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人生の痕(百合)

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大きな垂れ目と発育のいい体と欲に従順な性格が相まって、昔から男好きのする方だ。

簡単に言えばすぐやれる女、なんの中身もない。それだけ。
一発やるにはちょうどいい、そんな感じ。

人にちやほやされるのは好きだし、セックス如きで私の価値はかわらないし、気持ちいいことも大好きだ。


そんな典型的な女に嫌われる女な私にも1人だけ友達がいる。

高校の時一回寝た男が同級生の家庭教師で、その男に惚れていたその同級生にめちゃくちゃに嫌がらせをされていて、その同級生と同じ小学校出身だった彼女がその女をひっぱたいてくれた。

私はその瞬間自分がとんでもなく価値のあるものになった気がした。


背が高くてすらっとしていて、髪はずっとすっきりとした黒髪のショートで、切長の目にあっさりした顔立ち、愛用している香水は柑橘系で、つまり私とは正反対の女だ。名前を梨央奈という。

もたっとした私の体とは違うすっきりしたあの体は、いつも私を魅了する。触れてみたいと思ってしまう。
初めてそれを想像したのは修学旅行の晩だった。
2人一部屋だったので、他に友達のいない私たちは同部屋になり、夜ふざけてキスをした。ずれた梨央奈の唇は私の唇の端に触れて、私は男相手のキスとは全く違うときめきを感じた。私たちがしたそれはまるで神聖で、私が適当に男とするそれとは全く違うものだった。
ちゃんと触れ合わずに離れた梨央奈の唇は薄く冷たく、照れたように笑う梨央奈は世界で一番可愛かった。
私が男だったらその場で押し倒して、梨央奈の全てを奪ったと思う。

でも私は女で、男に抱かれたことしかなかった。

高校最後の一年、梨央奈には彼氏が出来た。
何度も相談された他校の同じ年の男のことを私は心底憎んだ。

初めて梨央奈が抱かれた夜のこと、私は一生忘れない。梨央奈が抱かれているだろう時間、私はずっと携帯電話を握りしめて、電話して邪魔してやろうと睨みつけていた。

地獄の夜が終わった朝、私はもうへとへとだった。

朝から適当に呼び出した男に抱かれに行った。

そのまま泥のように眠って、目が覚めると梨央奈から連絡が来ていて、二人で買い物に行った。

本当は行きたくなかった。梨央奈の口から男に抱かれた話を聞くのが怖かったからだ。
みっともなく嫉妬する私をみられたくなかった。

梨央奈の前では完璧に可愛いだけの私でいたい。
その彼氏とは結局受験で別れて、進学した梨央奈は別の彼氏が出来た。最近はうまくいってないらしい。
まったく見る目のない男だと思う。あの綺麗な女を好きにできる立場にいるくせに、なんでありがたさがわからないんだろう。

「亜乃」
梨央奈が呼ぶ私の名前は、男が馴れ馴れしく呼ぶ私の名前とは全く違って聞こえる。
まるで完璧になったみたいな、そんな感覚。
「なに?」
「一緒に旅行行こうよ。」
「なんで?彼氏と行きなよ。」
「絶対いや。喧嘩になるのわかってるし。
それなら亜乃と行きたい。」
「女と旅行行ってもつまんない。」
梨央奈の前でする男好きの演技も堂に入ったものだ。
梨央奈に欲情しているなんて素振りは全く見せないで、当然のように一緒に過ごす日々は快適だ。

「じゃあ私が男役してあげよっか。」

私の手から滑り落ちた携帯電話が派手な音をしてカフェの床に落ちる。今日は2人で朝から買い物に出ていた。

目の前では梨央奈がブラックのコーヒーを飲んでいる。
何でもないように落ちた携帯電話を拾う。
「何言ってんの?」
「男っぽい服着てさ。彼氏役してあげる。」
馬鹿らしくて笑いが出た。
私がしたいのはそんなおままごとじゃない。
もっと汚くてべたべたに甘くて、口に出せないようなこと。
昼間のカフェでは話せないような。

目の前のべたべたに甘いクリームたっぷりのフラペチーノを刺さったストローでかきまぜる。私にも梨央奈をかき混ぜるあれがついていたらいいのに。

「ねえ亜乃、今日夜までいいでしょ?何もない?うちで飲もうよ。」
「いいけど。」
梨央奈とお酒を飲むのは精神力を試される。
本当は酔ってくたっとなる薄い体を介抱するよりめちゃくちゃに舐め回したいからだ。
「亜乃は可愛いねえ~?」
梨央奈の暮らす1DKは、梨央奈の匂いで満ちている。
「梨央奈も可愛いよ。」
平気な顔で返す声が震える。
梨央奈は缶ビールを口の端からこぼしながら、Tシャツと短い短パンだけの格好でベッドにもたれている。
「ねえ亜乃~。おっぱい触っていい?」
「は?」
「私亜乃みたいに大きくないからさ~。触ってみたい。」
梨央奈の部屋でシャワーを浴びた私はキャミソールと薄い短パンしか着ていない。
こんなことを想像してひとり慰めたことは何度だってある。
男に抱かれることを想像するよりずっと気持ちがいい。
梨央奈と抱き合って舐め合ってもつれあう妄想は、いつも私を惨めにさせる。

ひとり喘ぐ自分の姿も、妄想の中の綺麗な梨央奈も、
どろどろに乱れる自分の姿は惨めでみっともなくて、
ものすごく気持ちいい。
「やーだ。梨央奈みたいに痩せてないから恥ずかしいもん。」
「亜乃は柔らかいのが可愛いんじゃん。ねえ、旅行行こ?私とセックスしようよ。知ってる?女同士でも出来るんだよ。」
貧血の時みたいに視界が白くなる。
知ってるよ。知ってる。女同士がどうな風にセックスするか。死ぬほど調べたし妄想したし。あんたは毎晩私に私の頭の中でぐちゃぐちゃに抱かれてるんだよ。
知らないのはあんただけ。苛々する。
「絶対やだ。旅行はいいけどセックスなんてやだ。」
「なんで?男だったら誰でも寝るのに私は駄目なの?女だから?」

梨央奈はいつもとは正反対の女っぽい駄々のこね方をした。

「梨央奈は興味本位かもしれないけど、私は無理・・・・・・。梨央奈の前でいやらしいことするなんて恥ずかしくて無理すぎる。」


「男の前ではできるのに?」    


「一回寝るだけの男に嫌われても引かれてもなんともないけど、梨央奈に引かれたら生きていけない。」

その瞬間のことを思うと、涙が出そうだった。

ああ、私、この綺麗な女のことが好きなんだな。

駄々をこねているこの女より、ずっと真剣にセックスしたいと思っている。

願わくば私はなんの恥も晒さずに、この綺麗な肌に唇を這わせて、胸を舐め吸って、臍にキスをして性器の隅々まで舐め回したい。そしてその味を脳に刻み込んで、それをおかずにオナニーしたい。

残酷だな。請われているようで、私の方が圧倒的に立場は下の方だ。嫌われたら生きていけない。惨めだな、と実感した。
「ねえ、私、亜乃のこと嫌いになんてならないよ。」
「そんなの分かんないでしょ。」
「わかるよ、ねえ。わかる。」
はっきりと私に言い聞かせるように言うその口ぶりは、私に適当なワンナイトだけの男遊びを止めるように言う時の顔とよく似ていた。
「なに?梨央奈、たまってんの?彼氏とうまくいってないんだ?」
そんなのはずっと相談されているからとっくにわかっている。
「舐めてあげよっか?」
酔った梨央奈がとろんとこちらを向く。
「入れられても悦くないんでしょ?私が舐めたげる。」
「違う!そんなことしてほしいんじゃない!」
「旅行なんて行かなくても今してあげるよ。」
ベッドにもたれている梨央奈をベッドに押し倒す。
「やだってば。あ・・・・・・。」
Tシャツを捲ると細い体に張り付いているだけのナイトブラを上に押し上げる。
ささやかな膨らみの紅い先は尖っている。
「勃ってるじゃん。すけべ。」
その先を舌先でつつく。私の方がよっぽど死ぬほど興奮していた。
「や、あ、ん・・・・・・は、あぁん。」
「梨央奈の乳首かわいいね。気持ちいい?」
口に含んで転がすとびくびくと薄い体が震える。
もう私の下着はびしょびしょだった。下手したら太ももまで垂れてきそうだ。
舌と歯で挟むと、梨央奈が大きく声を上げた。
「こら、声、隣の人に聞こえちゃうよ。」
「あ、だって、亜乃が・・・・・・。」
「私のせい?ならやめようか?」
「やだ、やめないで、もっとして。」
ねだられるのと同時に、反対の胸の先を指で転がすのも開始した。両方の胸を刺激された梨央奈の腰は浮いている。
浮いてきたのをいいことに短パンに手をかける。
「や、だめ。」
ずるりと脱がしてしまうと、ショーツだけになった梨央奈の体は眩暈がするほど綺麗だった。
「亜乃も脱いで。」
梨央奈の細い腕が伸びてきてキャミソールを脱がされる。
「やだ。」
拒否する間も無く剥ぎ取られると、梨央奈はブラジャーのホックを外していて、するりとそれも抜き取られる。
「亜乃可愛い。大好き。」
梨央奈の細い指が私の胸に埋まる。
誘われるように顔を寄せて唇を合わせた。酒で冷えた舌が梨央奈の口内で絡み合う。梨央奈に被さって夢中で舌を絡めながら、ずっと梨央奈の胸の先を爪でかりかりと擦っている。梨央奈は私の首に手を回して、私の髪をかき混ぜている。徐々に手を下げて、性器をショーツの上から指で撫でる。ショーツはぐっしょりと濡れていて、梨央奈は顔を背けた。
「やっぱり溜まってるじゃん。」
指をスライドさせると、ぷつりと尖るそれを爪で掻く。
「あ!あ、だめ。ひぁ、ん、んんっ!」
指の腹で撫で、爪で掻き、くるくると円を描くように刺激して。
「は、も、だめ。亜乃、直接触って。」
そう強請られて初めてショーツを脱がせた。
全身脱毛を済ませている梨央奈のそこはとろとろに濡れて綺麗だった。
「美味しそう。」
梨央奈を抱く妄想をするようになってから爪を短く整えるのも性癖の内になってしまったので、指を溢れているそこにゆっくりと埋める。尖っている敏感なそれを舐めながら。
「あ、やだ。亜乃にそんなところ、あ、やだ・・・・・・。」
そう言いながらもどろどろに濡れているそこはきゅんきゅんと吸い付いてくる。
尖りを口の中で転がすと、より蜜が溢れた。
「ね、駄目、イッちゃいそうだから。亜乃・・・・・・っ!」
「イッていいよ。梨央奈。ほら、もうイキそうでしょ。鳥肌すっごいよ。」
指をゆっくり出し入れするのに合わせて、尖りをちゅ、ちゅ、と吸ってあげると、すぐに太ももがぶるぶると震えはじめた。
「すごい、こんなの・・・・・・!亜乃・・・・・・っ!」
びくん、びくんと体を揺らせて、梨央奈は達した。
痙攣し続ける梨央奈の体を撫でながら、最後に啜った梨央奈の蜜を舌の上で転がして堪能する。
「私も亜乃のしたい。」
「や、いい、私はいいって。」
今だらりと弛緩していた梨央奈は一転私を組み敷いて、私の体に唇を這わせた。
「亜乃。可愛いね。欲情した顔してる。」
梨央奈が私の上になって、私の頬を撫でた。それだけでぞくぞくするほど気持ちがいい。
優しく胸を持ち上げられただけで、達してしまいそうだった。
持ち上げた胸の先を梨央奈が見せつけるように齧る。
「あ、は・・・・・・っ!」
胸を激しく揉まれると、背中がぞくぞくするほど気持ちいい。大きいそれのせいで、男に強く揉まれることは多かったけど、こんなに満たされる愛撫は初めてだった。梨央奈のひんやりした細い指がほぐすように胸を優しく揉みしだいていく。初めて緩やかだったそれは次第に激しくなっていって、そのうち片手は下に降りていった。びしょ濡れショーツを剥ぎ取られる。
今度は私が顔をそらす番だ。
「すけべ。」
言った言葉をそのまま返されて、震えるほど恥入った。繊細なタッチでそこに触れられる。裂け目を指でなぞられて、濡れた指で尖りを撫でられたところで私は達した。
「早いよ。」
梨央奈は笑った。
「だって。」
「ずっとこれがしたかったんだもんね?私と。」
「え・・・・・・。」
私が言葉を失っているうちに、梨央奈の長い指がにゅるりと私の中に入って来た。
「すっごい熱い。」
ぐっと浮き上がるわたしのお腹越しに、中指と薬指を挿入して、親指で敏感なそれをくるくると撫でる梨央奈の指が見える。
「どう?想像してたよりイイ?」
「は、な、なんで・・・・・・。」
中の指を動かされて、親指で撫で潰されて、ぐちゅぐちゅと音を立てるそこはたまらないくらい気持ちがいい。
「お友達やってあげてたのは私の方。本当はあんたを犯したくて仕方なかったよ。あんたを油断させるために男とつきあう振りもしたし、あんたが好きに男と寝るのも我慢した。ほら、もうイキそうでしょ?イッていいよ。声は我慢しなくて大丈夫。隣の部屋の男は聞き耳立ててるけど百合好きの男だから今頃はぁはぁ言いながらシコってるよ。亜乃の可愛い声聞いて。
亜乃の喘ぎ声代も徴収しといたから2人で旅行行こうね。もう逃げられないくらい抱いてあげる。」
耳から入ってくる情報が処理しきれなくてばらばらになっていく。梨央奈が体を起こして私の足を開いて、自分の体を絡めるようにして性器を合わせた。
「これがしたかったでしょ?亜乃のスマホで見てるえっちな動画いつもこれだもん。あ、亜乃の気持ちいい。は、亜乃・・・・・・!亜乃、亜乃。可愛い。
嫌いにならないで。」
絡みあった性器同士が粘着質な水音を立てる。時折尖りが擦れ合うのかもどかしくて狂いそうなほど気持ちいい。必死で2人で腰を振ってこすり合いながら同時に絶頂した。
梨央奈が私のスマホを盗み見たのは私がここに泊まった時だろうか。それなら今度はもっと過激なのを見つけておこう、と絶頂に吸い込まれながら考えていた。

抑圧されていた私たちの欲情は歯止めが利かなくて、そのまま何回も何回も体を擦り付け合った。


「亜乃、あの時殴った女も私の仕込みだよ。嫌がらせも私の指示。暴力がなかったのもそう頼んでたから。
亜乃を誘わせた家庭教師とほいほい寝たのはむかついたけど、今亜乃が一緒にいるのは私だからいいや。」

梨央奈が私の長い髪をいじくりながらぽつぽつと話す。
言いようのない怒りが私を支配していた。
「梨央奈、なんであの女そんなに梨央奈の言いなりなの?あの女も抱いた?だとしたら許さない。ねえ、許さないからね。」

梨央奈は私が梨央奈の手を握って震えながら言うのをうっとり眺めている。
「抱く訳ないじゃん。私は女しか駄目だけど。女なら誰でもいいって訳じゃない。まだわかんない?分かるまで抱こうか?」

梨央奈が私の鎖骨をかじって痕をつけた。

この綺麗な女はもうずっと私のものだったのだ。永遠に。
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