アラフォーだけど異世界召喚されたら私だけの王子様が待っていました。

ぬくい床子

文字の大きさ
上 下
22 / 87

6

しおりを挟む
ひとりで納得しているヴァイツェンを横目に、リリエナは溜息をついた。
とうとう瞳の色まで変わってしまったわ、さっきの白い光も私の中から出たってのは自分でも理解している。
聖女では無いと言えなくなってしまった、これもう魔王倒さないといけない流れよね。
いや、無理だけど。
もう一度深い溜息をつく。
責任重大じゃない、オーガストさんなんて騎士の誓いとか言ってるし、そう言えばヴァイツェン殿下も似たような事やってたっけ。
両者の台詞の意味は全く違うが、リリエナは気付いていなかった。
「リリエナは魔法の指導が受けたいのだな、わかった、許可しよう」
リリエナが心の中で悪態をついてる間にオーガストが魔法の指導について話をしてくれたようだ。
「はい、ありがとうございます」
そうだった、魔法もそうだけど魔物についても、この世界についても私は何も知らないわ。
逃げ道が無いのならせめて情報を得る必要があるわね。
「あの殿下、ついでと言ってはなんですが、この世界で生きていく上で必要な知識も教わりたいので、それもお願いできますでしょうか」
リリエナの淡々とした申し出が意外だったのかヴァイツェンもオーガストも驚いた顔をする。
「そうか、分かった手配しよう。その、大丈夫かい?闇の気配アームに襲われて、瞳の色も変わって、君は今疲れてると思うのだが」
困惑顔の美形二人はリリエナの切り替えの早さに驚いているようだ。
確かに疲れてはいるが、先の事を考えて必要な行動を起こすのはリスクマネジメントとして大事な事だ。
人生の約半分を社会人として過ごした"里菜"にとっては当たり前のことである。
「心配して下さってありがとうございます。少し驚いてますが、大丈夫です」
「そうなのか、いや、大丈夫ならいいんだ。君自身を守る為にも魔法やこの世界について学ぶのも良いだろう、だが無理はしないでくれ。オーガスト、私は戻らねばならないが何かあれば知らせてくれ」
「かしこまりました」
心なしか足取り重くヴァイツェンは去って行った。
「殿下はどこかを抜けて来て下さったのでしょうか」
そういえば髪の毛も乱れてはいたが、きちんと撫でつけてセットしてあったような感じだったと思い出す。
「王妃様のお茶会へ参加されておりましたが、気になさらないで下さい」
「あ~、さっきのご令嬢が言ってたお茶会なのね」
「はい、あのような程度の令嬢が参加のお茶会など気にする必要はありません」
わ、オーガストさんが毒吐いてる、よっぽどあの子が嫌だったのね。
けど王妃様主催なのよね、不敬に当たらないのかしら。
胡乱げな視線を送っているとオーガストは一瞬悪戯っ子のような表情を見せた。
「今言ったこと内緒にして下さいね」
リリエナが吹き出して、オーガストも笑った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...