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後編

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 次の日になった。



 自分の精神状態で休むわけにはいかないので、学校に向かう。



 ほんとは二人と顔も合わせたくないくらいに、行きたくない。



 憂鬱だ。



 どんな顔を合わせたくないぐらいに、



 ふと昔のことが、走馬灯のように流れた。



 私と彼は幼少の頃からずっと一緒にいた。



 家が隣同士で、親同士が仲が良くて自然に遊ぶような、



 よくライトノベルとかにあるようなありふれた設定みたいな関係だった。



 それから、小学生、中学生、今と一緒に過ごして行った。隣にはいつも彼がいた。それが私にとって当たり前だった。ありふれた光景だった。



 でも、



「おはよう。佐藤ちゃん」



 コイツに打ち砕かれた。



 滅茶苦茶にされた。滅茶苦茶にグチャグチャに汚され、壊された。



 昔から仲は良かった。彼女も小学生の時に出会って、よく知っている人物だった。



 昔からは、彼女は嘘つきで一人ぼっちで、そんな姿が見てられなくて一緒にいた。



 最初のうちは、そんなだった。



 いつからか、彼女のことが何となく理解できるようになって、一緒にいるのが楽しくなって、腐れ縁て感じのやつになった。嫌いになれない、そんな関係性だった。



 仲のいいやつだ。



 なのに。



 それなのに!!! 



「おはよう。鈴木さん。……あっ」



「よお、おはよう」



 ムカつく。



「おはよう」



 そんな感情二人に向けちゃいけないはずなのに。



「悪かったな。今日も手伝い任されてさあ……って、どうした? 気分悪いのか?」



「別に」



 ムカつく。イラつく。



「そっか。そう見えたんだけどな」



「じゃあ、また教室で佐藤ちゃん。行こうよ、鈴木君」



「え? ああ。またな」



「ええ。また」



 負の感情ばっかがいっぱいいっぱいになってしまって気が滅入る。



 二人が結ばれたのだ。喜ばしいことじゃない。



 なんで明るくふるまってしまったんだろ私。



「馬鹿馬鹿しい」



 鬱々と私は教室に向かった。







 授業が終わって、放課後になった。



 いつもだったらいるんだよね。あいつが。



 無いものねだったってしょうがない。



 早く帰ろう……



 廊下を歩く。



 その時、



「私は忠告したよ。早く自分の気持ちに素直になれって」



 隣には彼女がいた。







「なに?」



「今日一日、ずっと表情暗かったじゃない。心配になってさ」



「あっそ。別にそんなことないわよ」



「そう。ならいいけどさ。嘘だし。でも、機能すごい動揺してたじゃん。走り去ったりしてさ」



「気づいてたんだ」



「最初からね。だから気になっちゃってねえ」



「心配してくれてありがとう。嘘でもうれしいよ」



「わかってきたね」



「彼、嘘は通じないわよ。傷付けないように気をつけなさいよね。馬鹿だから」



「知ってるわよそれくらい。それにこんなに嘘つくのは、貴方くらいよ」



「あっそ。光栄だわ」



「さっきからさあ……貴方、感情的になるのはいいけど誰かに当たるのはよくないわよ」



「心配してくれるの? うれしいわ。嘘つき」



「そういうところよ。なんであなたは自分の感情に向き合わないの?」



「壊したあなたがそれ言う?」



「言うわよ。貴方と、私の中だもの」



「親しき中にも礼儀ありってご存じ」



「自分でもおかしいことくらいわかってるわよ。でも、

 貴方は少しくらい正直になりなさい!!! 」



「アンタ……わけわかんなよ。人の関係壊して自分に正直になれって、貴方頭おかしいわよ。ほんと意味が分かんない。



 自分のことは棚に上げて、人をさんざん罵倒して、もう、ほんと……



 返してよ……かえして……好きなのに……私、昔から、彼のことが好きなのに……



 大好きなのに!!!」



 ああそうだ私は彼が好きだ。



 大好きだ。



 だから、



「ああああああああああああああああもう!!! 。めんどくさい!!! 。私よりもめんどくさい!!! 。やっと自分の気持ちに気づくとか田中も田中で酷いけどさあ、貴方も貴方よ」



「ちょっと、それ」



「それ、私に言ってどうするの?」



「あんたねえ!!!」



「どうせいつもの場所にいるだろうから、今から本人呼ぶわ。後の気持ち全部田中にぶつけなさい」



「え?」



「まったく……なんでこんなことしてんだろ私」



「ちょ、ま、どういう」



「あ、そうそう。昨日のあの告白、嘘よ」



「は?」



「アンタこうでもしないと自分のこと理解できないじゃない。じゃあ、今から呼ぶから髪の毛とかまとめて少しは身だしなみをきちんとしなさい。



 まったく。なんでこんなことしてんだろ。こんなのキャラじゃないのに」



 そういって、彼女は立ち去って行った。



「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」







「よお、鈴木に言われてこっちに来たんだけど、話ってなんだ?」



「ふぇ? ちょ、えっと、その……」



「ん? どうしたんだ?」



「その、私」



 言葉に詰まる。



 だいたい、気持ちを伝えるってどうゆうことよ。



 いや、あの時は、頭に血が上っていたってこともあって、それで、言えたってこともあるけど? 



 でも、



 ピコンと携帯の通知音が鳴る。



『応援してるから』



 鈴木からだ……



 ……良し。







「私、その」



「その?」



「その……」



「貴方のことが好きなの!!!」



「そうか」



「だから、付き合ってください!!!」



「ああ。いいぜ」



「っ、じゃあ」



「これからもよろしくな」



「うん」



 私は今幸せ者だ。
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