【R18】ステルス裸いだー M ~全裸でサイクリングは好きだけど、見つかるのが好きなわけじゃない(でもエッチなのは大好き)~

古城ろっく

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第4章 いつもの町も違って見えるお出かけ

第10話 変化する車体とダブルピストン

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 家から全裸で歩いてきたみのりは、幸か不幸か誰にも見つかることなく、造船所までたどり着いた。みのりの父が社長を務める小さな造船所は、みのりにとっての遊び場であり、自由工作を満喫できる場所だ。
 そこには、みのりが作った木製の自転車や、何の意味があるのか分からない部品が山ほど転がっていた。
「よし、行こうか。スクリィブル18」
 特に愛称も決めていない、簡素な番号だけがついた車体。これはみのりが以前、エッチな目的ではなく、純粋に移動やスポーツを目的に作った木製自転車だった。
 形状としては、自転車として最低限の機能しか有さないものだ。ハンドルがあって、前輪に繋がっている。その前輪の横からは直接クランクが生えていて、ペダルを回すと繋がっている前輪も回るという、子供用の三輪車みたいなシステムだ。
 ヘッドから後輪までは、一直線にフレームが繋がっている。ダイヤモンドフレームではないので、サドルもシートチューブも無かった。つまり、座って乗ることを想定しない立ち乗り一辺倒の車体だ。
 まるでトライアルバイクのようなシルエットだが、それと違ってチェーンドライブでもなければ、後輪駆動でもない。BBもチェーンもない。まるでキックスケーターのような見た目の車体。
「本当は、全裸で野外露出プレイするときに使う想定じゃないんだけどね」

 みのりの自作自転車は、大きく分けて2種類に分類される。真面目に作った『スクリィブルシリーズ』と、ディルド付きサドルなどを組み合わせて設計した『プッシーキャットシリーズ』だ。今回は真面目なほう。つまり、スクリィブルである。
 しかし、このスクリィブル18は構造が単純だからこそ、拡張性が高い車体だった。
「こうして……んっ、しょっ」
 後輪を外したみのりは、そこに同じくらいの大きさの、別な車輪を取り付けた。
 この車輪の横にはクランクがあり、ペダルではなくシャフトが付いている。クランクの長さは50mmほど。そこから縦に伸びるシャフトは800mmくらいである。まるで蒸気機関車の車輪のような見た目だ。
 そのシャフトの先端に、みのりはディルドを取り付けた。昨日おじさんと一緒に遊んだ、あの車体と同じ規格のジョイントパーツだ。みのり自作規格の中では汎用性がある。
「えっと、これと……それからこれにしようかな」
 複数あるディルドから選んだのは、スタンダードな男性器を模したモデルと、それからクリトリスを刺激する用途の細いブラシが付いたモデル。どちらもみのりのお気に入りで、しっかりと作り込んだ逸品だ。
 その二本のうち、ブラシ付きのモデルを膣に、スタンダードなモデルをアナルに入れる。
「んっ。ふぅー……んんっ!!」
 お尻の穴が広がり、体温がぶわっと上がる。全身から汗が吹き出し、それが風で冷やされて肌を凍らせる。外側の寒さに対して、身体はすごく熱かった。頭がチカチカするほど、強烈な刺激が突き上げてくる。
「んっ。あ、あんなにほぐしてきたのに、痛いっ――」
 こじ開けられて伸ばされたお尻の穴が、ヒリヒリと痛む。それを和らげるように、注入しておいたローションが奥から垂れ堕ちてきた。とはいえ、摩擦は和らいでも、広がる力は緩まることが無い。むしろするりと入るので、より強く突き上げてくる。

 この車体はまるで、拷問器具のようだ。――などと言えば、拷問器具に失礼だろう。それらの多くは本来、誰かの手によって使われ、対象の人間が何をしようと逃れられない形になっている。
 みのりが今回用意した自転車は、まるで違った。自分が車体を降りれば、この苦しみからいつでも解放される。そもそも自分が自転車を走らせなければ、このディルドがピストンされることもない。
 つまり、みのりはこれから、自ら望んで自分に拷問を課すのだ。昨日のように縛られているわけでも、目隠しをされているわけでもない。なのに彼女は、望んで苦しみ、好んで痛みを味わう。
「もうちょっと、長い方がいいかな……」
 後輪から伸びているシャフトの長さを、少しだけ引き上げて微調整する。自転車で立ち漕ぎしたとき、おまんこから外れないように、だ。
 座る場所はない。サドルと呼べるものが無いところに、ディルドだけがある状態だ。もし足に力が入らなくなったりすれば、挿入されたディルドに全体重を預けることになってしまう。
(そんなことになったら、さすがに私でも無事じゃ済まないよね……)

 慎重に、バランスを崩さないように、ペダルに足をかける。ここで転んだりすれば大惨事だ。そっと地面から足を離し、前輪横のペダルに両足を乗せた。
 そのまま素早くペダルを漕いで、車体を進ませていく。前輪の大きさはおよそ26インチ。一般的な車体と似ているが、ペダル一回転でホイール一回転では、真剣に漕いでも思ったほど進まない。
 それよりも……
「ふっ、はっ、はかっ。あ、ああっ!!」
 思ったより、ディルドの動きが激しい。ストロークにして10cm前後のピストン運動が、おまんことお尻の穴を交互に責める。
 後輪の大きさは、およそ16インチ。前輪よりだいぶ小さい。前輪1回転に付き、後輪はおよそ1.6回転。1回ペダルを踏み込むたびに、ディルドは最大まで付き上がってから半分戻るようなペースだ。
「こ、これ、意外と、気持ちいい――ふぁあんっ!」
 脚がガクガクと震えて、自転車も左右に蛇行する。そんな中でバランスを取ろうと身体を傾けるたびに、ディルドの挿入角度が大きく変わる。
「んっ、んくっ。あ、あ、は、走れない、かもしれないっ……」
 お尻にディルドが差し込まれるとき、おまんこのディルドは引き抜かれる。逆におまんこのディルドが上に来るとき、お尻のディルドが下がる。
 2つのディルドに交互に擦られて、お尻の穴の前の方が……あるいは膣の後ろの方が、揉みほぐされるような状態だ。お互いが肉壁越しにぶつかり合って、下腹部をゴリゴリと突き上げていく。
「イクっ。まだ道路にも出てないのに、いっ、くうっ!」
 目の前に雷が落ちたように、チカチカと光が瞬く。手足から力が抜けて、ペダルを漕ぐどころか、立っている事さえ困難になる。
 それでも、この車体はペダルを止めると転んでしまう。走り続けなければならない。
 サドルもないから、立ち漕ぎを維持しなくてはいけない。
「こ、こんなオナニーばかりしてるから、脚に力入れたままイク癖が出来ちゃうのかな……はにゃーん」

 絶頂の後の余韻に浸りたいところだが、そんな暇もない。一生懸命に坂道を駆けあがり、早く道路に出ないといけないのだ。
 この車体は見た目に反して重い。なので、ギア比的には軽くても、意外と登りに向かない車体である。こういう時は普通、車体を横に揺らしながら走るのだが……
「だめっ……ちょっとでも横に揺らすと、おまんこに引っかかっちゃう。んっ!」
 車体を揺らすことは、中に入っているディルドを大きく横に引っ張ることと同義である。ぬるぬるした柔らかいおまんこは、引っ張られてそっち側に伸びてしまう。このまま車体を揺すれば、抜けてしまいそうだ。
「抜かないように、しないと……んんっ」
 しっかりと腰に力を入れて、体幹をフルに生かしたペダリングをする。腰を揺らさないよう、まるで空中にある見えないサドルに固定するみたいに……
 ただ、そうやって力を込めてしまうと、おまんこも締まってしまう。きゅうきゅう、とディルドを締め付ける力が強くなり、そのぶん強く刺激を感じてしまう。
 それでも自転車は、なめらかに滑り良く進んでいった。事前に仕込んだローションのせいか、あるいは別な液体のせいか。
「あ、道路、出ちゃった……」
 ここからは公道である。こんな夜中に自動車など滅多に来ないが、それでも全く来ないと断言できる確証はどこにもない。そこを、どう見ても全裸の状態で走行することになる。
 いつもの露出散歩とは違う。歩いているなら、車のヘッドライトなどが見えた時、とっさに茂みに飛び込んだり、建物の内側に隠れることもできる。しかし……
「これは、そうもいかないもんね」
 この自転車から降りるには、地面に足を着いた後、腰をひねりながら車体を横に倒し、挿入されているディルド2本をそれぞれ適切な角度で引き抜かないといけない。
 つまり、簡単に降りることが出来ないのである。


 海沿いの坂道を、慎重に下りていく。ペダルが勝手に前に進もうとするのを、脚の力で抑え込みながら――
「ここで力を抜いたら、すっごい速さで走れるんだろうけど……」
 そんなことをすれば、同じく高速で二穴ピストンされてしまう。それを避けるために、バックを踏んでブレーキをかけ続けるのだ。ハンドブレーキが無いので、ペダルを使った減速しか出来ない。
 左側の歩道を、ゆっくりと走る。目の前には横断歩道が見えてきた。

 ガタン!

「んがっ!?」
 軽く段差に当たった。それだけでも、後輪が大きく跳ね上がり、接続されたディルドが深く鋭くみのりを突く。まるで内側を殴られたような衝撃に、さすがの彼女も足を止めてしまった。
「が、は……あ、そっか。ホイールが木製だし、タイヤに空気も入ってないから、段差に弱いんだ……」
 アスファルト表面のザラザラ程度なら、まだ軽減できる。すべてが木材で作られているわけではない。麻布を使ったタイヤが、申し添え程度にはついているのだ。空気は入っていないが、充分なグリップ力は見込める。
 とはいえ、それは平らな地面なら、だ。
 今みのりが引っかかったのは、歩道と車道の間にある段差。もし自転車で歩道を走るなら、交差点に差し掛かるたびに避けては通れないところだ。
「早く、体制を、立て直さないと……んっ!」
 まだ膣の奥がじんじんと痛むが、そうもいっていられない。交差点の真ん中。海沿いの丁字路とはいえ、3方向から車が来る可能性がある場所だ。見通しも良く、何より街灯によって照らされたこの場所は、それなりに目立つ。
「はや、くっ――」
 自転車のペダルを踏みつける。そっと車体が動き出した。
 その時だった。

 車がやってくるのが見えた。ヘッドライトの明かりだ。前方からこちらへ、急激な速度で接近してくる。
「い、いや……」
 こんな時に、身体が動かなくなってしまう。急いで自転車を乗り捨てて、自分だけでも逃げるべきか。それとも自転車で走ってどこかへ隠れるべきか。それが分からない。
「ど、どうしよう……」
 相手が直進車両なら、もしかしたら通り過ぎてくれるだけで済むかもしれない。でも、もし右折する車両だったら――
(こんな横断歩道の真ん中で止まってるんだもん。向こうも私を轢かないように止まるはず。でも、それじゃ見つかっちゃう……)
 頭の中で、一瞬にして考えが駆け巡る。時間が止まったようにも感じられるほど、感覚は極限まで研ぎ澄まされていた。その一方で、運動神経の方はまるで切断が切られたように、ピクリとも動かないままでいる。
 目の前の車が、ウィンカーを点灯させた。
(う、うそ。こっちに曲がるの!?)
 膝がガクガクする。何をどうしたらいいのか分からない。そんな中、唯一動くのは手だけだった。
「――!」
 両手を使って、顔を隠すみのり。そのまま身体の正面を、相手の車に向ける。隠語がたくさん書かれたお腹も、卑猥なマークが書かれた胸も、全てを晒す覚悟だ。
 ただ、個人情報がびっしりと書かれた背中だけは、晒すわけにはいかない。顔もだ。プライバシーだけは守って、なんとか自分だと知られないようにしないといけないのだ。
 向こうの車は、ドライブレコーダーを搭載しているかもしれない。そう思うと、怖かった。その恐怖が、思わぬところの神経と繋がってしまう。
「あ、あっ――!?」
 見られると恥ずかしい。そして、恥ずかしいのが気持ちいい。
 見られるかもしれないのが怖い。そして、怖いのが気持ちいい。
 そんな露出オナニーばかりを繰り返してきたからこそ、みのりの中では『怖い+恥ずかしい=気持ちいい』という、変な図式がインプットされている。セルフ調教のたまものだろう。

「い、イクっ。んーっ!!」

 全く動かなかった腰が、この状況になってから無駄に動く。上下に跳ねるようなその動きに合わせて、潮吹きまでセットになってしまった。
「んっ、んんっ!?」
 身体を震わせながら、まだチカチカと点滅する暗い視界に、神経を集中させる。向こうの車の運転手の顔が見えた。
「あ……」
 相手は、見たことのない男性だった。まだ若い。きっと20代くらいの人だと、みのりはそう推測した。
 その男性が、車から降りてくる。
(ど、どうしよう。しっかり見られちゃった。イクとこも、裸も、落書きも、全部……)
 みのりは、それでも男性に正面を向けながら、ゆっくりと自転車を降りた。たぷんと揺れる乳房より、見られてはいけないものがある。名前や連絡先が書かれてしまった背中だ。
(カズマの馬鹿……)
 今更ながら、こんなタトゥを入れてくれた厄介な大親友を恨む。ただ、そんなもの恨んでも仕方がない。
「んっ――」
 片脚を大きく上げて、自転車を倒しながら後ろに下がる。すると、お尻と膣にそれぞれ刺さっていたディルドが抜け落ちるのだ。
 支えとなる穴を失ったディルドは、そのままカランと倒れた。男性の視線が、ついそっちに向かってしまう。
「お、おいおい。随分エロい女もいたもんだな。おばさん……いや、あれ?お姉さん?……いや、お嬢さん。え?」
 男性が混乱している。目の前に現れた露出狂が、自分の想像よりずっと若かったからだ。
背が高くすらっとしているため、大人に見られがちなみのりだが、その顔立ちは16歳という実年齢相応である。メイクもしていないのが、余計にその顔を幼く見せるのだった。
(と、とにかく、背中を見せて逃げるのはダメ。相手は若い男の人だし、エッチしたら満足してくれるかもしれないから)
 大きく脚を広げたみのりは、そのまま歩道まで後ずさり、電柱に寄り掛かった。そして後ろに回り込まれないように、足を上げて性器を見せつける。
「お兄さん。私とエッチ、してみませんか?」
 指で広げたアーモンド形の割れ目から、とろりと白く泡立った本気汁がこぼれる。男性がそちらに釘付けになったのを感じて、みのりは一安心した。
「ほ、本当にいいの?」
 男がベルトを外しながら言う。質問の内容とは裏腹に、もう止められそうもない。
 そして、みのりも止まる気が無い。
「いいですよ。変態で痴女の私を、いっぱい気持ちよくしてください」
「ゴムは?」
「なくてもいいですよ。中でいっぱい、出してください」



 前戯などは無かった。みのりも充分に出来上がっていたし、何より男の方が時間をかけたくなかったのだ。
 みのりは野外が趣味だが、男の方はそうでもない。いろんな事情から、『見つかる前に急いで犯して逃げよう』と彼は考えていたのである。
 それはみのりにとっても都合がよかった。

 街灯の下、お互いの性器を突き合わせるだけの、獣のような種付けが始まる。本当に、みのりの身体を使ったオナニーのようなセックスだった。
 乱暴に掴まれる胸。揺らされる身体。今一つ気持ちいい所に当たらない姿勢。
(もどかしい……んっ)
 こうやって、物みたいに扱われる事自体は嫌いじゃない。それでも、刺激が足りない。もっと気持ちよさとか、あるいは痛みとか、何かが欲しい。
「あ、あのっ。ち、乳首、つまんでくれませんか?」
「え?」
「お願いします。思いっきり、ぎゅーって」
 相手の男は、みのりの要望にすぐ応えてくれた。それも、かなり容赦なく、だ。
「んっ。ああっ!」
 本当にちぎれそうになるくらいに、痛い。それもそのはずだろう。男はこぶしを握るような形にしてから、人差し指と中指の間に親指を挟んでいたのだ。
 何かをつねったり、つまんだりするとき、最もパワーが出る握り方である。その太く力強い指が、指先の半分ほどの大きさしかない乳首を潰していく。
 その状態で腰を揺らせば、乳首はするりと滑って指から離れた。そのたびに強くつまみ直されて、またするりと抜ける。
「い、痛いっ……あ、き、気持ちいいです」
「今、痛いって言ったようだったけど?」
「ち、違います。今の痛いっていうのは、痛くて気持ちいいって事です。もっと虐めてください……んっ」
「マジかよ。とんでもないドMに出会ったもんだな」
 男が容赦ないのは、単純にみのりの格好のせいだろう。こんな格好で外を出歩いて、見ず知らずの自分とセックスしているような女なら、だいたい何をしてもいいと思っている。
 みのりもだいたい何をされてもいいと思っているので、相性はいいのかもしれない。

「あ、私、本当に気持ちいい――」
 いつのまにか、みのりは自分でクリトリスを弄っていた。フードを優しく擦るその指の先に、男性器が擦れる感触がある。
「お、俺も気持ちいいぞ。はぁ……最高だ」
 男の方も、息が荒くなってきた。だんだんピストンする速度が上がり、ストロークも大きくなっていく。そのおかげで、さっきまで当たらなかった気持ちいいところに、たまにカリ首が引っかかる。
(よかった。私も気持ちよくなれそう……んっ)
 痛みも、恥ずかしさも、これから妊娠するかもしれない怖さも、全部が気持ちよさに変わっていく。
(それにしても、男の人って、こうして擦ってるだけで気持ちいいんだね。どんな感覚なんだろう?)
 少しでもそれを味わってみたい。そう思ったみのりは、相手のピストンに合わせてクリトリスを擦ってみた。
 指先を、相手の性器の付け根に、そっと当てるだけ。
 すると、相手が腰を振るたびに、指が押される。その指がクリトリスに当たって、すりすりと擦ってくる。
(あ、こ、こんな感じなのかな。ムズムズするけど、たしかに気持ちいいかも……。これが、男性の『気持ちいい』なのかな?)
 少し違うかもしれないけれど、みのりは満足していた。目の前でとろけそうな表情を見せる男と感覚を共有する。そんな風に相手を理解して、共感できるのが気持ちいい。

「あ、イク!」
 先にそう言ったのは、男性の方だった。
「中でいいんだよな?……うっ!」
「あ、は……い」
 みのりが返事をする前に――というより、相手自身が質問をしている最中に、もう中で出し始まっていた。よほど我慢が出来なかったのだろう。

 どぷん! どぷん! どぷ、どぷ……とぽん――

 子宮の奥深くへと、相手の精液が流れ込んでくるのが分かった。とても勢いの強い発射だ。そのたびに波打つ男性の裏すじと、跳ねて暴れまわる先端。それらが膣内を掻きまわしている。
(気持ちいい……けど私、イケてないよぉ)
 惜しかった。もうすぐ絶頂というところで、男の方が先に果てたのだ。
 たっぷり子宮に入って来た精子は、じんわりとお腹を温めてくれる。今日初めて会った知らない男のそれが、とてもスリリングでワクワクさせてくれた。
 惜しくも子宮口からあふれてしまった分の精液は、膣壁を濡らして重く垂れ堕ちてくる。ねばねばとした感触と、電流が流れるような痺れが気持ちいい。
 解放された乳首は、散々に握りつぶされた後の痛みが、ヒリヒリと伝わって来た。まるでそこに傷口でもあるかのように、ドクン、ドクン、と脈打つのが分かる。
 ――と、ここまで感じられているのに、
(イケなかったよぉ。ふにゃあぁ……)
 それだけが、残念で仕方ない。
 やがて、精子を出し終えた男性器が、するりと抜け落ちる。みのりの女性器から糸を引いて……
 つぅーっと伸びたそれは、途切れる瞬間に跳ねて、みのりの太ももにパシャっとかかる。
「あんっ」
 絶頂前のムズムズする身体には、その程度の刺激さえも快楽に感じられた。

「ああ、気持ちよかったよ。ありがとう」
 男が満足したようにズボンを上げようとする。それを、みのりは手で止めた。彼のズボンを持った手に、みのりの手が重ねられる。
「ま、待ってくださいね。おちんちん、綺麗にしますから」
 みのりはその場に跪くと、相手のしぼんだ性器をぺろぺろと舐め始めた。アダルトサイトなどで色んなプレイを見ていたみのりは、こうすることがマナーなんだと勘違いしていたのだ。
(いつもは、私がイっちゃった後でダメダメになるから、してあげられないんだけど……)
 今日はイク前にセックスが終わったので、こうやって舐めるだけの余裕がある。小さな唇でついばむように、ヌルヌルした表面の粘液を食べていく。尿道の奥は吸うようにして、カリ首の裏には舌を這わせて掃除する。
 集まってきた汚れを口の中で転がして味わう。そのほとんどが、自分が膣内に仕込んでいたローションと、自分の愛液が混ざったもの。
 たまに苦い部分は精子だ。ムラのある混ざり方をしている。粘土とも紙ともつかないざらつきは、カリ首に溜まった恥垢。舌や歯に引っかかるのは、抜け落ちた陰毛だろう。
「んー……」
 さすがに陰毛は飲み込めなかったので、指でつまんで引っ張り出す。それ以外を口の中で唾液と混ぜたみのりは、じっくり味わってから大切そうに飲みこんだ。まだ歯の周りや歯茎の奥に、それらが残っている感触がする。
(あ、今度は、おちんちんがよだれでベタベタ……)
 これはこれで、きちんと拭き取らないといけないだろう。そう思ったみのりだったが、見ての通り服などはない。ハンカチも持ってきていないし、拭くための布が無かった。
「待っててくださいね。いま、拭きますから」
 他に適切なものがないと判断した彼女は、自分の髪の毛を使った。
 家を出る前にしっかりとシャワーを浴びて、入念にトリートメントした綺麗な髪。顎の高さで切りそろえた、亜麻色のショートヘア。それを使って、彼の性器を丁寧に拭いていく。

 彼の鼻孔を、ほのかに香るシャンプーの匂いがくすぐった。柔らかくて繊細な毛先が、敏感なところを擦りあげる。
「待って。それ、ヤバッ――!!」
「え?」
 半立ちの男性器から、再び勢いよく、精液が発射された。先ほど膣内に出してもらったような、重くてプルプルのゼリー状ではない。もっと水っぽくて、それでいて粘り気のある薄めの精液だ。
「あ、わっ。わっ」
 驚いたみのりは、とりあえずその先端を髪の毛でふさぐ。そうしないと、どこに飛び散るか分からない。……もっとも、ここは屋外である。どこに飛び散ったとしても構いはしないとも思うが、
(もったいない。こぼさないようにしないと――)
 と、彼女は考えたわけである。独特の価値観だ。
 みのりから見て右側の側頭部に、男の精液がまんべんなく降り注ぐ。それらは糸を引いて絡まり、髪の表面のキューティクルを溶かして、まるで接着剤のように固まった。
 弱酸性の髪を、アルカリ性の精液が溶かして固めてしまうのだ。こうなると髪の毛と精液ががっちりと結合して固まり、もう元には戻らない。
「はぁ――はぁ――き、気持ちいい。……あ、ご、ごめんな。急に射精して」
 男が謝った。みのりは首を横に振って、笑顔で言う。
「嬉しいです。私、変態だから、とっても嬉しい。だから、気にしないでください」
 再び、その先端を舐めるみのり。今度は膣内に入れたわけでは無いので、綺麗にする場所も先っぽだけでいいはずだ。
 キスをするように優しく、唇を当てる。その時だった。
「も、もういいって。俺、もう帰るから」
 男の方から、拒否されてしまった。
「あ、ご、ごめんなさい。気持ち悪かったですか?」
「いや、まあ……そうだな。それもあるけどさ」
 射精した直後に刺激されるのは、気持ちいいような気持ち悪いような、なんとも言えない感覚になる。なので、舐められるのが嫌だというのも、彼の素直な気持ちだった。
 ただ、一生懸命なみのりを見ていると、可愛かったのも事実である。
 いや、彼にとって問題なのは、そんなことではなくて――
「お、俺。ちょっとトイレに行きたくなってさ。実はずっと我慢してたんだ」
「お、おしっこですか?」
「そうなんだよ。じゃあな」
 さっさと切り上げて帰ろうとする男のズボン。それを、みのりはまだ離してはくれなかった。
「え?」

(――言うんだ。自分から、ちゃんと告白しなきゃ)
 胸がドキドキする。みのりにとって、自分から男の人にこんなことを言うのは初めてのことだ。
 でも、いま言わないと、きっと後悔する。滅多にないチャンスなんだ。
 そう思ったら、つい彼を引き留めてしまっていた。彼は困惑している。それはそうだろう。おしっこを我慢しているんだから。
 だから、早く言わなきゃいけない。
(よし、言う。言える)
 決意を固めたみのりは、勇気を振り絞って立ち上がった。
 そして、おへその下あたりを指さす。全身に卑猥な落書きタトゥの入った身体。その中でも、おへその下に描かれていたのは、男子トイレのマークだった。
「わっ、わたっ、私が、おと、とと、トイレ。おトイレです」
「え?」
「私がおトイレです!」
 その声は、夜の静かな町に、意外と大きく響いた。

「マジか。そういうプレイ?」
「はい。お願いします」
「どの辺から?」
「あ、出来れば、全身に」
「全身!?」
「はい。頭のてっぺんから、足まで、ぜーんぶ。あ、もちろん顔にもお願いします」
 みのりから『おしっこをかけてほしい』と誰かにお願いしたことは、今まで無い。相手が『かけたい』と申し出た時だけ、かけてもらっていた。
 ただ、おしっこをかけられること自体は、とても好きだった。
(でも、なかなか言い出せないんだよねー)
 セックスの前にかけてもらうと、『自分のおしっこで汚れた女の子は、ちょっと嫌だ』と思う男性もいるかもしれない。
 しかしセックスの後だと、みのり自身がふにゃふにゃになっていることが多く、その間に男性が帰ってしまう。野外露出セックスともなれば、なおさら撤収が早かった。
 そのため、今まで出来なかったプレイなのだ。
「じゃあ、かけるよ」
「はい。いっぱい汚してください。きっともう会うことも無いので、何も遠慮なく」
 地べたにぺたんと座ったみのりは、電柱に背中を預けてのけぞった。こうしていれば、背中を見られることも無いだろう。
 目を閉じて、その時を待つ――

 じょろろろろろろろ……

「んっ」
 気温が低いせいもあるのだろうが、湯気が立つほど温かい。それに、ペタペタと肌に張り付く。我慢していただけあって、とても濃くて刺激的だ。
 脚に数滴落ちたと思った次の瞬間には、もう顔に直撃していた。鼻に当たった雫がはじけて、それが呼吸で奥に吸い込まれる。鼻の奥がツーンと痛い。
 それでも臭いをしっかりと嗅ぎたくて、大きく息を吸い込む。ぽっかり開けた口にも、少しだけ入って来た。苦くてしょっぱくて、思わずむせ返る。
「ごほっ、げほっ」
「あ、ごめん。大丈夫か?」
「はい。あの、虐められると嬉しいので、もっと虐めてください」
 引き続き、おしっこが発射される。今度は髪に、どばどばと――
(んっ。ヘッドスパみたい)
 みのりは自分で頭を振りながら、空いている両手でそっと髪を梳いた。毛束を混ぜて、一本一本の隙間にまで浸透するように、うまく調整する。
 胸にもかけられていく。特に乳首を狙うように、しっかりと――
 それらが垂れ堕ちて、お腹や太ももに零れる。膝をぴったりと閉じて座ると、おまんこと太ももの間におしっこが溜まっていった。それを手で掬ったみのりは、自分の脚や腕に摺り込んでいく。
 手や足の指の間も、しっかりと塗り込む。そうしている間にも、彼の放つ放物線はみのりの肩や頭を狙い打っていた。
 髪の毛から垂れた雫が、表面張力で背中を濡らし、お尻まで到達する。
「――ふぅ。出た出た」
 目の前の男が性器を振った。尿道に残っていた雫が、みのりの顔に飛び散る。
(あ、かわいい……んっ!痛っ!)
 おちんちんがプルプルと揺れて、それに合わせて金玉もぶらぶらする。そして金色の雫が飛び散り、街灯の明かりを受けてキラキラと反射する。その光景は綺麗だった。
 思わず目を開けて見ていた彼女の、目に数滴のおしっこが入る。少し痛いが、それでも目を閉じたくない。この綺麗な光景を、もっと見ていたかった。



「それじゃ、今度こそバイバイ」
「はい。お気をつけて」
 男がズボンを上げて、車に乗り込もうとする。今度こそ、みのりはそれを止めなかった。
(いい人だったなぁ。私のことを必要以上に知ろうとしないし、ただの変態として扱って虐めてくれたし――)
 個人情報を知られないまま、お互いにただ一夜を共にして、ただ帰る。その行為がみのりにとっても、相手の男にとっても都合がよかった。
 相手が車の窓を開けて、手を振りながら去っていく。その様子を、みのりは頭を下げながら見送った。
「ありがとうございました」
 その車が見えなくなるまで、みのりはその場に立っていた。そうして見送りを済ませると、自分の自転車を再び起こす。
「ごめんね。ほったらかして」
 そっと2本のディルドを、自分の膣とお尻に差し込んでいく。そうして位置を感覚だけで調整しながら、周りを見渡した。
 暗い街中で、ここだけ異様に明るい交差点。こんなところで自分は、数々のプレイをしたのだ。
「えへへー。気持ちよかったなぁ。でも、誰かに見られたら、怖い事になってたかもしれないよね……」
 冷たい風が、頭を冷やしてくれる。かけられた当初はあんなに熱かったおしっこも、もうすっかり冷え切っていた。髪は半分ほど凍り付いているような状態だ。

「それじゃあ、カズマとショウヘイが待っている駅前まで、急がなくちゃ」
 みのりはペダルを漕ぎだすと、そのまま足をペダルから離し、フレームの上に乗せた。まるでキックボードのような乗り方。つまり、下り坂を活かして全速力で走るフォームだ。
「せっかくのデートだから、気合入れてシャワー浴びたんだけどなぁ……ふにゃあ」
 自分から頼んだとはいえ、このおしっこと精子の匂いがたっぷり浸み込んだ髪を見たら、二人はなんと言うだろうか。もうすっかり、シャンプーの匂いも、トリートメントのツヤも無い。
 ただ、精子によってガビガビに絡まった部分と、全体的におしっこの匂いが取れないままの部分が混在する状態だ。
「でも、気持ちよかったなぁ。本当に臭くて、汚くて、『あ。私、いま汚されてるんだ』って気持ちになったら、ドキドキして――」
 まだ胸が高鳴っている。ディルド越しに伝わる路面の振動で、すぐにでもイキそうだ。
 ずっと火照ったまま、絶頂を我慢させられ続けた身体。そこに二本のディルドが高速でピストンする。
 下り坂は、徐々に急になっていった。
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