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私は明日普通に仕事だし、亮君も朝から塾だというので、二人でいられる時間は限られている。
食後に私の買ってきたケーキと、亮君の持ってきてくれたビスケットを食べた。
亮君はタブレットを取り出すと、結婚指輪を一緒に選ぼうと言ってくれた。
亮君が18歳になるまで、3ヶ月を切った。
結婚がもうすぐそこまで来ている。
籍だけは、亮君の誕生日に入れることを決めているけれど、その他のことは何も決めていない。
そんな時間もないし、他のことは亮君が大学を卒業してからでもいいかなと思っている。
でも結婚指輪の話になって、具体的に結婚を実感して胸が温かくなった。
結婚指輪と一言で言っても、色々な種類があるようだ。
シンプルなものから、婚約指輪と結婚指輪を兼ねた凝ったデザインのものまで。
素材も何種類もある。
金属アレルギーに配慮した素材もあって、作っている方々がすごく考えているということが伝わってきた。
知れば知るほど色々ありすぎて迷ってしまう。
何個か気に入ったのをお互いに選んで、落ち着いたらお店に一緒に見に行こうと約束した。
「ねぇ、千織ちゃん。フィンランドってクリスマスにサウナに入るの。でも、千織ちゃんちサウナないでしょ?」
「あ、うん。ごめん。どうしよう。スーパー銭湯行く?」
「いや、いい。せっかく千織ちゃんちに二人きりなのに出かけたくない。そうじゃなくて、一緒に風呂に入りたい。俺考えたんだけど、今までずっと我慢してきて、今日しちゃったら、たぶんもう我慢できなくなる。千織ちゃんの家も教えてもらったし、毎日来て毎日しちゃうと思う。でもそれだと千織ちゃん困るでしょ?学校の誰かに見られちゃう可能性も、俺が来る回数が多くなるほど高くなるし」
「うん」
私は、亮君の発言に亮君とする場面を想像してしまって恥ずかしくなりながらも、同意した。
もしそんなことになったら、誰かにバレてしまうんじゃないかと心配で、きっと亮君が卒業するまで生きた心地がしないと思う。
「だから、今日もらったこの家の鍵も結婚してから受け取ることに決めた。それまで千織ちゃんが大切に保管しておいて」
「了解」
ついついクリスマスに彩られた街をウィンドウショッピングしていて、可愛いキーホルダーを見つけて買ってしまったものだったけれど、私も、もともと結婚してから渡すつもりだった。
「それに今日は泊まるけど、頑張って我慢してしないって決めてきた。だけど、一緒に風呂に入って千織ちゃん抱っこして一緒に寝たい。それはしてもいい?」
断る理由はない。
亮君が私のことを考えてくれて、気遣ってくれているのが伝わってきて、うれしい。
私はうなずいた。
亮君に食事の後片付けをお任せして、私はベッドルームを整え、お風呂の用意をした。
一緒に入るなら、明るいお風呂の照明はつけたくない。
数量限定に釣られて欲望のままに買ったコスメブランドのアドベントカレンダーの中に、キャンドルが何個か入っていたはず。
それをお風呂で焚いて間接照明として使うことにした。
これならば明るすぎないから体が丸見えになるということもないだろう。
湯船にもピンクに濁る入浴剤を入れれば完璧だ。
「亮君、お風呂の準備できたから先に入ってるね」
私は声をかけると、急いで着替えてサッと体を流し、湯船に浸かった。
このバスルームは、無駄にガラス張りなので着替えているところが見えてしまう。
私は脱衣所に背を向けて湯船に浸かった。
食後に私の買ってきたケーキと、亮君の持ってきてくれたビスケットを食べた。
亮君はタブレットを取り出すと、結婚指輪を一緒に選ぼうと言ってくれた。
亮君が18歳になるまで、3ヶ月を切った。
結婚がもうすぐそこまで来ている。
籍だけは、亮君の誕生日に入れることを決めているけれど、その他のことは何も決めていない。
そんな時間もないし、他のことは亮君が大学を卒業してからでもいいかなと思っている。
でも結婚指輪の話になって、具体的に結婚を実感して胸が温かくなった。
結婚指輪と一言で言っても、色々な種類があるようだ。
シンプルなものから、婚約指輪と結婚指輪を兼ねた凝ったデザインのものまで。
素材も何種類もある。
金属アレルギーに配慮した素材もあって、作っている方々がすごく考えているということが伝わってきた。
知れば知るほど色々ありすぎて迷ってしまう。
何個か気に入ったのをお互いに選んで、落ち着いたらお店に一緒に見に行こうと約束した。
「ねぇ、千織ちゃん。フィンランドってクリスマスにサウナに入るの。でも、千織ちゃんちサウナないでしょ?」
「あ、うん。ごめん。どうしよう。スーパー銭湯行く?」
「いや、いい。せっかく千織ちゃんちに二人きりなのに出かけたくない。そうじゃなくて、一緒に風呂に入りたい。俺考えたんだけど、今までずっと我慢してきて、今日しちゃったら、たぶんもう我慢できなくなる。千織ちゃんの家も教えてもらったし、毎日来て毎日しちゃうと思う。でもそれだと千織ちゃん困るでしょ?学校の誰かに見られちゃう可能性も、俺が来る回数が多くなるほど高くなるし」
「うん」
私は、亮君の発言に亮君とする場面を想像してしまって恥ずかしくなりながらも、同意した。
もしそんなことになったら、誰かにバレてしまうんじゃないかと心配で、きっと亮君が卒業するまで生きた心地がしないと思う。
「だから、今日もらったこの家の鍵も結婚してから受け取ることに決めた。それまで千織ちゃんが大切に保管しておいて」
「了解」
ついついクリスマスに彩られた街をウィンドウショッピングしていて、可愛いキーホルダーを見つけて買ってしまったものだったけれど、私も、もともと結婚してから渡すつもりだった。
「それに今日は泊まるけど、頑張って我慢してしないって決めてきた。だけど、一緒に風呂に入って千織ちゃん抱っこして一緒に寝たい。それはしてもいい?」
断る理由はない。
亮君が私のことを考えてくれて、気遣ってくれているのが伝わってきて、うれしい。
私はうなずいた。
亮君に食事の後片付けをお任せして、私はベッドルームを整え、お風呂の用意をした。
一緒に入るなら、明るいお風呂の照明はつけたくない。
数量限定に釣られて欲望のままに買ったコスメブランドのアドベントカレンダーの中に、キャンドルが何個か入っていたはず。
それをお風呂で焚いて間接照明として使うことにした。
これならば明るすぎないから体が丸見えになるということもないだろう。
湯船にもピンクに濁る入浴剤を入れれば完璧だ。
「亮君、お風呂の準備できたから先に入ってるね」
私は声をかけると、急いで着替えてサッと体を流し、湯船に浸かった。
このバスルームは、無駄にガラス張りなので着替えているところが見えてしまう。
私は脱衣所に背を向けて湯船に浸かった。
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