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11・計画通りの再会

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 現れた金色の猫は鈴の付いた赤い首輪をつけていて、魔法士のような三角帽子とマントをはおり、両足だけで立っている。

 錬金釜の上に浮いている彼は空中から地面に飛び降りると、半透明だった姿がしっかりとした実像になった。

 やはりディノにしか見えない、でも二足歩行の猫は、彼らしく控えめに微笑む。

「フィリシア、ずいぶん長い時間がかかってしまったけれど、また君に会えたね。本当に嬉しいな」

 ディノらしき猫はいつもの思念ではなく、言葉で話しかけてきた。

「あなた、やっぱりディノよね? 一体どういうことなの?」

「ふふ、計画通りだよ。フィリシアもあの解毒効果のある石化の葉の力は知っていたでしょ?」

「もちろん知らなかったわ。だけど千年後に目覚めて石化していたことは、さっきレオルから聞いたの。彼は私たちの時代に詳しくて、色々なことを教えてもらっていたところよ」

 私は思わぬ再会に驚きつつも、レオルとディノにお互いを紹介する。

 私がレオルのおかげで住む場所も言葉も何とかなりそうな経緯を説明すると、ディノは目を輝かせて喜んでくれた。

 千年ぶりの会話に盛り上がる私たちの横で、レオルはディノや錬金釜を興味津々に観察している。

「すごいな……形や材質からすると、初期の錬金釜か」

「これが錬金釜なのね」

「そう。今はリシアの魔力を餌に稼働しているから、ディノと話すのなら魔力が補充されるまでは触れていた方がいい」

「わかったわ。ところでディノ、錬金釜の光からあなたの姿が生まれたように見えたけれど、一体どういうことなの?」

「もちろん、僕はまだフィリシアに恩返しをしたかったんだ! それに僕が錬金釜の使い方を教えれば、フィリシアと一緒に楽しく暮らせるしね」

 ディノによると、彼は人魚の肉を食べたことですでに長寿だったらしいけれど、私の石化が解けるのを待ちながら数百年経った頃には、とうとう寿命が近づいてきていたそうだ。

 そこでディノは、今の教科書にも出てくるあの高名な錬金術師、エドラン・ジェスティンに頼んで、彼の錬金釜とディノの魂を一体化させてもらうことにしたらしい。

 そうして錬金釜の一部として半永久的に意識を保つことが出来るようになったディノは、塔のそばで私の石化が解けるのを待っていてくれたというわけだった。

 だけど数百年の間に釜に補充していた魔力も尽きて動けなくなってしまい、気づいたらちょっと位置がずれてしまったそうで、こうして見つけることが出来たのは、レオルと一緒に歩き回っていたおかげだと思う。

 ちなみに、ディノの少しレトロかわいい格好は、当時の錬金術師の服装ではなく、魔法士になれなかったエドラン・ジェスティンの願望らしい。



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