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第三部『二重の受難、二重の災厄』
おまけ
しおりを挟むおまけ
インムナーマ王国から少し離れたタンドラドという国に、ファールヌという街がある。
ファールヌの治安はタンドラド国でもっとも悪く、領主も裏で盗賊団と繋がっているという噂がある。
そのファールヌの街外れにある酒場の地下には、盗賊団が仕切っている賭場があった。
カード、ダイスを始めとする賭け事が、そこでは盛大に行われていた。
札合わせ――十枚の札のうち、カードの数が同じものを多く集めた者が勝ちという遊戯――のテーブルに、壮年の男が座っていた。
白髪交じりのブラウンの頭髪はかなり薄くなっており、体型は痩せ細っている。
痩けた顔つきの男の名は、ヌールという。アインやブービィら、キティラーシア姫を誘拐した、三兄弟の実父である。
ヌールは唸り声を上げながら、手札から三枚を抜き取った。札合わせのルール上では、札の交換は最大で三枚まで。
その上限を交換したヌールは、配られた新たな三枚を見て、がっくりと肩を落とした。
「それでは、札を見せて頂きます」
テーブルの親である男の指示で、親と含めた三人が札を広げた。
親は三ペア。もう一人は二ペア。そして――ヌールは一ペアである。
「そんな……」
「ヌール、惜しかったな。数は合ってないが、連続した札が四組もある。次やったら、勝つんじゃないか?」
隣に座る男に言われ、ヌールの目に光が戻った。
「そうとも……次こそは、勝ってやるともさ。掛け札を五枚、貸してくれ」
「ああ、いいですよ」
親から駆け札を五枚受け取ったヌールは、もう一勝負に打って出た。
新たなカードが配られ、三人はそれぞれ札を交換する。ヌールは自分の手札を確認すると、口元に笑みを浮かべた。
五と八、それに十の三ペアが、手札に出来ていた。
これまでの流れから、三ペア以上は誰も出していない。親同点なら掛け金は二倍になって帰ってくる。
かなり部のいい手札になっていた。
「それでは、札を見せて頂きます」
親の言葉に、全員がカードを展開した。
「な――」
ヌールは、我が目を疑った。ヌール以外の二人が、四ペアをたたき出していたからだ。
勿論、親ともう一人の対戦者はグルである。そんなことを知らないし、考えもしないヌールの絶叫が、賭場に木霊した。
「そんな、馬鹿なぁぁぁぁっ!!」
ヌールの借金は、これで銀貨十三枚。
卓の背後に、強面の男たちが集まりだしていた。
「なぜだぁぁぁぁぁっ!!」
ヌールの絶叫が、賭場に木霊した。
――To be この話は続きません
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