転生した悪役皇女は溺愛される

家族とお食事です！

とことことエマの後をついていきたどり着きました食堂。

控えていた騎士さん達が礼をし食堂の扉を開ける。

その瞬間私の目の前にはこのゲームでは見た事ないけど漫画やアニメでよくある食堂が広がっていた。

長細いテーブルに壁に控える召使いたち。

まさにお城って感じ？

中に入りエマが引いてくれた椅子に座る。

既に先客がいた。

美しい銀髪に緋色の瞳をし冷たい印象を与える私のお父様である皇帝アレクセイ・シンフォニア

皇帝そっくりの銀髪に緋色の瞳を持つ私の兄カイル・シンフォニア

兄は攻略対象のひとりだ。

いつも父の皇帝からわがままな妹の世話を押し付けられ辟易としていた所をヒロインに癒されるという設定。

ゲームの中のカイルは妹のシャーロットのことをいつも憎々しげに見ていた。

でも今は…

「おはようシャーロット。よく眠れたかい？」

カイル…兄はふんわりと優しい笑みを浮かべ私の頭を撫でる。

…なんですかこの優しいきらきら王子様は？

ゲームのカイルと真反対な対応に驚くが私は自分がまだ5歳だということを思い出した。

いつも冷たい目でシャーロットを見る皇帝も笑みを浮かべ兄に撫でられる私を見守っている。

恐らくだがこの時はまだシャーロットは愛されていたのだろう。私はそう結論付ける。

…それならこのままいい子で過ごせば…なんて考えていると目の前にいい匂いの料理が置かれた。

ふわふわの白パンにかぼちゃのポタージュ、みずみずしいサラダもついている。

前世ではかなり切りつめて生活していた私には朝食とはいえご馳走だった。

「シャルは本当に美味しそうに食べるね」

「シャーロット、そう急ぐな。朝食はなくならん」

皇帝…お父様とお兄様に生暖かい視線を向けられながら私は朝食を食べ終えた。

…あれ？少しだけ過去編をプレイしたけどシャーロットって幼い頃からみんなに嫌われてなかったっけ？

私はどう考えても可愛がられてる今の現状に首を傾げながら朝食を食べた。

一体何がどうなってるの？