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「その者の持つ属性の強弱によっても瞳の色は違うのです」
それって誰からもバレバレって事よね、言わば個人情報丸出し、それはどうなんだろう。
「ただ、魔力量は瞳から量れませんのでご安心を。属性が分かったところで、その者の強さは魔力量の多さに比例するのです」
なるほどね、使える属性はバレても強さは分からないって事か。
「聖属性の主な魔法は癒しと祓いですが、すでに祓いの魔法は使われたそうで。再現できますか?」
「ヒッ」
ソニアスの突然出された掌には見覚えのある黒い物がモゾモゾしているのが視界に入り悲鳴を上げた。
ダメ、気持ち悪い!
背筋に悪寒が走り、そしてまた全身に熱が弾ける。
「ふぅん、これが聖女の祓い。しかしまだ無意識の範囲か、これではパブロフの犬と一緒だな」
ソニアスがボソッと呟いた言葉は少しだけリリエナにも聞こえていたが、制御なく魔法を発動させたせいで目眩を起こし、気に留める余裕は無かった。
それに気付いたのはかなり経ってからの事だ。
「本日はここまでですね、お疲れ様でした」
呆れたような口調にカチンとくる。誰のせいなのよ、やっぱりこの人苦手だわ。
オーガストに支えられて第三騎士隊隊舎を後にした。
「リリエナ様、歩けますか?よろしければお運び致しますが」
目眩はすぐ治ったので丁重にお断りをし、代わりに騎士団についての解説をお願いした。
「騎士団の中に魔導師の隊があるのが不思議で、ソニアスさんは魔導師長ですよね、隊長って事でしょうか」
「やはり分かりにくいですよね。第三騎士隊は実行部隊と研究部隊があってソニアス殿は研究部隊の長で、実行部隊にはアシュラン隊長がおられます。有事の際に人員不足があれば研究部隊の方からも派遣をしますがソニアス殿が出ることはありません。理由については国家機密に抵触する可能性があるのでお教えできませんが」
「騎士隊は全部で五つあるんですよね」
「はい、第一は王族護衛、第二は剣術魔法どちらにおいても優れた精鋭部隊で、第四は剣術武術などに特化された隊、第五は街や国境の警護なんかを主にやっております。何かしらの際には必要に応じて各隊から選出され出陣する形になります。第一はともかく第二から第五は最低でも一人は選出されるようになっております」
「オーガストさんは副団長になる前はどこの隊だったんですか?」
「私は第二騎士隊でした。団長のリンガルは第四騎士隊からで漢気のある屈強な男ですよ」
そんな話をしながら歩き、部屋へ戻った。
それからしばらくはソニアスの元に通い、ヴァイツェンが時々様子を伺いに来るという日々が続いた。
祓いの魔法は自力で出せるようになり、治癒魔法も怪我であれば治せるようになった。
ソニアスは存外に教え上手で、コツを掴めるよう誘導するのがうまかった。
魔力量が多ければ既属性以外の魔法も生み出す事が出来るらしいが、それはおいおい頑張るとして、まずは祓いと治癒の効果を上昇させたいと思うのだった。
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