【R18】ステルス裸いだー M ~全裸でサイクリングは好きだけど、見つかるのが好きなわけじゃない(でもエッチなのは大好き)~

古城ろっく

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第4章 いつもの町も違って見えるお出かけ

第9話 まずはシャワーを浴びてから

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 おじさんとたっぷりエッチした後、すっかり朝になってから帰宅したみのりは、ぐっすりと眠っていた。
 どうせ学校も冬休みに入っている。思いっきり夜更かしして昼夜逆転の生活をしていたとしても、誰も咎める人はいない。
 ただ、今夜はカズマとの約束があった。あのヘナタトゥを書いてくれた、中学時代の同級生だ。
 その少年と、今夜はサイクリングに行く約束をしていた。

(たしか、全裸で自転車に乗って集合……だっけ?)
 そう思って時計を見れば、もう22時を回っていた。ちなみに、みのりが寝たのは朝の6時ごろ。つまり16時間ほど寝ている。もちろん、たまに起きてはトイレに行ったり、小腹が空いて何かを食べたり等はしていたのだが、
(ううー。だるいよぉー。ふにゃぁ)
 起き上がるだけの気力が、どうしても湧いてこなかった。徹夜した影響もあるが、何よりセックスで消耗した体力が大きい。これをみのりは、妊娠するときの消耗だと考えていた。……その割には、今までちゃんと妊娠できた試しがないが。
「カズマと約束しちゃったし、行かないと……」
 友達は大切だ。特に、高校に行ってからあまり仲のいい友達が出来ていないみのりにとって、中学生の頃の友人は貴重な仲間だった。野外露出の趣味を手伝ってくれる秘密基地メンバーとなれば、なおさらだ。
 ベッドから起き上がると、太ももの内側やお尻に、ドロッとした何かが流れた。
(あ、昨日のおじさんの精子、逆流しちゃったんだぁ)
 みのりは寝る時、パジャマの上しか着ない。下着すらつけないので、下半身はオールフリーだ。そのまま精液が流れ出したせいで、シーツまで酷い有様になっている。
 軽く脚を組むようにして閉じてから、もう一度開く。すると太ももの間に、ねちゃあっと糸が引いた。
「わっ、わっわっ!?どうしよう?」
 慌てたみのりは、とりあえずスマホを手に取る。カメラを起動して、再び太ももの間に糸を作ったあと、さらに空いている方の手でおまんこを開く。
 くぱぁっとこじ開けられた大陰唇も、ふとももと同じように糸を引いていた。その奥の子宮口から精子が流れて、シーツにシミを作っていく。それをスマホで撮影したみのりは、
「えっと……『おじさん、精子いっぱいありがとう』かな。送信」
 とりあえず、おじさんにメールを送るのだった。



 女の子の身支度は長い。それは、着る服を選んでいるから、とか、メイクに時間がかかるから、とかではないのだ。いや、それもあるかもしれないが、根本的な問題はそこではない。
(今日はカズマとデートだもんね)
 別に彼と恋仲だとかいうわけでは無いが、せっかく男女二人でお出かけするなら、それをデートと呼んでもいいだろう。みのりはそんな気持ちで、身支度を始めた。
 身支度と言っても、野外露出デートだ。別に服を着るわけでもない。
(せっかくの自転車だし、裸足で行こうかな)
 と、どうせペダルから足を離さない前提だと想定したみのりは、靴さえ履かないことを決めた。なので、ファッションで迷う要素は全くない。
 メイクもしないタイプだった。もともと、化粧をしなくても美人である。それに加えて、どうせエッチなことをしている間に崩れるという諦観もあった。
 ならば、みのりの身支度は早いのではないか。と思った人もいるだろう。
 ところが、そうでもない。
 これから先、彼女はなんだかんだで、準備に1時間半を要するのだ。

 トイレに入ったみのりは、そこで排便をする。女の子だって、うんちくらい出るのである。
「うーん……あ、出た」
 それを確認したら、ここからが本題だ。
「いつアナルに指とかおちんぽとか入れられてもいいように、綺麗にしないとね」
 お尻の穴を、軽く指でマッサージしていく。みのりの場合はそれなりに慣れていたので、このマッサージも大して長くはかからない。そのうち、するりと指が吸い込まれるようになった。
 ローション無しでも、ずぶずぶと入っていく。これ自体はみのりが頑張って自分を調教した成果だった。もちろん、カズマたちがよく遊び感覚でいろいろ突っ込んでたせいでもあるが。
「じゃあ、そろそろ浣腸、入れてみようかな」
 いくつか持っている浣腸用の器具。それはもはやコレクションと言っても過言ではない。大量に関腸液を入れられるポンプ型のものや、正確に測った量を入れるのに適した注射器タイプのものなど、結構沢山持っている。
 例えばポンプ型は、無限に好きなだけ水をお尻に入れられる。チューブの片方を水につけて、もう片方をお尻に差し込んだら、あとは中央のポンプを握るだけ。洗面器に沢山の水を貼ったり、あるいは浴槽などで使ったりすれば、ほぼ無限に浣腸できる。
 一方で注射器型は、正確に水の量を測って充填することが出来たり、力任せに強い水圧をかけて入れることが出来たりと、何かと便利だった。大きさ的に収納に困ることを除けば、わりと扱いやすい。
 収納という観点では、スポイト型が最もコンパクトなのだが、こちらは扱いが難しい。大量に注入するのには向かないし、何より握ったまま抜かないと逆流する恐れがある。刺さったまま力を抜くと、腸内に入れた水を、そのまま吸い上げてしまうのだ。

 その中でも、高速でお腹の中に浣腸を入れられるのが、極太の注射器タイプ。容量は一本で1000mlだ。みのりのコレクションの中では一番大きい。
「これの方が、ポンプ型より早いんだよねー」
 じつはポンプの場合、一度握ってから戻るまでの時間がかかりすぎて、総合的には遅い結果になる。それに比べれば、何度か抜く必要があっても注射器型の方が早いというのが、みのりの結論だった。
「まあ、ポンプ型も遊び方次第では楽しいんだけどね。相手に握らせて、好きなだけ入れてもらうとか……」
 前にそれをお風呂でやらせて、お腹がパンパンに膨れ上がるほど入れられたことがあった。と、みのりは思い出す。そこから先は水圧の都合でポンプの方が動かなくなってしまったが、
「あの時のみんなの表情、楽しそうだったなぁ。私は苦しかったけど……またやりたい」
 とはいえ、今はお出かけ前の準備である。トイレに持ち込んだバケツから1000ml吸い上げたみのりは、先端をお尻に入れてぐっと押し込む。最後の方は器具を床に当てて、体重をかけて座るようにしながら……
「んっ!?んんんんー!!」
 お尻に刺さった浣腸器具に体重を預けるというのは、尖った椅子にお尻の穴で座るようなものである。ぐいぐいと注射器が肛門を押し、先端は直腸の奥のS状部に突き当たる。
 そこに水流が当たる。何もない空間に水が放出されるのではなく、既に水で満たされた場所に水流を当てる状況。それが腸内に溜まっている全ての水に流れを与えて、お腹の中をぐるぐるとかき回す。
「んっ。はぁっ……」
 お尻を刺激されたことで、身体が熱くなる。体温が上昇しているのだ。頭がぼーっとして、お腹に下痢のような痛みと、風邪を引いたときのような倦怠感がやってくる。
「えへへ、へ……私、こんなこと頑張れるなんて、やっぱり変態なんだなぁ」
 この状況も、みのりにとって楽しいものだった。もしここで男の子に頭を撫でられながら「よく頑張ったね」と言われたら、一瞬でコロッと恋に落ちそうである。なんなら、その妄想だけでもう1本は入れられそうだ。

 くにくに……お腹をもみほぐす。中の水はたぷたぷと揺れて、中で波打ち、寄せては返す。
 ぴょんぴょん……その場で体を揺する。中の水も飛び跳ねて、泡をたてるようにしぶきを上げていた。
 そういう微細な変化が、直接腸内から……というより、お腹の内側を通って腹筋などに伝わる。腸内そのものに感覚神経が行きわたっているわけではないので、周囲の神経を内側から刺激されている感じだ。

「よし、そろそろいいかな」
 時間にして10分ほど。みのりがお腹の中に水を入れておける限界である。
「んっ。んんっ……はぁぁぁぁぁ」
 お尻から流れ出る水が、そのまま便器にバシャバシャと落ちた。もともと液体を排出する器官ではないため、どこに飛ぶかは分からない。後ろにも前にも飛び散り、お尻の側面やおまんこを濡らし、太ももを伝って足まで垂れていく。
トイレの床はもうびちゃびちゃだ。
「さ、3回目。終わったー」
 1回あたり、およそ10分。合計で30分ほどかけて、みのりの腸内は綺麗な状態になった。ただアナルプレイをしたいだけなら、ここまで徹底的にやる必要はない。むしろ、自力で排便できなくなる可能性などもあるので、かえって危険だ。
 なのに、どうしてみのりはここまで手間と時間をかけて、苦しい思いをしてまで大量浣腸にこだわるのかと言えば、
「気持ちよかった……んっ」
 単に、快楽のためである。
 ちなみに、1度目で腸内は大体綺麗になっていて、2度目は水しか出てこない状況だった。つまり3度目は本当に遊びでやっていたことだったりする。

 続いて、ローションを取り出す。容器から手の平に絞り出すと、そのローションはまるでゼリーのように丸くなった。ぷるぷると震えるそれを指で掬うと、ねっとりと糸を引いて垂れていく。
 この固形のゼリー状ローションを、お尻の中に入れていく。指でそのまま奥まで塗り付けるように。
 何度も、何度も、指で掬っては、中に入れていく。
「あはっ。もう気持ちいい。最高だよぉ」
 たまらなくなってきたみのりは、残りのローションが付いた左手で胸を揉み始めた。右手でアナルをかき混ぜながら、左手で乳首をくるくる弄ぶ。
「んっ。あっ!お、おまんこ、気持ちいい。全然触ってないのにっ――ふぁん」
 指一本触れていないクリトリスが、痛いくらいに勃起しているのが分かる。膣内も何かに擦られているような錯覚を感じる。あまりの気持ちよさに、みのりは強く脚を閉じた。無意識の抵抗である。
「い、いやっ。イクっ。気持ちよくて、イっちゃう。いやぁああん」
 自分の手の平に、びゅーっと潮が飛ぶ。それが当たってばしゃばしゃと前方に散らかり、トイレの床は大変な事態となってしまった。こればかりはバスルームでやればよかったという後悔が残るが、指が止まらなかったのだから仕方ない。
「はぁ――、はぁ――。わ、私、将来どこかに引っ越すときは、お風呂とトイレが一緒のところがいいな」
 独特な理由で大人になったときに住む物件のことを考える。とはいえ、まだ高校生だ。現実的な話ではなく、あくまで妄想の一環として。
「家の中は全裸で過ごせるといいなぁ。裸のままお料理して、油が跳ねるたびに水で冷やしたり、裸のままお掃除して、洗剤を身体に塗りたくったり……あ」
 そんな独り言に夢中になっているうちに、便意がまた降りてくる。あれほど腸内洗浄した後だが、ローションが入ればまた別な反応をしてしまうのだった。
 ほとんど透明に近いローションが、ほんの少しの色と臭いを含んで逆流する。水ではきちんと洗い落とせなかった部分を、ローションが洗剤のようにしっかり溶かして落とした結果である。
 お腹の中にはもう何も残っていないのに、それでも排便したい気持ちと刺激だけが残る。お尻の穴はひくひくと動き、必死にローションだけを落としていた。
「今度こそ、綺麗になったね」
 そう判断したみのりは、再び水を注射器で吸い上げて、自分のお腹に入れる。そうして満たされたら、待つこと5分。比較的早い段階で限界を迎えた彼女は、最後の水しぶきをトイレに出すのだった。
 もっとも、この後に待っている床掃除が、一番惨めで面倒な仕事なのだが。



 ここまで終わったら、次はシャワーを浴びる。汗をかいたり、汚れたりした体を綺麗に洗い流すのだ。
「結局、お尻だけで1時間もかかっちゃったなぁ」
 温かいお湯が身体に降り注ぎ、周囲に湯気を立ち上らせていく。寒い季節ならではの現象だ。50度近い温度設定のお湯も、シャワーノズルから流れて肌に当たるころには、心地よい温かさになっている。
 シャンプーの泡が、わしゃわしゃと髪を包んでいく。この感じも、みのりは好きだった。ボディソープで全身を柔らかく包み、シャワーで全部流していく。
 すると、現れるのは綺麗な白い肌――などではない。
「わぁ……昨日の内出血、もっとひどくなってる」
 昨日の夜に緊縛プレイで縄を巻いた跡が、今日はもっと鮮やかに目立つようになっていた。黒みがかった紫色の線は、麻縄の粗い目をきちんと反映して浮かばせている。
 手首に、二の腕に、ふくらはぎに、太ももに。
 そして首すじを避けるようにしてデコルテ回り。乳房を避けるようにして胸の谷間。そこからアンダーバストと、おへそより少し上のくびれた所にも。

「それに、ヘナタトゥも初日より濃いかも……」
 縄の跡よりも鮮やかに、くっきりと茶色の線を描くのは、ヘナタトゥ。それもメヘンディアートのような芸術的な紋様ではない。いわゆる隠語だ。
 右側の乳房を彩るのは、円形と放射線を重ねた下品なおまんこマーク。もう片方の乳房を飾るのは、『Cカップおっぱい』の文字。
 右乳首はおまんこマークの中央にあるため、ヘナによる着色で茶色く染まっている。それに対して左側は、何にも染まっていない綺麗な桜色。そんなギャップが、彼女の素材の良さと、それを台無しにした結果の両方を同時に見せている。
 おまんこの上にはトイレのマーク。きちんと太ももには『中出し無料』『ご自由にお使いください』の文字も忘れない。お尻には『アナル使い放題』とも書いてあるため、有言実行すべく先ほど綺麗にした次第である。
「えへへー。もし私が気絶したり、嫌がったりしても、このメッセージは相手に見えるんだ。どう見ても、合意の上でエッチだもんね。……いや、見つかりたいわけじゃないけど」
 罰ゲームは罰が大きければ大きいだけ、スリルを楽しめるのである。みのりにとっての野外露出も同じで、見つかったときに怖い思いをするほど、見つからないようにするドキドキと興奮が高まるのだ。
「でも、これはやり過ぎだよ。やっぱり」
 鏡に冷水をかけて、くもりを取り除く。そうやって自分では確認できないはずの背中を見れば、そこにはみのりの個人情報がガッツリ記載されていた。ケータイの番号も、通っている学校も、もちろん本名も、だ。
「私、今日はこの格好でデートなんだよね。それって……」

 考えていると、傍らに置いたスマホが鳴った。マナーモードにしていたが、思ったより大きな音が響く。バスタブの横なんかに置くからだろう。
「わ、わっ!」
 驚きながらも手に取って、通知の内容を見る。カズマからのメールだった。

『今日のサイクリングだけど、集合場所は駅前に変更でよろしく。あと、ショウヘイも来れるってさ。よろしく』

「あ、ショウヘイか。久しぶりだなぁ」
 みのりはその表情をぱぁっと笑顔に変えた。ショウヘイもカズマと同じく、中学時代に一緒に秘密基地で遊んだ友達だ。もちろん、何度もセックスした相手である。
「ダブルデートだね。えへへー」
 火照る身体を冷ますため、みのりはシャワーを冷水に切り替えて浴びた。急に冷たい水を受けた筋肉が縮こまり、胸の奥で心臓がぴくんと跳ねる。自律神経は体温を確保しようと動き、その結果として呼吸が荒くなる。
 冷水シャワーを止めたみのりは、それからボディソープを再び手に取った。さきほどよりも念入りに泡立てて、それを陰部へと塗っていく。いや、泡を盛っていくと言うべきか。
 それから取り出したのは、カミソリ。ボディ用の安全5枚刃だ。
「うーん。これもちょっとずつ、引っかかるようになってきたなぁ」
 陰毛を剃っていく。一見するとつるつるピカピカの陰部だが、こうしてしっかり手入れをしている成果なのだ。
 年齢と共に毛が濃くなっているのか、少しずつその頻度は上がってきているし、剃るときの引っかかりも増えてきている。きっちりと割れ目を開いたり、その側面なども開脚して剃っていく。深剃りしないと、触られたときに恥ずかしい思いをするからだ。
「いっそ、永久脱毛しちゃおうかなぁ。あ、でも16歳だと、お父さんの同意とか欲しいのかな?」
 脇の下や、お尻の周りも剃り終えたら、シャワーで再び流す。カミソリ負けもないつるつるのおまんこは、透明感のある素肌にも関わらず、黒い点などを浮かばせてはいなかった。一本一本が軟らかく細いせいだろう。
 仮に伸ばせば、綺麗なふわふわストレートヘアである。せっかく綺麗なアンダーヘアなのに勿体ない、と思う人もいるかもしれないが、みのりにとっては悪い意味で恥ずかしい。この辺は彼女の価値観による。
 少しだけ開いた割れ目のすじに、チラリと見える花びら。
「――うん。今日も可愛い。……とっても恥ずかしいけど」
 それはみのりにとって、いい意味での恥ずかしさだった。
「あ、そうだ。時間は――」
 みのりがスマホを再び見た。その時間はもう23時半を超えている。待ち合わせまで30分を切っていた。
「い、急がないと。この後ローション入れて、自転車を取りに造船所によって……あわ、あわわわわわ」

 ゼリー状のローションを、再び用意する。今度は指でアナルに入れるのではなく、スポイトタイプの浣腸器具を使って、しっかり奥に流し込んでいく。お尻の穴にぷるぷるの固形物が入ってくるのを、みのりはしっかりと感じていた。
「ついでに、おまんこにも……んんっ」
 しっかりと膣内にも入れておく。このローションは時間差で徐々に粘り気を失い、少しずつ溶けて垂れてくるのだ。
 事前に入れておけば、好きな時に中から絞り出せる。ローションを持ち歩いて、いちいち挿入のたびに塗り付けるより手軽、とみのりは判断していた。
「何より、男の人が指とかおちんぽ入れたいって思った時、『ちょっと待って。ローション塗るから』なんて、言いたくないもんね」
 ちゃんと挿入すると、さっそく少量だがローションが垂れてきた。これが太ももの内側を擦って、少しずつ足首までやってくる。
 こんな風に意図せず垂れてきてしまうのが弱点なのだが、みのりはそれさえも、男の子が喜んでくれることだと知っていた。今日は靴も履く予定が無いので、いくらドロドロになってくれても構わない。
 再び、バスルームの中の鑑を見る。冷水シャワーの影響ですっかりくもりの取れた鏡は、みのりの頭のてっぺんから足の先まで、余すところなく映し出した。
この上なくエッチな……今こうして自宅のバスルームで見ても、異様だと思えて仕方のない姿だ。
(この格好で、外に出て、男の子たちと待ち合わせ……あはっ。ばかみたい)
 現実味がない話のように感じるが、これから体験する現実だ。まだ乾かない髪を軽くバスタオルで拭いたみのりは、そのまま玄関へと直行し、家族に見つからないようにドアを開けた。実はこのドアを開ける瞬間が、一番緊張する。
(見つからないように……お父さんに見つかったら、お父さんを悲しませちゃう。いい子にしてたのに、本当はエッチな子だってバレちゃう)
 誰もいない外よりも、確実に家族がいる家の中を全裸で歩く方が、みのりにとってハードルの高いことだった。外へ逃げ出すように、ぱたぱたと歩く。そんな彼女を、夜の風が迎えに来た。

「あ……」

 足元のコンクリートが冷たい。12月の風は肌を刺し、体温を急激に奪った。生乾きの髪が、毛束の形もそのままに凍り付く。
 震える手先や足の先から、徐々に冷たくなっていく。このままいけばすぐにでも、末端は凍り付いて動かなくなりそうだ。
 だというのに、お腹の奥の方はじんわりと温まってくる。頭に血が上って、冷静な判断が出来なくなってくる。
「やっぱり、一度家に戻って、コートだけでも取ってこようかな?靴だけでも、履いてこようかな?」
 そんなことも考えたのだが、
「ううん。時間がないもんね。このままいくしか、ないよね」
 手にスマホだけを持って、裸足で走り出す。走ると言っても、全力疾走とはならない。冷たい脚の裏に、アスファルトのザラザラした表面や、落ちている砂利などが食い込んで痛いからだ。
 その刺激が、より血行を良くして、身体を熱くしていく。相対的に風をより冷たく感じる。むき出しの乳首に当たる風が、今は何よりヒリヒリする。
「駅前に集合だったよね。……駅前かぁ。全裸で行くのは、まだ怖いけど」
 昨日はおじさんと一緒に行って、それこそそこで10回もイクまでエッチなことをした場所だ。きっと大丈夫。みのりはそう信じることにした。
「まずは造船所に行って、今日のサイクリングに使う自転車を選ばないと」
 そう言いながら、みのりは何を使うのか決めていた。
 もともとエッチな目的で使うつもりは無かった車体だが、先週オプションパーツを作ったことでエッチなことも出来るようになった自転車がある。

「エッチだ、って言ってもらえるかな。カズマも、ショウヘイも、喜んでくれるかな?」
 これだ。
 相手に喜んでほしい。褒めてほしい。可愛いって言ってほしい。
 結局のところ、女の身支度が長くなるのは、服選びとか化粧とかの物理的な事情ではない。
 相手を想うからこそ、支度が長くなるのである。
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