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ダイアナー先輩視点ー 後
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最近細井がよそよそしい気がする。目を合わせない。目が合ってもフイっとそらされる。
恋愛の初期症状?惚れられたか?
と思ったがそうでもないらしい。
何かしただろうか。
思い当たるところは全くなかった。
しかしこの状態も飲み始めて2、3時間経つと軟化し、以前の状態に戻ってなついてくる。
ずっと誰かに似ていると思っていたが、最近の細井はダイアナに似ている。
ダイアナは実家で飼っている猫だ。
くるんと反り返った耳とふわふわのしっぽがチャームポイントの白いアメリカンカール。
両親に溺愛されているが、俺が大学に入って1人暮らしをはじめてから飼い始めたので俺にはあまりなついていない。
たまに実家に帰ると、ダイアナはサッと隠れてしまうか、遠巻きに俺を見ていてこっちから近づこうものなら逃げてしまう。
しかし一泊して帰るころには俺の膝の上で寝ていたりする。
それと一緒だった。
飲み会の始まりにはスッと視線をそらし遠くに座っていた細井だったが今は―。
「岸野先輩のお家今から行ってもいいですか?」
上目遣いでねだってくる。視線もそらさない。
この瞳もダイアナに似ている。
見つめられると何でも願い事を聞いてやりたくなる。
「明日1限から授業だからなぁ」
「いいじゃないですか。起こしてあげますから大丈夫です」
「わかった」
最初から断るつもりはなかった。
「やったー。皆さんー、3次会は岸野先輩の家です。美味しい日本酒飲めますよー」
無事に与えられたミッションを終え、細井は満面の笑みで報告に向かう。
細井は部活の面々に「よくやった」と褒められていた。
杉山には俺が細井の上目遣いに弱いとバレているので、俺に勝ち目はない。
日本酒も初めは実家で見つけて持って帰ったものがたまたまあっただけだった。
でも今は細井のために細井がおいしいと言った銘柄を買って常備しているような気がする。
こんな風に細井は猫のように俺を振り回す存在だった。
デレモードの時にはどうしようもなく可愛くて抱きしめてキスをしたくなるけれど、それを実行したらスルっと膝から降りてしまうような気がしてうかつに手が出せない。
他の奴らには最初からデレデレなのに俺にだけ原因不明のツンがある。
それでいいと思っていた。
細井はダイアナと一緒で、最後にはデレてどうしようもなく可愛いところを見せて癒してくれればいい。
しかし細井は全く飲み会に顔を出さなくなった。
就職して社会人になって数年。
仕事にも慣れた頃のはずなのに、仕事が忙しいと言って全く出てこない。
今までの参加率が高すぎた奴だけにみんな心配していた。
ふとした瞬間に細井は今どうしているだろうかと考えてしまう日々。
俺は細井のデレを渇望していた。
杉山の結婚式の日、やっと細井は顔を出した。
見ない間に痩せて大人っぽくなったような気がするが、変わらず可愛かった。
恋愛の初期症状?惚れられたか?
と思ったがそうでもないらしい。
何かしただろうか。
思い当たるところは全くなかった。
しかしこの状態も飲み始めて2、3時間経つと軟化し、以前の状態に戻ってなついてくる。
ずっと誰かに似ていると思っていたが、最近の細井はダイアナに似ている。
ダイアナは実家で飼っている猫だ。
くるんと反り返った耳とふわふわのしっぽがチャームポイントの白いアメリカンカール。
両親に溺愛されているが、俺が大学に入って1人暮らしをはじめてから飼い始めたので俺にはあまりなついていない。
たまに実家に帰ると、ダイアナはサッと隠れてしまうか、遠巻きに俺を見ていてこっちから近づこうものなら逃げてしまう。
しかし一泊して帰るころには俺の膝の上で寝ていたりする。
それと一緒だった。
飲み会の始まりにはスッと視線をそらし遠くに座っていた細井だったが今は―。
「岸野先輩のお家今から行ってもいいですか?」
上目遣いでねだってくる。視線もそらさない。
この瞳もダイアナに似ている。
見つめられると何でも願い事を聞いてやりたくなる。
「明日1限から授業だからなぁ」
「いいじゃないですか。起こしてあげますから大丈夫です」
「わかった」
最初から断るつもりはなかった。
「やったー。皆さんー、3次会は岸野先輩の家です。美味しい日本酒飲めますよー」
無事に与えられたミッションを終え、細井は満面の笑みで報告に向かう。
細井は部活の面々に「よくやった」と褒められていた。
杉山には俺が細井の上目遣いに弱いとバレているので、俺に勝ち目はない。
日本酒も初めは実家で見つけて持って帰ったものがたまたまあっただけだった。
でも今は細井のために細井がおいしいと言った銘柄を買って常備しているような気がする。
こんな風に細井は猫のように俺を振り回す存在だった。
デレモードの時にはどうしようもなく可愛くて抱きしめてキスをしたくなるけれど、それを実行したらスルっと膝から降りてしまうような気がしてうかつに手が出せない。
他の奴らには最初からデレデレなのに俺にだけ原因不明のツンがある。
それでいいと思っていた。
細井はダイアナと一緒で、最後にはデレてどうしようもなく可愛いところを見せて癒してくれればいい。
しかし細井は全く飲み会に顔を出さなくなった。
就職して社会人になって数年。
仕事にも慣れた頃のはずなのに、仕事が忙しいと言って全く出てこない。
今までの参加率が高すぎた奴だけにみんな心配していた。
ふとした瞬間に細井は今どうしているだろうかと考えてしまう日々。
俺は細井のデレを渇望していた。
杉山の結婚式の日、やっと細井は顔を出した。
見ない間に痩せて大人っぽくなったような気がするが、変わらず可愛かった。
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