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そうやって仕事を続けて2週間。
仕事を休んでいた事務員のサムも1週間前に仕事に復帰した。

サムは契約のまとまった営業の人について行って、出先で文章をまとめる係、私は事務所で仕事をする係になった。

今日は営業の4人もサムも皆出払っている。
私は黙々と仕事をこなしていた。


香ばしい匂いがして、お腹すいたなぁなんて思いながら仕事をしていると、そのうち「パチパチ」という音が聞こえ始めた。

えっ?
と思った時には、事務所は火事になっていた。

すでに火柱は私より大きくて燃え上がっていて、「消そう」なんて思えないレベル。
…というか、私、怖くて、足がすくんで動けない。

「助けて」
幸い声はでた。大声で叫び続けた。

震える膝を叩き、動き始めた足で玄関を目指した。
煙で視界が悪い。
目が染みる。
後ろから火が迫ってくる。

玄関扉が開かれ、誰か人が入って来た。
私はその人にすごい力で腕を引かれ、外に連れ出された。

勢いあまって転んでしまったのに、全然痛くなかった。
それよりも左肩がすごく痛い。

私は親切な人に導かれて診療所に連れて行かれ、治療を受けた。

体中ちょこちょこ火傷していて、特に左腕から背中にかけては広い範囲が火傷になっていた。
水の中に入れている間は痛みが治まるけれど、水から出すと途端に痛みが出る。

体中ひりつく痛みがあったけれど、命に別状はないし、歩けるし、話せる。
ただ左腕から背中にかけての火傷は痕が残ってしまうかもしれないと言われた。


事務所の火は消されたそうだ。
私が治療を受けている間に、同僚たちは事情を聴かれていたようで私も治療が終わると、武装した人の集まる部屋に連れて行かれた。

部屋の一番奥に連れて行かれ、座って待つように言われた。
机に置かれた名札には、『タバール』と書かれている。
すぐ近くには筆記担当の男性が座っていた。

少ししてすごくきれいな男性が私の前に座った。
陽に焼けた肌とサファイアの瞳。

「州兵のタバールだ。さっそく話を聞きたい」
男性は言った。

「どこかでお会いしましたか?」
「さっき、助けた」

「そうだったんですね。タバールさん、ありがとうございました。あなたは私の命の恩人です」
さっきは無我夢中で、助けてもらったのにお礼も言えていなかった。恥ずかしい。

「タバールさんは火傷や怪我しませんでしたか?」
「私は大丈夫だ」

私はほっと胸をなでおろした。
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