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旅立ち
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――――ピチャ――――
―――ジュル――――
「…ン……ぁ……ん…」
―――クチュ――――
「ハァ…ハァ…」
水音と喘ぎ声が響く寝室。
ルーシーは自分の腰を抱え上げ膣口をすする男を見ている。
男の名はフランツ。
近衛騎士団1番隊隊長を拝命する騎士だ。
銀髪と薄灰色の瞳を持つ。
冷静沈着に隊を率いる姿からか、誰に対しても冷淡に接する姿からか一部の人間は氷の騎士と呼ぶ。
ルーシーは何も身につけていない生まれたままの姿だが、フランツは近衛騎士団の隊服を身につけたまま。
今、フランツはルーシーの陰核にしゃぶりついている。
(フランツのこんな姿を見られるのは私だけ、よね?今日こそは絶対にちゃんと話すの)
ルーシーは喘ぎながら心に誓った。
「何を考えているんです?余裕のようですね」
「違っ」
フランツは花芽の中から薄紅色の真珠を露出させた。
舌を押し付け、膣穴にずぶりと指を押し入れてくる。
強烈な快感に、ルーシーは頭をのけぞらせた。
フランツの太い指が膣穴を出入りし、そのたびにルーシーの豊かな胸がふるふると揺れる。
快感に思考が奪われて行く。
「…ダメッ…イッチャ…アッ―――」
ルーシーの体はぐったりとベッドに沈んでいき、そのまま甘やかな眠りについた。
◇◇◇◇◇◇
「またやっちゃったわ」
目覚めたルーシーはガバリと半身を起こし、眠ってしまった自分を責めた。
フランツの姿はない。
どうしてこんなことになってしまったのか。
『もし時間を戻せるなら、あの時に戻りたい』
誰もが一度は考えたことがあるだろう。
ルーシーの場合、戻りたいのは“あの日”と決まっている。
1年半前の1月24日。
あの日、ルーシーは初めて一人で旅に出た。
もちろん、王女であるルーシーが本当に1人で旅に出るはずもなく、父王はルーシーの旅に近衛騎士団から1番隊を同行させた。
侍女のホリーも一緒だ。
1月30日はルーシーの祖母である太后の誕生日。
夫である先王を亡くした太后は息子に国を任せ、自身は生まれ故郷に建てた別荘に住んでいる。
いつもなら母と共に祖母の別荘を訪れ誕生日を祝うのだが、今回母は体調を崩し、ルーシーだけで向かうことになった。
末娘のルーシーも16歳になり、1人で行かせても大丈夫だろうと両親が判断したようだ。
ルーシーは初めての一人旅を少し不安に思いつつ楽しみにしていたのだが、どうしても心配なことがあった。
それは祖母の別荘が北方の寒い地域にあるということ。
ルーシーは寒いのが苦手だった。
特に体を冷やし眠れない時を過ごさなければならないのが苦手だ。
祖母の別荘のある地域は、ルーシーの暮らす王都の一番寒い日よりももっと寒いのが当たり前の地域だ。
ルーシーは体を冷やしてしまうと眠れないということを学んでいた。
だからベッドに入る前、湯船につかり温まったらすぐにベッドに入るようにしているのだが、寝つきが悪いと対策をしても体を冷やしてしまい眠れなくなることがある。
一度体を冷やしてしまうと、後から温石で温めようとしても難しい。
「旅に持っていける、寒さ対策アイテムって何かないかしら?」
ルーシーは侍女のホリーに知恵を求めた。
「そうですねぇ。私の祖母は毛糸で編んだ靴下を履いて寝ています。編みましょうか?」
「暖かそうね。だけど、寝る時に靴下を履くと、なんとなくいつもと同じようにすっきり眠れないような気がするのよね」
靴下を履いて寝るというのは、何度か試してきたが、毎回すっきりしない。
そんな経験から眠るときに毛糸の靴下を履いて寝るのは抵抗がある。
寝る時はなるべく裸足でいたい。
…そんな考えだから冷えるのだろうか。
「足首から膝までのものにすれば問題ありません」
「それはいいわね。では、お願い。他にはない?」
「さぁ。もしよろしければ侍女仲間にもいろいろ尋ねてみましょうか?」
「それはいいわね。ぜひお願い」
翌日、ホリーは侍女仲間から集めてきた知恵を教えてくれた。
「温石を使う。ひざ掛けを使う。首を温める。腹巻をする。毛糸のパンツをはく。薬湯を飲む。以上です」
「温石とひざ掛け・腹巻・毛糸のパンツはすでに旅の荷物に入っているし、当日も身につけて行くつもりよ。首を温めるってどういうことかしら?」
「はい、温石をタオルに巻き、温石が首の後ろに来るようにしてタオルを首に巻き付けるそうです。そうすると温かいとか。これを教えてくれた侍女は、ストールの裏側に温石を入れるポケットを作り、そこに温石を入れているそうです」
「温石の使い方についての知恵ということね。それはいいことを聞いたわ。腹巻にも温石を入れるポケットを作れば、より一層温まれそうね。では、薬湯を飲むというのはどういうことかしら?」
「当代流行りの極東趣味の侍女から聞いたのですが、極東の薬湯の中に冷えに効くものがあるそうです」
今、この国では“極東趣味”が流行りになっている。
交通網の発達により、今までよりもより東方の国々と交易ができるようになり、はるか遠くの国の書物・美術品・食品が入ってくるようになった。
もともと東方地域の国々に詳しかったとある公爵夫人が火付け役となり、王宮でも極東趣味が流行っている。
交通網が発達したとはいえ極東の品々はまだまだ高価で、貴族たちにとっては極東の品を持っているということが、一種のステータスになっているようだ。
「極東の薬湯の中にそういったものがあるのね。それは知らなかった。ぜひ飲んでみたいわ。どんなお味なのかしら」
「実は流行りに乗じて、以前飲んだことがあるのです。大変高価なものなので1杯だけなのですが。苦さの中に酸味のある独特のお味でした。好んで飲みたいかと言われれば、私はそうは思わないのですが、言われてみれば確かに体が少し温まったような気がします」
ホリーは体験談を語ってくれた。
とても参考になる。
「それは興味深いわ。私もぜひ試してみたい」
「ではその者に聞いて、手に入れてまいりましょう」
「ええ、ありがとう」
こうしてルーシーの旅支度の中に、薬湯が加わった。
―――ジュル――――
「…ン……ぁ……ん…」
―――クチュ――――
「ハァ…ハァ…」
水音と喘ぎ声が響く寝室。
ルーシーは自分の腰を抱え上げ膣口をすする男を見ている。
男の名はフランツ。
近衛騎士団1番隊隊長を拝命する騎士だ。
銀髪と薄灰色の瞳を持つ。
冷静沈着に隊を率いる姿からか、誰に対しても冷淡に接する姿からか一部の人間は氷の騎士と呼ぶ。
ルーシーは何も身につけていない生まれたままの姿だが、フランツは近衛騎士団の隊服を身につけたまま。
今、フランツはルーシーの陰核にしゃぶりついている。
(フランツのこんな姿を見られるのは私だけ、よね?今日こそは絶対にちゃんと話すの)
ルーシーは喘ぎながら心に誓った。
「何を考えているんです?余裕のようですね」
「違っ」
フランツは花芽の中から薄紅色の真珠を露出させた。
舌を押し付け、膣穴にずぶりと指を押し入れてくる。
強烈な快感に、ルーシーは頭をのけぞらせた。
フランツの太い指が膣穴を出入りし、そのたびにルーシーの豊かな胸がふるふると揺れる。
快感に思考が奪われて行く。
「…ダメッ…イッチャ…アッ―――」
ルーシーの体はぐったりとベッドに沈んでいき、そのまま甘やかな眠りについた。
◇◇◇◇◇◇
「またやっちゃったわ」
目覚めたルーシーはガバリと半身を起こし、眠ってしまった自分を責めた。
フランツの姿はない。
どうしてこんなことになってしまったのか。
『もし時間を戻せるなら、あの時に戻りたい』
誰もが一度は考えたことがあるだろう。
ルーシーの場合、戻りたいのは“あの日”と決まっている。
1年半前の1月24日。
あの日、ルーシーは初めて一人で旅に出た。
もちろん、王女であるルーシーが本当に1人で旅に出るはずもなく、父王はルーシーの旅に近衛騎士団から1番隊を同行させた。
侍女のホリーも一緒だ。
1月30日はルーシーの祖母である太后の誕生日。
夫である先王を亡くした太后は息子に国を任せ、自身は生まれ故郷に建てた別荘に住んでいる。
いつもなら母と共に祖母の別荘を訪れ誕生日を祝うのだが、今回母は体調を崩し、ルーシーだけで向かうことになった。
末娘のルーシーも16歳になり、1人で行かせても大丈夫だろうと両親が判断したようだ。
ルーシーは初めての一人旅を少し不安に思いつつ楽しみにしていたのだが、どうしても心配なことがあった。
それは祖母の別荘が北方の寒い地域にあるということ。
ルーシーは寒いのが苦手だった。
特に体を冷やし眠れない時を過ごさなければならないのが苦手だ。
祖母の別荘のある地域は、ルーシーの暮らす王都の一番寒い日よりももっと寒いのが当たり前の地域だ。
ルーシーは体を冷やしてしまうと眠れないということを学んでいた。
だからベッドに入る前、湯船につかり温まったらすぐにベッドに入るようにしているのだが、寝つきが悪いと対策をしても体を冷やしてしまい眠れなくなることがある。
一度体を冷やしてしまうと、後から温石で温めようとしても難しい。
「旅に持っていける、寒さ対策アイテムって何かないかしら?」
ルーシーは侍女のホリーに知恵を求めた。
「そうですねぇ。私の祖母は毛糸で編んだ靴下を履いて寝ています。編みましょうか?」
「暖かそうね。だけど、寝る時に靴下を履くと、なんとなくいつもと同じようにすっきり眠れないような気がするのよね」
靴下を履いて寝るというのは、何度か試してきたが、毎回すっきりしない。
そんな経験から眠るときに毛糸の靴下を履いて寝るのは抵抗がある。
寝る時はなるべく裸足でいたい。
…そんな考えだから冷えるのだろうか。
「足首から膝までのものにすれば問題ありません」
「それはいいわね。では、お願い。他にはない?」
「さぁ。もしよろしければ侍女仲間にもいろいろ尋ねてみましょうか?」
「それはいいわね。ぜひお願い」
翌日、ホリーは侍女仲間から集めてきた知恵を教えてくれた。
「温石を使う。ひざ掛けを使う。首を温める。腹巻をする。毛糸のパンツをはく。薬湯を飲む。以上です」
「温石とひざ掛け・腹巻・毛糸のパンツはすでに旅の荷物に入っているし、当日も身につけて行くつもりよ。首を温めるってどういうことかしら?」
「はい、温石をタオルに巻き、温石が首の後ろに来るようにしてタオルを首に巻き付けるそうです。そうすると温かいとか。これを教えてくれた侍女は、ストールの裏側に温石を入れるポケットを作り、そこに温石を入れているそうです」
「温石の使い方についての知恵ということね。それはいいことを聞いたわ。腹巻にも温石を入れるポケットを作れば、より一層温まれそうね。では、薬湯を飲むというのはどういうことかしら?」
「当代流行りの極東趣味の侍女から聞いたのですが、極東の薬湯の中に冷えに効くものがあるそうです」
今、この国では“極東趣味”が流行りになっている。
交通網の発達により、今までよりもより東方の国々と交易ができるようになり、はるか遠くの国の書物・美術品・食品が入ってくるようになった。
もともと東方地域の国々に詳しかったとある公爵夫人が火付け役となり、王宮でも極東趣味が流行っている。
交通網が発達したとはいえ極東の品々はまだまだ高価で、貴族たちにとっては極東の品を持っているということが、一種のステータスになっているようだ。
「極東の薬湯の中にそういったものがあるのね。それは知らなかった。ぜひ飲んでみたいわ。どんなお味なのかしら」
「実は流行りに乗じて、以前飲んだことがあるのです。大変高価なものなので1杯だけなのですが。苦さの中に酸味のある独特のお味でした。好んで飲みたいかと言われれば、私はそうは思わないのですが、言われてみれば確かに体が少し温まったような気がします」
ホリーは体験談を語ってくれた。
とても参考になる。
「それは興味深いわ。私もぜひ試してみたい」
「ではその者に聞いて、手に入れてまいりましょう」
「ええ、ありがとう」
こうしてルーシーの旅支度の中に、薬湯が加わった。
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