屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか

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第八部『聖者の陰を知る者は』

一章-5

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   5

 俺と瑠胡が神殿を出たのは、セラが出かけてから十数分後だった。
 薄曇りになった空は午前中だというのに薄暗く、冬の荒涼感を増していた。白い息が冷たい風に散らされ、俺の視界から消えていく。
 本来なら、法王や配下の修道僧の襲撃――あるかどうかは別として――に備えて、神殿にいるべきなのは、十二分に理解している。
 だけどセラが独りで外に出て行ったのは、やはり心配だ。
 同じことを考えていた瑠胡と一緒に、俺は《白翼騎士団》の駐屯地へ向かうことにした――というわけだ。
 寒さに耐えるためか、普段よりも一回りほど着膨れした瑠胡の歩みは、ゆっくりとしたものになっていた。
 互いに手袋をした手を繋ぐように、俺は瑠胡の右手を取っていた。
 カラコロと下駄の鳴る音を響かせる瑠胡が、ふと立ち止まった。
 

「瑠胡、どうかしました?」


「重ね着は、やはり身体が重くて……少し、身体を支える場所を変えてもいいでしょうか?」


「そんなの断らなくてもいいですよ。遠慮無く、どうぞ」


 俺が頷くと、瑠胡が俺の左腕にしがみついてきた。手を二の腕に絡めてから、甘えた悪戯っ子のような瞳を俺に向けた。


「これなら、絶対に倒れたりしませんから……いいですよね?」


「そりゃ……もちろん。でもそれなら、胴体のほうが安心ですけどね」


「あら。それは良い考えですね」


 そう言いながら、瑠胡は俺の腕から手を放して、マントの下にある胴体にしがみついてきた。俺は空いた左腕を瑠胡の背中に廻すと、そのまま肩を抱き寄せた。
 端から見れば、単にイチャついているように見えるだろうけど……これが一番、姿勢が安定する。
 でもまあ半分くらいは、イチャついていることを否定できないんだけど。でも身体も少しは温かくなるし、利点のほうが多かったりする。
 なんでか、言い訳っぽくなってしまったが……そんな格好で再び歩き始めた俺たちは、騎士団の駐屯地へ向かう道の途中で、俯きながら歩いているジムさんの姿を見た。
 基本的に人前では笑顔でいることの多いジムさんが、顔を下げている姿は珍しい。
 俺はジムさんへ、空いている右手を大きく挙げた。


「ジムさん、どうしたんです?」


「……ランド、さん」


 顔を上げたジムさんは、俺と瑠胡を見て表情を強ばらせた。
 この人が、露骨にこういった表情をするのは珍しい。なにか悩み事でもあるのか……もしくは、俺たちに会うのを避けたかったか、だ。
 そのまま立ち止まったジムさんに近寄ると、俺は普段通りに話しかけた。


「どうしたんです? こんな時間に、教会を離れるなんて珍しいですよね。なにかあったんですか?」


「いえ、その……お二人は、散歩ですか?」


「いえ。セラが騎士団の駐屯地へ出かけましたので、ちょっと様子を見に行く途中なんですよ」


 俺の返答に、ジムさんから息を呑む気配が伝わって来た。
 俺は瑠胡と目配せをしてから、右脚を半歩前に出した。これであとは瑠胡が身体を離せば、もしジムさんが逃げ出したとしても、すぐに追いつき、捕まえることができる。
 ジムさんは、まだ表情を固まらせたままだ。
 今までの会話の流れと状況を踏まえた俺は、ある可能性を考慮しつつ、ジムさんへ質問を投げた。


「もしかして、セラになにかありましたか? 知っているなら、教えて下さい」


「……な、なぜ、わたしに、そんなことを訊ねるのでしょうか?」


「メイオール村で暮らしていて、ジムさんが信頼できる人だと、わかっているからです。神に仕える神父ですし、嘘は吐かない――そう思っているんですよ」


 俺の返答を聞いて、ジムさんは愕然とした顔をした。
 それは崖っぷちに追い込まれた人が、追い込んだ者に見せる表情に近かった。だけど、俺たちの顔を見回したあとは、全身から力が抜けたように、表情に穏やかさが戻った。


「……アムラダ様に仕える者として、恥ずべきことはできませんね。わたしはやはり、嘘や秘匿といった類いは苦手です」


 俺たちというよりは、自分の胸中へ語りかけるような口調だった。しかしそこに苦渋はなく、柔和な笑みを浮かべていた。
 ふと、その目が俺たちの背後へと向けられた。
 少し遅れて足音が聞こえてくると、俺は瑠胡に合図をしてから横目に背後を見た。そこにいたのは法王や修道僧たちではなく、薬師のファラさんだった。
 少し険しい顔をしたファラさんは、俺の右横まで来ると、両腰に手をやった。


「ランド……あんた、こんなところで呑気に散歩をしてる場合?」


「いえ、散歩じゃなく……騎士団の駐屯地に行った、セラの様子を見に行く途中だったんですが……」


「……セラの様子を? そのセラっていうのは、あんたの嫁だったわよね。そっちのお嬢さんは……ああ、本妻なんだっけか。まったく、ややこしい」


「ややこしいって言われてもですね……」


 俺が対応に困っていると、瑠胡がファラさんに。


「済まぬが、しばし黙っておれ。今はそこのジムとやらに、セラのことを問うておるところ故にな。御主と話をするのは、妾たちの問題が終わったあとにしたい」


「……セラのことを? そこにいるのって、教会の神父様よね。どうして、その人にランドが……自分の嫁のことを訊くのよ?」


「それを話すと、ちょっと長くなりそうですから。まずは、こっちの話を終わらせて下さい」


 俺の頼みに、ファラさんは小さく肩を竦めてから、これまた小さく頷いた。
 その場に残っているファラさんに少し困った顔をしながら、ジムさんは先ず、俺たちに問いかけてきた。


「ランドさん。どうして駐屯地へ行ったセラさんのことが、気になるのです? あそこはセラさんの古巣ですから、なにも心配はないと――そう思わなかった理由は、なにかあるのでしょうか?」


「昨日……ユピエル法王が、武装した修道僧を引き連れてきたあと、セラの表情が曇っていた気がしたんです。法王に目を付けられたことに、焦りを覚えただけかもしれませんけど……なにかを隠しているような、そんな気がしたので」


「……それで、騎士団の方々に、それとなく訊いてくれるよう、頼もうと……とか?」


「まさか! 隠したいことを無理矢理訊いたって、問題が拗れるだけだと思うんで。それは、セラから話してくれることを期待するしかないでしょう? 駐屯地に行くのは、セラがいつもと同じ調子かどうかと、無事に到着してるのかを確認したいだけです」


 質問の意図はわからなかったけど、俺はできるだけ正直に答えた。
 基本的に善人なジムさんに、いらぬ心配をさせたくはない。まさか、法王の配下たちに襲われてないかの確認――なんて言ったら、ジムさんは卒倒しかねない。
 もしくは俺と法王との板挟みで、胃痛の病を発症するか――だ。
 ジムさんは俺の返答を聞いてから、目を村のほうへと向けた。


「セラさんは今、教会にいます」


「なん――いや、どうしてですか?」


「法王猊下に呼ばれたのです。二人きりで話をしたい――と。法王様の使いから伝えられたのでしょう、セラさんは一人で教会に来られました」


 ジムさんの話は、完全に俺の予想外だった。
 セラと法王の関係は、祝福の言葉を述べただけ――というようなことを、セラ自身から聞いたばかりだ。
 それだけの関係にしては、セラに対する法王の執着が並みじゃない。やはり、二人のあいだには、なにかあるんだろう。
 考えたり悩んだところで、解決する問題じゃないけど……これもやはり、セラから話をして欲しいと思う。
 俺は大きく息を吐くと、ジムさんを真っ直ぐに見た。


「法王様は、セラになんの話をしたいんですか?」


「それは、わたくしにもわかりません。ですが危害を加えることはありません」


「それは――法王様はそのつもりだとしても、配下の修道僧たちがなにをするか、わからないじゃないですか」


「ああ、その心配はないよ。修道僧たちは体調不良で、全員が寝込んでる。我が師ドミニクが、薬湯を飲ませているところさ」


 横から入って来たファラさんの声に、俺は安堵と同時に、俺自身への憤りを感じていた。
 修道僧たちが体調不良なら、警戒をしてセラを一人で出さなかったのに。今さらな話ではあるけど、後悔の念は拭えない。
 とにかく、セラが教会にいることはわかった。俺は瑠胡と目配せをしてから、ファラさんへと振り返った。


「すいません。ちょっと教会へ様子を見に行きますから……話はあとで」


「いや。もういいさ」


 何故かファラさんは、俺を見ながら苦笑いをしていた。
 俺が怪訝な顔をしていると、ファラさんは「ああ、すまないね」と、謝ってきた。


「いやなに。あんたが、嫁さんたちをちゃんと気にかけてやってるのか、心配になっちゃってさ。ちょいと助言を――って思ったんだよ。でもまあ、女心に疎くて粗雑な正確に加えて、勘違いも多いって聞いてたのに、随分と嫁さんたちを気にかけてるじゃないか」


「……誰です、そんなことを言ってるのは」


「ジョシアって、あんたの妹。昨日から村で、さっき言ったランドの評価を言いながら、『それでも悪い人じゃないんで、仲良くしてあげて』って、言って廻ってるよ」


 ……なるほど。

 相変わらず俺への評価は凄惨なものだが、一応は昨日のことを気にかけてくれてるんだな。
 ただ、もうちょっと……優しい言い方を覚えて欲しいものである。
 溜息を吐いていると、セラが村から出てくるのが見えた。少し表情は曇っているが、しっかりとした足取りで歩いている。


「セラ!」


 俺と瑠胡が近寄ると、セラは目を丸くした。


「ランドに瑠胡姫様……どうして、ここに?」


「いえ、騎士団に様子を見に行こうか……と思って。昨日の今日ですからね。やっぱり心配でしたから。それより……ジムさんから聞いたんですが、教会でなにを?」


 俺の返答を聞いたセラは、一瞬だけど泣き笑いのような顔をした。
 しかし、すぐにいつもの表情になると、俺の右腕に手を添えてきた。


「心配をかけて、すいません。教会へは……法王猊下に呼ばれてしまって。話の内容は、昨日とあまり変わりません。あなたがたと別れ、教会に来い――と」


「それで……その」


「心配しないで下さい、ランド。わたしは、あなたがたと別れるつもりなんて、ありませんから。それより法王猊下の配下は、どうやら修道僧――いえ、修道騎士たちだけでは、ないようです。少なくとも、他に一名……小柄ですが、剣呑な気配を持つ者がいます」


「……そいつに、会ったんですか?」


「ええ。その人物から、法王猊下からの言伝を聞きました」


 そう答えるセラの顔は、先ほどよりも晴れ晴れとしていた。
 俺はそんなセラを不思議そうに見ながら、短く問いかけた。


「あの……さっき歩いていたときより、機嫌がいいみたいですけど……なにかありました?」


「ええ。少しばかり、良いことがありましたよ?」


 まるで問いかけるような口調で答えたセラに、俺は呆けた顔を見せていた。
 良いことって……こんな短い時間で、なにがあったのか。俺には、さっぱりわからなかった。
 そんな俺とは違い、瑠胡はすべてに納得をした顔をしていた。


「セラ、その気持ちはわかります」


「ええ、瑠胡姫様。お二人を選んで良かったと、心から思っております。今回の件が落ちついたら、すべてのことを、お教えできると思います」


 二人の会話を聞きながら、俺はただ首を捻るしかなかった。
 そんな俺を見て、瑠胡は少し呆れつつ微笑んだ。


「なるほど……ジョシアの言っていたことは、あながち間違いではないかもしれませんね……」


 えーと……なんか、すいません。

 俺は心の中で誤りながら、左右にいる瑠胡やセラと《白翼騎士団》の駐屯地へ向かった。

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本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!

わたなべ ゆたか です。

少しずつ、セラの過去が明るみになっていく感じ……というのは、前回に書くべきことなんですが。

修道騎士たちの体調不良は、前の章で書いた減圧症の後遺症ですね。薬湯でなんとかなるものじゃないんですが、この世界では他に手がない……という感じ。

基本的には手足の痺れや、目眩、酷いと脊髄の痛みなど……。
重度の後遺症は、一生の障害となる可能性も高いらしいです。予想以上に怖い症状ですね。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

次回もよろしくお願いします!
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