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12・夢が叶う日
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ディノは胸を張って言った。
「錬金釜はフィリシアが生まれた時代にはなかったけれど、君にこそぴったりだよ。これがあれば、君の魔力は色々な物を作る力になるんだから!」
「本当? 私の魔力に破壊以外の使い道が出来るなんて」
「本当だよ! 君の従姉のような魔彫像だって、きっとね!」
「ルネみたいな……すごいわ!」
「ふふ、錬金釜の使い方は僕が教えるから安心して。複雑な工程も出来るけど、とりあえずおすすめ調合でいくよ?」
「よくわからないし、それでお願いするわ」
まさか、魔法不能のまま魔彫像を作る夢が叶うなんて……!
「面白そうなことになって来たな」
レオルはそう言いながら、少し離れたところにある倒木に腰掛ける。
「まさかこんなに早く、錬金釜が見つかるのも驚いたけど」
「レオルとディノのおかげよ。本当にありがとう」
「それはこっちのセリフかもな。錬金釜を使う場面に立ち会えるなんて、なかなか経験できないし。俺は見てるから、リシアは気にせず好きに楽しめばいい」
私はワクワクしながら頷く。
それからディノの指導のもと、魔彫像の素材として手頃そうな、両手で持てるほどの石を釜の中に投入した。
後は魔力を込めながら中身を混ぜるだけでいいらしい。
「この専用の杖を使えば、暴発させず錬金釜に魔力を注げるんだ」
ディノから硬質な杖を受け取った私は、いよいよ胸が高鳴ってきた。
本当はいつも私の像を綺麗に彫ってくれたルネを作りたいけれど、あんなに上手な人でもモデルを見て製作していたのだし、実物を見ながらの方がいいわよね。
辺りを見回すとレオルと目が合い、彼は視線をディノに向けた。
気づくと、足元にはきらきらと目を輝かせた猫が私を見つめている。
「あの……試しに僕とかを作ってみたらどうだろう」
「そうね。第一号はディノにプレゼントしたいわ」
「……うん!」
「レオルにも作りたいから、何か考えておいてね」
「ああ。ありがとう」
ディノがもじもじしながらも喜んでいるので、私は気合いを入れて錬金釜の中身を杖で混ぜた。
てのひらから何か伝うような感触が杖へと吸い込まれていくのがわかるけれど、本当に暴発しないし、手の痛みもない。
付属の杖、すごいわ!
ディノは待ちきれないように、錬金釜のそばをうろうろしたり、重力を無視するように浮いて中を覗き込んだりしている。
「順調だよ。そのまま完成をイメージしながら混ぜて!」
言われるまま続けていると、作業の終わる手ごたえがわかる。
錬金釜から杖を抜くと、そこからできたてほやほやの彫像がふわりと浮かび、空中で留まった。
「これは……」
私たちは、全員そろって息をのむ。
「錬金釜はフィリシアが生まれた時代にはなかったけれど、君にこそぴったりだよ。これがあれば、君の魔力は色々な物を作る力になるんだから!」
「本当? 私の魔力に破壊以外の使い道が出来るなんて」
「本当だよ! 君の従姉のような魔彫像だって、きっとね!」
「ルネみたいな……すごいわ!」
「ふふ、錬金釜の使い方は僕が教えるから安心して。複雑な工程も出来るけど、とりあえずおすすめ調合でいくよ?」
「よくわからないし、それでお願いするわ」
まさか、魔法不能のまま魔彫像を作る夢が叶うなんて……!
「面白そうなことになって来たな」
レオルはそう言いながら、少し離れたところにある倒木に腰掛ける。
「まさかこんなに早く、錬金釜が見つかるのも驚いたけど」
「レオルとディノのおかげよ。本当にありがとう」
「それはこっちのセリフかもな。錬金釜を使う場面に立ち会えるなんて、なかなか経験できないし。俺は見てるから、リシアは気にせず好きに楽しめばいい」
私はワクワクしながら頷く。
それからディノの指導のもと、魔彫像の素材として手頃そうな、両手で持てるほどの石を釜の中に投入した。
後は魔力を込めながら中身を混ぜるだけでいいらしい。
「この専用の杖を使えば、暴発させず錬金釜に魔力を注げるんだ」
ディノから硬質な杖を受け取った私は、いよいよ胸が高鳴ってきた。
本当はいつも私の像を綺麗に彫ってくれたルネを作りたいけれど、あんなに上手な人でもモデルを見て製作していたのだし、実物を見ながらの方がいいわよね。
辺りを見回すとレオルと目が合い、彼は視線をディノに向けた。
気づくと、足元にはきらきらと目を輝かせた猫が私を見つめている。
「あの……試しに僕とかを作ってみたらどうだろう」
「そうね。第一号はディノにプレゼントしたいわ」
「……うん!」
「レオルにも作りたいから、何か考えておいてね」
「ああ。ありがとう」
ディノがもじもじしながらも喜んでいるので、私は気合いを入れて錬金釜の中身を杖で混ぜた。
てのひらから何か伝うような感触が杖へと吸い込まれていくのがわかるけれど、本当に暴発しないし、手の痛みもない。
付属の杖、すごいわ!
ディノは待ちきれないように、錬金釜のそばをうろうろしたり、重力を無視するように浮いて中を覗き込んだりしている。
「順調だよ。そのまま完成をイメージしながら混ぜて!」
言われるまま続けていると、作業の終わる手ごたえがわかる。
錬金釜から杖を抜くと、そこからできたてほやほやの彫像がふわりと浮かび、空中で留まった。
「これは……」
私たちは、全員そろって息をのむ。
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