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魔剣士と光の魔女 二章『竜の顎で殺意は踊る~ジン・ナイト暗殺計画』
間話 ~ その3
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間話 ~ その3
遙か昔――古の五大竜騎士が生きていた頃。
大空を気持ちよさそうに飛んでいたダグルンドの背に、騎士が跨がっていた。筋骨逞しい体格に、全身鎧を身に纏っている。そのため、兜で覆われた顔は見ることができない。
その騎士は手綱を操りながら、片手で面頬を覆っていた。
「ダグルンド! 悪いがもう少し速度を落としてくれ」
〝フレディ――どうした?〟
「……風が強すぎて目が開けられない」
少し情けない意見に、ダグルンドは速度を落としながら、大笑いをした。その声を聴きながら騎士フレディーは、ダグルンドの首をポンポンと叩いた。
「笑わないでくれよ。人間の目は、あんなに速く飛ぶことに慣れてないんだ」
〝それはすまない――ん? ガーラが来たな〟
ダグルンドが身体を少し傾けると、騎士フレディーは騎士が騎乗したガーラが上昇してきているのを見た。騎士はフレディーよりも細身で、鎧のラインも女性的だった。
ガーラがダグルンドの横に並ぶと、女騎士は騎士フレディーに手を振った。
「独断でお散歩とは、いい身分だこと」
「いや、侵入者の警戒をしているだけだから。歴とした任務だ――知っててからかう癖は止めてくれないか、ジュアンナ」
「あら、ごめんなさい。だって、面白いんだもの。竜騎士フレディー・ローウェル? わたくしの愛しい人」
騎士ジュアンナの言葉に、フレディーは言葉を詰まらせた。単に照れているだけだが、兜をしていてもジュアンナには筒抜けだった。
クスクスとした笑い声に、騎士フレディーは兜の下でムスッとした顔をした。
「ジョアンナ?」
「ごめんなさい。でも、愛しい人っていうのは本当よ。それとも、嘘だと思ってる?」
「いや、思っていないが――」
「なら、今さら照れなくてもいいと思うのだけれど?」
クスクスと忍び笑いを漏らす騎士ジョアンナに、ガーラが左目を向けた。
〝相も変わらず、仲の良いこと。秘訣はあるの?〟
「そうねぇ。胸とかでサービスすれば、イチコロかしら。ああ見えて、フレディーもけっこ」
「ジョアンナ! 頼むから止めてくれっ!!」
騎士ジョアンナの発言を喚きながら遮る騎士フレディーに、ドラゴンたちは笑い声をあげた。
普段の彼らは、人前ではこんな砕けた会話はしない。二人――そして騎竜しかいない空間でしか、こんな二人の姿を見ることはない。
ダグルンドとガーラは、こうして本来の二人と飛んでいる時間を好んでいた。
「ねえ、フレディー……戦が終わったら、どうする?」
「もちろん――君と一緒になる。約束通りに」
〝婚礼の儀には、あたしたちも呼ぶという約束――忘れてない?〟
「もちろん、覚えてるわ。ガーラ……忘れるわけがないでしょ? ねえ?」
騎士ジョアンナに促され、騎士フレディーも頷いた。
「そうとも。君たち五体のドラゴンは、わたしたちの仲間であり友人だ。婚礼の儀に呼ばない理由はないさ」
〝わかった――今から楽しみ〟
夢見るような目をして、ガーラは背中の騎士ジョアンナ、そして騎士フレディーを順に見回した。
互いに竜騎士である二人の婚礼は、きっと華やかなものになるだろう。ドラゴンたちにとっては話でしか聞いたことがない、一種の夢物語のようなものだ。
本当に楽しみ――そう言ってガーラが片目を瞑って見せると、二人の騎士は少し照れたように、互いに微笑み合った。
その後――蛮族との戦で、古の竜騎士たちは蛮族の王が操る巨人族と相まみえることとなった。
この戦いでドラゴンたちは生き延びることが出来たが、五名の竜騎士のうち、四名が命を落とすこととなる。
その四名の中には、騎士フレディーと騎士ジョアンナも含まれていた。
遙か昔――古の五大竜騎士が生きていた頃。
大空を気持ちよさそうに飛んでいたダグルンドの背に、騎士が跨がっていた。筋骨逞しい体格に、全身鎧を身に纏っている。そのため、兜で覆われた顔は見ることができない。
その騎士は手綱を操りながら、片手で面頬を覆っていた。
「ダグルンド! 悪いがもう少し速度を落としてくれ」
〝フレディ――どうした?〟
「……風が強すぎて目が開けられない」
少し情けない意見に、ダグルンドは速度を落としながら、大笑いをした。その声を聴きながら騎士フレディーは、ダグルンドの首をポンポンと叩いた。
「笑わないでくれよ。人間の目は、あんなに速く飛ぶことに慣れてないんだ」
〝それはすまない――ん? ガーラが来たな〟
ダグルンドが身体を少し傾けると、騎士フレディーは騎士が騎乗したガーラが上昇してきているのを見た。騎士はフレディーよりも細身で、鎧のラインも女性的だった。
ガーラがダグルンドの横に並ぶと、女騎士は騎士フレディーに手を振った。
「独断でお散歩とは、いい身分だこと」
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「あら、ごめんなさい。だって、面白いんだもの。竜騎士フレディー・ローウェル? わたくしの愛しい人」
騎士ジュアンナの言葉に、フレディーは言葉を詰まらせた。単に照れているだけだが、兜をしていてもジュアンナには筒抜けだった。
クスクスとした笑い声に、騎士フレディーは兜の下でムスッとした顔をした。
「ジョアンナ?」
「ごめんなさい。でも、愛しい人っていうのは本当よ。それとも、嘘だと思ってる?」
「いや、思っていないが――」
「なら、今さら照れなくてもいいと思うのだけれど?」
クスクスと忍び笑いを漏らす騎士ジョアンナに、ガーラが左目を向けた。
〝相も変わらず、仲の良いこと。秘訣はあるの?〟
「そうねぇ。胸とかでサービスすれば、イチコロかしら。ああ見えて、フレディーもけっこ」
「ジョアンナ! 頼むから止めてくれっ!!」
騎士ジョアンナの発言を喚きながら遮る騎士フレディーに、ドラゴンたちは笑い声をあげた。
普段の彼らは、人前ではこんな砕けた会話はしない。二人――そして騎竜しかいない空間でしか、こんな二人の姿を見ることはない。
ダグルンドとガーラは、こうして本来の二人と飛んでいる時間を好んでいた。
「ねえ、フレディー……戦が終わったら、どうする?」
「もちろん――君と一緒になる。約束通りに」
〝婚礼の儀には、あたしたちも呼ぶという約束――忘れてない?〟
「もちろん、覚えてるわ。ガーラ……忘れるわけがないでしょ? ねえ?」
騎士ジョアンナに促され、騎士フレディーも頷いた。
「そうとも。君たち五体のドラゴンは、わたしたちの仲間であり友人だ。婚礼の儀に呼ばない理由はないさ」
〝わかった――今から楽しみ〟
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互いに竜騎士である二人の婚礼は、きっと華やかなものになるだろう。ドラゴンたちにとっては話でしか聞いたことがない、一種の夢物語のようなものだ。
本当に楽しみ――そう言ってガーラが片目を瞑って見せると、二人の騎士は少し照れたように、互いに微笑み合った。
その後――蛮族との戦で、古の竜騎士たちは蛮族の王が操る巨人族と相まみえることとなった。
この戦いでドラゴンたちは生き延びることが出来たが、五名の竜騎士のうち、四名が命を落とすこととなる。
その四名の中には、騎士フレディーと騎士ジョアンナも含まれていた。
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