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「その彼氏なんだけど、妹さんが難病にかかっていて心臓の移植手術をしないと治らないらしいの。だけど日本で移植の順番待ちしててもいつ順番が回ってくるかわからないし、できれば海外で手術を受けさせたいって資金集めしてるんだって。で、千織も資金提供してくれないかって頼まれてるらしくて。こういう場合ユリアちゃんだったらどうする?」
先週相談したばかりの第一級機密事項をさらりと、しかも若干ニヤニヤしながら暴露するエリに私は戸惑った。
私がその話を聞いてどんなに心を痛め、頭を悩ませたと思っているのだ。
「えー。なんかとりあえず怪しいです。仕事柄自称家族とか本人が難病を抱えてるって人何人も見てきたし。そういう人に貢いでボロボロにされて捨てられた人も何人も見てきたので、素直に信じられないっていうか。んー。私なら本当に好きなら助けてあげたいって気持ちもあるので、とりあえず申し訳ないけど何社か興信所使って調べて本当だったら助けます。でも、千織さんってすごいお嬢様ですよね、きっと。エリさんと幼稚園から高校までずっと一緒のお嬢様学校だし。すごいマンションに住んでるし。だったらそのお金は捨てたと思って、いくらかサポートしてあげたらいいんじゃないですか?」
私は、自称難病を抱えた家族のいる人がこの世に多数存在していることに驚きを隠せなかったけれど、思いのほか参考になるアドバイスをしてくれるユリアちゃんをありがたく思った。
さっきまでこの話をしたくないと思っていたけれど、この際だから相談に乗ってもらおうと口を開いた。
「家族、というか祖父は結構資産あるかもしれない。だけど私はしがない高校教師で……。家賃はタダだし小さいアパートを持ってるから、その家賃収入で少しお金はあると思うけど、お給料は普通だし。だから私が資金提供できる額は大したことなくて。だったらいっそのこと祖父に頼んでみたほうがいいかなぁと思ってるの。そうすれば妹さん助けられると思うし」
正直にこの1週間考えたことを話してみた。
先週の土曜日に彼に初めて打ち明けられて、そのままエリに相談して、それから1週間考えた私なりの一応の結論だ。
「あきれを通り越してある意味尊敬する」
私の言葉を聞いたエリは、目を見開いて私に向かってそういった。
確かに先週エリに相談した時も、絶対騙されているといわれたのだ。
だけど、エリは家業の関係上、人を疑いやすい面がある。
私はどちらかというと世の中そんなに悪い人ばかりじゃないと思って育ってきたので、できれば信じたいのだった。
「先週、こっちで少し調べさせるから早まったことするなって言ったよね。まだ誰にも言ってない?まさかもうお金渡したとか言わないでね」
エリは少し怖い顔で確認してきた。
「エリにしか言ってない。お金も渡してない。ちょっと考えてみただけだよ」
私は、お説教が始まる気配を察し、神妙な顔で言い訳をした。
「それと、そもそも本当に移植手術が必要なのかどうか。もちろん実際の患者さん診てみないと正確なことはわからないけど、病名や症状だけでも聞いて来いって言ったよね。それ聞いたの?」
エリは夫婦で医者なので、詳しく調べてくれようとしていたのだ。
「イエ、キイテナイデス」
本格的な説教モードに入りそうな予感に、私は消え入りそうな声で答えた。
先週相談したばかりの第一級機密事項をさらりと、しかも若干ニヤニヤしながら暴露するエリに私は戸惑った。
私がその話を聞いてどんなに心を痛め、頭を悩ませたと思っているのだ。
「えー。なんかとりあえず怪しいです。仕事柄自称家族とか本人が難病を抱えてるって人何人も見てきたし。そういう人に貢いでボロボロにされて捨てられた人も何人も見てきたので、素直に信じられないっていうか。んー。私なら本当に好きなら助けてあげたいって気持ちもあるので、とりあえず申し訳ないけど何社か興信所使って調べて本当だったら助けます。でも、千織さんってすごいお嬢様ですよね、きっと。エリさんと幼稚園から高校までずっと一緒のお嬢様学校だし。すごいマンションに住んでるし。だったらそのお金は捨てたと思って、いくらかサポートしてあげたらいいんじゃないですか?」
私は、自称難病を抱えた家族のいる人がこの世に多数存在していることに驚きを隠せなかったけれど、思いのほか参考になるアドバイスをしてくれるユリアちゃんをありがたく思った。
さっきまでこの話をしたくないと思っていたけれど、この際だから相談に乗ってもらおうと口を開いた。
「家族、というか祖父は結構資産あるかもしれない。だけど私はしがない高校教師で……。家賃はタダだし小さいアパートを持ってるから、その家賃収入で少しお金はあると思うけど、お給料は普通だし。だから私が資金提供できる額は大したことなくて。だったらいっそのこと祖父に頼んでみたほうがいいかなぁと思ってるの。そうすれば妹さん助けられると思うし」
正直にこの1週間考えたことを話してみた。
先週の土曜日に彼に初めて打ち明けられて、そのままエリに相談して、それから1週間考えた私なりの一応の結論だ。
「あきれを通り越してある意味尊敬する」
私の言葉を聞いたエリは、目を見開いて私に向かってそういった。
確かに先週エリに相談した時も、絶対騙されているといわれたのだ。
だけど、エリは家業の関係上、人を疑いやすい面がある。
私はどちらかというと世の中そんなに悪い人ばかりじゃないと思って育ってきたので、できれば信じたいのだった。
「先週、こっちで少し調べさせるから早まったことするなって言ったよね。まだ誰にも言ってない?まさかもうお金渡したとか言わないでね」
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私は、お説教が始まる気配を察し、神妙な顔で言い訳をした。
「それと、そもそも本当に移植手術が必要なのかどうか。もちろん実際の患者さん診てみないと正確なことはわからないけど、病名や症状だけでも聞いて来いって言ったよね。それ聞いたの?」
エリは夫婦で医者なので、詳しく調べてくれようとしていたのだ。
「イエ、キイテナイデス」
本格的な説教モードに入りそうな予感に、私は消え入りそうな声で答えた。
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