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第3章 行き先はお任せ。目隠しで二人乗りデート
第7話 目隠しの漕ぎ手と意地悪な操縦士
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大きく開いた脚の間に、風がすり抜ける。
身体が小刻みに揺さぶられるのが分かった。路面からの突き上げだ。
「……え?」
みのりがペダルから足を離した後も、自転車は少しずつ動き続けていた。その場所が下り坂だったこともあり、車体は徐々に加速していったのだ。
ブレーキも何も付いていないこの車体は、一度でもスピードに乗るとそれなりの速度を出せてしまう。なんせ車体重量が重いうえに、おじさんと二人乗りだ。
「ひっ……い、いやぁぁぁああああん!」
木材から削り出された車輪は、思った以上に硬い。それがゴロゴロと大きな音を立てながら、小刻みに振動する。アスファルトの表面がざらざらしているせいだ。
ちょうど絶頂を迎えようとしていたみのりの身体は、その振動にさらされて大変なことになっていた。車体と触れている背中やお尻が痒くなり、一方で振動の影響を受ける胸にはローターでも当てられたような震えが伝わる。それも、全体に、
(私の身体が、ローターになったみたい……ひぅんっ!こ、こんなの、耐えられないっ)
かっちりとロープで縛られた体の、ほぼ唯一解放されている乳房が、高速でぶるぶると揺れる。その振動が奥の方……普段は揉まれても届かないくらい、深いところまで刺激する。
まるで初めて胸を揉まれたときのような気持ちが……あのくすぐったいような痛いような、気持ちいいのか悪いのか判断できない気持ちが、頭の中を埋め尽くしていく。
(まだっ――まだ、軽くイって体調を整えるだけのつもりだったのに……)
思った以上に強く、深く、快楽に振り回されてしまう。もうこうなったら、オナニー熟練のみのりにも制御できなかった。
「やぁっ!は、はぁぁぁあああんっ!!」
「ちょっと。声が大きいって」
後ろにいるおじさんが、みのりの耳元で呼びかける。しかし、みのりはイクのを止められない。彼女の股間からは絶え間なく、独特の匂いを放つ液体が飛び散っていた。
蝋燭の火は風に揺れて、怪しく妖艶に彼女を照らし出す。遠くからはさぞ異様な光景に見えただろう。もっとも、こんな時間に起きている人がいれば、の話だが。
下り坂に任せて転がっていた自転車は、ついに平地へと到達し、あっというまに路面との摩擦抵抗で止まった。
「はぁ――はぁ――っはぁ――はぁ――はぁ――」
漕ぎ手であるみのりは、脚をぶらんと投げ出して放心している。もし麻縄で縛っていなければ、きっと途中で体勢を崩して転げ落ちていただろう。
おじさんは、そんなみのりを気遣いながらも、周囲を警戒する。もうどっちの心配をすればいいのか分からないところまで来てしまった。
「ここは……」
海辺の公園である。つい数日前、みのりが見知らぬ男性4名と遭遇し、乱交したところだ。
もっとも、みのりはまだ目隠しをつけているせいで、自分がそんなとこまで来ていることを知らない。仮に目隠しを外したとしても、今は正常な判断が出来ない状態でもある。
おじさんは考える。
(少し休もうか……と言いたいけど、この状況で少しでも同じ場所にとどまるの、怖いなぁ)
周囲の民家は、ちらほらと明かりもついている。距離も遠いので見つからないだろうし、そもそも明かりをつけたまま寝ている人かもしれないが、
(通報が入る可能性は、同じ場所にとどまる時間と比例するような気がするぞ……)
仕方ない。みのりが漕がないと動かないのだから、これはみのりを起こすしかないだろう。
おじさんは、そっと彼女の口をふさいだ。
「んぐぅっ!?」
まだ声と吐息の中間くらいを垂れ流していたみのりは、突然後ろから口をふさがれて驚いた。と同時に、いまは声を出しちゃいけないのだという状況だけは理解する。
「みのりちゃん。静かにして――」
おじさんの囁き声が、耳元にそっと届いた。耳に顔を寄せた時、おじさんがペダルを間違って踏み込んだのだろう。それに連動しているディルドが、みのりの子宮を上へと突き上げる。
(――!?)
麻縄でお腹が圧迫されているため、内臓は逃げ場がない。下から突き上げられて上に行こうとする子宮は、腸などの臓器に押さえつけられて、全ての方向から圧力をかけられる。
上の口も、下の口も苦しい。胴体の中に入っているすべてが、一度に揉まれているような気分だ。真綿で締め付けられるような……いや、その真綿の中に包まれたまま圧縮されるような、酷い状況だった。
(おじさん……何を――?)
遠のく意識の中で、おじさんの声に意識を集中する。
「みのりちゃん、今、向こうで人が動いたように見えたんだ」
(え?)
「もしかしたら、見つかったかもしれない。静かにしててね」
(静かにって……でも、こんなに蝋燭で照らされてたら、絶対に見つかっちゃう)
目隠しによって視覚を奪われているとはいえ、ぼんやりと明るさだけは分かる。蝋燭の火は風に揺れて、みのりの身体を照らしているのが感じられた。火をつけている都合上、その周りの空気も暖かい。12月の冷たい空気の中では、特に強く感じられた。
(見つかっちゃう。私、ついに見つかっちゃう……)
エッチな気分と、本気の恐怖。その境目はどこだろう?
みのり自身にも答えは出せないが、はっきりと言える。今は恐怖の方が強い。
先ほどまでの絶頂の余韻も消え失せて、喉は息が止まりそうなほど跳ね上がる。火照っていた身体が急激に冷えて、肌は寒さをより鮮烈に感じ始める。
あんなに気持ちよかったはずの縄も、急に痛みだけが増していく。幸せで痺れていた脳内も、冷たいブラックコーヒーを流されたように一瞬で覚めた。
露出狂の変態少女みのり、ではなく――
普通の女子高生みのり、に、戻ってしまう。
「やだ……」
小さく、みのりが呟く。その声は手で覆われてくぐもっていたため、おじさんは聞き取れなかった。ただ、口元の動きが何かを訴えたがっていることくらいは理解できる。
「ん?ど、どうしたの?」
おじさんが手を離した。すると、みのりは小さく嗚咽を漏らしながら、まるで子供のような声音で言うのだ。
「やだ。私、見つかりたかったわけじゃない……助けて。お父さん!ごめんなさい。おとーさーん……んっ」
感情が暴走したせいか、みのりはおしっこを漏らしながら泣きだしてしまった。それなりの高さから流れるおしっこは、地面に当たってびちゃびちゃと大きな音を立てる。地面に当たっては跳ね返り、泡立ちながら流れていく。かなりの量だ。
「ああ、ごめんごめん。大丈夫だよ。冗談だって」
おじさんは慌てて、みのりに言い聞かせた。
「冗談?」
「うん。みのりちゃんが動かなくなったから、どうやったら走ってくれるかな?って、俺なりに考えた結果だったんだよ。見られてるって言えば、逃げるために走ってくれるかと思って――」
そういうと、みのりはため息を一つ吐いた。呆れや怒りによるものか、それとも安心からくるものか、おじさんには分からない。多分みのり自身にも分からないだろう。
ただ、冷静さを取り戻した彼女は、屈託なく笑って見せた。
「おじさん、私をいじめるの、上手ですね」
「え?いや、いじめるだなんて」
「ふふふっ。分かってます。悪気は無かったんですよね。私が本当に見つからないように、しっかり考えてくれたのも分かります」
そっと、自転車が進み始める。みのりがペダルを漕ぎ始めたのだ。今までのような荒っぽいフォームではなく、かなり綺麗に、冷静に走り出す。
エッチな気分じゃなくなったからこそ、本気で走ることが出来るようになった、という事だろう。状況は変わってないのに、みのりの気分次第でこの自転車は走りを変える。
「ねえ、おじさん。お願いがあるんです」
「お願い?」
「はい。わがままですけど、ふたつ」
「……なんでも言ってみて」
おじさんは、とりあえず道なりに自転車を走らせる。といっても、ハンドルを握って道から逸れないようにするだけだが。
ゴロゴロと大きな音を立てて回る車輪は、左車線をしっかりキープレフトして走っていった。その自転車の上で、二人の会話は続く。
「ひとつ目のお願い。私を怖がらせていじめる時は、今みたいに、すぐ種明かししてください。そしたら、私もパニックにならないし、怒ったりしないです」
いじめられることが嫌なわけではない。むしろ、程よくいじめてほしいのは本音だった。
それでも、あんまりひどいと耐えられない。特に、痛いとか恥ずかしいとかのいじめは好きだけど、怖いとか無視されるとかのいじめは嫌いだ。やるならちゃんと、関心をもって虐めてほしい。今みたいに、だ。
そういう意味では、みのりは今、かなり上機嫌だった。なんだかんだで結果的には、おもらしするほど気持ちのいいいじめを受けたことになるわけだ。偶然とはいえ絶妙な加減のいじめで、みのりはむしろスッキリとしていた。
「ふたつ目のお願いです」
「ああ……なんだい?」
おじさんが訊くと、みのりは悪戯っぽい笑い方で喉を鳴らした。
「えっと、私のおまんこに、せっかくディルドが入っているわけですし……これで、私をイかせてください。10回」
「10回!?」
みのりとしては、せっかくのエッチな夜を、さっきいじめられただけで終わりたくない。とはいえ、あまりの怖さのせいで、一度エッチな気分が消えてしまったのも事実だった。
それなら、もう一回エッチな気分になればいい。
そのためにも、膣内を思いっきりかき回してほしいと願うのは、みのりの理屈では普通の事だった。
「ダメ、ですか?」
みのりが坂道を軽く登りながら訊く。ちなみに、きちんと坂道を登れるのは、みのりの力が強いからというだけの理由ではない。
おじさんはちゃっかり座席を降りて、後ろから車体を押していた。そのため、みのりとしては平地を走るよりも軽い走り心地でペダルを漕げている。
「その……女の子が10回イクって感覚は、おじさんには分からないけどさ。そんなことして、身体は大丈夫なの?」
「はい。さすがに本気で我慢してドカン!っておっきくイクのは、1回でも大変ですけどね。ちゃんと加減しながら無理せずイクので、10回くらい平気ですよ。すぐです」
「そ、そうなんだね」
おじさんからしたら、今の話でますます共感しづらくなった。そもそも大きくイクとか無理せずイクとか、そんなバリエーションがあることを理解できない。
「あー、それで、その10回イクまでっていうのは、どこらへんでやるの?」
おじさんが念のため、場所を確認する。
まあ、そうは言われても、みのりは目隠しをしているわけだから、現在地がどの辺なのかすら分からないわけだ。
「それじゃあ、道なりにこのまま走り続けて、私が『ストップ』って言ったところでしてください」
「え?いいの?」
「はい。よろしくお願いします。おじさん」
目隠しのままのみのりは、適当にペダルを漕ぎ続けた。正直言えば、距離としてどのくらい走ったのか、全然分からない。
というより、まったく移動していない感覚さえあった。
(あ、またハンドルを曲げた……けっこう急カーブだったのかな)
と、膣内のディルドの感触で判断する。
ディルド自体は後部座席と繋がっていて、ハンドルは前部座席と連動している。なので、曲がった方向だけは分かる――のだが、実際には軽く道なりに曲がっただけだ。
それを急カーブだと勘違いしてしまうのは、膣内が敏感だからか、あるいは逆にぬるぬる過ぎて分かりにくいのか。
(んっ。あ、またスリップしちゃったかな?)
と、ペダルが軽くなるたびに、車輪が滑ったことを疑ってしまう。実際は滑っているわけでは無い。おじさんが地面を蹴ったりして、アシストしてくれているのだ。
角度も、距離感も狂ったみのり。その感覚では、まだ造船所の近くの山の中を、ぐるぐると回っているような気分だった。
(もしかしたら、造船所の敷地内に戻ってきてたりして。にゃははっ)
せっかくの全裸も、卑猥な落書きも、少し拍子抜けである。みのりにとって、そのあたりは庭のようなものだ。いつも全裸散歩に使っているせいか、怖くない。
なので、
「おじさん。この辺でいいです」
「え?ここで?」
「はい。私のおまんこ、ガンガンついてください」
自分からおねだりするのは、みのりにとって恥ずかしい事だった。だからこそ、はっきりと口に出して言う。そのほうがエッチな気分になれるからだ。
一度は乾いた膣も、再び濡れ始める。挿入されたまま張り付いたようなディルドが、そっと動き出した。
「んっ……」
「大丈夫?つらかったり、気持ち悪かったりしたら言ってね。止めるから」
「だ、大丈夫です。もう、気持ちいいですから」
「そう?じゃあ、もう少し動かすね」
――この時、みのりは本当に、遠くまで来た自覚が無かった。なので、いま自分がいる場所を、大きく間違えていたのだ。
おじさんは周囲を警戒しながらも、ペダルを漕ぐ。こんな気分で自転車を漕ぐのは初めてだ。
おじさんの乗っている後部座席のペダルは、車輪ではなく、みのりのディルドと直結している。ペダルを一回転させると、ディルドは一往復。
「んっ、んっ、んっ、んんっ!」
みのりの膣がどの程度の締め付けをしているのか、それはおじさんには分からない。ただ足漕ぎの力は想像より強いはずだし、みのりのおまんこもどんどん濡れてきていた。つまりペダルは、抵抗もなくするすると回る。
(これなら、もっと速く回せるかな)
そう思ったおじさんは、本気でペダルを回転させる。
「あっ。あ、あ、あ、あああん。い、イク。イキます。いっかいめっ――」
10回イクまで続ける。そんなチャレンジの、記念すべき1回目。本当ならもっと我慢できたみのりは、それでも自分からわざと力を抜いて、気を緩めることで絶頂に達した。1回目から本気を出し過ぎたら、身体が持たない。
軽くイクだけ。あくまでちょっとだけ。
そう思っていたのだが、最後の方で急に速くなったディルドが、思ったより深く快楽を与えてくれる。
「あ、ああんっ!ん、こ、声、出しても大丈夫、ですか?」
周囲の状況が分からないみのりは、おじさんに聞くしかない。おじさんは周囲を見渡して、人の影が無い事を確認してから答えた。
「大丈夫だよ。……って、もう終わった?」
「は、はい。でも、大丈夫って分かって良かったです。次から、イク時は大きな声を出してもいいんですね」
「ああ、ヤバかったら教えるよ。間に合えば、だけど」
「えへへ。分かりました」
この見つかるかどうか分からないスリルも、野外露出の醍醐味である。おじさんが見張ってくれているおかげで、いつもよりも大胆になれるのも、気持ちよかった。
呼吸を整えたおじさんが、まだ呼吸を整えている途中のみのりを突き上げる。自転車を漕いで息切れしたおじさんの方が、絶頂を迎えて息切れしているみのりよりも早く回復するようだ。
おじさんは上体を少し倒して、みのりの乳房を揉もうとする。その指先が、かるく乳首に当たってしまった。
「あんっ!?あ、あああああっ――!!に、にかいめっ。にかいめぇえあ」
いつもの彼女の声より、さらに1オクターブほど高い喘ぎ声が響く。空気の澄み渡る冬の夜空に、その美しいソプラノはどこまでも響いた。
「にゃはーっ。はー、はー、はー……んっ。不意打ち、気持ちいいです。ありがとうございます」
「今の、そんなに良かったの?まだあんまり触ってないけど?」
「はい。私、もみもみされるより、ドキドキさせられる方が気持ちいいんです」
触られた乳首に、まだ軽く熱が残っている。みのりの肌はもう冷たくなっていて、そこにおじさんが触れるだけで、火傷しそうな錯覚を得られた。
その熱さが、あまりにも気持ちよかったのだ。
「揉まれるより、こうして触られるだけの方が、好きかい?」
おじさんが乳首をくるくると、指先で回すように弄ぶ。もちろん、気持ちいい。
「んっ。気分が高ぶってきたから、何されても、気持ちいいです。やさしくなでなでされるのも、むぎゅーってもみもみされるのも、くすぐられるのも、引っ張られるのも、なんでも好き……」
「なんでもいいの?みのりちゃん、本当に変態なんだね」
おじさんの声は、だんだん熱を帯びて、ねっとりとしてきた。どっちが変態だか分からなくなるほど、彼も楽しくなってきている。
そんな状況が、みのりは好きだった。よく知らないおじさんに全てをゆだねて、玩具みたいに扱われるのが、みのりの理想だ。
「おじさんの好き勝手にされるのが、一番気持ちいい、です」
その後、おじさんに本気で弄り回されたせいで、3回目の絶頂までは大して時間もかからなかった。
「ちょっとディルドを交換してみようか」
おじさんがそう言って、みのりの膣内にささっていたディルドを外した。硬めの木材で作られた、男性器を模したスタンダードな形状だ。軽く右にひねると、下からストンと引き抜ける。
「ぬるぬるだね。ちょっと白いのも付いてるよ」
「ご、ごめんなさい。私、気持ちよくなると我慢できなくて……」
さっきまでディルドをごっそり入れ続けていたおまんこは、簡単には閉じてくれない。自分の意思で閉じられるものでもない。そこに風が吹き込んで、ぬるぬるした表面を冷やしていく。全身に鳥肌が立つほどゾクゾクした。
「それじゃ、これにしようかな」
いくつかあるディルドは、どれも挿入部の形が違っていて、しかしこの自転車に共通で取り付けられる設計になっていた。その中からおじさんが選んだのは、えげつないほどのトゲトゲが付いたものだ。
よく木材でこんな形を削り出すものだと、まずは工作技術に関心する。そしてそれを挿入する勇気と好奇心にも、だ。既にそのディルドは、何度か使われている形跡があった。
それを、みのりの中に入れていく。
「みのりちゃん、痛かったら言ってね」
「は、はい……」
たくさんあるディルドのうち、どれが選ばれたのか。それは目隠しをしているみのりには見えない。ただ、入ってくるとき、感触で察した。
「あ、トゲトゲのやつですね。私も好きですよ。気持ちいい」
「気持ちいいの?痛いとかじゃなくて?」
おじさんが驚きの声を上げるが、みのりはくすくすと笑った。
「私も、とっても痛いのを作ろうと思って削り出したんですけど、実際には当たる面積が少なくて、あんまり痛くないんです。膣圧で刺さるものでもないですし、爪が伸びた人の指とかに比べると、あんまり……」
痛いのを作ろうと思った、という時点でかなりおかしいが、確かに思ったほどのダメージは無いらしい。えぐい形の鋭利な棘は、先端を膣壁に押し付けるだけにとどまり、その先まで食い込まない。
「本当に、平気そうだね」
「はい。あ、でも……たまに私の内側にある凹凸に引っかかると、ちょっと痛いです。基本的に優しい刺激なので、たまにガリッって不意打ちされると驚いちゃったりして――」
柔らかく擦られる感触に、たまに引っかかる気持ちよさ。今までのディルドより当たる面積が狭い分、より動いている感じが分かりやすい。おじさんが頑張ってペダルを漕いでくれているのも、とてもよく感じる。
優しい痛みとムズムズする刺激が、4回目の絶頂を運んできた。
「それじゃあ私、4回目……イキますね」
声を我慢できないほどの気持ちよさではない。それでも、自分でオナニーするときとは別格の、贅沢な絶頂。それを静かに味わったみのりは、より気分を高めるのだった。
その後は、ディルドを交換しながら遊んで、絶頂10回を目指していた。みのりはイキやすい時で3分もかからず、イキにくい時でも5分程度で、身体を震わせていた。
ディルドの形状を変えるたびに、彼女の反応は変わった。
みのりが素直に気持ちよさそうだったのは、螺旋状の溝が彫られたモデルを使った時。溝のおかげで動きがよく分かり、優しい刺激と挿入感が気持ちいいらしい。これだけでも3回はイった。
半面、一番痛そうだったのが、麻縄が巻き付いているモデル。一見そんなに痛そうに見えないのだが、荒い縄の感触がゴリゴリと膣内を削り、摩擦熱が火傷しそうなほどに膣内を熱くするらしい。
分泌する粘液も吸収してしまうため、より痛みを強くするのだ。なので、
「私もっ、それで絶頂するの、初めてです……自分で使ってると、いつも痛くて途中でやめちゃうから――」
「ああ、痛いならやめようか?」
「つ、続けてください。こんな時じゃないと、こんなに痛いの、味わえないから……あっ。ああああああっ!!」
喘ぎ声と叫び声の中間のような、大きな声が響く。おじさんはその調子を心配しながらも、ゆっくりとペダルを漕ぎ続けた。
みのりの身体を心配しているからこその、ゆっくりと様子を見るようなペダリング。それがじつは彼女にとって、ランダムな刺激となって、より感覚を敏感にさせてくれる。
いつ、次の強い刺激が来るのか分からない。それを警戒すればするほど、痛みを強く感じるようになる。そして、その奥にある気持ちよさも――
「イっ、イクっ!!いやぁああああっ」
それが、9回目の絶頂だった。
「さて、次で10回目だね」
おじさんが言うと、みのりは小さく頷いた。
「じゅ、10回って……意外と大変ですね」
「そうだね。やっぱり、9回でやめとく?」
「ここまで来て、そんなの、酷いですよ」
「そうだよね」
10回目を目前にして、もう終わるという選択肢はお互いに無かった。おじさんとみのりは、お互いに笑い合う。
とはいえ、これ以上この縄付きディルドを使うのは可哀そうだ。みのりも泣いているようだった。目隠しのせいで涙は分かりにくいが、鼻水も垂れてきているし、歯もガチガチと鳴っている。――まあ、痛みのせいか気持ちよさのせいかは分からないが。
「それじゃ、次はこの形のディルドを……あれ?」
「どうしたんですか?」
「いや、これ、使い方が分からなくてさ」
特殊な形状をしたディルドだった。ヘラクレスオオカブトというカブトムシを知っている人なら、その角をイメージしてもらえると解りやすいだろう。
ディルド本体の横からもう一本、細いツノのようなものが突き出ている。その内側はブラシのように、ぞろりと繊維質の何かが生え揃っていた。
「えっと、どんな形のディルドですか?」
「いや、えっと、上手く答えられないんだけど……ちょっと見てくれる?」
「あ、はい。それじゃ、目隠しを取ってください。私が確認してみます」
縛られているせいで身動きの取れないみのり。その目隠しを、おじさんが外す。そして彼女の目の前に、その問題のディルドを持って行った。
「これなんだけどさ」
「あ、それですね。私のお気に入りなんです。クリトリスをざわざわって擦ってくれるブラシ付き」
「あ、そういう使い方なんだ」
「はい。ブラシの方は挿入しないで、おまんこの前の方に当ててください。それで……」
言いながら、みのりは見てしまった。
自分の、現在地を――
「え?」
てっきり、まだ造船所の近くにいると思っていた。なんなら敷地の中から出ていない可能性さえ、濃厚だと思っていた。
そんなみのりが見たのは、
「駅前……」
「うん。みのりちゃんが『ストップ』って言ったところだよ」
夜でも街灯がたくさんあって、近くに様々な店や民家が並ぶ、田舎の駅。西に行けば、みのりたちがやってきた海へと続く遊歩道。東に行けば商店街。南には住宅街がある。
そんな、とても人通りが多いはずの場所。その駅のド真ん前に、みのりの座る自転車があった。
「――!!」
急に、恥ずかしさが込み上げてくる。いくら夜中の全裸散歩を趣味としているみのりでも、こんな遠くまで来たことはない。そもそもこんなところに来たら見つかると思っていたので、来る候補にも考えたことが無かった。
そんなエリアに、さっきからずっと――
「も、もしかして、私が『10回イクまで』って言ってから、ずっと?」
「うん。そうだよ。もう1時間くらいいるね」
と、おじさんは自分の脚を軽くさすりながら言った。さすがに1時間もペダルを漕いでいたので、疲れたのだろう。休み休みだったとはいえ、普段は自転車に乗らないおじさんだ。
そんなことよりも、
「わ、私、いつもみんなが通学に使う駅前で、こんな……」
おじさんを見たみのりは、歯をガチガチと鳴らしながら、
にやりと、笑った。
「おじさん、ありがとうございます」
「え?」
「だって、私一人だったら、こんな大胆なエッチ、出来なかった、です。だから、おじさんのおかげで、とっても素敵な思い出が出来ました」
そう言ったみのりは、少しだけ脚を開く。蝋燭にも街灯にも照らされた裸体を、惜しげもなく町中に見せてしまう。
「最後の10回目。ここでイかせてください。お願いします」
「そ、そう?……まあ、喜んでもらえてよかったよ。それじゃあ、やるかい」
おじさんが、そっとブラシ付きディルドを取り付ける。膣内に再び、太めの木製ディルドが入ってくる感触……。
「んっ。気持ちいい、です」
荒縄ディルドのせいで細かく擦り傷がついた膣内に、ヒリヒリと電流にも似た刺激が流れる。クリトリスにも、硬めの毛が生えたブラシが当たった。その毛先の尖った感触が、ざわざわと柔らかくクリトリスを擦る。
「んんんん――」
今までこれといって刺激を受けてこなかったクリが、突然の強い刺激とくすぐったさにさらされる。とても痒くてたまらない。もし手を縛られていなかったら、すぐに赤くなるまで掻きむしっていただろう。
しかし、これはまだ挿入されただけ。つまりパーツをセットしただけの状態だ。
ここからさらにペダリングが始まる。上下のピストン運動で、みのりの膣内とクリトリスの両方が擦られるのだ。
「お、お願いします。おじさん……」
「うん?」
「私が、何を言っても、イクまで止めないで」
おじさんはみのりの言う通り、彼女が絶頂を迎えるまで、ペダルを回し続けた。そろそろ脚も痛くなってくるが、それでも頑張れる。
彼女が身もだえながら、苦しそうに気持ちよさそうに暴れる姿は、それほど価値のあるものに感じられたのだ。願わくば、ずっとその姿を見ていたいと、そしてずっとその声を聴いていたいと思う。
「あ、ああっ!!――はぁっ!――はぁっ!――あ、ああああっあっあっ!?」
痒さと気持ちよさで、みのりは発狂しそうだった。縛られた上体をもぞもぞと動かし、脚もバタバタと空中に振り回す。そのたびに腕や胴体を押さえている縄が食い込み、脚に絡まっている縄も擦れる。
(ダメ、ダメっ……こんなに暴れたら、ご近所さんに気づかれちゃう、のにっ……)
終電はとっくに過ぎて、近隣の飲み屋も閉まった後だ。とはいえ、近所のコンビニは24時間営業で、その看板はここからでもわずかに見える。
そのうち新聞配達の人たちが動き出す時間でもある。長居するのは本当に危険だろう。
(早くっ、じゅっかいめ……イかなきゃ――)
そう思っているのに、身体は素直じゃなかった。
あまりに非日常的な状況と、初めて味わうほどの快楽。それらが簡単には終わらせてくれない。
(今、イったら――私、多分、死んじゃう)
みのりは無意識に、強く歯を食いしばった。力が入っているのかいないのか分からない頬は、緩んでいるのか引きつっているのか分からない形に歪む。きっと、満点の笑顔だろう。
(いや……いやっ!やっぱりストップ。おじさん、止めて――)
前言を撤回しようとした。でも、声が上手く出せない。
「んんんんっ!んー。んーっ!!」
自分の声とは思えないほど高い、笛のような声は出せる。それが言葉としては出てこない。きちんと発音できない。
「そんなに気持ちいいのかい?それじゃ、俺も張り切っちゃおうかな」
おじさんが気を利かせて、ペダルを全力で漕いでくれた。最後の体力を振り絞るような、激しいペダリングだ。
回転させると言うより、蹴り飛ばすようなペダルの回し方。そのせいでディルドが不安定に動く。
「んんんんんんんん!?」
一気に奥まで入って来たかと思ったら、突然止まる。
また動き出したとたんに、一番奥をズドンと突き上げて、その勢いのまま急激に引き抜かれる。
そしてまた一瞬止まり、再び奥まで挿入される。
そのたびにクリトリスのブラシも動き回り、肝心のクリやそのフードを擦り上げた。下から上に皮をめくり、裏側を擦る強い刺激。そして上から下に先端を撫でつけ、広い面積を擦る心地よい刺激。
それらが波を作って、みのりの頭の中をかき回す。くすぐったさと痒さと痛みがあふれ出して、気持ちいいという感情を忘れそうになる。
今のみのりにとって、何をどうされても気持ちよかった。
――10回目の、絶頂が来る。
溜めに溜めたその気持ちよさが、ついに我慢の限界に達して、彼女を天国へと連れていく。
「ぁ――」
うっすらと開けた目に、夜の駅前の光景がチカチカと映る。その実像に、みのりの記憶にある昼間の光景が、幻覚として重なった。
電車が来るのを告げるアナウンス。商店街で買い物をする人たち。休日になれば、大人も子供も何人かで集まって、市街地に行く電車に乗り込んでいく。
そんな場所で、みのりは身体を晒して、一番恥ずかしい顔を見せている。いや、これから見せる。
絶頂の瞬間を――
「っ――――!!」
残された力を全部使い切るかのように、みのりの身体は跳ね上がった。縄で縛られているとか、そんなことを無視するように……
そして、
「みのりちゃん!?」
まるで、静かに眠るように、
彼女はまったく、動かなくなった。
身体が小刻みに揺さぶられるのが分かった。路面からの突き上げだ。
「……え?」
みのりがペダルから足を離した後も、自転車は少しずつ動き続けていた。その場所が下り坂だったこともあり、車体は徐々に加速していったのだ。
ブレーキも何も付いていないこの車体は、一度でもスピードに乗るとそれなりの速度を出せてしまう。なんせ車体重量が重いうえに、おじさんと二人乗りだ。
「ひっ……い、いやぁぁぁああああん!」
木材から削り出された車輪は、思った以上に硬い。それがゴロゴロと大きな音を立てながら、小刻みに振動する。アスファルトの表面がざらざらしているせいだ。
ちょうど絶頂を迎えようとしていたみのりの身体は、その振動にさらされて大変なことになっていた。車体と触れている背中やお尻が痒くなり、一方で振動の影響を受ける胸にはローターでも当てられたような震えが伝わる。それも、全体に、
(私の身体が、ローターになったみたい……ひぅんっ!こ、こんなの、耐えられないっ)
かっちりとロープで縛られた体の、ほぼ唯一解放されている乳房が、高速でぶるぶると揺れる。その振動が奥の方……普段は揉まれても届かないくらい、深いところまで刺激する。
まるで初めて胸を揉まれたときのような気持ちが……あのくすぐったいような痛いような、気持ちいいのか悪いのか判断できない気持ちが、頭の中を埋め尽くしていく。
(まだっ――まだ、軽くイって体調を整えるだけのつもりだったのに……)
思った以上に強く、深く、快楽に振り回されてしまう。もうこうなったら、オナニー熟練のみのりにも制御できなかった。
「やぁっ!は、はぁぁぁあああんっ!!」
「ちょっと。声が大きいって」
後ろにいるおじさんが、みのりの耳元で呼びかける。しかし、みのりはイクのを止められない。彼女の股間からは絶え間なく、独特の匂いを放つ液体が飛び散っていた。
蝋燭の火は風に揺れて、怪しく妖艶に彼女を照らし出す。遠くからはさぞ異様な光景に見えただろう。もっとも、こんな時間に起きている人がいれば、の話だが。
下り坂に任せて転がっていた自転車は、ついに平地へと到達し、あっというまに路面との摩擦抵抗で止まった。
「はぁ――はぁ――っはぁ――はぁ――はぁ――」
漕ぎ手であるみのりは、脚をぶらんと投げ出して放心している。もし麻縄で縛っていなければ、きっと途中で体勢を崩して転げ落ちていただろう。
おじさんは、そんなみのりを気遣いながらも、周囲を警戒する。もうどっちの心配をすればいいのか分からないところまで来てしまった。
「ここは……」
海辺の公園である。つい数日前、みのりが見知らぬ男性4名と遭遇し、乱交したところだ。
もっとも、みのりはまだ目隠しをつけているせいで、自分がそんなとこまで来ていることを知らない。仮に目隠しを外したとしても、今は正常な判断が出来ない状態でもある。
おじさんは考える。
(少し休もうか……と言いたいけど、この状況で少しでも同じ場所にとどまるの、怖いなぁ)
周囲の民家は、ちらほらと明かりもついている。距離も遠いので見つからないだろうし、そもそも明かりをつけたまま寝ている人かもしれないが、
(通報が入る可能性は、同じ場所にとどまる時間と比例するような気がするぞ……)
仕方ない。みのりが漕がないと動かないのだから、これはみのりを起こすしかないだろう。
おじさんは、そっと彼女の口をふさいだ。
「んぐぅっ!?」
まだ声と吐息の中間くらいを垂れ流していたみのりは、突然後ろから口をふさがれて驚いた。と同時に、いまは声を出しちゃいけないのだという状況だけは理解する。
「みのりちゃん。静かにして――」
おじさんの囁き声が、耳元にそっと届いた。耳に顔を寄せた時、おじさんがペダルを間違って踏み込んだのだろう。それに連動しているディルドが、みのりの子宮を上へと突き上げる。
(――!?)
麻縄でお腹が圧迫されているため、内臓は逃げ場がない。下から突き上げられて上に行こうとする子宮は、腸などの臓器に押さえつけられて、全ての方向から圧力をかけられる。
上の口も、下の口も苦しい。胴体の中に入っているすべてが、一度に揉まれているような気分だ。真綿で締め付けられるような……いや、その真綿の中に包まれたまま圧縮されるような、酷い状況だった。
(おじさん……何を――?)
遠のく意識の中で、おじさんの声に意識を集中する。
「みのりちゃん、今、向こうで人が動いたように見えたんだ」
(え?)
「もしかしたら、見つかったかもしれない。静かにしててね」
(静かにって……でも、こんなに蝋燭で照らされてたら、絶対に見つかっちゃう)
目隠しによって視覚を奪われているとはいえ、ぼんやりと明るさだけは分かる。蝋燭の火は風に揺れて、みのりの身体を照らしているのが感じられた。火をつけている都合上、その周りの空気も暖かい。12月の冷たい空気の中では、特に強く感じられた。
(見つかっちゃう。私、ついに見つかっちゃう……)
エッチな気分と、本気の恐怖。その境目はどこだろう?
みのり自身にも答えは出せないが、はっきりと言える。今は恐怖の方が強い。
先ほどまでの絶頂の余韻も消え失せて、喉は息が止まりそうなほど跳ね上がる。火照っていた身体が急激に冷えて、肌は寒さをより鮮烈に感じ始める。
あんなに気持ちよかったはずの縄も、急に痛みだけが増していく。幸せで痺れていた脳内も、冷たいブラックコーヒーを流されたように一瞬で覚めた。
露出狂の変態少女みのり、ではなく――
普通の女子高生みのり、に、戻ってしまう。
「やだ……」
小さく、みのりが呟く。その声は手で覆われてくぐもっていたため、おじさんは聞き取れなかった。ただ、口元の動きが何かを訴えたがっていることくらいは理解できる。
「ん?ど、どうしたの?」
おじさんが手を離した。すると、みのりは小さく嗚咽を漏らしながら、まるで子供のような声音で言うのだ。
「やだ。私、見つかりたかったわけじゃない……助けて。お父さん!ごめんなさい。おとーさーん……んっ」
感情が暴走したせいか、みのりはおしっこを漏らしながら泣きだしてしまった。それなりの高さから流れるおしっこは、地面に当たってびちゃびちゃと大きな音を立てる。地面に当たっては跳ね返り、泡立ちながら流れていく。かなりの量だ。
「ああ、ごめんごめん。大丈夫だよ。冗談だって」
おじさんは慌てて、みのりに言い聞かせた。
「冗談?」
「うん。みのりちゃんが動かなくなったから、どうやったら走ってくれるかな?って、俺なりに考えた結果だったんだよ。見られてるって言えば、逃げるために走ってくれるかと思って――」
そういうと、みのりはため息を一つ吐いた。呆れや怒りによるものか、それとも安心からくるものか、おじさんには分からない。多分みのり自身にも分からないだろう。
ただ、冷静さを取り戻した彼女は、屈託なく笑って見せた。
「おじさん、私をいじめるの、上手ですね」
「え?いや、いじめるだなんて」
「ふふふっ。分かってます。悪気は無かったんですよね。私が本当に見つからないように、しっかり考えてくれたのも分かります」
そっと、自転車が進み始める。みのりがペダルを漕ぎ始めたのだ。今までのような荒っぽいフォームではなく、かなり綺麗に、冷静に走り出す。
エッチな気分じゃなくなったからこそ、本気で走ることが出来るようになった、という事だろう。状況は変わってないのに、みのりの気分次第でこの自転車は走りを変える。
「ねえ、おじさん。お願いがあるんです」
「お願い?」
「はい。わがままですけど、ふたつ」
「……なんでも言ってみて」
おじさんは、とりあえず道なりに自転車を走らせる。といっても、ハンドルを握って道から逸れないようにするだけだが。
ゴロゴロと大きな音を立てて回る車輪は、左車線をしっかりキープレフトして走っていった。その自転車の上で、二人の会話は続く。
「ひとつ目のお願い。私を怖がらせていじめる時は、今みたいに、すぐ種明かししてください。そしたら、私もパニックにならないし、怒ったりしないです」
いじめられることが嫌なわけではない。むしろ、程よくいじめてほしいのは本音だった。
それでも、あんまりひどいと耐えられない。特に、痛いとか恥ずかしいとかのいじめは好きだけど、怖いとか無視されるとかのいじめは嫌いだ。やるならちゃんと、関心をもって虐めてほしい。今みたいに、だ。
そういう意味では、みのりは今、かなり上機嫌だった。なんだかんだで結果的には、おもらしするほど気持ちのいいいじめを受けたことになるわけだ。偶然とはいえ絶妙な加減のいじめで、みのりはむしろスッキリとしていた。
「ふたつ目のお願いです」
「ああ……なんだい?」
おじさんが訊くと、みのりは悪戯っぽい笑い方で喉を鳴らした。
「えっと、私のおまんこに、せっかくディルドが入っているわけですし……これで、私をイかせてください。10回」
「10回!?」
みのりとしては、せっかくのエッチな夜を、さっきいじめられただけで終わりたくない。とはいえ、あまりの怖さのせいで、一度エッチな気分が消えてしまったのも事実だった。
それなら、もう一回エッチな気分になればいい。
そのためにも、膣内を思いっきりかき回してほしいと願うのは、みのりの理屈では普通の事だった。
「ダメ、ですか?」
みのりが坂道を軽く登りながら訊く。ちなみに、きちんと坂道を登れるのは、みのりの力が強いからというだけの理由ではない。
おじさんはちゃっかり座席を降りて、後ろから車体を押していた。そのため、みのりとしては平地を走るよりも軽い走り心地でペダルを漕げている。
「その……女の子が10回イクって感覚は、おじさんには分からないけどさ。そんなことして、身体は大丈夫なの?」
「はい。さすがに本気で我慢してドカン!っておっきくイクのは、1回でも大変ですけどね。ちゃんと加減しながら無理せずイクので、10回くらい平気ですよ。すぐです」
「そ、そうなんだね」
おじさんからしたら、今の話でますます共感しづらくなった。そもそも大きくイクとか無理せずイクとか、そんなバリエーションがあることを理解できない。
「あー、それで、その10回イクまでっていうのは、どこらへんでやるの?」
おじさんが念のため、場所を確認する。
まあ、そうは言われても、みのりは目隠しをしているわけだから、現在地がどの辺なのかすら分からないわけだ。
「それじゃあ、道なりにこのまま走り続けて、私が『ストップ』って言ったところでしてください」
「え?いいの?」
「はい。よろしくお願いします。おじさん」
目隠しのままのみのりは、適当にペダルを漕ぎ続けた。正直言えば、距離としてどのくらい走ったのか、全然分からない。
というより、まったく移動していない感覚さえあった。
(あ、またハンドルを曲げた……けっこう急カーブだったのかな)
と、膣内のディルドの感触で判断する。
ディルド自体は後部座席と繋がっていて、ハンドルは前部座席と連動している。なので、曲がった方向だけは分かる――のだが、実際には軽く道なりに曲がっただけだ。
それを急カーブだと勘違いしてしまうのは、膣内が敏感だからか、あるいは逆にぬるぬる過ぎて分かりにくいのか。
(んっ。あ、またスリップしちゃったかな?)
と、ペダルが軽くなるたびに、車輪が滑ったことを疑ってしまう。実際は滑っているわけでは無い。おじさんが地面を蹴ったりして、アシストしてくれているのだ。
角度も、距離感も狂ったみのり。その感覚では、まだ造船所の近くの山の中を、ぐるぐると回っているような気分だった。
(もしかしたら、造船所の敷地内に戻ってきてたりして。にゃははっ)
せっかくの全裸も、卑猥な落書きも、少し拍子抜けである。みのりにとって、そのあたりは庭のようなものだ。いつも全裸散歩に使っているせいか、怖くない。
なので、
「おじさん。この辺でいいです」
「え?ここで?」
「はい。私のおまんこ、ガンガンついてください」
自分からおねだりするのは、みのりにとって恥ずかしい事だった。だからこそ、はっきりと口に出して言う。そのほうがエッチな気分になれるからだ。
一度は乾いた膣も、再び濡れ始める。挿入されたまま張り付いたようなディルドが、そっと動き出した。
「んっ……」
「大丈夫?つらかったり、気持ち悪かったりしたら言ってね。止めるから」
「だ、大丈夫です。もう、気持ちいいですから」
「そう?じゃあ、もう少し動かすね」
――この時、みのりは本当に、遠くまで来た自覚が無かった。なので、いま自分がいる場所を、大きく間違えていたのだ。
おじさんは周囲を警戒しながらも、ペダルを漕ぐ。こんな気分で自転車を漕ぐのは初めてだ。
おじさんの乗っている後部座席のペダルは、車輪ではなく、みのりのディルドと直結している。ペダルを一回転させると、ディルドは一往復。
「んっ、んっ、んっ、んんっ!」
みのりの膣がどの程度の締め付けをしているのか、それはおじさんには分からない。ただ足漕ぎの力は想像より強いはずだし、みのりのおまんこもどんどん濡れてきていた。つまりペダルは、抵抗もなくするすると回る。
(これなら、もっと速く回せるかな)
そう思ったおじさんは、本気でペダルを回転させる。
「あっ。あ、あ、あ、あああん。い、イク。イキます。いっかいめっ――」
10回イクまで続ける。そんなチャレンジの、記念すべき1回目。本当ならもっと我慢できたみのりは、それでも自分からわざと力を抜いて、気を緩めることで絶頂に達した。1回目から本気を出し過ぎたら、身体が持たない。
軽くイクだけ。あくまでちょっとだけ。
そう思っていたのだが、最後の方で急に速くなったディルドが、思ったより深く快楽を与えてくれる。
「あ、ああんっ!ん、こ、声、出しても大丈夫、ですか?」
周囲の状況が分からないみのりは、おじさんに聞くしかない。おじさんは周囲を見渡して、人の影が無い事を確認してから答えた。
「大丈夫だよ。……って、もう終わった?」
「は、はい。でも、大丈夫って分かって良かったです。次から、イク時は大きな声を出してもいいんですね」
「ああ、ヤバかったら教えるよ。間に合えば、だけど」
「えへへ。分かりました」
この見つかるかどうか分からないスリルも、野外露出の醍醐味である。おじさんが見張ってくれているおかげで、いつもよりも大胆になれるのも、気持ちよかった。
呼吸を整えたおじさんが、まだ呼吸を整えている途中のみのりを突き上げる。自転車を漕いで息切れしたおじさんの方が、絶頂を迎えて息切れしているみのりよりも早く回復するようだ。
おじさんは上体を少し倒して、みのりの乳房を揉もうとする。その指先が、かるく乳首に当たってしまった。
「あんっ!?あ、あああああっ――!!に、にかいめっ。にかいめぇえあ」
いつもの彼女の声より、さらに1オクターブほど高い喘ぎ声が響く。空気の澄み渡る冬の夜空に、その美しいソプラノはどこまでも響いた。
「にゃはーっ。はー、はー、はー……んっ。不意打ち、気持ちいいです。ありがとうございます」
「今の、そんなに良かったの?まだあんまり触ってないけど?」
「はい。私、もみもみされるより、ドキドキさせられる方が気持ちいいんです」
触られた乳首に、まだ軽く熱が残っている。みのりの肌はもう冷たくなっていて、そこにおじさんが触れるだけで、火傷しそうな錯覚を得られた。
その熱さが、あまりにも気持ちよかったのだ。
「揉まれるより、こうして触られるだけの方が、好きかい?」
おじさんが乳首をくるくると、指先で回すように弄ぶ。もちろん、気持ちいい。
「んっ。気分が高ぶってきたから、何されても、気持ちいいです。やさしくなでなでされるのも、むぎゅーってもみもみされるのも、くすぐられるのも、引っ張られるのも、なんでも好き……」
「なんでもいいの?みのりちゃん、本当に変態なんだね」
おじさんの声は、だんだん熱を帯びて、ねっとりとしてきた。どっちが変態だか分からなくなるほど、彼も楽しくなってきている。
そんな状況が、みのりは好きだった。よく知らないおじさんに全てをゆだねて、玩具みたいに扱われるのが、みのりの理想だ。
「おじさんの好き勝手にされるのが、一番気持ちいい、です」
その後、おじさんに本気で弄り回されたせいで、3回目の絶頂までは大して時間もかからなかった。
「ちょっとディルドを交換してみようか」
おじさんがそう言って、みのりの膣内にささっていたディルドを外した。硬めの木材で作られた、男性器を模したスタンダードな形状だ。軽く右にひねると、下からストンと引き抜ける。
「ぬるぬるだね。ちょっと白いのも付いてるよ」
「ご、ごめんなさい。私、気持ちよくなると我慢できなくて……」
さっきまでディルドをごっそり入れ続けていたおまんこは、簡単には閉じてくれない。自分の意思で閉じられるものでもない。そこに風が吹き込んで、ぬるぬるした表面を冷やしていく。全身に鳥肌が立つほどゾクゾクした。
「それじゃ、これにしようかな」
いくつかあるディルドは、どれも挿入部の形が違っていて、しかしこの自転車に共通で取り付けられる設計になっていた。その中からおじさんが選んだのは、えげつないほどのトゲトゲが付いたものだ。
よく木材でこんな形を削り出すものだと、まずは工作技術に関心する。そしてそれを挿入する勇気と好奇心にも、だ。既にそのディルドは、何度か使われている形跡があった。
それを、みのりの中に入れていく。
「みのりちゃん、痛かったら言ってね」
「は、はい……」
たくさんあるディルドのうち、どれが選ばれたのか。それは目隠しをしているみのりには見えない。ただ、入ってくるとき、感触で察した。
「あ、トゲトゲのやつですね。私も好きですよ。気持ちいい」
「気持ちいいの?痛いとかじゃなくて?」
おじさんが驚きの声を上げるが、みのりはくすくすと笑った。
「私も、とっても痛いのを作ろうと思って削り出したんですけど、実際には当たる面積が少なくて、あんまり痛くないんです。膣圧で刺さるものでもないですし、爪が伸びた人の指とかに比べると、あんまり……」
痛いのを作ろうと思った、という時点でかなりおかしいが、確かに思ったほどのダメージは無いらしい。えぐい形の鋭利な棘は、先端を膣壁に押し付けるだけにとどまり、その先まで食い込まない。
「本当に、平気そうだね」
「はい。あ、でも……たまに私の内側にある凹凸に引っかかると、ちょっと痛いです。基本的に優しい刺激なので、たまにガリッって不意打ちされると驚いちゃったりして――」
柔らかく擦られる感触に、たまに引っかかる気持ちよさ。今までのディルドより当たる面積が狭い分、より動いている感じが分かりやすい。おじさんが頑張ってペダルを漕いでくれているのも、とてもよく感じる。
優しい痛みとムズムズする刺激が、4回目の絶頂を運んできた。
「それじゃあ私、4回目……イキますね」
声を我慢できないほどの気持ちよさではない。それでも、自分でオナニーするときとは別格の、贅沢な絶頂。それを静かに味わったみのりは、より気分を高めるのだった。
その後は、ディルドを交換しながら遊んで、絶頂10回を目指していた。みのりはイキやすい時で3分もかからず、イキにくい時でも5分程度で、身体を震わせていた。
ディルドの形状を変えるたびに、彼女の反応は変わった。
みのりが素直に気持ちよさそうだったのは、螺旋状の溝が彫られたモデルを使った時。溝のおかげで動きがよく分かり、優しい刺激と挿入感が気持ちいいらしい。これだけでも3回はイった。
半面、一番痛そうだったのが、麻縄が巻き付いているモデル。一見そんなに痛そうに見えないのだが、荒い縄の感触がゴリゴリと膣内を削り、摩擦熱が火傷しそうなほどに膣内を熱くするらしい。
分泌する粘液も吸収してしまうため、より痛みを強くするのだ。なので、
「私もっ、それで絶頂するの、初めてです……自分で使ってると、いつも痛くて途中でやめちゃうから――」
「ああ、痛いならやめようか?」
「つ、続けてください。こんな時じゃないと、こんなに痛いの、味わえないから……あっ。ああああああっ!!」
喘ぎ声と叫び声の中間のような、大きな声が響く。おじさんはその調子を心配しながらも、ゆっくりとペダルを漕ぎ続けた。
みのりの身体を心配しているからこその、ゆっくりと様子を見るようなペダリング。それがじつは彼女にとって、ランダムな刺激となって、より感覚を敏感にさせてくれる。
いつ、次の強い刺激が来るのか分からない。それを警戒すればするほど、痛みを強く感じるようになる。そして、その奥にある気持ちよさも――
「イっ、イクっ!!いやぁああああっ」
それが、9回目の絶頂だった。
「さて、次で10回目だね」
おじさんが言うと、みのりは小さく頷いた。
「じゅ、10回って……意外と大変ですね」
「そうだね。やっぱり、9回でやめとく?」
「ここまで来て、そんなの、酷いですよ」
「そうだよね」
10回目を目前にして、もう終わるという選択肢はお互いに無かった。おじさんとみのりは、お互いに笑い合う。
とはいえ、これ以上この縄付きディルドを使うのは可哀そうだ。みのりも泣いているようだった。目隠しのせいで涙は分かりにくいが、鼻水も垂れてきているし、歯もガチガチと鳴っている。――まあ、痛みのせいか気持ちよさのせいかは分からないが。
「それじゃ、次はこの形のディルドを……あれ?」
「どうしたんですか?」
「いや、これ、使い方が分からなくてさ」
特殊な形状をしたディルドだった。ヘラクレスオオカブトというカブトムシを知っている人なら、その角をイメージしてもらえると解りやすいだろう。
ディルド本体の横からもう一本、細いツノのようなものが突き出ている。その内側はブラシのように、ぞろりと繊維質の何かが生え揃っていた。
「えっと、どんな形のディルドですか?」
「いや、えっと、上手く答えられないんだけど……ちょっと見てくれる?」
「あ、はい。それじゃ、目隠しを取ってください。私が確認してみます」
縛られているせいで身動きの取れないみのり。その目隠しを、おじさんが外す。そして彼女の目の前に、その問題のディルドを持って行った。
「これなんだけどさ」
「あ、それですね。私のお気に入りなんです。クリトリスをざわざわって擦ってくれるブラシ付き」
「あ、そういう使い方なんだ」
「はい。ブラシの方は挿入しないで、おまんこの前の方に当ててください。それで……」
言いながら、みのりは見てしまった。
自分の、現在地を――
「え?」
てっきり、まだ造船所の近くにいると思っていた。なんなら敷地の中から出ていない可能性さえ、濃厚だと思っていた。
そんなみのりが見たのは、
「駅前……」
「うん。みのりちゃんが『ストップ』って言ったところだよ」
夜でも街灯がたくさんあって、近くに様々な店や民家が並ぶ、田舎の駅。西に行けば、みのりたちがやってきた海へと続く遊歩道。東に行けば商店街。南には住宅街がある。
そんな、とても人通りが多いはずの場所。その駅のド真ん前に、みのりの座る自転車があった。
「――!!」
急に、恥ずかしさが込み上げてくる。いくら夜中の全裸散歩を趣味としているみのりでも、こんな遠くまで来たことはない。そもそもこんなところに来たら見つかると思っていたので、来る候補にも考えたことが無かった。
そんなエリアに、さっきからずっと――
「も、もしかして、私が『10回イクまで』って言ってから、ずっと?」
「うん。そうだよ。もう1時間くらいいるね」
と、おじさんは自分の脚を軽くさすりながら言った。さすがに1時間もペダルを漕いでいたので、疲れたのだろう。休み休みだったとはいえ、普段は自転車に乗らないおじさんだ。
そんなことよりも、
「わ、私、いつもみんなが通学に使う駅前で、こんな……」
おじさんを見たみのりは、歯をガチガチと鳴らしながら、
にやりと、笑った。
「おじさん、ありがとうございます」
「え?」
「だって、私一人だったら、こんな大胆なエッチ、出来なかった、です。だから、おじさんのおかげで、とっても素敵な思い出が出来ました」
そう言ったみのりは、少しだけ脚を開く。蝋燭にも街灯にも照らされた裸体を、惜しげもなく町中に見せてしまう。
「最後の10回目。ここでイかせてください。お願いします」
「そ、そう?……まあ、喜んでもらえてよかったよ。それじゃあ、やるかい」
おじさんが、そっとブラシ付きディルドを取り付ける。膣内に再び、太めの木製ディルドが入ってくる感触……。
「んっ。気持ちいい、です」
荒縄ディルドのせいで細かく擦り傷がついた膣内に、ヒリヒリと電流にも似た刺激が流れる。クリトリスにも、硬めの毛が生えたブラシが当たった。その毛先の尖った感触が、ざわざわと柔らかくクリトリスを擦る。
「んんんん――」
今までこれといって刺激を受けてこなかったクリが、突然の強い刺激とくすぐったさにさらされる。とても痒くてたまらない。もし手を縛られていなかったら、すぐに赤くなるまで掻きむしっていただろう。
しかし、これはまだ挿入されただけ。つまりパーツをセットしただけの状態だ。
ここからさらにペダリングが始まる。上下のピストン運動で、みのりの膣内とクリトリスの両方が擦られるのだ。
「お、お願いします。おじさん……」
「うん?」
「私が、何を言っても、イクまで止めないで」
おじさんはみのりの言う通り、彼女が絶頂を迎えるまで、ペダルを回し続けた。そろそろ脚も痛くなってくるが、それでも頑張れる。
彼女が身もだえながら、苦しそうに気持ちよさそうに暴れる姿は、それほど価値のあるものに感じられたのだ。願わくば、ずっとその姿を見ていたいと、そしてずっとその声を聴いていたいと思う。
「あ、ああっ!!――はぁっ!――はぁっ!――あ、ああああっあっあっ!?」
痒さと気持ちよさで、みのりは発狂しそうだった。縛られた上体をもぞもぞと動かし、脚もバタバタと空中に振り回す。そのたびに腕や胴体を押さえている縄が食い込み、脚に絡まっている縄も擦れる。
(ダメ、ダメっ……こんなに暴れたら、ご近所さんに気づかれちゃう、のにっ……)
終電はとっくに過ぎて、近隣の飲み屋も閉まった後だ。とはいえ、近所のコンビニは24時間営業で、その看板はここからでもわずかに見える。
そのうち新聞配達の人たちが動き出す時間でもある。長居するのは本当に危険だろう。
(早くっ、じゅっかいめ……イかなきゃ――)
そう思っているのに、身体は素直じゃなかった。
あまりに非日常的な状況と、初めて味わうほどの快楽。それらが簡単には終わらせてくれない。
(今、イったら――私、多分、死んじゃう)
みのりは無意識に、強く歯を食いしばった。力が入っているのかいないのか分からない頬は、緩んでいるのか引きつっているのか分からない形に歪む。きっと、満点の笑顔だろう。
(いや……いやっ!やっぱりストップ。おじさん、止めて――)
前言を撤回しようとした。でも、声が上手く出せない。
「んんんんっ!んー。んーっ!!」
自分の声とは思えないほど高い、笛のような声は出せる。それが言葉としては出てこない。きちんと発音できない。
「そんなに気持ちいいのかい?それじゃ、俺も張り切っちゃおうかな」
おじさんが気を利かせて、ペダルを全力で漕いでくれた。最後の体力を振り絞るような、激しいペダリングだ。
回転させると言うより、蹴り飛ばすようなペダルの回し方。そのせいでディルドが不安定に動く。
「んんんんんんんん!?」
一気に奥まで入って来たかと思ったら、突然止まる。
また動き出したとたんに、一番奥をズドンと突き上げて、その勢いのまま急激に引き抜かれる。
そしてまた一瞬止まり、再び奥まで挿入される。
そのたびにクリトリスのブラシも動き回り、肝心のクリやそのフードを擦り上げた。下から上に皮をめくり、裏側を擦る強い刺激。そして上から下に先端を撫でつけ、広い面積を擦る心地よい刺激。
それらが波を作って、みのりの頭の中をかき回す。くすぐったさと痒さと痛みがあふれ出して、気持ちいいという感情を忘れそうになる。
今のみのりにとって、何をどうされても気持ちよかった。
――10回目の、絶頂が来る。
溜めに溜めたその気持ちよさが、ついに我慢の限界に達して、彼女を天国へと連れていく。
「ぁ――」
うっすらと開けた目に、夜の駅前の光景がチカチカと映る。その実像に、みのりの記憶にある昼間の光景が、幻覚として重なった。
電車が来るのを告げるアナウンス。商店街で買い物をする人たち。休日になれば、大人も子供も何人かで集まって、市街地に行く電車に乗り込んでいく。
そんな場所で、みのりは身体を晒して、一番恥ずかしい顔を見せている。いや、これから見せる。
絶頂の瞬間を――
「っ――――!!」
残された力を全部使い切るかのように、みのりの身体は跳ね上がった。縄で縛られているとか、そんなことを無視するように……
そして、
「みのりちゃん!?」
まるで、静かに眠るように、
彼女はまったく、動かなくなった。
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