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第四部『二人の帰郷、故郷の苦境』
四章-5
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5
俺が啖呵を切った直後、グレイバーンが動いた。
翼を広げながら、俺へと突進してきた。俺は〈筋力増強〉で強化された脚力を駆使して、横っ飛びに避けようとしたが、流石にこれは読まれていたらしい。
グレイバーンは通り過ぎかけた直後、勢いよく身体を反転させ、俺へと太い尾を振り回してきた。
寸前のところで、俺は真上に跳んだ。それで尻尾の一撃を躱せたと思ったが、ブーツの先が尾を掠めてしまった。
たったそれだけで俺の身体は、数マーロン(一マーロンは約一メートル二五センチ)ほど弾き飛ばされてしまった。
地面を転がって勢いを殺しつつ、俺は両腕をバネにして起きあがった。掠めたのは左足なのか、立ち上がると少し痛みが走った。
〝よく生きていたな。その程度で済んだとは、我にも予想外だったぞ。次もその幸運が続くか、試してやろう〟
グレイバーンが再び、突進を開始した。
しかし、同じ攻撃が二度連続で通用すると思ったなら、それは甘い。俺は竜語魔術の〈氷結〉を唱えると、俺の前方の床へと冷気を放った。
グレイバーンが迫ってくる距離を測りながら、俺は右横へと大きく跳んだ。今度はすぐに両手を床につけると、腕の力だけで斜め上へと跳躍した。
普通なら、こんなことはできない。〈筋力増強〉があって、初めてできる芸当だ。
グレイバーンは冷気によってうっすらと凍った床の上で、先ほどと同じように身体を捻り、先ほどまで俺が居たところを尻尾で薙いだ。
ただ、さっきと違っていたのは、尻尾が床を抉るように薙いだことで、その破片が辺りに飛び散ったことだろう。
尾の直撃は防げたが、破片のいくつかは俺の身体で受けるはめになった。
そのうちの一つが命中した右頬から、うっすらと血がにじみ出していた。
〝ふん! こんな薄い氷で、我の動きを止められると思うたか。若干は冷たいが、それだけだな〟
余裕のある動きで振り返ったグレイバーンは、真下にある薄氷を踏み砕いた。
やはり小手先過ぎる手段なんか、通用する相手じゃないか。熱い、冷たいという感覚はあるみたいなんだが。
だけど〈爆炎〉を浴びせたのに、汗一つかいてない。あれが人間なら火傷はもとより、熱気で呼吸すら危うくなるのに。
というか、そもそもドラゴンって汗をかく種なんだっけか。
でも汗――か。
俺の脳裏に、一つの案が浮かんだ。巧くいく確証はまったくないが、他に打つ手がない以上、選択肢は一つしかない。
俺は再び突進をしようと姿勢を低くしたグレイバーンの頭部へ、〈爆炎〉を放った。
手傷はもちろん、与えられていない。だが、いきなりの魔術にグレイバーンは怯んだようだ。
〝こんなもの――なんどやっても無駄だ〟
そう言ってきた直後、俺は再びグレイバーンの頭部へと〈爆炎〉を放った。爆音によって、空気がビリビリと振るえるのが伝わって来た。
とはいえ多少顔を顰めていたものの、相変わらずグレイバーンに外傷はない。怒りを露わに姿勢を低くしして、大きく息を吸った。
炎息か――と思ったが、それ以上はなにもせず、翼を広げて空中に浮かんだ。
〝なにを企んでいるかわからぬが、これでなにもできぬだ――〟
言葉の途中で、俺は三度目の〈爆炎〉をヤツの頭部へと放った。続けざまに〈爆炎〉を唱え始めたとき、グレイバーンが凄まじい勢いで降下してきた。
俺は詠唱を中断して、迫ってくるグレイバーンから離れるように横に跳んだ。十数マーロンほど離れた場所に、俺は片手を突いて着地しながら身体を反転させた。
その直後、あたりに凄まじい衝突音が響いた。広場は激しい揺れに襲われ、俺は立ち上がることすらできなかった。
だけど、今が最大の好機だ。
俺は右手を突き出すと、〈断裁の風〉を放った。不可視の力がグレイバーンに向かっていく。
しかし、圧倒的な破壊力の〈断裁の風〉もグレイバーンには効果が無い。グレイバーンが突っ込んで崩れた床が、この一撃で深く抉られていったくらいだ。
起きあがったグレイバーンが、崩れた床の上で俺へと振り返った。
〝貴様、しつこ――っ!?〟
俺の〈爆炎〉で、グレイバーンの言葉が中断された。
爆発の炎が消えると、煤で汚れ始めた銀竜の頭部が怒りに歪んでいた。
〝いい加減に、無駄だとおうのがわからぬのか!〟
グレイバーンは怒りに任せて突進しようとしたが、その直後につんのめった。そんな状況でも、その場から動けていない。
床はもう、修復されていた。その床に、グレイバーンの両脚と尻尾の一部が埋まった状態で――だが。
〝これは――!?〟
「怪我をしないからって、無茶しすぎなんだよ。おかげで、床を掘るのが楽だったぜ?」
先ほど使った〈断裁の風〉は、これが目的だった。動きを止めてしまえば、あとは策を続けるだけだ。
床から足を引き抜こうとするグレイバーンの頭部へ、俺は〈爆炎〉を打ち続けた。五、六回も〈爆炎〉を浴びたグレイバーンの周囲には陽炎が立ちのぼり、熱気が俺のところにも伝わってきた。
肌が焼けるような感触がしたが、ここは我慢のしどころだ。
グレイバーンを見れば、どこか息苦しそうに、浅い呼吸を繰り返していた。
〝これは――どうしたことだ?〟
自分でも原因がわからないようで、グレイバーンは身体をふらつかせながら、浅い呼吸を繰り返していた。これが俺の狙った効果によるものかどうかは、わからない。
追撃のために、俺は七度目の〈爆炎〉を放った。紅蓮の炎が渦巻く爆発が起こるのを見ながら、俺は肩で息をし始めていた。
俺の《スキル》には、魔力を回復させるものがあるらしい。だが、ここまで竜語魔術を連発し続ければ、回復も追いつかないらしい。
魔力を回復させるまでは、魔術は使えない。
俺はゆっくりと、グレイバーンへと歩き出した。
「おい、降参する気になったか?」
〝誰が人間なんぞに、降参などするか!! 魔術が止んだということは、貴様の魔力は尽きかけた――のだろう。攻撃手段の無い貴様なんぞに、負ける筈は無い!〟
「攻撃手段なら、あるさ」
俺は左の手の平に、真紅の棘を作りだした。グレイバーンは小指の先ほどの棘を見て、凄みのある笑みを浮かべた。
〝面白い――そんなもので、我に勝てるか、試してみる……がいい〟
グレイバーンの様子を見る限り、あまり影響があるようには見えない。出来るだけ時間を稼いで、また魔術を使いたいところだ。
俺が無手の構えを取っている前で、グレイバーンは両脚に力を込め始めた。どうやら、広場の床から脚を引っこ抜くつもりのようだ。
しかし、なかなかに抜ける様子が無い。俺は左脚を庇いながら駆け出すと、グレイバーンの下腹部へと跳んだ。
下腹部なら、鱗はほとんど無い。ほぼ一直線に向かう俺の目の前へ、グレイバーンは右腕を振り下ろした。
ヤバイ――と思った直後に身体を捻りながら、右腕で頭部を護った。
思っていたよりも振り下ろされる軌道がずれていたのか、直撃だけは免れた。だけど、俺の右腕もただでは済まなかった。
鱗の作用か、それとも鱗が思っているよりも鋭利なのか――俺の右腕に二本の裂傷が刻まれた。
地面には、なんとか着地できた。だけど血の滴る右腕は、力が入らなくなっていた。
「くっそ――」
〝無駄な努力を続ける、ものだ。早々に諦め、我に食われるほうが、楽に死ねるぞ?〟
「そういう食い意地は、俺を口に放り込んでから言うもんだ。それとも、黒焦げにしてから――だな。それもできねえノロマが、大口を叩いたって説得力がないぜ?」
俺の啖呵に、グレイバーンは釣り上がった目で睨んできた。
〝そうか――ならば、大口ではないことを、証明してやろう!!〟
怒りに任せたのか――床に埋まっていた脚を勢いよく引き抜いたグレイバーンは、大きく口を広げながら、俺へと突進してきた。
避けたいのは山々だったが、さっきの跳躍で俺の左脚は限界にきていた。巧く動けないおれの身体に、鋭利な牙の並ぶグレイバーンの口が迫って来た。
背後から、瑠胡やセラの悲鳴が聞こえてくる中、俺の身体はグレイバーンに噛みつかれる格好になった。
〝ぬ――?〟
グレイバーンの呻き声を聞きながら、俺は一つの幸運に感謝していた。
俺の上半身は、グレイバーンの口の中だ。しかしその口は、俺の両腕によってこじ開けられたままだ。右腕は舌を押さえ、左手で上顎を押しのけられているのは、〈筋力増強〉のおかげだ。下顎の牙が俺の左脚に食い込んでいるが、逆にその程度で済んでいるなら、安いものだ。
でも、幸運はこのことじゃない。
ヤツの顎の力と〈筋力増強〉による腕力の強化が、良い感じに作用し合ったようだ。俺の左手にある真紅の棘が、グレイバーンの上顎に突き刺さっていた。
棘は魔力で変質したものだが、元々は俺の皮膚が変化したもの――みたいだ。つまり、棘自体は魔力そのもので生成されたわけではなく、実体を持った俺の身体の一部ということだ。
鱗ではない箇所、そして魔力を遮る障壁の効果を無視して、俺の棘がグレイバーンの体組織に入り込んでいた。今なら、俺の《スキル》も使えるはずだ。
俺はすかさず、〈ドレインスキル〉を発動させた。
先ず打ち消すのは、炎息だ。様子を見るに、炎息を吐ける状態ではないようだけど、もし吐かれたら俺は一巻の終わりだ。
左の手首から、虹色の光が放出されていく中で、俺はグレイバーンの《スキル》を狙った。
この二つも消失させれば、俺にも勝機はある。俺の《スキル》として奪うことも考えたけど――流石に、あの二つの《スキル》は、人間が所持するには過分だ。
炎息と同様に消失させようとしたが、クレイバーンがいきなり首を大きく振り始めた。
〝 ぎがば、ばぎごじでぎる!!〟
俺を振り落とそうとするような動きに、俺は必死で体勢を維持した。まだ、グレイバーンの《スキル》は消せていない。
俺は急いで二つの《スキル》を――あ。
自分のミスに気付いた瞬間、俺はグレイバーンの口から投げ出された。その拍子に、石柱に背中を叩き付けられ、俺は激痛に短い叫びをあげた。
グレイバーンは、浅い呼吸をしてから、俺へと首を向けた。
〝貴様――なにかの力を我に使ったな!? なにをした!〟
突進しようとしたグレイバーンだったが、脚に力が入らないのか、四つん這いの姿勢のまま動かなくなった。
〝これは――〟
やっと――身体に影響が出始めたようだ。
俺がしつこく〈爆炎〉を使ったのは、グレイバーンの顔周辺の気温を上げるためだ。爆発自体は魔力だが、それによって上昇した気温は、魔術や魔力とは無縁だ。
火事で脱出した人が、呼吸困難で重傷――そのまま死亡する例がある。どうやら火事の熱気で気道が火傷を負い、そのせいで呼吸困難になる場合があるらしい。
今のグレイバーンも、恐らくはそれと同じ症状だ。
だから、大きく息を吸い込む必要のある炎息を使わなくなったし、呼吸が足りないから身体がふらついたりしたんだと思う。
俺は石柱に添えた左手と、右脚だけで立ち上がった。
「おまえの――負けだ。その身体じゃ、もう俺に攻撃はできない。炎息だって、吐けないんだろ?」
〝巫山戯る――な! まだ、貴様を殺す手段はある〟
そう言ってから、グレイバーンは竜語魔術の詠唱を始めた。今の俺では、逃げることはできない――なら、攻撃するまで。
俺は左腕を振り上げたが、グレイバーンが詠唱を終えるほうが早かった。
魔術によって生み出された特大の火球が、俺へと向かって来た。躱そうとする間もなく、火球は俺の身体を包み込んだ。
〝な――〟
瑠胡やセラの声が響く中、しかし驚きの声をあげたのはグレイバーンだった。
魔術の炎の中で、俺の身体は無事だった。これは……その、さっき急いで〈ドレインスキル〉を使ったせいで、消失させるつもりだったグレイバーンの《スキル》を、誤って奪ってしまったからなんだけど。
だからさっき、『おまえの負けだ』って言ったんだ。
俺は振りかぶったままの左手を突き出しつつ、〈遠当て〉を放った。〈筋力増強〉で強化しているとはいえ、四肢を踏ん張っていない拳の一撃だ。
正直、大した威力じゃないと思っていたが――左肩に〈遠当て〉の一撃を受け、数枚の鱗が砕けたグレイバーンは、大袈裟なほどにのたうち回った。
〝ヴワアアアアッ! 痛い! なんだ、これは! どうして腹痛や頭痛の様な痛みが、なぜ肩に!?〟
グレイバーンは悲鳴をあげ続けたが……どうやら今まで、《スキル》のお陰で外傷を受けることがなかったんだな。
初めての感覚に、恐怖で悲鳴をあげるしかないってわけだ。
「降参しろ。じゃないと、今度は〈爆炎〉をお見舞いするぞ」
〝わかった! 降参する! だから、もう止めろ!!〟
「……止めろ? なんで命令口調なんだよ」
俺が睨むと、グレイバーンはまるで子犬のように巨体を縮こまらせた。
〝わ……わかった。降参するから、攻撃はしないで……〟
その言葉で、四方の結界が解けた。
「ランドの勝ち――ということで相違ないな」
いつの間に来ていたのか、与二亜が俺とグレイバーンのあいだに入ってきた。
俺は瑠胡とセラが駆け寄ってくるののを見ながら、大きく息を吐いた。
……疲れた。
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本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!
わたなべ ゆたか です。
今回、かなりやらかしました。文字数的な意味で。
日、月と合わせて2300文字くらい書いて、残りは余裕だな――と油断していたら、火曜にその倍以上書いていたというですね。普段の就寝時間を二時間ほどオーバーしました(汗
さて、グレイバーンですが。
物理攻撃と魔法(魔術)無効を持つ相手には、周囲の環境を変えてやるのが一番――というのは、昔やっていたTRPGでの経験です。
マスターに居たんですよ、負けイベント戦闘の好きな人が。
中の人も含めて、そういうのが嫌いな人もいたわけで。無い知恵を絞って、対処方法を考えたものです。
人間タイプを例にしておりますが、対策として簡単なほうから、温度変化、呼吸、食事、重力――あたりでしょうか。
物理攻撃や魔法無効とはいえ、恒温生物である以上は気温を感じているはず。なら、汗もかくし寒さで凍えることもあるでしょう。
動きを封じた上で、火災や大火で汗を大量にかかせれば、脱水症状や熱中症に。
逆に氷の中に閉じ込めれば、低体温症に――この場合、次の呼吸にも対応可能です。
呼吸は、密閉空間を作り出して、そこに閉じ込めれば可能です。ダンジョン内であれば、天井を崩して土砂や瓦礫の下敷きにする。
平地なら、地面に開けた穴の中に押し込み、生き埋めにする――ですね。
通常の人間なら、一〇分程度で酸欠です。
それでも生き延びてる――という場合、手足を鎖で縛り、逆さ吊りにして一ヶ月くらい飲まず食わずで放置。
生きる以上は、食事は必要でしょうし。餓死させるわけですね。もちろん、目の前で飲み食いをして、「水うめー、肉最高!」という精神攻撃も忘れない。
重力は――そういう魔法があれば、ですが。
重力というのは、空間の歪みが生み出すもの。直接、対象を指定する魔術でなければ、相手の周囲だけ十倍とかの重力にしちゃいます。
この場合、血液が身体の下の方へ移動して、一時的に視力を失うブラックアウトという状態になります。また、戦闘機パイロットの訓練でも高G下の訓練を行いますが、慣れないと失神や嘔吐などの症状がでることもあるそうです。
攻撃の効かない敵に対し、餓死あたりまでやったんですが。そのあとマスターから「そこまでやるか」という賞賛の言葉をもらったのは、今でも良い思い出です。
無敵キャラを敵に出すマスターが居る場合、一度試してみるのは如何でしょう?
もちろん、大人の対応でお願いします。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
次回もよろしくお願いします!
俺が啖呵を切った直後、グレイバーンが動いた。
翼を広げながら、俺へと突進してきた。俺は〈筋力増強〉で強化された脚力を駆使して、横っ飛びに避けようとしたが、流石にこれは読まれていたらしい。
グレイバーンは通り過ぎかけた直後、勢いよく身体を反転させ、俺へと太い尾を振り回してきた。
寸前のところで、俺は真上に跳んだ。それで尻尾の一撃を躱せたと思ったが、ブーツの先が尾を掠めてしまった。
たったそれだけで俺の身体は、数マーロン(一マーロンは約一メートル二五センチ)ほど弾き飛ばされてしまった。
地面を転がって勢いを殺しつつ、俺は両腕をバネにして起きあがった。掠めたのは左足なのか、立ち上がると少し痛みが走った。
〝よく生きていたな。その程度で済んだとは、我にも予想外だったぞ。次もその幸運が続くか、試してやろう〟
グレイバーンが再び、突進を開始した。
しかし、同じ攻撃が二度連続で通用すると思ったなら、それは甘い。俺は竜語魔術の〈氷結〉を唱えると、俺の前方の床へと冷気を放った。
グレイバーンが迫ってくる距離を測りながら、俺は右横へと大きく跳んだ。今度はすぐに両手を床につけると、腕の力だけで斜め上へと跳躍した。
普通なら、こんなことはできない。〈筋力増強〉があって、初めてできる芸当だ。
グレイバーンは冷気によってうっすらと凍った床の上で、先ほどと同じように身体を捻り、先ほどまで俺が居たところを尻尾で薙いだ。
ただ、さっきと違っていたのは、尻尾が床を抉るように薙いだことで、その破片が辺りに飛び散ったことだろう。
尾の直撃は防げたが、破片のいくつかは俺の身体で受けるはめになった。
そのうちの一つが命中した右頬から、うっすらと血がにじみ出していた。
〝ふん! こんな薄い氷で、我の動きを止められると思うたか。若干は冷たいが、それだけだな〟
余裕のある動きで振り返ったグレイバーンは、真下にある薄氷を踏み砕いた。
やはり小手先過ぎる手段なんか、通用する相手じゃないか。熱い、冷たいという感覚はあるみたいなんだが。
だけど〈爆炎〉を浴びせたのに、汗一つかいてない。あれが人間なら火傷はもとより、熱気で呼吸すら危うくなるのに。
というか、そもそもドラゴンって汗をかく種なんだっけか。
でも汗――か。
俺の脳裏に、一つの案が浮かんだ。巧くいく確証はまったくないが、他に打つ手がない以上、選択肢は一つしかない。
俺は再び突進をしようと姿勢を低くしたグレイバーンの頭部へ、〈爆炎〉を放った。
手傷はもちろん、与えられていない。だが、いきなりの魔術にグレイバーンは怯んだようだ。
〝こんなもの――なんどやっても無駄だ〟
そう言ってきた直後、俺は再びグレイバーンの頭部へと〈爆炎〉を放った。爆音によって、空気がビリビリと振るえるのが伝わって来た。
とはいえ多少顔を顰めていたものの、相変わらずグレイバーンに外傷はない。怒りを露わに姿勢を低くしして、大きく息を吸った。
炎息か――と思ったが、それ以上はなにもせず、翼を広げて空中に浮かんだ。
〝なにを企んでいるかわからぬが、これでなにもできぬだ――〟
言葉の途中で、俺は三度目の〈爆炎〉をヤツの頭部へと放った。続けざまに〈爆炎〉を唱え始めたとき、グレイバーンが凄まじい勢いで降下してきた。
俺は詠唱を中断して、迫ってくるグレイバーンから離れるように横に跳んだ。十数マーロンほど離れた場所に、俺は片手を突いて着地しながら身体を反転させた。
その直後、あたりに凄まじい衝突音が響いた。広場は激しい揺れに襲われ、俺は立ち上がることすらできなかった。
だけど、今が最大の好機だ。
俺は右手を突き出すと、〈断裁の風〉を放った。不可視の力がグレイバーンに向かっていく。
しかし、圧倒的な破壊力の〈断裁の風〉もグレイバーンには効果が無い。グレイバーンが突っ込んで崩れた床が、この一撃で深く抉られていったくらいだ。
起きあがったグレイバーンが、崩れた床の上で俺へと振り返った。
〝貴様、しつこ――っ!?〟
俺の〈爆炎〉で、グレイバーンの言葉が中断された。
爆発の炎が消えると、煤で汚れ始めた銀竜の頭部が怒りに歪んでいた。
〝いい加減に、無駄だとおうのがわからぬのか!〟
グレイバーンは怒りに任せて突進しようとしたが、その直後につんのめった。そんな状況でも、その場から動けていない。
床はもう、修復されていた。その床に、グレイバーンの両脚と尻尾の一部が埋まった状態で――だが。
〝これは――!?〟
「怪我をしないからって、無茶しすぎなんだよ。おかげで、床を掘るのが楽だったぜ?」
先ほど使った〈断裁の風〉は、これが目的だった。動きを止めてしまえば、あとは策を続けるだけだ。
床から足を引き抜こうとするグレイバーンの頭部へ、俺は〈爆炎〉を打ち続けた。五、六回も〈爆炎〉を浴びたグレイバーンの周囲には陽炎が立ちのぼり、熱気が俺のところにも伝わってきた。
肌が焼けるような感触がしたが、ここは我慢のしどころだ。
グレイバーンを見れば、どこか息苦しそうに、浅い呼吸を繰り返していた。
〝これは――どうしたことだ?〟
自分でも原因がわからないようで、グレイバーンは身体をふらつかせながら、浅い呼吸を繰り返していた。これが俺の狙った効果によるものかどうかは、わからない。
追撃のために、俺は七度目の〈爆炎〉を放った。紅蓮の炎が渦巻く爆発が起こるのを見ながら、俺は肩で息をし始めていた。
俺の《スキル》には、魔力を回復させるものがあるらしい。だが、ここまで竜語魔術を連発し続ければ、回復も追いつかないらしい。
魔力を回復させるまでは、魔術は使えない。
俺はゆっくりと、グレイバーンへと歩き出した。
「おい、降参する気になったか?」
〝誰が人間なんぞに、降参などするか!! 魔術が止んだということは、貴様の魔力は尽きかけた――のだろう。攻撃手段の無い貴様なんぞに、負ける筈は無い!〟
「攻撃手段なら、あるさ」
俺は左の手の平に、真紅の棘を作りだした。グレイバーンは小指の先ほどの棘を見て、凄みのある笑みを浮かべた。
〝面白い――そんなもので、我に勝てるか、試してみる……がいい〟
グレイバーンの様子を見る限り、あまり影響があるようには見えない。出来るだけ時間を稼いで、また魔術を使いたいところだ。
俺が無手の構えを取っている前で、グレイバーンは両脚に力を込め始めた。どうやら、広場の床から脚を引っこ抜くつもりのようだ。
しかし、なかなかに抜ける様子が無い。俺は左脚を庇いながら駆け出すと、グレイバーンの下腹部へと跳んだ。
下腹部なら、鱗はほとんど無い。ほぼ一直線に向かう俺の目の前へ、グレイバーンは右腕を振り下ろした。
ヤバイ――と思った直後に身体を捻りながら、右腕で頭部を護った。
思っていたよりも振り下ろされる軌道がずれていたのか、直撃だけは免れた。だけど、俺の右腕もただでは済まなかった。
鱗の作用か、それとも鱗が思っているよりも鋭利なのか――俺の右腕に二本の裂傷が刻まれた。
地面には、なんとか着地できた。だけど血の滴る右腕は、力が入らなくなっていた。
「くっそ――」
〝無駄な努力を続ける、ものだ。早々に諦め、我に食われるほうが、楽に死ねるぞ?〟
「そういう食い意地は、俺を口に放り込んでから言うもんだ。それとも、黒焦げにしてから――だな。それもできねえノロマが、大口を叩いたって説得力がないぜ?」
俺の啖呵に、グレイバーンは釣り上がった目で睨んできた。
〝そうか――ならば、大口ではないことを、証明してやろう!!〟
怒りに任せたのか――床に埋まっていた脚を勢いよく引き抜いたグレイバーンは、大きく口を広げながら、俺へと突進してきた。
避けたいのは山々だったが、さっきの跳躍で俺の左脚は限界にきていた。巧く動けないおれの身体に、鋭利な牙の並ぶグレイバーンの口が迫って来た。
背後から、瑠胡やセラの悲鳴が聞こえてくる中、俺の身体はグレイバーンに噛みつかれる格好になった。
〝ぬ――?〟
グレイバーンの呻き声を聞きながら、俺は一つの幸運に感謝していた。
俺の上半身は、グレイバーンの口の中だ。しかしその口は、俺の両腕によってこじ開けられたままだ。右腕は舌を押さえ、左手で上顎を押しのけられているのは、〈筋力増強〉のおかげだ。下顎の牙が俺の左脚に食い込んでいるが、逆にその程度で済んでいるなら、安いものだ。
でも、幸運はこのことじゃない。
ヤツの顎の力と〈筋力増強〉による腕力の強化が、良い感じに作用し合ったようだ。俺の左手にある真紅の棘が、グレイバーンの上顎に突き刺さっていた。
棘は魔力で変質したものだが、元々は俺の皮膚が変化したもの――みたいだ。つまり、棘自体は魔力そのもので生成されたわけではなく、実体を持った俺の身体の一部ということだ。
鱗ではない箇所、そして魔力を遮る障壁の効果を無視して、俺の棘がグレイバーンの体組織に入り込んでいた。今なら、俺の《スキル》も使えるはずだ。
俺はすかさず、〈ドレインスキル〉を発動させた。
先ず打ち消すのは、炎息だ。様子を見るに、炎息を吐ける状態ではないようだけど、もし吐かれたら俺は一巻の終わりだ。
左の手首から、虹色の光が放出されていく中で、俺はグレイバーンの《スキル》を狙った。
この二つも消失させれば、俺にも勝機はある。俺の《スキル》として奪うことも考えたけど――流石に、あの二つの《スキル》は、人間が所持するには過分だ。
炎息と同様に消失させようとしたが、クレイバーンがいきなり首を大きく振り始めた。
〝 ぎがば、ばぎごじでぎる!!〟
俺を振り落とそうとするような動きに、俺は必死で体勢を維持した。まだ、グレイバーンの《スキル》は消せていない。
俺は急いで二つの《スキル》を――あ。
自分のミスに気付いた瞬間、俺はグレイバーンの口から投げ出された。その拍子に、石柱に背中を叩き付けられ、俺は激痛に短い叫びをあげた。
グレイバーンは、浅い呼吸をしてから、俺へと首を向けた。
〝貴様――なにかの力を我に使ったな!? なにをした!〟
突進しようとしたグレイバーンだったが、脚に力が入らないのか、四つん這いの姿勢のまま動かなくなった。
〝これは――〟
やっと――身体に影響が出始めたようだ。
俺がしつこく〈爆炎〉を使ったのは、グレイバーンの顔周辺の気温を上げるためだ。爆発自体は魔力だが、それによって上昇した気温は、魔術や魔力とは無縁だ。
火事で脱出した人が、呼吸困難で重傷――そのまま死亡する例がある。どうやら火事の熱気で気道が火傷を負い、そのせいで呼吸困難になる場合があるらしい。
今のグレイバーンも、恐らくはそれと同じ症状だ。
だから、大きく息を吸い込む必要のある炎息を使わなくなったし、呼吸が足りないから身体がふらついたりしたんだと思う。
俺は石柱に添えた左手と、右脚だけで立ち上がった。
「おまえの――負けだ。その身体じゃ、もう俺に攻撃はできない。炎息だって、吐けないんだろ?」
〝巫山戯る――な! まだ、貴様を殺す手段はある〟
そう言ってから、グレイバーンは竜語魔術の詠唱を始めた。今の俺では、逃げることはできない――なら、攻撃するまで。
俺は左腕を振り上げたが、グレイバーンが詠唱を終えるほうが早かった。
魔術によって生み出された特大の火球が、俺へと向かって来た。躱そうとする間もなく、火球は俺の身体を包み込んだ。
〝な――〟
瑠胡やセラの声が響く中、しかし驚きの声をあげたのはグレイバーンだった。
魔術の炎の中で、俺の身体は無事だった。これは……その、さっき急いで〈ドレインスキル〉を使ったせいで、消失させるつもりだったグレイバーンの《スキル》を、誤って奪ってしまったからなんだけど。
だからさっき、『おまえの負けだ』って言ったんだ。
俺は振りかぶったままの左手を突き出しつつ、〈遠当て〉を放った。〈筋力増強〉で強化しているとはいえ、四肢を踏ん張っていない拳の一撃だ。
正直、大した威力じゃないと思っていたが――左肩に〈遠当て〉の一撃を受け、数枚の鱗が砕けたグレイバーンは、大袈裟なほどにのたうち回った。
〝ヴワアアアアッ! 痛い! なんだ、これは! どうして腹痛や頭痛の様な痛みが、なぜ肩に!?〟
グレイバーンは悲鳴をあげ続けたが……どうやら今まで、《スキル》のお陰で外傷を受けることがなかったんだな。
初めての感覚に、恐怖で悲鳴をあげるしかないってわけだ。
「降参しろ。じゃないと、今度は〈爆炎〉をお見舞いするぞ」
〝わかった! 降参する! だから、もう止めろ!!〟
「……止めろ? なんで命令口調なんだよ」
俺が睨むと、グレイバーンはまるで子犬のように巨体を縮こまらせた。
〝わ……わかった。降参するから、攻撃はしないで……〟
その言葉で、四方の結界が解けた。
「ランドの勝ち――ということで相違ないな」
いつの間に来ていたのか、与二亜が俺とグレイバーンのあいだに入ってきた。
俺は瑠胡とセラが駆け寄ってくるののを見ながら、大きく息を吐いた。
……疲れた。
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本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!
わたなべ ゆたか です。
今回、かなりやらかしました。文字数的な意味で。
日、月と合わせて2300文字くらい書いて、残りは余裕だな――と油断していたら、火曜にその倍以上書いていたというですね。普段の就寝時間を二時間ほどオーバーしました(汗
さて、グレイバーンですが。
物理攻撃と魔法(魔術)無効を持つ相手には、周囲の環境を変えてやるのが一番――というのは、昔やっていたTRPGでの経験です。
マスターに居たんですよ、負けイベント戦闘の好きな人が。
中の人も含めて、そういうのが嫌いな人もいたわけで。無い知恵を絞って、対処方法を考えたものです。
人間タイプを例にしておりますが、対策として簡単なほうから、温度変化、呼吸、食事、重力――あたりでしょうか。
物理攻撃や魔法無効とはいえ、恒温生物である以上は気温を感じているはず。なら、汗もかくし寒さで凍えることもあるでしょう。
動きを封じた上で、火災や大火で汗を大量にかかせれば、脱水症状や熱中症に。
逆に氷の中に閉じ込めれば、低体温症に――この場合、次の呼吸にも対応可能です。
呼吸は、密閉空間を作り出して、そこに閉じ込めれば可能です。ダンジョン内であれば、天井を崩して土砂や瓦礫の下敷きにする。
平地なら、地面に開けた穴の中に押し込み、生き埋めにする――ですね。
通常の人間なら、一〇分程度で酸欠です。
それでも生き延びてる――という場合、手足を鎖で縛り、逆さ吊りにして一ヶ月くらい飲まず食わずで放置。
生きる以上は、食事は必要でしょうし。餓死させるわけですね。もちろん、目の前で飲み食いをして、「水うめー、肉最高!」という精神攻撃も忘れない。
重力は――そういう魔法があれば、ですが。
重力というのは、空間の歪みが生み出すもの。直接、対象を指定する魔術でなければ、相手の周囲だけ十倍とかの重力にしちゃいます。
この場合、血液が身体の下の方へ移動して、一時的に視力を失うブラックアウトという状態になります。また、戦闘機パイロットの訓練でも高G下の訓練を行いますが、慣れないと失神や嘔吐などの症状がでることもあるそうです。
攻撃の効かない敵に対し、餓死あたりまでやったんですが。そのあとマスターから「そこまでやるか」という賞賛の言葉をもらったのは、今でも良い思い出です。
無敵キャラを敵に出すマスターが居る場合、一度試してみるのは如何でしょう?
もちろん、大人の対応でお願いします。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
次回もよろしくお願いします!
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よろしくお願いします。
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