴き出している。
「これでも降参しないの?
もっと、どこか斬ろうか?」
「死ぬぅ 死ぬぅ 助けてくれ!」
「だから~ 降参すれば助けるから。手も今ならまだ、くっつくかも知れないよ」
「降参だ、降参するから、助けてくれ!」
「勝者 ロベルト」
ロベルトは、観客席の王様の方に向かい、深く一礼をし、王様も手を振って返した。
「ロベルト、うしろ!」
ロベルトが振り返ると、鬼の形相で剣を振りかぶっているジョンがいた。
観客席から悲鳴が聞こえる中、ジョンの剣が降り下ろされる瞬間
ロベルトはジョンの剣よりも早くジョンのふところに体当たりをして、ジョンをぶっ飛ばした。
そしてジョンの右足を膝下で切り落とした。
「ジョン兄さん、あなたの王族としての全ての権利を剥奪します。
そして、これまであなたがやった悪行を白日の下に晒し、裁判を受けてもらいます。」
「うお~~」闘技場の観衆から雄叫びが湧き上がった。
この人どれだけ恨みをかってるんだろう?
「兄を いや もう兄じゃない この人に手当を受けさせてから、自室に監禁して下さい。」
担架が運びこまれると同時にマリーンが闘技場の階段を駆け下りて来るのが見えた。
ジョンは運び出された
「ロベルト!」
マリーンが抱きついてきた。
ぼくはマリーンを抱いたままクルクルと回った
「いいぞー ご両人」
「お似合いよー」
「幸せになれよ~」
「お熱いね~妬けるね~」
「彼女を大切にね」
様々な祝福が闘技場を包みこんだ。
そしてこの決闘でロベルトの運命も大きく変わり始めた。
「マリーンが連れ去られたって!どういうことですかアングリさん」
「今日ジョン殿下が、城下の視察にお出かけになられる際に、マリーンも警護の任に着きました。
それでジョン殿下がたいそうマリーンのことを気に入られ、お持ち帰りになられたんです。
お止めしたんですが、お聞き下さいませんでした。
私はロベルト殿下とマリーンの仲をお伝えしても良いものか悩みましたが、ロベルト殿下がマリーンと婚姻の約束をされてるとお伝えしたところ
『ロベルトか、ちょうどいい、ヤツに伝えろマリーンは俺がもらう、取り返したかったら、決闘だ』とおっしゃったんです」
ぼくはアングリさんが話し終える前に、走り出した。
マリーンが、ジョンの物に!
そんなの絶対許せない!
「ドンドン バキッ」
ジョンの部屋のドアを蹴破って中に入った。
「ジョン兄さん、夜分おじゃまじます。
そちらのマリーンを、お返し下さい」
「何の騒ぎだ?!ロベルト
この女が、お前の物だとでも言うのか?」
「いいえ、わたしの物では無くわたくしの大切な人です。」
「お前の物じゃないなら、お前の気持ちは、関係無い。
こいつは俺の物にする。」
「マリーンは、兄上のものにはなりません」
「ほう 未来の王たる兄の俺様に妾腹の弟が歯向かうのか?」
「人の心を考えず、自分の欲望のままに権力を傘に押し通すのは、国の王となる人がすることでは有りません。
お願いです。どうかマリーンを解放して下さい。」
「お前の意見はどうでもいい。
俺はこの女とこれから楽しむんだ。
さっさと帰れ!
それともなにか?
力ずくで取り返すか?
ハハハ できもせんだろうに」
ロベルトは『鑑定』で兄のジョンを見た。
元々このスキルを持ってた人は『人には使えない』と言ってたが、ロベルトは人に対しても『鑑定』をなぜか使えた。
名前 ジョン インディー
インディー国 第一位王位継承者
スキル 威圧 束縛
気迫で押されたら、スキルで拘束されるのか。
それなら、問題ないな。
「兄上 力ずくでも、よろしいんですか?
それなら簡単で助かります」
ジョンは、スキル『威圧』『束縛』を使ってきた。
ロベルトは既に『剣気』を纏っていた
「なに!俺のスキルが効かないだと!
ふざけるな!」
ロベルトはジョンの脇を通り過ぎる
ジョンは、ロベルトの服を掴んで、それを阻もうとしたが、ロベルトはその手を振り払った。
ロベルトは、怯えた表情のマリーンに手を差し伸べて
「さあ、ボクと帰ろう」
バチッ
マリーンに触れようとした瞬間、静電気が弾けたような衝撃があって、ロベルトは手を引っ込めた
「ジョン マリーンにかけたスキルを解け!」
「この兄に貴様が命令だと?血迷ったか
ムハハハハハ
死にたいようだな」
「ジョン 私はあなたに決闘を申し込みます。
これでいいですか?」
「ウハハハハ
お前が俺様に?
決闘だと?
ちょうどいい
いつかお前のことは始末してやろうと思ってたんだ
お前の方から申し込んだんだ、もう逃げられないぞ
おいアングリ、この女は、賞品だ。
決闘の日まで逃げないように牢に入れておけ。
ロベルトが連れ出して逃げようとするかも知れないからな。」
「殿下 ですが無実の者を牢には」
「だったら見張りを付けて部屋でもいいから、兎に角逃がさないようにしておけ。
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こうしてその日から5日後の正午に闘技場で決闘が行われることに決まった。
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マリーンが軟禁されている部屋のドアが開いた瞬間
ロベルトは「マリーン」と彼女の名を呼んで駆け寄る。
マリーンもまた「ロベルト」と呼び、二人は抱きあった。
アングリはそっとドアを閉め部屋から出て行った。
しばらく無言で抱きあったままの二人だったが、マリーンが口を開いた。
「ロベルト、あなただけでも逃げて。お願い。
殺されるわ。
わたしロベルトがいなかったら生きてゆけない
どこかジョン殿下の手の届かない遠くの国に行けば………」
「マリーン。ぼくは逃げも殺されもしないよ。そしてジョンも殺さずに降参させる。安心していいから。」
「そんなこと できるわけないわ
ロベルト あなた 私にだってまだ勝ってないじゃない」
「マリーン ごめん。君に隠してたけど、もうとっくにぼくの方が君より強くなってるんだよ。
これまで、わざと負けてたんだ」
「ウソよそんなの。私を安心させようと、言ってるんでしょ」
「マリーン、魔眼でぼくを見てて」
ロベルトは気を高めて見せた。ロベルトの気は彼の周りだけではなく、部屋の中いっぱいにまで広がり、マリーンを包みこんだ。
マリーンは優しく、暖かく、しかも力強いロベルトの気を感じた。
「ズルいわよ こんなの」
マリーンは涙でいっぱいになりながら、笑顔を見せた。
「本当に強く、私より遥かに強く成ってたのね。
それじゃあ 約束のご褒美をあげなきゃ」
マリーンは、目をつぶり、二人は熱いキスをした。
ロベルトの手がマリーンの胸に伸びると、マリーンは手首を掴んで
「セイッ」
ロベルトを投げ飛ばした。
「その先は、結婚するまでオアズケよ。
フフフ 今日も私の勝ちね」
マリーンは、大の字に倒れてるロベルトに、上から覆いかぶさって、キスをした。
物音に驚いてアングリさんが部屋に入って来たのはちょうどその時だ
「うう これは失礼しました。
激しいですね。ハハハ」
とだけ言ってまた部屋を出て行った。
ロベルトはゴロンと体制を入れ替えて、上から何度も何度もマリーンにキスをした
何度目かのキスの後、マリーンは手を唇の上に置いてブロックした。
ロベルトが手をどかそうとすると。
「今は、もうダメ。オアズケ。下も当たってるわ」
ロベルトは真っ赤になってマリーンから離れた。
「明日の決闘は安心してていいからね」
そう言ってロベルトは、マリーンの部屋を後にした。
部屋に戻るとユウトが話し掛けてきた
「なぁロベルト 決闘で、ジョンは本当に殺さないのか?」
「そのつもりだけど」
「その後ジョンの処遇はどうするんだ。」
「身分をはく奪して、国から追放する」
「それって、よその国に迷惑じゃないか?
『威圧』と『束縛』が有るだろ、マリーンクラスでも抑え込む力が有るんだぜ
盗賊やテロリストにでもなられたら大変だし、冒険者になったとしても、絶対トラブル起すぜ。」
「ユウトはぼくに兄を殺せってこと?」
「いや、そうじゃないよ。そんなことしたらロベルトは一生悔むだろ。
その上兄殺しって言われるだろ。
だから追放しないで幽閉するんだ、その上で、裁判にかけ処刑するんだよ。
罪状はいくらでも探せば出てくるだろ あの男なら」
ロベルトは、しばらく考えこんでから、
「わかった。そのとおりにする。結局兄には死んでもらうしかないのか」
「更生は難しいと思うから、仕方ないな」
決闘当日
闘技場は王族貴族を始め、たくさんの観衆で埋め尽くされた。
「この決闘は、どちらかが死亡、戦闘不能、若しくは降参することで勝敗を決します。
勝者は、敗者の処遇を自由に決めることができます。
両者共よろしいですか?」
「それでは、始め!」
「ロベルト、お前よく逃げなかったな。褒めてやるよ。俺の剣の錆にしてやるよ」
ボン
ジョンは薬瓶をロベルトの足下に叩きつけた。
瓶が割れ、中の薬のツンとした臭いがする。
ジョンが『威圧』『束縛』
を使う
「どうだ、いい匂いだろ!そろそろ毒が効いて来た頃だ!」
「汚い手を使うんだなジョン」
「決闘だぜ、どちらかが死ぬ迄やるのに、汚いもへったくれもあるか!
正義ぶったって死んだら負けなんだよ。」
「ジョン兄さんらしいゲスぶりですね。
おかげでぼくも、踏ん切りがつきました。」
「ロベルト、お前毒が効いてないのか?
俺の『威圧』も『束縛』も?」
「全部効いて無いよ。残念でした。」
「なら、切り刻むだけだ!俺を舐めんなよ。ウリャアー」
ジョンは『身体強化』を使って攻撃してきた。
流石 騎士学院を卒業しているだけの実力はある。
しかし、それだけだ。
「ジョン、本気出しなよ。そんなんじゃぼくの首は獲れないよ。」
「なにおー」
ジョンは、真っ赤な顔をして打ち込んでくる。
「ジョン、降参しなよ。今ならそれでやめてあげるよ。」
「ロベルト、ふざけるな、貴様~~俺様を馬鹿にするのか!」
「仕方ないなぁ~」
ロベルトが一瞬動いたように見えた。
「うわぁ~~~」
ジョンの左手首から先が無くなり血が噴き出している。
「これでも降参しないの?
もっと、どこか斬ろうか?」
「死ぬぅ 死ぬぅ 助けてくれ!」
「だから~ 降参すれば助けるから。手も今ならまだ、くっつくかも知れないよ」
「降参だ、降参するから、助けてくれ!」
「勝者 ロベルト」
ロベルトは、観客席の王様の方に向かい、深く一礼をし、王様も手を振って返した。
「ロベルト、うしろ!」
ロベルトが振り返ると、鬼の形相で剣を振りかぶっているジョンがいた。
観客席から悲鳴が聞こえる中、ジョンの剣が降り下ろされる瞬間
ロベルトはジョンの剣よりも早くジョンのふところに体当たりをして、ジョンをぶっ飛ばした。
そしてジョンの右足を膝下で切り落とした。
「ジョン兄さん、あなたの王族としての全ての権利を剥奪します。
そして、これまであなたがやった悪行を白日の下に晒し、裁判を受けてもらいます。」
「うお~~」闘技場の観衆から雄叫びが湧き上がった。
この人どれだけ恨みをかってるんだろう?
「兄を いや もう兄じゃない この人に手当を受けさせてから、自室に監禁して下さい。」
担架が運びこまれると同時にマリーンが闘技場の階段を駆け下りて来るのが見えた。
ジョンは運び出された
「ロベルト!」
マリーンが抱きついてきた。
ぼくはマリーンを抱いたままクルクルと回った
「いいぞー ご両人」
「お似合いよー」
「幸せになれよ~」
「お熱いね~妬けるね~」
「彼女を大切にね」
様々な祝福が闘技場を包みこんだ。
そしてこの決闘でロベルトの運命も大きく変わり始めた。
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