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episode4 帰れない道
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「どこが……気持ちいい?」
低く擦れた声でそう聞いて、斗哉がつばさの顔を覗く。探るように、つばさの
中を暴れる指は、止まらない。
「そ、そんなの、わかんないってばっ」
羞恥に顔を染めてそう答えると、斗哉は目を細めて、つばさの唇を覆った。
「んっ……っう」
斗哉の舌が、ねっとりと絡められて、さらに息苦しさが増す。唇を重ねたまま、
指を出し入れされるだけでも頭が真っ白なのに、その場所に、また、別の指が
伸びてきて、何かを探し当てる。その何かをかりかりと擦られた瞬間、
つばさは目を見開いた。
「んんっ!!!」
斗哉に口を塞がれながら、つばさは思いきり喘いだ。びりびりと、何かが背中を
駆け抜けていく。もう無理、と、そう言って逃げ出してしまいたいほどの
甘い刺激に、涙まで滲んできて、つばさはキスから逃れるように首を振った。
「斗哉っ…おねがいっ……もう、やめ……」
はあはあ、と肩で息をしながら、斗哉の肩を押す。ずっ、と指を抜かれる感触が
あって、つばさはようやく、長い息を吐いた。
「これだけ濡れてれば……そんなに、痛まないかもな」
ぐっしょりと、つばさの体液で濡れた指を舐めながら、斗哉が躰を起こす。
その仕草に、悲鳴を上げそうになっているつばさを横目で見ながら、ぺり、
とアルミの袋を歯でちぎった。中から取り出されたのは、いつかの夜、
つばさの枕元に放り出された、アレだ。それを、手際よく屹立した自身に
被せると、斗哉はつばさの太ももを引き寄せた。せっかく、楽になった
ばかりの呼吸が、また、苦しくなって、つばさは斗哉の名前を呼ぶ。
はやく入れて欲しいと思うのに、やっぱり、いざその時になると怖い。
「大丈夫。つばさ……力抜いて」
つるつるとした、ゴムの質感をしたそれが、つばさのスリットを滑って
一点にあてられる。つばさは、ごくりと唾を呑みこんで、息を吐いた。
そうして、斗哉が入ってくる圧迫感。
強く押し込まれるそれに、無理やり躰を開かれる痛みが襲ってきて、
つばさは枕に顔を埋めた。ずっ、と自分の躰が斗哉のものを呑み込んで、
ひとつになる。その瞬間、愛してると、言った斗哉の声を、つばさは
一生忘れないだろうと、思った。
「ほら、持ってきたぞ」
ぱちりと部屋の灯りをつけて、斗哉がテーブルの上に白い箱を置く。
その声に、もぞ、と布団の中からつばさが首を出した。
「うん……ありがと」
「まだ、痛むのか?」
斗哉がベッドの脇に腰掛けて、つばさの頭を撫でる。温かな手の平からは、
ふわりと石鹸の匂いがする。つばさは、うーん、と唸って、そうして、痛い、
とくぐもった声で答えた。斗哉が、ぷっ、と笑う。
「さすがに、2度目は長かったからな。ごめん。痛かったよな」
ぽんぽん、と布団の上からつばさの肩を叩いて、労う。すっかり、
いつもの調子を取り戻している斗哉を、布団の中から軽く睨むと、
つばさは、ううん、とやんわり微笑んだ。
-----斗哉とひとつになれた。
その幸福感は、初めての痛みよりも、何倍も、何十倍も大きかった。
まるで、心も躰も、まるごと愛されたような充足感で、まだ鼓動が収まらない。
つばさは躰を起こして、自分の躰に目をやった。
躰のあちこちにキスの痕が残っている。斗哉の肌の感触や躰の重さ、
自分をかき抱く腕の強さ、そのどれもが、目を閉じなくても思い出せた。
破瓜の痛みは、それなりに衝撃的だったけれど………
それよりも、躰を重ねたことで今までよりもっと、斗哉を愛しく感じる
自分がいる。
低く擦れた声でそう聞いて、斗哉がつばさの顔を覗く。探るように、つばさの
中を暴れる指は、止まらない。
「そ、そんなの、わかんないってばっ」
羞恥に顔を染めてそう答えると、斗哉は目を細めて、つばさの唇を覆った。
「んっ……っう」
斗哉の舌が、ねっとりと絡められて、さらに息苦しさが増す。唇を重ねたまま、
指を出し入れされるだけでも頭が真っ白なのに、その場所に、また、別の指が
伸びてきて、何かを探し当てる。その何かをかりかりと擦られた瞬間、
つばさは目を見開いた。
「んんっ!!!」
斗哉に口を塞がれながら、つばさは思いきり喘いだ。びりびりと、何かが背中を
駆け抜けていく。もう無理、と、そう言って逃げ出してしまいたいほどの
甘い刺激に、涙まで滲んできて、つばさはキスから逃れるように首を振った。
「斗哉っ…おねがいっ……もう、やめ……」
はあはあ、と肩で息をしながら、斗哉の肩を押す。ずっ、と指を抜かれる感触が
あって、つばさはようやく、長い息を吐いた。
「これだけ濡れてれば……そんなに、痛まないかもな」
ぐっしょりと、つばさの体液で濡れた指を舐めながら、斗哉が躰を起こす。
その仕草に、悲鳴を上げそうになっているつばさを横目で見ながら、ぺり、
とアルミの袋を歯でちぎった。中から取り出されたのは、いつかの夜、
つばさの枕元に放り出された、アレだ。それを、手際よく屹立した自身に
被せると、斗哉はつばさの太ももを引き寄せた。せっかく、楽になった
ばかりの呼吸が、また、苦しくなって、つばさは斗哉の名前を呼ぶ。
はやく入れて欲しいと思うのに、やっぱり、いざその時になると怖い。
「大丈夫。つばさ……力抜いて」
つるつるとした、ゴムの質感をしたそれが、つばさのスリットを滑って
一点にあてられる。つばさは、ごくりと唾を呑みこんで、息を吐いた。
そうして、斗哉が入ってくる圧迫感。
強く押し込まれるそれに、無理やり躰を開かれる痛みが襲ってきて、
つばさは枕に顔を埋めた。ずっ、と自分の躰が斗哉のものを呑み込んで、
ひとつになる。その瞬間、愛してると、言った斗哉の声を、つばさは
一生忘れないだろうと、思った。
「ほら、持ってきたぞ」
ぱちりと部屋の灯りをつけて、斗哉がテーブルの上に白い箱を置く。
その声に、もぞ、と布団の中からつばさが首を出した。
「うん……ありがと」
「まだ、痛むのか?」
斗哉がベッドの脇に腰掛けて、つばさの頭を撫でる。温かな手の平からは、
ふわりと石鹸の匂いがする。つばさは、うーん、と唸って、そうして、痛い、
とくぐもった声で答えた。斗哉が、ぷっ、と笑う。
「さすがに、2度目は長かったからな。ごめん。痛かったよな」
ぽんぽん、と布団の上からつばさの肩を叩いて、労う。すっかり、
いつもの調子を取り戻している斗哉を、布団の中から軽く睨むと、
つばさは、ううん、とやんわり微笑んだ。
-----斗哉とひとつになれた。
その幸福感は、初めての痛みよりも、何倍も、何十倍も大きかった。
まるで、心も躰も、まるごと愛されたような充足感で、まだ鼓動が収まらない。
つばさは躰を起こして、自分の躰に目をやった。
躰のあちこちにキスの痕が残っている。斗哉の肌の感触や躰の重さ、
自分をかき抱く腕の強さ、そのどれもが、目を閉じなくても思い出せた。
破瓜の痛みは、それなりに衝撃的だったけれど………
それよりも、躰を重ねたことで今までよりもっと、斗哉を愛しく感じる
自分がいる。
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