アラフォーだけど異世界召喚されたら私だけの王子様が待っていました。

ぬくい床子

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そのまま強引にソニアスは連れ去られてしまった。
「ソニアスさんと騎士団長さんは仲が良さそうですね」
ちょっと意外だ、勝手なイメージだが騎士と魔導師って不仲だと思っていた。
「あ-、そうですね。仲は良いです」
何やら含みがあるように聞こえたが、まあいいか、私もお腹が空いた。
「オーガストさん、戻りましょうか」
「はい、リリエナ様」
部屋へ戻り昼食を用意して貰った。
ここの食事は美味しいので困ることは無いが、時折和食が恋しくなる。
米があるのは最初におにぎりが出たので分かったが、ここで用意される食事に和食は出て来ない。
米を希望すれば出してくれるけど、ごはんのお供的なものは期待できそうにない。
材料があれば自分で作るのだが、厨房に入る事が許されるのか分からないし、目立つ行動に許可が出るとは思えないし自分でもしたくないので早々に諦めることにした。
さて、午後から予定が何も無い。
ソニアスさんからゆっくりしろと言われたものの、暇なのも困りものだ。
魔法の訓練を模擬室以外でしちゃいけないのよね、あ、魔法についての本とかあるのかしら。
昼食を終えて戻ってきたオーガストに尋ねると。
「それでは図書室に行かれては、あそこなら許可が出ると思います」
と、すぐに許可を貰ってくれた。
図書室には本棚が沢山あり、全体が見渡せないが結構広そうだ。
司書らしき人が魔法についての本がある棚に案内してくれた。
ずらりと並んだ本の背表紙を眺めて、そこで初めて気付いた。
本当に今更だけど、この世界に来て文字を目にする事が無かったのが不思議なのだけど。
「え、何語?文字が読めない。って、日本語が浮かんできた!」
本当の本当に今更だけど、書かれてる文字は日本語では無かった。当然読めない。
いや、結果的には読めている。読もうとすると全部日本語に変換されるのだ。
と言う事は当然ながら交わされる言語も日本語では無いはずだ。
「え?でも普通に会話出来てる?え、私今何語で喋ってるの?」
「リリエナは聖女だからね、今流暢にこの国の言葉を話しているよ、どうしたの?」
「殿下!いつこちらへ?」
リリエナの独り言のような問いに答えたのは、優しく微笑む金髪の王子様だ。
本棚に片手を添えて少し首を傾げる姿が様になっていて、何だか眩しい。
「リリエナが図書室に行くと聞いて、何に興味があるのかに興味が湧いたんだ。どんな本を探しているんだい?」
「えと、魔法についての本を見てみたいと思って」
「そうか、リリエナは勉強に熱心なんだな。では私が」
と言ってヴァイツェンは数冊の本を棚から抜き出しオーガストに預けた。
「読みやすいものを選んである、それが読めたらまた次を選んであげよう」
「ありがとうございます」
「昔から聖女は言語に困らないと伝えられている、またそれが聖女の証にもなる」
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