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おまけ(設定の備考などなど)
おまけ その2 ヴィーネとシャプシャの出会い
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おまけ その2 ~ ヴィーネとシャプシャの出会い
1
ケフェウスという世界において、神話の時代と呼ばれている遙か昔のこと。
キャッスルツリー領はもちろん、オタール帝国も存在すらしていない、そんな時代である。
この時代に、二つの魂が人界へと降り立っていた。
一つは、太陽神の末娘である、シャプシャ。
そしてもう一つは、魔界の伯爵、ヴィーネ。
天と地。光と闇。相反する魂は、運命の巡り合わせから、邂逅の刻を迎えようとしていた。
とある山間にある名もなき村で、男たちの怒号が響いた。
「来たぞ! オーガどもだっ!!」
急遽、造られた木製の矢倉の上にいた男が指で示す方角にから、六体もの異形が迫っていた。
近隣から逃げ落ちてきた避難者から、化け物の襲撃の報があってから、五日。この一帯を治める領主から数名の兵士が派遣されていた。
しかし――。
「化け物って、ゴブリンじゃないのか?」
「ねぐらを奴らに襲われて、人里を襲ってたのか」
簡素な鎧に身を包んだ兵士たちは、初めて見るオーガの群れに、傍目にも戦々恐々としていた。
怯えつつ剣を構える兵士たちに、年の頃は二十にも満たない、白銀の髪を後ろで束ねた女性が声をかけた。
「わたくしも手を貸しましょう」
「あんた――いや、女の手を借りるわけには……あんたは、逃げるんだ」
隊長と思しき兵士が、悲壮な表情を残したまま首を振ると、女性は穏やかに微笑んだ。
「わたくしは、少しですが魔術の心得が御座います。ここに住む人々を救う手助けを、どうかさせて下さいまし」
「あんた、魔術師か……しかし」
ゆったりとした白い長衣を着て、樫の木の杖を持つ女性の言葉に、隊長は迷いと葛藤の入り交じった表情を浮かべた。
そんな彼らの横を、巨躯が通り過ぎたのは、そんなときだった。
身長は優に二ノース(約二メートル二〇センチ)を超えた大男だった。革のブーツと上半身に袖のない、簡素な鎖帷子を身につけているほかは、防具は身につけていない。
年は三〇歳を超えているようだ。顔は見るからに厳めしく、長い銅褐色の髪を後ろで縛っている。
しかし、もっとも目を引いたのは、彼が手にしている大槍だ。一般的に、軽量化のために木製が多様されている柄の部分は、硬質の金属製だった。さらに穂先も普通の倍、半ノール(約五十五センチ)ほどもあった。
大男が真っ直ぐにオーガの群れに向かうのを見て、兵士の一人が慌てて呼び止めた。
「おい! あんたは――」
「旅の者だ。オーガが攻めてくるのだろう? 貴様らは、ここで待っていろ」
「あんた一人じゃ無理だ! みんなで迎え撃てば――」
「貴様らでは、奴らの相手にもならん。無駄死にしたくなければ、大人しくしていろ」
まるで兵士たちを牽制するかのように、大男は右腕一本で大槍を振り回した。
穂先を向けられ、兵士たちは動きを止めた。しかし、先ほどの白銀の髪の女性だけは、物怖じする様子もなく、大男に歩み寄った。
「失礼ですが――お一人で立ち向かうのは、流石に無茶でしょう。今は協力するのが最善かと存じます」
「……必要ない。先ほど述べたとおりだ。無駄死にしたくなければ、ここで大人しくしていろ」
大男はそう言い放つと、オーガの群れへと視線を向けた。
(オーガが六体に、背後にいるのは――トロルか。並の兵士では、無駄死にどころか、餌にしかならぬな。魔王である俺にとっては、赤子同然だが)
大男――魔王ヴィーネは歩の速度を変えることなく、村の外へと出て行った。
*
この日の夜、村ではささやかだが宴が催された。
村長の家の広間に、二十人ほどの村人、それに兵士たちが集まっていた。その中に、単身でオーガの群れに向かった、ヴィーネが混じっていた。
村や命が助かった喜びからか、はしゃぐ村人の姿が目立つ。
そんな中、顰めっ面で地べたに座っていたヴィーネは、木製のジョッキに注がれたエール酒を、ちびちびと呑んでいた。
はじめのころは、少女が料理を運んできたり、村人たちも話しかけてきたのだが、ヴィーネの無愛想な対応に、今では誰一人と近寄ってこなくなった。
そこへ、少し酔いが回ったらしい、若い兵士がヴィーネに近寄った。
「あんた、すげえなぁ……化け物どもを一人で斃すなんてさぁ」
少々ろれつが回らなくなっている兵士を、ヴィーネは無言で見上げた。何の感情も抱いていない目を向けられたことに気づかぬまま、兵士は喋り続けた。
「けど、俺だって、奴らと戦いたかったんだぜ? 俺ら兵士は、死を恐れない勇気を持っているんだからな」
そう言って、ジョッキを掲げる兵士から、ヴィーネは視線を逸らした。
「死を恐れぬことを誇るようでは、真の勇気は持ち合わせておらぬ」
そのひと言で、上機嫌だった兵士の表情に、やや不満げな影が過ぎった。
兵士の変化に気づきつつ、ヴィーネは言葉を続けた。
「死を恐れぬなどと口にするヤツには、大体三つに分類できる。一つ目は、ただの蛮勇。二つ目は、自分が負けることが想像できぬ、向こう見ずな愚か者。そして三つ目は、生を諦めた者だ」
「なん――」
「真の勇気とは死や失敗に対する恐怖を自覚した上で、あらゆることに切磋琢磨し、目的を果たすことをだと、俺は思う」
「貴様、言わせて――」
怒りに任せて兵士は腰の剣を抜きかけたが、ヴィーネの脇に彼の槍が置かれているのを見て、手を振るわせながら柄を離した。
彼が単独でオーガの群れを打ち倒した猛者であることを、思い出したらしい。
舌打ちをして兵士が去ったあと、白銀の髪の女性が近づいて来た。手には、エール酒で満たされた小さい壺を携えていた。
「お注ぎしましょう」
「……ああ」
ジョッキにエール酒を注ぎながら、白銀の女性は静かな口調で話し始めた。
「あのような言い方では、徒に諍いを生んでしまいます。それに、わたくしも先の戦い、貴方は無茶をしたと思っています。貴方の身に不幸があれば、故郷に残された、ご家族や妻子が悲しまれますよ?」
「……俺に家族はない。独り身だ」
「あら――これは失礼なことを申しました。お許し下さい」
「いや……謝る必要はない」
「ありがとうございます。あら、そういえばまだ名乗っていませんでしたね。わたくしの名は、シャプシャと申します」
「……ヴィーネだ」
話しをしている間にも、エール酒を飲んでいたヴィーネに、シャプシャは壺を差し出した。
それを片手で断ると、ヴィーネは溜息交じりに告げた。
「俺に注いでばかりではなく、貴女も呑まれるが良かろう」
「わたくしもですか――? わかりました。それでは、少しだけ」
小さな器にエールを注いだシャプシャは、そっと口をつけた。
約一〇分後
「らーかあーらぁー、そんらに怖い顔をしれるろにぃ、顰めっ面らかりしれるからぁ、女の子にもてないんれすよぉ?」
顔を真っ赤にしたシャプシャが、無遠慮にヴィーネの胸板をバンバンと叩いた。もう五分以上も、ヴィーネは酔っ払ったシャプシャの暴言を聞き続けていた。
無口なのはムッツリスケベの証ということから始まり、男なんて頭の中ではエロエロなことばかりと、口走った。
シャプシャの豹変っぷりに、少々引きながらヴィーネが彼女の言葉を否定すると、今度は「というほとわぁ、男色なんれすねぇ?」と、言われる始末。
ヴィーネはジョッキに残った最後のエール酒を飲み干すと、シャプシャに半目を向けた。
「ご婦人――かなり酔っておられるようだ。そのあたりで、休まれてはどうか?」
「らに言ってるんれすかぁ? あらひが、お酒なんかで酔うわけらいじゃないれすか」
――いやそれ、間違いなく酔ってるから。
計らずとも、この場にいる全員の想いが一つになった瞬間である。
残念なのは、誰一人として、このことに気づかなかったことだろう。戦々恐々と村中の者が見守る中、シャプシャの暴言は続いた。
しかし、それも数分。
急に言葉の暴力が止み、シャプシャは凭れかかるようにして、胡座をかいていたヴィーネの膝を枕に、静かな寝息を立て始めた。
静かに、安らかな微笑みを浮かべながら眠るシャプシャの顔を眺めながら、ヴィーネは嘆息した。
(このままでは、横になって眠れぬな)
魔王である彼にとって、たった一晩の徹夜くらいは、造作もないことだ――が、女性に膝枕をするというのは、初めてだった。
乱暴に起こすことは可能だし、そのことに躊躇いもない。しかし、このときのヴィーネは、そんなことをする気分にはなれなかった。
2
翌朝、日の出とともに空が徐々に白ばんできた。木々の間を縫って、日差しが村の中に差し込み始めたころ、シャプシャは目を覚ました。
(いつの間に眠ってしまったのかしら……)
ほどよく柔らかい枕から頭を上げたとき、シャプシャは気づいた。
自分が、ヴィーネと名乗った大男の膝を枕にしていた、ということを。サッと顔を青ざめさせたシャプシャは、無表情に槍を磨いていたヴィーネから身体を離した。
それを無表情に目で追うヴィーネに、シャプシャは怖ず怖ずと話しかけた。
「あの――ヴィーネ様、も、申し訳ありません」
「いや――」
頭を振ったヴィーネに、少し安堵の表情をみせたシャプシャは、少し気恥ずかしそうに問いかけた。
「あの……おたずねしたいのですが……わたくし、途中から昨晩の記憶がなくてですね――その、なにか失礼なことをしなかったでしょうか?」
「失礼なこと」
鸚鵡返しに言葉を紡いだヴィーネは、頭の中で昨晩の出来事を思い出した。シャプシャが口にした数々の言葉に、僅かながらに眉を潜めた。
「失礼とは、どれのことを言えばよいのか」
「え――あ、あの、それは、一つや二つではないということでしょうか? ああ、あの、もしや、大変に失礼なことを言ってしまったのでは――」
半泣きの表情で、オロオロと周囲を見回し、頭を抱え、そして蹲って「穴があったら入りたい……寧ろ埋まりたい……」と呟くのを見たヴィーネは、まるで不意を突くように沸き起こった、不可思議な感情を堪えることができなかった。
感情は腹の底から、あっという間に喉へと到達し、ヴィーネの口を、表情を動かした。
「ハーッハッハッハッハッ!!」
突如、大笑いをあげるヴィーネに、シャプシャはもちろん、周囲の村人たちも目を丸くした。それはそうだろう。昨晩から一度も笑わず、他人と迎合すらしなかった彼が、呵々と笑い声をあげているのだ。
驚くなと言うほうが、無理である。
顔を上げたシャプシャは、躊躇いがちにヴィーネへと声をかけた。
「あ……あの」
「ん? ああ、これが笑いというものか。まさか、俺がこんなに笑う日がくるとは……」
ここで言葉を切ったヴィーネは、笑顔の残滓を浮かべたまま、シャプシャへと頭を下げた。
「いや、失礼をした。貴女の言動を笑ったのではない」
「ほ、本当ですか?」
「ん……いや、ある意味ではそうかもしれぬ。あの暴言の数々が貴女の言う失礼であるならば、このくらいは許して頂きたいものだが」
朗らかに告げるヴィーネの言葉に、シャプシャの顔が蒼白になった。
それを見て、ヴィーネが再び笑い声をあげていると、パンを抱えた少女が、二人に近づいた。
「あの、朝ご飯。白いお姉ちゃんと、大きなおいちゃんに」
「……ありがたく頂戴しよう」
ヴィーネがパンを受け取ると、少女は笑顔を見せた。
それに遅れて、村人たちがヴィーネとシャプシャに近づいていく。
「あの、朝飯なら、こっちで食わんかね?」
「煮込んだ芋汁もありますんで、よかったら」
村人たちに招待されながら、ヴィーネとシャプシャは穏やかな朝食の時間を迎えることとなる。
*
昼前に村を経ったシャプシャは、一人で西に向かっていた。
(ああ……また失敗してしまった)
太陽神の教えを広めるために、人界へと降りてきた。それは修行も兼ねているのだが、まだ経験の浅いシャプシャは、時折ヘマをやらかしてしまう。
樫の木の杖を片手に、街道――というには整備されていない、細い道だが――を進んでいたシャプシャは、風に乗って漂ってきた血臭に、表情を引き締めた。
白い衣の裾を握り、街道を駆け出したシャプシャは、血臭の出所を探った。鬱蒼と茂った木々の奥――その方角から、血臭に混じって燻るような臭いも漂っていた。
杖を構えながら、シャプシャは木々の間を抜けていった。
大岩の横を通り過ぎた先に居たのは――地べたに座って焚き火で肉を焼いている、ヴィーネだった。
彼の背後には、木に吊して解体したのだろう、牡鹿の死骸がまとめられていた。骨がついたままの肉の焼き加減を確かめていたヴィーネは、急な来訪者へと目を向けた。
「貴女は――なぜ?」
「申し訳ありません。血の臭いがしたものですから、山賊や獣に襲われた怪我人かと思って……」
「……なるほど」
頷いたヴィーネが前足だろうか、焼けた肉に齧り付く。その前にある木の根っこに腰を下ろしたシャプシャは、緊張が解けた様子で辺りを見回した。
「ヴィーネ様も西へ? それでここで狩りをしてらしたのですか?」
「……質問攻めだな」
その言葉に、シャプシャの頬にサッと朱が差したが、それに気にとめる様子も見せずにヴィーネは淡々と答え始めた。
「二つの質問とも、その通だ」
「わたくしも西へ向かっておりますの。よろしければ、ご一緒しませんか?」
シャプシャの申し出に、ヴィーネは囓った肉を呑み込んでから、溜息と共に答えた。
「護衛が欲しいのなら、素直にそう言えば良い」
「……そんなつもりではありません。旅自体は、わたくし一人でも問題ありません」
立ち上がったシャプシャは、杖を構えてみせた。
「お疑いでしたら、試してみますか?」
疑念の視線でヴィーネがシャプシャを見上げたとき、周囲から殺気が溢れだした。ヴィーネが槍を手にしたのと、幾重にも重なった唸り声が聞こえてきたのは、ほぼ同時だった。
血臭に誘われたのか、木の陰から十を超える狼の群れが現れた。
「話はあとだな」
槍を構えるヴィーネと背中合わせになるように、杖を構えるシャプシャは焚き火を迂回した。
狼たちが二人に襲いかかったのは、その直後だった。
ヴィーネが槍を振るうたびに、狼の身体が真っ二つになる。護りすら必要としない、破壊力だった。
そのヴィーネの背後では、シャプシャが舞うように狼の群れと対峙していた。弧を描くように杖を操り、的確に狼たちへ打撃を加えていく。
そして、距離が離れると――。
「ムラーサ・ラ・トイス」
シャプシャの杖から放たれる光球が、狼たちを襲うのである。
彼女の戦いっぷりに、ヴィーネは素直に賞賛の念を抱いた。
(なるほど、言うだけのことはある。ただ、あの魔術――詠唱の省略はしているが、その中に威力を弱める〝ラ〟の呪言があるのは何故だ?)
狼を撃退――約半数は逃げたが――したあと、ヴィーネからシャプシャへと声をかけた。
「言うだけのことはある。先ほどの非礼は詫びよう。確かに、貴女には護衛は必要なさそうだ」
「ご理解いただけて、嬉しいですわ」
「だが、一つ疑問がある。先ほどの戦い、なぜ魔術の威力を弱めたのだ?」
「狼も生きるために獲物を襲います。それを邪悪などと決めつけて滅ぼしては、遠くない未来に自然の秩序が乱れます。わたしが教えを広める太陽神の教えでは、それは好ましくないとしています」
「……貴女は神官なのか」
「似たようなものです」
「なら俺のような、血生臭い生き方をしている者は、相応しいとは思えぬが――」
「どうしてです? ヴィーネ様は今朝、あの村の人たちと絆を結びました。それは、血臭を漂わせている者では、できぬこと。たしかに、戦いにおかれては非情になるときもありましょう。ですが身を護るため、誰かを護るために力を振るうことまで、太陽神は禁じておりません」
「絆――俺が、他人と?」
「ええ。あれは確かに、絆でした」
シャプシャは微笑むと、まるでスキップでもするかのような軽い足取りで、ヴィーネの左横へと移動した。
「それではヴィーネ様、行きましょうか」
「旅の供になるのだ。ヴィーネでいい。その、なんだ。様とか付けられると、背中が痒くなる」
どんな表情をしていいのかわからない――そんな気配が漂うヴィーネに、シャプシャは噴き出しそうになった。
「それでは、わたくしのことは、どうかシャプシャとお呼び下さい。それではヴィーネ、もう行きましょう」
「ああ……そうだな」
魔王ヴィーネと太陽神の末娘である女神シャプシャは、互いの正体を知らぬまま、西へと向かった。
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本作を読んで下さり、ありがとうございます。
それだけでなく、ポイントまで入ってて……とても嬉しかったです。
まだここのシステムにも慣れておらず、お礼とかどうしようと思いましたが、書くことしか思いつきませんでした。
この話、二日で書き上げたので、文体とかは荒いですが……楽しんで頂けたら幸いです。
時折、こうして『おまけ』を書いていこうと思います。
新作や続編も……という欲はありますが、一月から仕事が忙しくなってきて、時間が……なんとかせねばです。
1
ケフェウスという世界において、神話の時代と呼ばれている遙か昔のこと。
キャッスルツリー領はもちろん、オタール帝国も存在すらしていない、そんな時代である。
この時代に、二つの魂が人界へと降り立っていた。
一つは、太陽神の末娘である、シャプシャ。
そしてもう一つは、魔界の伯爵、ヴィーネ。
天と地。光と闇。相反する魂は、運命の巡り合わせから、邂逅の刻を迎えようとしていた。
とある山間にある名もなき村で、男たちの怒号が響いた。
「来たぞ! オーガどもだっ!!」
急遽、造られた木製の矢倉の上にいた男が指で示す方角にから、六体もの異形が迫っていた。
近隣から逃げ落ちてきた避難者から、化け物の襲撃の報があってから、五日。この一帯を治める領主から数名の兵士が派遣されていた。
しかし――。
「化け物って、ゴブリンじゃないのか?」
「ねぐらを奴らに襲われて、人里を襲ってたのか」
簡素な鎧に身を包んだ兵士たちは、初めて見るオーガの群れに、傍目にも戦々恐々としていた。
怯えつつ剣を構える兵士たちに、年の頃は二十にも満たない、白銀の髪を後ろで束ねた女性が声をかけた。
「わたくしも手を貸しましょう」
「あんた――いや、女の手を借りるわけには……あんたは、逃げるんだ」
隊長と思しき兵士が、悲壮な表情を残したまま首を振ると、女性は穏やかに微笑んだ。
「わたくしは、少しですが魔術の心得が御座います。ここに住む人々を救う手助けを、どうかさせて下さいまし」
「あんた、魔術師か……しかし」
ゆったりとした白い長衣を着て、樫の木の杖を持つ女性の言葉に、隊長は迷いと葛藤の入り交じった表情を浮かべた。
そんな彼らの横を、巨躯が通り過ぎたのは、そんなときだった。
身長は優に二ノース(約二メートル二〇センチ)を超えた大男だった。革のブーツと上半身に袖のない、簡素な鎖帷子を身につけているほかは、防具は身につけていない。
年は三〇歳を超えているようだ。顔は見るからに厳めしく、長い銅褐色の髪を後ろで縛っている。
しかし、もっとも目を引いたのは、彼が手にしている大槍だ。一般的に、軽量化のために木製が多様されている柄の部分は、硬質の金属製だった。さらに穂先も普通の倍、半ノール(約五十五センチ)ほどもあった。
大男が真っ直ぐにオーガの群れに向かうのを見て、兵士の一人が慌てて呼び止めた。
「おい! あんたは――」
「旅の者だ。オーガが攻めてくるのだろう? 貴様らは、ここで待っていろ」
「あんた一人じゃ無理だ! みんなで迎え撃てば――」
「貴様らでは、奴らの相手にもならん。無駄死にしたくなければ、大人しくしていろ」
まるで兵士たちを牽制するかのように、大男は右腕一本で大槍を振り回した。
穂先を向けられ、兵士たちは動きを止めた。しかし、先ほどの白銀の髪の女性だけは、物怖じする様子もなく、大男に歩み寄った。
「失礼ですが――お一人で立ち向かうのは、流石に無茶でしょう。今は協力するのが最善かと存じます」
「……必要ない。先ほど述べたとおりだ。無駄死にしたくなければ、ここで大人しくしていろ」
大男はそう言い放つと、オーガの群れへと視線を向けた。
(オーガが六体に、背後にいるのは――トロルか。並の兵士では、無駄死にどころか、餌にしかならぬな。魔王である俺にとっては、赤子同然だが)
大男――魔王ヴィーネは歩の速度を変えることなく、村の外へと出て行った。
*
この日の夜、村ではささやかだが宴が催された。
村長の家の広間に、二十人ほどの村人、それに兵士たちが集まっていた。その中に、単身でオーガの群れに向かった、ヴィーネが混じっていた。
村や命が助かった喜びからか、はしゃぐ村人の姿が目立つ。
そんな中、顰めっ面で地べたに座っていたヴィーネは、木製のジョッキに注がれたエール酒を、ちびちびと呑んでいた。
はじめのころは、少女が料理を運んできたり、村人たちも話しかけてきたのだが、ヴィーネの無愛想な対応に、今では誰一人と近寄ってこなくなった。
そこへ、少し酔いが回ったらしい、若い兵士がヴィーネに近寄った。
「あんた、すげえなぁ……化け物どもを一人で斃すなんてさぁ」
少々ろれつが回らなくなっている兵士を、ヴィーネは無言で見上げた。何の感情も抱いていない目を向けられたことに気づかぬまま、兵士は喋り続けた。
「けど、俺だって、奴らと戦いたかったんだぜ? 俺ら兵士は、死を恐れない勇気を持っているんだからな」
そう言って、ジョッキを掲げる兵士から、ヴィーネは視線を逸らした。
「死を恐れぬことを誇るようでは、真の勇気は持ち合わせておらぬ」
そのひと言で、上機嫌だった兵士の表情に、やや不満げな影が過ぎった。
兵士の変化に気づきつつ、ヴィーネは言葉を続けた。
「死を恐れぬなどと口にするヤツには、大体三つに分類できる。一つ目は、ただの蛮勇。二つ目は、自分が負けることが想像できぬ、向こう見ずな愚か者。そして三つ目は、生を諦めた者だ」
「なん――」
「真の勇気とは死や失敗に対する恐怖を自覚した上で、あらゆることに切磋琢磨し、目的を果たすことをだと、俺は思う」
「貴様、言わせて――」
怒りに任せて兵士は腰の剣を抜きかけたが、ヴィーネの脇に彼の槍が置かれているのを見て、手を振るわせながら柄を離した。
彼が単独でオーガの群れを打ち倒した猛者であることを、思い出したらしい。
舌打ちをして兵士が去ったあと、白銀の髪の女性が近づいて来た。手には、エール酒で満たされた小さい壺を携えていた。
「お注ぎしましょう」
「……ああ」
ジョッキにエール酒を注ぎながら、白銀の女性は静かな口調で話し始めた。
「あのような言い方では、徒に諍いを生んでしまいます。それに、わたくしも先の戦い、貴方は無茶をしたと思っています。貴方の身に不幸があれば、故郷に残された、ご家族や妻子が悲しまれますよ?」
「……俺に家族はない。独り身だ」
「あら――これは失礼なことを申しました。お許し下さい」
「いや……謝る必要はない」
「ありがとうございます。あら、そういえばまだ名乗っていませんでしたね。わたくしの名は、シャプシャと申します」
「……ヴィーネだ」
話しをしている間にも、エール酒を飲んでいたヴィーネに、シャプシャは壺を差し出した。
それを片手で断ると、ヴィーネは溜息交じりに告げた。
「俺に注いでばかりではなく、貴女も呑まれるが良かろう」
「わたくしもですか――? わかりました。それでは、少しだけ」
小さな器にエールを注いだシャプシャは、そっと口をつけた。
約一〇分後
「らーかあーらぁー、そんらに怖い顔をしれるろにぃ、顰めっ面らかりしれるからぁ、女の子にもてないんれすよぉ?」
顔を真っ赤にしたシャプシャが、無遠慮にヴィーネの胸板をバンバンと叩いた。もう五分以上も、ヴィーネは酔っ払ったシャプシャの暴言を聞き続けていた。
無口なのはムッツリスケベの証ということから始まり、男なんて頭の中ではエロエロなことばかりと、口走った。
シャプシャの豹変っぷりに、少々引きながらヴィーネが彼女の言葉を否定すると、今度は「というほとわぁ、男色なんれすねぇ?」と、言われる始末。
ヴィーネはジョッキに残った最後のエール酒を飲み干すと、シャプシャに半目を向けた。
「ご婦人――かなり酔っておられるようだ。そのあたりで、休まれてはどうか?」
「らに言ってるんれすかぁ? あらひが、お酒なんかで酔うわけらいじゃないれすか」
――いやそれ、間違いなく酔ってるから。
計らずとも、この場にいる全員の想いが一つになった瞬間である。
残念なのは、誰一人として、このことに気づかなかったことだろう。戦々恐々と村中の者が見守る中、シャプシャの暴言は続いた。
しかし、それも数分。
急に言葉の暴力が止み、シャプシャは凭れかかるようにして、胡座をかいていたヴィーネの膝を枕に、静かな寝息を立て始めた。
静かに、安らかな微笑みを浮かべながら眠るシャプシャの顔を眺めながら、ヴィーネは嘆息した。
(このままでは、横になって眠れぬな)
魔王である彼にとって、たった一晩の徹夜くらいは、造作もないことだ――が、女性に膝枕をするというのは、初めてだった。
乱暴に起こすことは可能だし、そのことに躊躇いもない。しかし、このときのヴィーネは、そんなことをする気分にはなれなかった。
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翌朝、日の出とともに空が徐々に白ばんできた。木々の間を縫って、日差しが村の中に差し込み始めたころ、シャプシャは目を覚ました。
(いつの間に眠ってしまったのかしら……)
ほどよく柔らかい枕から頭を上げたとき、シャプシャは気づいた。
自分が、ヴィーネと名乗った大男の膝を枕にしていた、ということを。サッと顔を青ざめさせたシャプシャは、無表情に槍を磨いていたヴィーネから身体を離した。
それを無表情に目で追うヴィーネに、シャプシャは怖ず怖ずと話しかけた。
「あの――ヴィーネ様、も、申し訳ありません」
「いや――」
頭を振ったヴィーネに、少し安堵の表情をみせたシャプシャは、少し気恥ずかしそうに問いかけた。
「あの……おたずねしたいのですが……わたくし、途中から昨晩の記憶がなくてですね――その、なにか失礼なことをしなかったでしょうか?」
「失礼なこと」
鸚鵡返しに言葉を紡いだヴィーネは、頭の中で昨晩の出来事を思い出した。シャプシャが口にした数々の言葉に、僅かながらに眉を潜めた。
「失礼とは、どれのことを言えばよいのか」
「え――あ、あの、それは、一つや二つではないということでしょうか? ああ、あの、もしや、大変に失礼なことを言ってしまったのでは――」
半泣きの表情で、オロオロと周囲を見回し、頭を抱え、そして蹲って「穴があったら入りたい……寧ろ埋まりたい……」と呟くのを見たヴィーネは、まるで不意を突くように沸き起こった、不可思議な感情を堪えることができなかった。
感情は腹の底から、あっという間に喉へと到達し、ヴィーネの口を、表情を動かした。
「ハーッハッハッハッハッ!!」
突如、大笑いをあげるヴィーネに、シャプシャはもちろん、周囲の村人たちも目を丸くした。それはそうだろう。昨晩から一度も笑わず、他人と迎合すらしなかった彼が、呵々と笑い声をあげているのだ。
驚くなと言うほうが、無理である。
顔を上げたシャプシャは、躊躇いがちにヴィーネへと声をかけた。
「あ……あの」
「ん? ああ、これが笑いというものか。まさか、俺がこんなに笑う日がくるとは……」
ここで言葉を切ったヴィーネは、笑顔の残滓を浮かべたまま、シャプシャへと頭を下げた。
「いや、失礼をした。貴女の言動を笑ったのではない」
「ほ、本当ですか?」
「ん……いや、ある意味ではそうかもしれぬ。あの暴言の数々が貴女の言う失礼であるならば、このくらいは許して頂きたいものだが」
朗らかに告げるヴィーネの言葉に、シャプシャの顔が蒼白になった。
それを見て、ヴィーネが再び笑い声をあげていると、パンを抱えた少女が、二人に近づいた。
「あの、朝ご飯。白いお姉ちゃんと、大きなおいちゃんに」
「……ありがたく頂戴しよう」
ヴィーネがパンを受け取ると、少女は笑顔を見せた。
それに遅れて、村人たちがヴィーネとシャプシャに近づいていく。
「あの、朝飯なら、こっちで食わんかね?」
「煮込んだ芋汁もありますんで、よかったら」
村人たちに招待されながら、ヴィーネとシャプシャは穏やかな朝食の時間を迎えることとなる。
*
昼前に村を経ったシャプシャは、一人で西に向かっていた。
(ああ……また失敗してしまった)
太陽神の教えを広めるために、人界へと降りてきた。それは修行も兼ねているのだが、まだ経験の浅いシャプシャは、時折ヘマをやらかしてしまう。
樫の木の杖を片手に、街道――というには整備されていない、細い道だが――を進んでいたシャプシャは、風に乗って漂ってきた血臭に、表情を引き締めた。
白い衣の裾を握り、街道を駆け出したシャプシャは、血臭の出所を探った。鬱蒼と茂った木々の奥――その方角から、血臭に混じって燻るような臭いも漂っていた。
杖を構えながら、シャプシャは木々の間を抜けていった。
大岩の横を通り過ぎた先に居たのは――地べたに座って焚き火で肉を焼いている、ヴィーネだった。
彼の背後には、木に吊して解体したのだろう、牡鹿の死骸がまとめられていた。骨がついたままの肉の焼き加減を確かめていたヴィーネは、急な来訪者へと目を向けた。
「貴女は――なぜ?」
「申し訳ありません。血の臭いがしたものですから、山賊や獣に襲われた怪我人かと思って……」
「……なるほど」
頷いたヴィーネが前足だろうか、焼けた肉に齧り付く。その前にある木の根っこに腰を下ろしたシャプシャは、緊張が解けた様子で辺りを見回した。
「ヴィーネ様も西へ? それでここで狩りをしてらしたのですか?」
「……質問攻めだな」
その言葉に、シャプシャの頬にサッと朱が差したが、それに気にとめる様子も見せずにヴィーネは淡々と答え始めた。
「二つの質問とも、その通だ」
「わたくしも西へ向かっておりますの。よろしければ、ご一緒しませんか?」
シャプシャの申し出に、ヴィーネは囓った肉を呑み込んでから、溜息と共に答えた。
「護衛が欲しいのなら、素直にそう言えば良い」
「……そんなつもりではありません。旅自体は、わたくし一人でも問題ありません」
立ち上がったシャプシャは、杖を構えてみせた。
「お疑いでしたら、試してみますか?」
疑念の視線でヴィーネがシャプシャを見上げたとき、周囲から殺気が溢れだした。ヴィーネが槍を手にしたのと、幾重にも重なった唸り声が聞こえてきたのは、ほぼ同時だった。
血臭に誘われたのか、木の陰から十を超える狼の群れが現れた。
「話はあとだな」
槍を構えるヴィーネと背中合わせになるように、杖を構えるシャプシャは焚き火を迂回した。
狼たちが二人に襲いかかったのは、その直後だった。
ヴィーネが槍を振るうたびに、狼の身体が真っ二つになる。護りすら必要としない、破壊力だった。
そのヴィーネの背後では、シャプシャが舞うように狼の群れと対峙していた。弧を描くように杖を操り、的確に狼たちへ打撃を加えていく。
そして、距離が離れると――。
「ムラーサ・ラ・トイス」
シャプシャの杖から放たれる光球が、狼たちを襲うのである。
彼女の戦いっぷりに、ヴィーネは素直に賞賛の念を抱いた。
(なるほど、言うだけのことはある。ただ、あの魔術――詠唱の省略はしているが、その中に威力を弱める〝ラ〟の呪言があるのは何故だ?)
狼を撃退――約半数は逃げたが――したあと、ヴィーネからシャプシャへと声をかけた。
「言うだけのことはある。先ほどの非礼は詫びよう。確かに、貴女には護衛は必要なさそうだ」
「ご理解いただけて、嬉しいですわ」
「だが、一つ疑問がある。先ほどの戦い、なぜ魔術の威力を弱めたのだ?」
「狼も生きるために獲物を襲います。それを邪悪などと決めつけて滅ぼしては、遠くない未来に自然の秩序が乱れます。わたしが教えを広める太陽神の教えでは、それは好ましくないとしています」
「……貴女は神官なのか」
「似たようなものです」
「なら俺のような、血生臭い生き方をしている者は、相応しいとは思えぬが――」
「どうしてです? ヴィーネ様は今朝、あの村の人たちと絆を結びました。それは、血臭を漂わせている者では、できぬこと。たしかに、戦いにおかれては非情になるときもありましょう。ですが身を護るため、誰かを護るために力を振るうことまで、太陽神は禁じておりません」
「絆――俺が、他人と?」
「ええ。あれは確かに、絆でした」
シャプシャは微笑むと、まるでスキップでもするかのような軽い足取りで、ヴィーネの左横へと移動した。
「それではヴィーネ様、行きましょうか」
「旅の供になるのだ。ヴィーネでいい。その、なんだ。様とか付けられると、背中が痒くなる」
どんな表情をしていいのかわからない――そんな気配が漂うヴィーネに、シャプシャは噴き出しそうになった。
「それでは、わたくしのことは、どうかシャプシャとお呼び下さい。それではヴィーネ、もう行きましょう」
「ああ……そうだな」
魔王ヴィーネと太陽神の末娘である女神シャプシャは、互いの正体を知らぬまま、西へと向かった。
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本作を読んで下さり、ありがとうございます。
それだけでなく、ポイントまで入ってて……とても嬉しかったです。
まだここのシステムにも慣れておらず、お礼とかどうしようと思いましたが、書くことしか思いつきませんでした。
この話、二日で書き上げたので、文体とかは荒いですが……楽しんで頂けたら幸いです。
時折、こうして『おまけ』を書いていこうと思います。
新作や続編も……という欲はありますが、一月から仕事が忙しくなってきて、時間が……なんとかせねばです。
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