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夢
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翌朝、ルーシーはバチッと目を開けた。
怖い夢を見ていた時のように
『これは夢だから目が覚めたら全部なくなっている』
と自分に言い聞かせて寝ていたような気がする。
そのためか、目を開くと眠気は全くなかった。
頭は慌てているけれど、落ち着いて自分を確認してみる。
夢の中のルーシーは全裸だったが、今は上掛けをかけている。
いつものように寝ていたようだ。
(よかった。夢だったんだわ。それにしてもいったいどんな夢よ。これが大人になるということなのかしら?大人っていつもあんな夢を見てるの?夢の内容はとんでもなかったし、クールガー隊長に会ったらなんだか意識しちゃいそうだけど、夢だったならよかった)
ホッと息をついて、半身を起こした。
ルーシーの体にはマントが巻き付けられていた。
「…………」
恐る恐る体を確認してみると、マントの下のルーシーは全裸だった。
下着ひとつつけていない。
枕元には、ルーシーの夜着と下着が畳んでおいてあった。
「―――――――――――――ッッ!!」
叫びにならない声が漏れた。
(落ち、落ち落ち落ち着いて。ホリーが来る前に全部いつも通りにしておくの)
自分に言い聞かせ、マントを脱ぎ、急いで夜着を身につけた。
寒いのでベッドの中でもぞもぞと着替えていく。
パンツを履こうとした時、扉がノックされホリーが入ってきた。
ルーシーは慌ててパンツをマントの中に隠し、あたかも今起きたところだというようにベッドボードに背中をもたれかけさせた。
「おはようございます。ゆっくりお休みになれましたか?」
ホリーはいつものようにルーシーに声をかけた。
「おはおはおはよう」
ルーシーは動揺していたが、ホリーはルーシーのことよりも部屋のことが気になったようで、ルーシーの怪しさには気を止めなかった。
「まぁ、これはどうなさったのですか?」
ホリーの視線を追うと、絨毯の上にラグが置いてあった。
「水差しを落として割っちゃって、そうしておいたの。片付けてもらいましょう。近づかない方がいいと思う」
ルーシーは夢の中で聞いたことを話した。
「そうでしたか。あら?それはマントですか?」
ホリーの視線はベッドの上にあるマントに注がれていた。
「あ、ば、そ、そう、その、水差しが割れた時、音を聞いて、クールガー隊長が様子を見に来てくれたの。だから実際に片付けたのは私ではなくて隊長。私が起きてて寒いだろうからってマントを貸してくれたの」
(とっさに考えたにしては、まぁまぁの言い訳ができたのでは!?)
ホリーは少し変な顔をしていたけれど、彼女なりに納得してくれたようだ。
きっと寒くて口が回っていないとか、そういうふうに思ってくれたのだろう。
「まぁ、そうでしたか。でしたら隊長にマントを返しておきますわ。ここも片付けていただきましょう」
「そうね」
ホリーはマントを持って部屋から出て行った。
(とりあえず、セーフね)
肩の力を抜いた時、パンツをはいていない自分に気づき、パンツの行方に思い至って血の気が引いた。
サーッ という音を聞いた気がする。
ルーシーのパンツは、マントの中だ。
ホリーが持っていったから、そのままフランツに届けられるかもしれないし、どこかでマントから転がり落ちるかもしれない。
(“旅の恥は掻き捨て”よ。もしその辺にあのパンツが落ちていたとして、誰も私のだとは気付かないはず。仮に騒ぎになっていても高貴な姫という顔をしていれば、『姫、パンツ落としませんでしたか?』なんて確認されることもないはず!心を強く持つの)
自分に言い聞かせ気合を入れたが、7割くらい不安だった。
パンツが割と高級なものだったので、素材でばれる可能性が高いと一瞬思ってしまったのだ。
その考えは忘れることにした。
怖い夢を見ていた時のように
『これは夢だから目が覚めたら全部なくなっている』
と自分に言い聞かせて寝ていたような気がする。
そのためか、目を開くと眠気は全くなかった。
頭は慌てているけれど、落ち着いて自分を確認してみる。
夢の中のルーシーは全裸だったが、今は上掛けをかけている。
いつものように寝ていたようだ。
(よかった。夢だったんだわ。それにしてもいったいどんな夢よ。これが大人になるということなのかしら?大人っていつもあんな夢を見てるの?夢の内容はとんでもなかったし、クールガー隊長に会ったらなんだか意識しちゃいそうだけど、夢だったならよかった)
ホッと息をついて、半身を起こした。
ルーシーの体にはマントが巻き付けられていた。
「…………」
恐る恐る体を確認してみると、マントの下のルーシーは全裸だった。
下着ひとつつけていない。
枕元には、ルーシーの夜着と下着が畳んでおいてあった。
「―――――――――――――ッッ!!」
叫びにならない声が漏れた。
(落ち、落ち落ち落ち着いて。ホリーが来る前に全部いつも通りにしておくの)
自分に言い聞かせ、マントを脱ぎ、急いで夜着を身につけた。
寒いのでベッドの中でもぞもぞと着替えていく。
パンツを履こうとした時、扉がノックされホリーが入ってきた。
ルーシーは慌ててパンツをマントの中に隠し、あたかも今起きたところだというようにベッドボードに背中をもたれかけさせた。
「おはようございます。ゆっくりお休みになれましたか?」
ホリーはいつものようにルーシーに声をかけた。
「おはおはおはよう」
ルーシーは動揺していたが、ホリーはルーシーのことよりも部屋のことが気になったようで、ルーシーの怪しさには気を止めなかった。
「まぁ、これはどうなさったのですか?」
ホリーの視線を追うと、絨毯の上にラグが置いてあった。
「水差しを落として割っちゃって、そうしておいたの。片付けてもらいましょう。近づかない方がいいと思う」
ルーシーは夢の中で聞いたことを話した。
「そうでしたか。あら?それはマントですか?」
ホリーの視線はベッドの上にあるマントに注がれていた。
「あ、ば、そ、そう、その、水差しが割れた時、音を聞いて、クールガー隊長が様子を見に来てくれたの。だから実際に片付けたのは私ではなくて隊長。私が起きてて寒いだろうからってマントを貸してくれたの」
(とっさに考えたにしては、まぁまぁの言い訳ができたのでは!?)
ホリーは少し変な顔をしていたけれど、彼女なりに納得してくれたようだ。
きっと寒くて口が回っていないとか、そういうふうに思ってくれたのだろう。
「まぁ、そうでしたか。でしたら隊長にマントを返しておきますわ。ここも片付けていただきましょう」
「そうね」
ホリーはマントを持って部屋から出て行った。
(とりあえず、セーフね)
肩の力を抜いた時、パンツをはいていない自分に気づき、パンツの行方に思い至って血の気が引いた。
サーッ という音を聞いた気がする。
ルーシーのパンツは、マントの中だ。
ホリーが持っていったから、そのままフランツに届けられるかもしれないし、どこかでマントから転がり落ちるかもしれない。
(“旅の恥は掻き捨て”よ。もしその辺にあのパンツが落ちていたとして、誰も私のだとは気付かないはず。仮に騒ぎになっていても高貴な姫という顔をしていれば、『姫、パンツ落としませんでしたか?』なんて確認されることもないはず!心を強く持つの)
自分に言い聞かせ気合を入れたが、7割くらい不安だった。
パンツが割と高級なものだったので、素材でばれる可能性が高いと一瞬思ってしまったのだ。
その考えは忘れることにした。
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