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少しの間領地に帰りたいとわがままを言い、私はリナを連れ馬車に乗り込んだ。
両親はいい顔をしなかったけれど、結婚前に大好きな領地の景色をどうしても見たくなったのだと言うと旅立たせてくれた。
まだイザックから婚約を考え直したいという連絡は来ていないので、両親は半年後には私は結婚すると思っているのだ。
今、領地には姉夫婦がいる。
私の目的はお姉様に会い話し合うこと。
我がカナルソル侯爵家は女ばかりの3姉妹。
姉のアデルは去年結婚し、夫を迎えて今年は領地で暮らしている。
お姉様は社交界でもその美貌がもてはやされ、求婚者が後を絶たなかった。
当代一の美女と、結婚した今も評されている。
イザックと婚約した私は、このままイザックと結婚し第二王子の妻として余生を過ごすのだと何の疑問もなく思っていた。
まさかイザックがこの結婚を白紙に戻そうとするとは思いもせず、イザックの周りにいる女性たちを牽制することも、イザックの心変わりを心配することもなくお気楽にのんきに過ごしていた。
しかし婚約が決まったからと安心し気を緩めていてはいけなかったのだ。
あろうことかイザックは、新婚のお姉様に恋をしてしまったらしい。
妹のエマはまだ9歳なので、イザックの恋の相手がエマということはさすがにないと思いたい。
(確かに我が家にイザックがやってくる機会は婚約話が出る前から何度かあった。我が家に来ていた目的は、お姉様?お姉様が結婚しても諦められなかった?お姉様が結婚してしまって、最初は私をお姉様の代わりにしようとしていたけれど、やっぱり私ではお姉様の代わりは務まらないと判断した?)
不穏な想像が頭の中をぐるぐると回る。
(でもお姉様は結婚しているのよ。諦めてもらわないと!)
この国では1度結婚すると再婚するのはかなり難しい。
白い結婚(夫婦の間に性的な関係がない結婚)の場合や配偶者と死別した場合など、限られた場合にしか再婚することはできない。
貴族の場合は政略結婚も多いから、結婚してから恋をするという方もいる。
けれどお姉様はそういうタイプではないはずだ。
私はお姉様と交渉し、イザックに諦めるよう言ってもらおうと思っているのだ。
お姉様がイザックの気持ちを受け入れなければ、イザックも諦めて私と結婚しようと思いなおしてくれるかもしれない。
(イザックがお姉様の説得を受けて諦めたとしても、結局私はお姉様の代わりなんだわ)
ズンと心が重くなる。
けれどあきらめずに真心で接すれば、いつかは姉のアデルではなく、私リュシーを愛してくれるようになるかもしれない。
暗く考えがちになる心を、私は奮い立たせた。
両親はいい顔をしなかったけれど、結婚前に大好きな領地の景色をどうしても見たくなったのだと言うと旅立たせてくれた。
まだイザックから婚約を考え直したいという連絡は来ていないので、両親は半年後には私は結婚すると思っているのだ。
今、領地には姉夫婦がいる。
私の目的はお姉様に会い話し合うこと。
我がカナルソル侯爵家は女ばかりの3姉妹。
姉のアデルは去年結婚し、夫を迎えて今年は領地で暮らしている。
お姉様は社交界でもその美貌がもてはやされ、求婚者が後を絶たなかった。
当代一の美女と、結婚した今も評されている。
イザックと婚約した私は、このままイザックと結婚し第二王子の妻として余生を過ごすのだと何の疑問もなく思っていた。
まさかイザックがこの結婚を白紙に戻そうとするとは思いもせず、イザックの周りにいる女性たちを牽制することも、イザックの心変わりを心配することもなくお気楽にのんきに過ごしていた。
しかし婚約が決まったからと安心し気を緩めていてはいけなかったのだ。
あろうことかイザックは、新婚のお姉様に恋をしてしまったらしい。
妹のエマはまだ9歳なので、イザックの恋の相手がエマということはさすがにないと思いたい。
(確かに我が家にイザックがやってくる機会は婚約話が出る前から何度かあった。我が家に来ていた目的は、お姉様?お姉様が結婚しても諦められなかった?お姉様が結婚してしまって、最初は私をお姉様の代わりにしようとしていたけれど、やっぱり私ではお姉様の代わりは務まらないと判断した?)
不穏な想像が頭の中をぐるぐると回る。
(でもお姉様は結婚しているのよ。諦めてもらわないと!)
この国では1度結婚すると再婚するのはかなり難しい。
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貴族の場合は政略結婚も多いから、結婚してから恋をするという方もいる。
けれどお姉様はそういうタイプではないはずだ。
私はお姉様と交渉し、イザックに諦めるよう言ってもらおうと思っているのだ。
お姉様がイザックの気持ちを受け入れなければ、イザックも諦めて私と結婚しようと思いなおしてくれるかもしれない。
(イザックがお姉様の説得を受けて諦めたとしても、結局私はお姉様の代わりなんだわ)
ズンと心が重くなる。
けれどあきらめずに真心で接すれば、いつかは姉のアデルではなく、私リュシーを愛してくれるようになるかもしれない。
暗く考えがちになる心を、私は奮い立たせた。
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