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私は日中、ジュメイラさんのところに遊びに行っていることが多い。
なぜならこの後宮の住人は私とジュメイラさんだけだからだ。
ジュメイラさんにはジュメイラさん付きの侍女がいるようだけれど、私の侍女は保留中のようでいろいろな人が来ている。
秘密の恋人のことがあるから侍女選びも慎重にしているらしかった。
一週間が経った日の朝、カーン王子が白い髪、白いひげの男性を連れて朝早く私の部屋を訪れた。
威厳あるその方は、帝都の官僚養成学校で教鞭をふるい、皇帝のご意見番として長年活躍したシーディー博士。
白くなった髪と豊かなおひげがチャームポイント。
眼光は鋭く、老いて尚切れ者の雰囲気を醸し出している。
この国についてまだまだ知らないことの多いだろう私の家庭教師として来てくれたようだ。
私は、そんなにすごい人に教えてもらうようなレベルに自分はいないと思ったけれど、遊んでばかりはいられないので勉強を頑張ることにした。
少しお話をした後、シーディー博士は「もしかしたら、お妃さまには簡単すぎるかもしれない」と言って1枚の紙を取り出した。
そこには問題が書かれていて、それに記述式で答えるようになっている。
タモハンにいくつの州があるかといった簡単な問題と、タモハンとリナレイの歴史についての自由作文。
回答を終えた私の答案を見た博士は、私をほめてくださった。
「いやいや、カーン王子との結婚が決まって1年半でこれほどこの国のことをお勉強されたとは。発音も文字もほぼ完璧ですし、歴史についても良くご存じでらっしゃる」
なんだか、だましているような気分になった私は、慌てて否定した。
「いえ、私は幼少期から、もう10年以上タモハン語を勉強しています。私の父は、現リナレイ王の弟です。私は子供の頃から外国語を学ぶのが好きで、隣国の言葉、さらにその隣国の言葉といろいろ学びました。そして出会ったタモハンの商人から聞いたタモハン語に興味を持ちました。隣国の言葉は、かなり私の母国語に似ているのですが、タモハン語は文字も言葉の順番も何もかも違います。私が色々な言葉を話すのを面白がった父は、私に言語の教師を付けてくれて、タモハン語の教師もいました。私のそんな趣味があったから、今回王からタモハンに嫁ぐ話があったのだと思います。現王家には王女がいませんので、私が王家の養女となり、王族同士の結婚と相成ったのです。言葉は10年以上学んできましたが、他の勉強はまだまだ未熟だと思いますので、ご指導よろしくお願いします」
「そうでしたか、でしたら官僚養成コースの授業を行うことにいたしましょう」
博士は微笑んだけれど、目は笑っていなかった。
私はなんて馬鹿な発言をしてしまったのだろうと、数分前に時間を巻き戻したい気分になった。
なぜならこの後宮の住人は私とジュメイラさんだけだからだ。
ジュメイラさんにはジュメイラさん付きの侍女がいるようだけれど、私の侍女は保留中のようでいろいろな人が来ている。
秘密の恋人のことがあるから侍女選びも慎重にしているらしかった。
一週間が経った日の朝、カーン王子が白い髪、白いひげの男性を連れて朝早く私の部屋を訪れた。
威厳あるその方は、帝都の官僚養成学校で教鞭をふるい、皇帝のご意見番として長年活躍したシーディー博士。
白くなった髪と豊かなおひげがチャームポイント。
眼光は鋭く、老いて尚切れ者の雰囲気を醸し出している。
この国についてまだまだ知らないことの多いだろう私の家庭教師として来てくれたようだ。
私は、そんなにすごい人に教えてもらうようなレベルに自分はいないと思ったけれど、遊んでばかりはいられないので勉強を頑張ることにした。
少しお話をした後、シーディー博士は「もしかしたら、お妃さまには簡単すぎるかもしれない」と言って1枚の紙を取り出した。
そこには問題が書かれていて、それに記述式で答えるようになっている。
タモハンにいくつの州があるかといった簡単な問題と、タモハンとリナレイの歴史についての自由作文。
回答を終えた私の答案を見た博士は、私をほめてくださった。
「いやいや、カーン王子との結婚が決まって1年半でこれほどこの国のことをお勉強されたとは。発音も文字もほぼ完璧ですし、歴史についても良くご存じでらっしゃる」
なんだか、だましているような気分になった私は、慌てて否定した。
「いえ、私は幼少期から、もう10年以上タモハン語を勉強しています。私の父は、現リナレイ王の弟です。私は子供の頃から外国語を学ぶのが好きで、隣国の言葉、さらにその隣国の言葉といろいろ学びました。そして出会ったタモハンの商人から聞いたタモハン語に興味を持ちました。隣国の言葉は、かなり私の母国語に似ているのですが、タモハン語は文字も言葉の順番も何もかも違います。私が色々な言葉を話すのを面白がった父は、私に言語の教師を付けてくれて、タモハン語の教師もいました。私のそんな趣味があったから、今回王からタモハンに嫁ぐ話があったのだと思います。現王家には王女がいませんので、私が王家の養女となり、王族同士の結婚と相成ったのです。言葉は10年以上学んできましたが、他の勉強はまだまだ未熟だと思いますので、ご指導よろしくお願いします」
「そうでしたか、でしたら官僚養成コースの授業を行うことにいたしましょう」
博士は微笑んだけれど、目は笑っていなかった。
私はなんて馬鹿な発言をしてしまったのだろうと、数分前に時間を巻き戻したい気分になった。
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