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45 謝罪と姉妹
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「おほしさま!」
ミュナは夜空に向かって両手を振りながら、驚くほどの跳躍力で跳ねています。
見上げると無数の光が夜空を上昇していき、どれもが華やかな円形状に分散してきらめきました。
ジンジャーとオモチは青く染めた口元のまま、ミュナと同じように夜空を仰いでいます。
「あれは星じゃなくて花火だよ!」
「はなび?」
「そっか、ミュナもオモチも山で暮らしていたから、夏祭りの花火を知らないんだね」
「へぇ……。人間はおいしいものだけじゃなくて、きれいなものも作り出すのね」
私ははじめて見る一瞬の輝きに釘付けになりました。
きれいです。
マリスヒル元伯爵邸の小屋で暮らしているだけでは、花火の輝きもわたあめの味も知ることができませんでした。
ひときわ大きな花火が上がりました。
ミュナはその瞬間を逃さないようにと指さします。
「きれいね! いちばんきれい!」
「ああ。一番きれいだな」
声の方を見ると、意外なことにセレイブ様と目が合いました。
そのアイスブルーの瞳には夜空を彩る花火ではなく、私だけが映っています。
「俺の目を奪うのは花火ではないけれど」
セレイブ様は静かにほほえむと、私の口元に新しいわたあめを添えてくれました。
では、いただきます!
◆◆◆
初秋のその日。
ネスト公爵が仲介となり、先日のマイア王女の無礼な振る舞いに関する正式な謝罪の場が設けられました。
私はセレイブ様と一緒に、ネスト公爵邸の応接間でソディエ国王夫妻と向き合います。
「ロアフ卿夫妻、先日は我がソディエ王国のマイア王女があなたたちの離縁を勧め、自らがロアフ卿との婚姻を望むような愚かな振る舞いをしたこと、国王と王妃として謝罪する」
本来なら問題を起こしたマイア王女本人が謝罪するのでしょう。
でも彼女にそんなことをさせたら、もっと問題が大きくなる発言をして、誰もが迷惑することになりそうです。
そのためロアフ辺境伯領とソディエ王国の友好の確認も兼ねて、ソディエ国王夫妻からの謝罪を受けることになりました。
「もちろんソディエ王国はロアフ卿夫妻の婚姻を祝福している。マイア王女の発言はソディエ王家のものとして認められないものであり、国王として撤回する」
私はその謝罪を受け入れました。
それからネスト公爵がマイア王女のロアフ領への永久入領禁止、そして私とセレイブ様が出席する行事にはマイア王女が欠席することなどを確認しました。
ただマイア王女はもともと国儀に参列したことがないので、そこに関しては今まで通りかもしれません。
「本当に、マイアは見苦しいほど愚かだ。王女の称号を取り上げたいと何度思ったことか」
「慈善活動ばかりしているせいで、私たちより国民から人気があるのも迷惑だわ」
ソディエ国王夫妻は顔をしかめながら話し合っています。
マイア王女のことを毛嫌いしているという話は本当のようです。
「あのような醜い者がソディエ王家に生まれたとは、嫌悪感しかない」
「本当、呪わしい存在よ。顔も見たくないわ」
彼らはまだ話を続けようとしたので、私は先に言いました。
「ソディエ国王夫妻、この場は謝罪のために設けられています。そのような発言は不適切です」
マイア王女は良くないことをしたので、厳しく処罰されるのは仕方がありません。
でも謝罪と関係ない、見た目や個人的な悪口をこの場で言われるのは変だと思います。
それにもし彼らの話したマイア王女に対する暴言を、私が大好きなお母様から言われたら……悲しいに決まっています。
「なによりおふたりはマイア王女のご両親です。マイア王女に対していつもそんな言い方をしないでください」
ソディエ国王夫妻はひるんだように口をつぐむと、私から視線をそらしました。
「……ま、まぁ確かに、これ以上マイアの話など聞きたくないでしょう。あのような者から結婚を乞われるなど、ロアフ卿を非常に不愉快な目に遭わせてしまった。ただライハントとの婚姻を勧めらるのは、悪い気はしなかったでしょうが」
「そうよね。マイアと違ってライハントは将来のソディエ王国を担う王子ですもの。見た目もいいし性格も魅力的だし、誰もがあの子と結婚したいと願うでしょうね」
どうやらソディエ国王夫妻がライハント王子を盲目的にかわいがっているというのは本当のようです。
話している内容、まったく共感できませんけど……。
セレイブ様もそう感じたらしく、嫌悪感を隠そうともせず顔を歪めました。
「あなたたちは謝罪をする気があるのか? 妻の前でそのような不快な発言をするのなら、私は許すつもりなどありません」
「ち、違うんだロアフ卿。今の発言は全面的に撤回する!」
「そうですわ、完全に私たちの間違いです!」
「それは当然ですが、私が依頼した聖騎士団の調査をソディエ王家が拒んでいるのは許容できません。これ以上続けば、国際法が適用されて裁かれるだけです」
セレイブ様はそこまで言うと、隣に座る私を見てほほえんでくださいました。
「リシェラ、謝罪はもう終わった。俺は少し話があるから、ミュナのところで待っていてくれ」
「わかりました」
セレイブ様はソディエ国王夫妻に視線を移すと、先ほどまでの威圧的な迫力のある雰囲気に戻りました。
私はネスト公爵に案内されて、いとこたちと遊んでいるミュナの元へ向かいます。
「リシェラ様はこの様な謝罪を受けた経験があるのですか?」
「いえ、はじめてです」
「それなのにあれほど堂々と意見を言われるのですね。しかも冷静で愛情深い言葉です。セレイブがあなたを望んだ理由を知った気がしました」
「そうなのですか? 私の言葉に、ソディエ国王夫妻は驚いていたようです」
「それはリシェラ様が、シャーロットと同じことを言ったからでしょう」
シャーロット……それはマイア王女の双子の妹で、セレイブ様の兄であるオスカー様の婚約者だったシャーロット王女のことでしょうか。
ネスト公爵は思うことがあるのか、どこかさみしそうにほほえみました。
「マイアとシャーロットはよく似た容姿でしたが、ソディエ国王夫妻の態度と教育方針はまったく違うものでした。私からすると、それがあのふたりを不幸にした気がしてなりません。彼らはマイアが醜いと露骨に嫌がり、体調を理由に国儀に出席させず、結婚も禁止していました」
それに対してシャーロット王女は「美しい」と、異常にかわいがられていたそうです。
しかし苦労させたくないからと、シャーロット王女が望む慈善活動をやめさせようとしたり、ソディエ国王夫妻の考える良い縁談、でも他の者から見ればひどい縁談を押し付けられかけていたそうです。
「双子のマイア王女とシャーロット王女はそっくりな容姿なのに、見た目を理由にそこまで差をつけられていたのですね」
「ええ。でもあのふたりは幼いころ、仲の良い姉妹でした。特にシャーロットはマイアを慕っていて、誰よりもマイアを愛していました」
しかしふたりは成長するにつれ、関係に変化が起こったそうです。
シャーロット王女は最愛のオスカー様と出会い、困難な婚約をソディエ国王夫妻に認めてもらおうとしていました。
その一方でマイア王女は人目を避け、離宮に閉じこもるようになったそうです。
「マイアはシャーロットに嫉妬していたのです。彼女はひた隠しにしていましたが、オスカーに想いを寄せていたのは明らかでしたから」
マイア王女は自分を慕うシャーロット王女を避けるようになりました。
それどころか誰にも会おうとしなくなり、ふたりの距離は遠ざかっていたそうです。
「そのためシャーロットが亡くなってから、マイアが慈善活動を引き継ぎ、以前と変わって熱心に活動するようになったのは意外でした。はじめは精神面が安定したように感じられ、喜ばしく見守っていました。しかしセレイブに異常にこだわるような振る舞いは容認できず、奇妙に思えますが……」
確かに以前のマイア王女は、離宮に引きこもってまでオスカー様への想いを抑えていたようです。
それなのにセレイブ様に対しては、時と場合を考えず熱心に求婚を繰り返しています。
「しかしマイアの個人的な理由はどうあれ、セレイブやリシェラ様に迷惑をかける理由になりませんけれどね」
ネスト公爵は私をセレイブ様のお姉様であるヴァイオラ様のいる部屋へ案内してくれました。
それからセレイブ様の様子を見に行くと、足早に応接間へ戻っていきます。
「お義姉様、お久しぶりです」
「リシェラ、会いたかったわ。よく来てくれたわね」
ミュナの姿は見えませんが、扉で繋がっている隣の部屋から子どもたちの明るい笑い声が聞こえてきます。
メイドに付き添われ、ミュナはいとこたちと楽しく遊んでいるようです。
「そうだわ、リシェラに直接渡したいものがあったの。受け取ってくれる?」
「はい、もちろんです」
「ふふ、よかった。これは私からリシェラへ、感謝の気持ちよ」
私はヴァイオラ様から、きれいに包装された紙箱を受け取ります。
いかにも高級そうな包みです。
「いい? 必ずセレイブと一緒に開けてね」
ミュナは夜空に向かって両手を振りながら、驚くほどの跳躍力で跳ねています。
見上げると無数の光が夜空を上昇していき、どれもが華やかな円形状に分散してきらめきました。
ジンジャーとオモチは青く染めた口元のまま、ミュナと同じように夜空を仰いでいます。
「あれは星じゃなくて花火だよ!」
「はなび?」
「そっか、ミュナもオモチも山で暮らしていたから、夏祭りの花火を知らないんだね」
「へぇ……。人間はおいしいものだけじゃなくて、きれいなものも作り出すのね」
私ははじめて見る一瞬の輝きに釘付けになりました。
きれいです。
マリスヒル元伯爵邸の小屋で暮らしているだけでは、花火の輝きもわたあめの味も知ることができませんでした。
ひときわ大きな花火が上がりました。
ミュナはその瞬間を逃さないようにと指さします。
「きれいね! いちばんきれい!」
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そのアイスブルーの瞳には夜空を彩る花火ではなく、私だけが映っています。
「俺の目を奪うのは花火ではないけれど」
セレイブ様は静かにほほえむと、私の口元に新しいわたあめを添えてくれました。
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ネスト公爵が仲介となり、先日のマイア王女の無礼な振る舞いに関する正式な謝罪の場が設けられました。
私はセレイブ様と一緒に、ネスト公爵邸の応接間でソディエ国王夫妻と向き合います。
「ロアフ卿夫妻、先日は我がソディエ王国のマイア王女があなたたちの離縁を勧め、自らがロアフ卿との婚姻を望むような愚かな振る舞いをしたこと、国王と王妃として謝罪する」
本来なら問題を起こしたマイア王女本人が謝罪するのでしょう。
でも彼女にそんなことをさせたら、もっと問題が大きくなる発言をして、誰もが迷惑することになりそうです。
そのためロアフ辺境伯領とソディエ王国の友好の確認も兼ねて、ソディエ国王夫妻からの謝罪を受けることになりました。
「もちろんソディエ王国はロアフ卿夫妻の婚姻を祝福している。マイア王女の発言はソディエ王家のものとして認められないものであり、国王として撤回する」
私はその謝罪を受け入れました。
それからネスト公爵がマイア王女のロアフ領への永久入領禁止、そして私とセレイブ様が出席する行事にはマイア王女が欠席することなどを確認しました。
ただマイア王女はもともと国儀に参列したことがないので、そこに関しては今まで通りかもしれません。
「本当に、マイアは見苦しいほど愚かだ。王女の称号を取り上げたいと何度思ったことか」
「慈善活動ばかりしているせいで、私たちより国民から人気があるのも迷惑だわ」
ソディエ国王夫妻は顔をしかめながら話し合っています。
マイア王女のことを毛嫌いしているという話は本当のようです。
「あのような醜い者がソディエ王家に生まれたとは、嫌悪感しかない」
「本当、呪わしい存在よ。顔も見たくないわ」
彼らはまだ話を続けようとしたので、私は先に言いました。
「ソディエ国王夫妻、この場は謝罪のために設けられています。そのような発言は不適切です」
マイア王女は良くないことをしたので、厳しく処罰されるのは仕方がありません。
でも謝罪と関係ない、見た目や個人的な悪口をこの場で言われるのは変だと思います。
それにもし彼らの話したマイア王女に対する暴言を、私が大好きなお母様から言われたら……悲しいに決まっています。
「なによりおふたりはマイア王女のご両親です。マイア王女に対していつもそんな言い方をしないでください」
ソディエ国王夫妻はひるんだように口をつぐむと、私から視線をそらしました。
「……ま、まぁ確かに、これ以上マイアの話など聞きたくないでしょう。あのような者から結婚を乞われるなど、ロアフ卿を非常に不愉快な目に遭わせてしまった。ただライハントとの婚姻を勧めらるのは、悪い気はしなかったでしょうが」
「そうよね。マイアと違ってライハントは将来のソディエ王国を担う王子ですもの。見た目もいいし性格も魅力的だし、誰もがあの子と結婚したいと願うでしょうね」
どうやらソディエ国王夫妻がライハント王子を盲目的にかわいがっているというのは本当のようです。
話している内容、まったく共感できませんけど……。
セレイブ様もそう感じたらしく、嫌悪感を隠そうともせず顔を歪めました。
「あなたたちは謝罪をする気があるのか? 妻の前でそのような不快な発言をするのなら、私は許すつもりなどありません」
「ち、違うんだロアフ卿。今の発言は全面的に撤回する!」
「そうですわ、完全に私たちの間違いです!」
「それは当然ですが、私が依頼した聖騎士団の調査をソディエ王家が拒んでいるのは許容できません。これ以上続けば、国際法が適用されて裁かれるだけです」
セレイブ様はそこまで言うと、隣に座る私を見てほほえんでくださいました。
「リシェラ、謝罪はもう終わった。俺は少し話があるから、ミュナのところで待っていてくれ」
「わかりました」
セレイブ様はソディエ国王夫妻に視線を移すと、先ほどまでの威圧的な迫力のある雰囲気に戻りました。
私はネスト公爵に案内されて、いとこたちと遊んでいるミュナの元へ向かいます。
「リシェラ様はこの様な謝罪を受けた経験があるのですか?」
「いえ、はじめてです」
「それなのにあれほど堂々と意見を言われるのですね。しかも冷静で愛情深い言葉です。セレイブがあなたを望んだ理由を知った気がしました」
「そうなのですか? 私の言葉に、ソディエ国王夫妻は驚いていたようです」
「それはリシェラ様が、シャーロットと同じことを言ったからでしょう」
シャーロット……それはマイア王女の双子の妹で、セレイブ様の兄であるオスカー様の婚約者だったシャーロット王女のことでしょうか。
ネスト公爵は思うことがあるのか、どこかさみしそうにほほえみました。
「マイアとシャーロットはよく似た容姿でしたが、ソディエ国王夫妻の態度と教育方針はまったく違うものでした。私からすると、それがあのふたりを不幸にした気がしてなりません。彼らはマイアが醜いと露骨に嫌がり、体調を理由に国儀に出席させず、結婚も禁止していました」
それに対してシャーロット王女は「美しい」と、異常にかわいがられていたそうです。
しかし苦労させたくないからと、シャーロット王女が望む慈善活動をやめさせようとしたり、ソディエ国王夫妻の考える良い縁談、でも他の者から見ればひどい縁談を押し付けられかけていたそうです。
「双子のマイア王女とシャーロット王女はそっくりな容姿なのに、見た目を理由にそこまで差をつけられていたのですね」
「ええ。でもあのふたりは幼いころ、仲の良い姉妹でした。特にシャーロットはマイアを慕っていて、誰よりもマイアを愛していました」
しかしふたりは成長するにつれ、関係に変化が起こったそうです。
シャーロット王女は最愛のオスカー様と出会い、困難な婚約をソディエ国王夫妻に認めてもらおうとしていました。
その一方でマイア王女は人目を避け、離宮に閉じこもるようになったそうです。
「マイアはシャーロットに嫉妬していたのです。彼女はひた隠しにしていましたが、オスカーに想いを寄せていたのは明らかでしたから」
マイア王女は自分を慕うシャーロット王女を避けるようになりました。
それどころか誰にも会おうとしなくなり、ふたりの距離は遠ざかっていたそうです。
「そのためシャーロットが亡くなってから、マイアが慈善活動を引き継ぎ、以前と変わって熱心に活動するようになったのは意外でした。はじめは精神面が安定したように感じられ、喜ばしく見守っていました。しかしセレイブに異常にこだわるような振る舞いは容認できず、奇妙に思えますが……」
確かに以前のマイア王女は、離宮に引きこもってまでオスカー様への想いを抑えていたようです。
それなのにセレイブ様に対しては、時と場合を考えず熱心に求婚を繰り返しています。
「しかしマイアの個人的な理由はどうあれ、セレイブやリシェラ様に迷惑をかける理由になりませんけれどね」
ネスト公爵は私をセレイブ様のお姉様であるヴァイオラ様のいる部屋へ案内してくれました。
それからセレイブ様の様子を見に行くと、足早に応接間へ戻っていきます。
「お義姉様、お久しぶりです」
「リシェラ、会いたかったわ。よく来てくれたわね」
ミュナの姿は見えませんが、扉で繋がっている隣の部屋から子どもたちの明るい笑い声が聞こえてきます。
メイドに付き添われ、ミュナはいとこたちと楽しく遊んでいるようです。
「そうだわ、リシェラに直接渡したいものがあったの。受け取ってくれる?」
「はい、もちろんです」
「ふふ、よかった。これは私からリシェラへ、感謝の気持ちよ」
私はヴァイオラ様から、きれいに包装された紙箱を受け取ります。
いかにも高級そうな包みです。
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