【R18】ステルス裸いだー M ~全裸でサイクリングは好きだけど、見つかるのが好きなわけじゃない(でもエッチなのは大好き)~

古城ろっく

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第6章 閲覧注意の糞便露天

第19話 ウンコの妖精と森の中

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 日本全国、津々浦々、様々な露店温泉が存在します。そんな中、手作りで露天風呂を作った少女がいるので、ご紹介しましょう。森泉みのりさん(16)です。
 彼女はなんと、自転車を作るのが趣味で、お風呂と自転車を合体させたものを完成させちゃったみたいなんですね。
 そこに便槽から汲み上げた天然の糞尿をたっぷり入れて、水で薄めることもしないまま、ねっとりしたお風呂に仕上げました。
 お湯加減はどうですか?
(冷たくて、寒い……それに、臭い。気持ち悪い)
 ゆったりと肩まで浸かってますね。お肌はどうでしょうか?
(とっても痒くて、つい掻き毟っちゃう。でも、引っ掻いた傷にうんちっちが刷り込まれて、どんどん悪化してる――んっ)
 素晴らしい。すべすべだった若いお肌が、あっという間にボロボロですね。真っ赤なミミズ腫れと、かぶれて湿疹が出てしまったお肌。これじゃ人前に出られないし、恥ずかしいですよね。
 お顔まで塗りたくっていますが、どうですか?
(目が痛くて、うまく開けない。うう――)
 もう充血して真っ赤です。長いまつ毛に垂れ下がるウンコが、より悲惨ですね。
 ところで、この温泉は飲めるんですか?両手で掬って口元へと運んでくださいよ。そうそう。そんな感じで、

 ずぞぞぞぞぞぞぞぞぞ……

「うっ。ごええええっ。やだ。やだっ!げほっ、ごほっ。が、っは――!!」

 嫌だと言いながらやったのは、みのりさん本人なんですけどね。この温泉を飲むと、吐き気や頭痛、味覚の麻痺などの効能があるらしいですね。大腸菌や寄生虫もいっぱいで、とっても健康に悪いみたいですよ。
(やだ。気持ち悪い。これ本当に気持ち悪い。いまさら気付いた。私、馬鹿だ……ぐすっ)
 普段はオナニーで気持ち良くなっている乳首やクリトリスも、とっても大きく腫れ上がってますね。ぷっくり膨らんでとっても痛そうです。
(助けてっ。ふえええんっ!んっ、んんっ)
 みのりさん、うんこ風呂が気持ちよすぎて、絶頂に達してしまいました。この温泉はもともと糞尿100%なので、お風呂でおしっこしても何も変わりませんね。
 普段から知らない男性やただの友達と、ゴム無しでセックスしているというみのりさん。もしかしたらもうお腹の中に赤ちゃんがいるかもしれませんが、大丈夫ですか?
(イクっ……痙攣すると、おまんこが動いて、うんちっち奥まで吸い上げちゃう。――んんっ)
 もしお腹の中に赤ちゃんがいたら、その赤ちゃんもお母さんと同じく、ウンコまみれでグチャグチャかもしれませんね。親子で温泉、楽しんでください。
 それでは、最後に読者のみなさまに一言、頂けますか?
(き、気持ちいい、かも)
 馬鹿じゃねーのド変態。
 読者のみんなは、絶対に真似をしないでくださいね。町中でこんな変態を見つけても、関わらないようにしましょう。
 それではまた来週。



 と、冗談みたいなナレーションはさておき、
 みのりは今、思ったよりは真剣に、この状況を解決しようとしていた。
(ここから人目に付きにくい道を通って、身体を洗えるところを目指すとしたら……農道から山に出て、秘密基地まで行けば大丈夫なはず。あそこなら池もあるし、こんなこともあろうかと着替えもこっそり持ち込んでる)
 普段からセルフSMやら野外露出オナニーやらを楽しんでいる秘密基地(ただの廃屋となった神社。勝手に占領している)。そこまで誰にも見つからなければ、無事に帰宅できる。
 もし誰かに見つかったとしても、ウンコの中に潜れば隠れられるはずだ。この自転車ごと移動させられたり、いたずらで破壊されると困るが……
(私は肥溜め。私は肥溜め。私は肥溜め。よし、行ける)
 大丈夫な気がしてきた。自己暗示を強めにかけた彼女いや肥溜めは、とにかく道を走り続ける。

 この自転車のペダルは、頭よりも高い所についている。船のような形の浴槽を作った際、水が漏れないように設計したためだ。
 リカンベントのように寝そべって、高い位置のペダルを漕ぐ。するとペダルに繋がっているクランクが回り、前輪に動力を伝える。我ながらよく考えたものだと、みのりは感心していた。
 ハンドルは湯船の中まで伸びていて、左右に動かすとペダルごと前輪が向きを変える。ペダルまで向きが変わるので、コーナーでは少し漕ぎにくい。
「よい、しょっと」
 山積みのウンコの中から、可愛かったはずの顔と、綺麗だったはずの脚だけをにょっきり出す。そのままペダルを上に蹴り上げるようにして進むのだ。足に着いたウンコが、上から頭に降り注ぐ。
 ぼたっ、ぼたっ、と思ったより大きな音を立てて落ちる、ウンコのシャワー。それを全身で受け止めながら、みのりは懸命にペダルを漕いだ。尿しぶきが目に入ると痛いが、前を見ないと運転できないので我慢するしかない。
 呼吸も大切だ。自転車とは有酸素運動である。深く息を吸い込んで、大きく吐く。その繰り返しで、肺の中をウンコの臭いで満たしていく。
「んっ。ふわわっ。にゃんっ」
 ペダルを漕ぐたびに、お尻が船底と擦れ合って、ウンコがすり潰されていく。それは膣内に少しずつ入り込み、中でもすりすりと擦れていった。
「かゆいかゆいかゆい。どうしよう。お尻が痒い……にゃわーん」
 ある程度まで気持ちよくなると、膣内のウンコが愛液と混ざってトロトロになる。するとウンコの純度が下がるので、そういう時は、
「んんんんっ――っ、っ」
 指でおまんこを広げて、中にウンコを詰め込むのだ。すると愛液混じりのトロトロウンコが外に押し出されて、純度の高いベトベトウンコが代わりに膣を満たす。
 そのうち脚に付着したウンコが渇いてくるので、
「んっ。しょっ……あ」
 再び脚を引っ込めて、しっかりと新しいウンコを塗り込む。なるべく絡みつくようにしながら、足の指でウンコを掴むようにして、再びペダリング。またウンコのシャワーがみのりに降り注ぐ。
「あ、あんっ。また、イクっ」



「それにしても、こんなにたくさんのうんちっち、一体どれくらいの人数が何日かけたら溜まるんだろう?」
 などと、みのりは気になったことを考え出した。数回イって頭が冷えたか、もしくは頭がダメになったか、どちらかだろう。考え事をする余裕が出てきたのだ。
「うんちだけじゃなくて、おしっこも含めて……あの公園、普段そんなに人がいるように見えないんだけど、結構いるのかな?それとも、ずっと何か月も汲み取られてない?」
 まあ、せっかくなので計算してみよう。
 この自転車に積み込んだのは、4リットルバケツでおよそ30杯。すでに誤差が大きい前提だが、120リットル(12万cc)入っていると仮定しよう。
 仮に一般的な排便量を1日150cc程度、排尿量を1日1600cc程度とするなら、みのりが今浴びている糞尿はおおよそ69日分、もしくは69人分というところである。
 とはいえ、これはあくまで『たった一人が24時間ずっと公園で生活した場合に69日分』という試算だ。実際にはそんなわけないので、何の意味も無い計算である。
「うーん……」
 納得がいかないので、今度は回数で考えてみる。一度の排尿量がおよそ400cc程度。排便量は一回で150ccと仮定して計算する。
 すると、120リットル溜まるまで必要な回数は約218回。1ヶ月(31日)で割ると、平均で1日に7回の利用があれば溜まる計算になる。
「――うん」
 これにはみのりも納得。
 とはいえ、これでは『毎日7人が利用し、全員がウンコをする』という計算になってしまうし、そもそも前の汲み取りが1ヶ月前なのかは分からない。
 どのくらいの頻度で汲み取りをしているか不明だし、前回の汲み取りからどの程度の期間が開いたのかも不明だ。例えば1ヶ月に1回汲み取りをしていた場合でも、月末の溜まり具合と月初めの溜まり具合は違ってくる。
「ふにゃわわわ?」
 そこまで考えたところで、みのりの脳みそがオーバーヒートした。まあ、要するに、ウンコまみれの汚い女子高生が考えたところで、答えなど出しようもないのだ。

 どうしても理数系で考えるのに限界を感じ、みのりは文学方面に考えをシフトする。要するに、お得意の妄想だ。
「――どんな人たちが、私にうんちっちをくれたんだろう?」
 貰ったのではなく勝手に盗んだだけなのだが、それは忘れよう。
「私がいない時間帯になるけど、きっと夕方とか日曜日とかに、子供たちは遊んでるんだよね。元気な男の子とか、無邪気な女の子とか……そんな子たちが出したうんちっちを、変態の私が浴びてるのかな」
 にやにやと笑いながら、別に誰のウンコだか確定していないはずのそれを肌に刷り込む。なんだか美しいものに見えてきた。
「あ、でも飲み屋街も近いから、もしかしたら酔っぱらった人たちが立ち寄ったり、タクシーの運転手さんがトイレだけ借りに来たりするのかも」
 それもあるだろう。
「わんちゃんの散歩とかして、持って帰るのが面倒くさいうんちっちを捨ててくかもしれないよね」
 それはどうだろう?
「子供たちを見ている親御さんのうんちっちかもしれない」
 考えれば考えるほど、この中に潜り込んでいる自分がおかしいと思える。いや、実際おかしいのだが。
「いろんな人が一生懸命集めた、218回分かぁ。すてき……」
 ウンコまみれの目をキラキラと輝かせるみのり。どうやら『すてき』という言葉の使いどころは国語の授業で習わなかったらしい。
 義務教育の敗北――と言いたいが、みのりは高校のテスト結果や内申点はいいのだ。いわゆる優等生である。真昼の屋外で、自分からウンコを浴びる変態だったとしても、だ。
「えへへー。218回のうんちっちで出来たお風呂。なんだかお姫様みたいな贅沢してるかも」
 どこの世界にウンコまみれのお姫様がいるかは不明だ。



 話は変わるが、みのりはあまり髪を弄らない。いや、弄らないというより、弄るほどの長さが無いというべきか。
 生まれつき色素の薄い髪を、さらに軽く脱色した亜麻色のショートボブ。顎の高さで切りそろえているので、あまり縛ったり流したりというアレンジに向かない。昔は伸ばしたこともあったが、作業や運動の邪魔になるという理由で短くしているわけだ。
 とはいえ、みのりだって女の子である。少しくらい髪型を変えたり、気分を変えたりしたい願望はある。

 ぺちゃっ……ぬちゃあああ。

「えへへ。これは、あんまりにも酷い、かな」
 降り注ぐ糞尿を頭の上ですり潰し、手のひらで馴染ませて、指で髪に絡める。細い髪の毛の一本一本に、粒も不揃いな糞の欠片が絡みつく。なかなか絡まってくれない塊もあるが、そういうのは、
「んっ。うわぁ……」
 湯船の上の方に浮いてきたおしっこを、両手で掬ってかければいい。そのうち混ざり合って、ワックスのように髪を固めてくれる。
「前髪とか流したら、ちょっと大人っぽくなるのかな?」
 すっと髪を下ろすように撫でつけながら、それを目の上で分けてみる。右目の上でさっと分ければ、左目に毛先が当たる。
「ちょっと立体感を出したら、カッコいいかな。あ、でも、おでこ出したら子供っぽいって、こないだ男子に言われたっけ?」
 ぼってりと固まったウンコをおでこに当てて、そのまま生え際に持ってくる。後ろに撫でつけた前髪を再び戻して、立体感と空気感を出す。コツは、生え際に当てたウンコを髪で包むような感じにすること。髪の内側から支えるイメージだ。
「小顔っぽく見せるには、両サイドにボリュームを出せばいいんだっけ?それから、耳の下にハネを作ると、顎が細く見える……か」
 これまた固まったウンコを下から上に、髪の流れに逆らって塗り付ける。すると髪が逆立つので、それをまた巻き込むようにしてボリュームを出してみる。毛先をほっぺに擦り付けて、ウンコで押さえつけるようにすると、小顔効果が高まる。
 耳に髪をかけて、耳の下から外ハネを出すのだが、ここはちょっとコツがいる。なめらかな糞尿が欲しいので、まずはウンコを口に入れて、唾液と混ぜながら咀嚼する。少しくらいなら飲みこんでもいいが、じっくりよく噛むのが大切。

 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐっちゃ、ぐっちゃ。もぐもぐもぐ……

「ふえええっ。ぐすっ。ひっぐ……うう、おげぇ――っぺ。ぺっぺっぺ」

 で、今出した奴をあらかじめ、耳たぶや耳の裏側に塗り付けておく。少し多めに分厚く塗ったら、そこに髪をかけてあげると固定される。しっかり止めたら、そこから毛先に向かって外側にカールさせる。
 このカールが上手く決まるかどうかは、先ほど口の中で作ったヘアワックスがどれだけ滑らかなのかが重要になる。みのりはしっかりゲロ吐きそうになるほど噛んだので、綺麗に決まるわけだ。
「げっ……ごええええ」
 吐いたとしても大丈夫。もうだいたい吐き出せるものは全部出したので、あとは胃液が少量出るだけである。美少女の口から出ていい液体でもないし、美少女が口から出していい音でもないけど。
 あとはトップから持ってきた髪を数束ほど、耳の上にかけてセット完了だ。ピアスでもあれば更にセクシーだったが、あいにくみのりの耳には穴すら開いていない。
 でも大丈夫。こういう時は少し固まった糞尿を耳に当てて、しっかり耳を隠してしまえばいい。耳の穴に突っ込むようにして固定するのがポイントだ。耳全体の凹凸をふさぐようにすれば、簡単には落ちてこない。
(にゃふふっ。ちょっとお洒落さん?)
 ひたすら汚い。ただ、汚いだけでは済まないミスを、みのりは犯していた。
 みのりが耳を飾り付けた(?)せいで、聴覚が著しく落ちたのだ。ただでさえ視覚は8割がた奪われ、嗅覚に至っては何の役にも立たない状態なのに、さらに聴覚まで落としてしまうと、どうなるか……
 ここが屋外であることも、平日の早朝であることも、すっかり失念していた。


「あのー、大丈夫ですか?」
「ひあんっ!?」
 驚いたのも無理はない。誰かが近づいてきているなんて、まったく考えていなかったからだ。
 気づけばみのりは、車体を停めたまま長時間、ウンコを弄って楽しんでいた。髪の毛を弄っていた都合上、頭を水面に出しっぱなしだったのも問題だった。
 今更この中に隠れても手遅れだ。ばっちり声をかけられてしまったし、しっかり目が合ってしまった。
 しかも――
(あ、同じクラスの、えっと……藤原君?)
 よりによって、見つかったのは中学時代の同級生だ。それも、みのりが変態だと知っているメンバーではない。あの秘密基地で毎日のように乱交していた仲間ではなく、本当にただのクラスメイトだった人だ。
(見つかっちゃった)
 藤原君は、眼鏡をかけていて身長低めの目立たない外見と裏腹に、じつはとても噂好きで友達が多い。沢山の人と仲良く話していたのを、みのりは未だに覚えている。
 彼が広めた噂や情報は数多く、一時期は『学級新聞より藤原』と言われていたほどである。卒業後もいろんな人たちと連絡を取り合っているらしい。
 そんな彼に見つかったのだ。明日には『森泉みのりが全裸でウンコまみれになって野外オナニーしていた』という情報が町中に広がるだろう。事件性もある内容なので、警察やテレビ局が動いたとしても不思議ではない。

(あ、私の人生、終わっちゃった……もっといろんな自転車を作ったり、高校で普通に友達とおしゃべりしたり、あと――恋とか、一度でいいから、したかったなぁ)
 心が折れるのも、人生を諦めるのも、みのりは早かった。後はどうやって自殺しようかと考えるだけである。この糞尿の中で、息が止まってしまえば楽なのに、と。
 しかし、
「あのー、肥溜めに落ちたんですよね。大人の人を呼んできましょうか?」
 と声をかけ続ける藤原を見て、みのりは状況を整理し直す。
(そっか。私が裸なの、気づかれてないんだ。っていうか、私がみのりだってことも気づいてない?)
 考えてもみれば、これほど濁った糞尿にすっぽり浸かっているのだ。服なんて着てても着てなくても、一見して大した差は無いだろう。
 また、顔まで糞まみれなのだから、誰なのか判別なんかつかない。先ほど髪型を変えたので、余計に分かりづらいはずだ。だからこそ藤原も、普段は使わない敬語でみのりに話しかけているのだろう。
(これは――ワンチャン生き残れる)
 明日に出回るゴシップが『みのりが野外でウンコまみれ全裸オナニーしていた』から『謎の女が間違って肥溜めに落ちてた』にグレードダウンする。その程度ならまだ何とかなりそうだ。

「え、えっと……ですね」
 みのりは、なるべく声の音程を低くする。声が原因で正体がバレるなんて、そんなことだけは避けたい。
「すみませんが、誰か大人の人を呼んできてくれませんか。足が滑って、自分じゃ出られないんです」
「わ、分かりました。すぐ呼んできますね。お姉さん」
(お姉さん……)
 初めてそんな風に呼ばれて、みのりはちょっとドキッとする。



(さて、行ったかな)
 藤原はとてもいい人だった。この状況で本当に大人を呼んできてくれるつもりなのだろう。ぱたぱたと走って、近くの民家まで移動している。振り返る様子はあるが、それなりに距離も取れた。
 そもそもこの場所は、田んぼのど真ん中と言ってもいいくらいの場所だ。今になって藤原が戻ってきたとしても、それなりに時間がかかる。
(この隙に、逃げる……でも、どこへ?)
 こちらも田んぼのど真ん中にいるわけだから、どこに逃げても追いかけられてしまう。遮蔽物はない。
(ここを抜けて、住宅街を通れば、最短距離で山まで移動できる。見つかるリスクは増えるけど、山まで逃げたらどこにでも隠れられる)
 と、みのりは判断した。
(相手は徒歩。私は自転車。きっと大丈夫。スピード勝負だ)
 もっとも、その自転車は今、みのりの体重より数倍も重い。普通に考えたら徒歩の方が速いが、
「ふなあああああっ!」
 こうなったら気合いだけが頼りである。どうせ一度は死のうと考えたんだ。死ぬ気で走って、もし本当に死んだらそれはそれで構わない。


 住宅街を、まっすぐ突き進む。標識の『止まれ』など、従っている場合ではない。
「うわっ。何だあれ?」
「くっせぇ。マジくせぇ」
「あれ人間?」
「つーか船か?荷車?」
「何を乗せてんだよ」
「うんこか?」
「便所か?」
「いや、女の子だ」
「女の子がウンコまみれで走ってる」
「自転車……いや、船だ。船に乗った女の子が、山の方へ走っていったぞ」

 どうやら、明日流れる噂が『謎の女が肥溜めに落ちた』から『謎の女を乗せた肥溜めが走って逃げて行った』という内容にグレードアップしそうだ。ただの事故から怪事件へと昇華した宇宙船みのり号は、最大速度3km/hの流れ星となって衆目に晒される。
(イキそう。イくっ。イってる場合じゃない。もう嫌。イっ、いいいいいいいい)
 歯を食いしばって、なんとか絶頂を我慢する。足はガクガクだし、腰は抜けそうだ。それでもここで動けなくなるわけにはいかない。
 幸いにして、近隣住民も遠巻きに見ているだけだった。それはそうだろう。こんなものに近づきたくはない。
(私、このまま都市伝説になるんだ。実在する人間じゃなくて、誰かの見間違いになるんだ!)
 誰も信じないようなものを作ったからこそ、誰にも信じてもらえない噂が流れると予想できる。現行犯で捕まらなければ、あとは他人事のように「怖い事件があったんだね」って言える。
 山の近くに、ゴミ置き場が見えてきた。そのゴミ置き場を越えて数メートル先に、山への入り口がある。その道に入るのは良くない。
 その道よりも手前で曲がれば、崖の下に落下できる。その崖下は人が入れるようなところじゃないし、道も整備されてない。そこまでは誰も追ってこないはずだ。
(ちょっとくらいなら、怪我しても構わない)
 どうせ壊す予定だった自転車だ。そっちは心配していない。あえて言えば、こんな車体を山に捨てて、自然環境に影響が出たら嫌だが、背に腹は代えられない。
 自分の身体ごと、崖下へと落下する。ほんのわずかなガードレールの隙間へと……



「はぁ、はぁ……んっ。っくぅん。はぁん!っ!はぁ、はぁ……」
 幸いにして、落ちた角度は浅かった。船の形が良かったせいか、安定して滑り落ちたのだ。
 地面は柔らかく、少しぬかるんでいた。道はなく、ただ草むらだけが広がっている空間だ。上を見上げれば、木々が鬱蒼と茂っている。これなら見つかることはない。
 真昼間でも薄暗い場所だ。
「はっ。はっ。はっ。はっ――」
 みのりは、死に瀕していた。極限の精神状態でペダルを漕ぎ続けたのだ。落下する恐怖と、見つかって社会的に死ぬ恐怖と、それから単純に激しい運動で、心臓は張り裂けそうだった。
 高鳴る心臓が、内側から胸を突き上げ、肋骨越しに乳房さえも小さく揺らす。胸にへばりついたウンコが、その振動で独特の波紋を浮かべるほどだ。
 呼吸もおかしい。過呼吸に近い状態である。鼻から入ったウンコが器官に入りかけて、すぐにむせって咳き込む。
 何より、ここまでの性的興奮と、アブノーマルな状況の連続が、
(イクっ。イク――)
 みのりの身体を、快楽で埋め尽くしていた。

 それから、およそ1時間が経過した。みのりの体内時計はすっかり狂い、一瞬だったようにも一日ずっといたようにも感じる。
「はあーはあーはあーっ。はあー、はあーはあーはあーあっんっ」
 みのりは1時間ずっとイキっぱなしのまま、ぴくぴくするおまんこに指を突っ込みっぱなしで過ごしていた。
 脚も腕も、ずっと痙攣していたせいで、筋肉が痛い。お腹は具合が悪いなんてものじゃないが、それが内側からくる不調なのか、外側からくる不調なのかは分からない。ウンコの成分が内蔵を侵食したのか、それともイキすぎて腹筋が痛いのか……
「んんっ。なああああ。あ、はぁ、はぁ、ああ」
 喉は焼けるように痛く、声すらうまく出ない。手の平も足の裏も、もうふやけて割れそうだ。
 冬の柔らかな木漏れ日は、葉の落ちた枝から絶え間なく降り注ぎ、彼女の意識を奪っていく。なのに、身体を駆け抜ける快楽と、ウンコまみれの地獄みたいな責め苦が、彼女の意識を手放してくれない。
「さ、最高……んっ」
 気絶と、覚醒の、中間。
 快楽と、苦痛の、中間。
 汚さと、美しさの、中間。
(私の身体、うんちっちに溶けていくみたい。うんちっちと、ひとつになっちゃう)
 今のみのりは、女の子と、ウンコの、中間。
 ――とはいえ、
「いつまでも、こうしているわけにはいかないか」
 楽しい時間には、必ず終わりが来る。
 ようやく正気に近い感情を取り戻したみのりは、ウンコから女の子に戻るため、お風呂から出た。

 ここからは人に見つかる危険はない。ただ山の斜面に沿って、草や木を握りながら登るだけだ。
 足元は泥で滑るが、逆に言えばしっかり蹴り込むことで、地面につま先を突き刺せる。これで登れる。
「――ばいばい。スクリィブル15」
 崖の上から振り返って、最後に愛車の名前を呼んだ。このまま廃棄されて、そのうち糞尿に含まれるバクテリアに分解される運命の自転車――
 落下の衝撃で、もう前輪はペダルごと外れていた。そうじゃなくても、この斜面を登らせる方法は無い。みのりだってあんなに大きな自転車を担いで登るのは不可能だ。
「さて、ここを登れば、あとは秘密基地まですぐだね」
 誰にも知られていない、廃墟となった神社。そこには誰も寄り付かないので、この山はどんなに全裸で歩いても見つからないはずだ。
 池で体を洗って、隠しておいた予備の服に着替えて、普段通りの日常に戻ろう。みのりはそう考えていた。
 もう二度と、こんな危ない露出行為はしないだろう。もっとも、露出行為そのものを辞めるというわけではない。ただ、これからはもう少し安全に配慮した露出をするというだけだが。

 体中が痒い。足の裏は痛い。それでもみのりは、道なき道を歩いた。そしてようやく神社にたどり着くと……
「あ」
「え?」
 既に、そこには先客がいた。
(嘘……ヒサノブ君?)
 その青年は、みのりの中学時代のクラスメイトだ。先ほどの藤原君よりも、もっと仲が良かった友達である。
 そのヒサノブが、みのりを見て言う。
「も、もしかして、みのりちゃん?」
 ウンコ塗れで顔が見えなくても、親友なら気づいてしまうらしい。みのりはもう、逃げられない。
「やっぱり、みのりちゃんだよね。その格好、どうしたの?」
 みのりはすっと目を閉じて、そっと溜息をついた。そして、正直に話す。
「私、ウンコ塗れで興奮する変態だからさ。お外で、オナニーしてたんだ。お洋服を公園で全部脱いで、汲み取り便所の中身を体に塗って、こうやって……」
 大きく脚を開いて見せたみのりは、ウンコの詰まった膣内を、指でかき回して見せた。ぐちゅぐちゅと大きな音を立てて、大胆に見せつけるように弄る。
 それでも、絶頂は来なかった。快楽に溺れすぎて、イク感覚が麻痺している。
「……」
 ヒサノブはそれを、ただ黙って見ていた。
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