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鈴木
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私の初恋は中学1年生の時だった。
小学校は1学年2クラスしかない小さな学校だったのに対して中学は1学年6クラス。
1から新しい友達を作る日々。
そんな中見つけたのが、同じクラスの鈴木君だった。
鈴木君はとにかくモテた。
いわゆる端正な顔立ちというやつで、田舎の中学にはなかなかいないタイプだった。
朝練を終えて教室に入ると、机が壁際に寄せられていて、教室の中央に鈴木君、その周りに椅子を持ち寄った女子が集まっているという状況が、気づいた時には当たり前になっていた。
10人以上の女子が椅子を持って集まっていたし、他のクラスの女子も鈴木君を見に来ていた。
学校でこんな光景を見たのは鈴木君が最初で最後だった。
私は部活の朝練が毎日あったため鈴木君の周りに侍ることはできなかったけれど、密かに彼にあこがれていた。
そんなある日のこと。
鈴木君はぽっちゃり系が好きという情報を手に入れた。
決して痩せていない私は歓喜した。
情報の正確性を確かめたくて、私は鈴木君に直接尋ねてみることにした。
「鈴木君って、ぽっちゃりな女の子が好きなの?」
私の質問に、クラス中の女の子の注目が集まっている。
彼女たちもやはり気になるのだろう。
学年全女子の知りたい質問と言っても過言ではなかった。
「ぽっちゃりしている女の子は可愛いと思う」
鈴木君は認めた。
情報は正確だったのだ。
「芸能人で言えば、例えばどんな人?」
そこで鈴木君があげたのは、モデルやアイドルなど、私の目から見てスタイルの良い人達ばかりだった。
「その人達ってぽっちゃりだったかな?スタイル良いと思ってた」
おそらく私と同じ感想を抱いただろう取り巻きの女の子が、代表して聞いてくれた。グッジョブ!
「みんなほっぺがぷくっとしてて可愛いよ」
鈴木君は答えた。
私は会話に混ざりながら混乱していた。
私の中のぽっちゃりの定義と鈴木君のぽっちゃりの定義は違っているようだ。
「鈴木君のぽっちゃりとデブの境界ってどのへん?」
今や鈴木君の周りにはたくさんの女の子が集まっている。
その中の1人が、核心をつく質問をした。
「う~ん。ほっぺとか二の腕がちょっとぷにぷにしてるのがぽっちゃりで、50キロ以上はデブだからぽっちゃりとは言わない。だから40キロ台でほっぺとか二の腕がぷにっとしてる子が好きかな。50キロ以上のデブはアウト」
“50キロ以上のデブはアウト”
私はその言葉にショックを受けた。
同時に私は鈴木に背負い投げを決め、倒れた鈴木の腹の上でジャンプをした。
鈴木をめったんめったんのぎったんぎったんにしてやった。
もちろん頭の中で。
鈴木は『50キロ以上はデブだからぽっちゃりとはいわない』と言う名言(迷言?)を残したままその数か月後に転校していった。
もし鈴木がそのまま中学に残っていて誰かと付き合っていたら、その彼女は少女漫画でよくあるいじめに遭うことができただろう。
間違いなく鈴木が、人生で遭遇した男子の中で一番のモテ男だった。
小学校は1学年2クラスしかない小さな学校だったのに対して中学は1学年6クラス。
1から新しい友達を作る日々。
そんな中見つけたのが、同じクラスの鈴木君だった。
鈴木君はとにかくモテた。
いわゆる端正な顔立ちというやつで、田舎の中学にはなかなかいないタイプだった。
朝練を終えて教室に入ると、机が壁際に寄せられていて、教室の中央に鈴木君、その周りに椅子を持ち寄った女子が集まっているという状況が、気づいた時には当たり前になっていた。
10人以上の女子が椅子を持って集まっていたし、他のクラスの女子も鈴木君を見に来ていた。
学校でこんな光景を見たのは鈴木君が最初で最後だった。
私は部活の朝練が毎日あったため鈴木君の周りに侍ることはできなかったけれど、密かに彼にあこがれていた。
そんなある日のこと。
鈴木君はぽっちゃり系が好きという情報を手に入れた。
決して痩せていない私は歓喜した。
情報の正確性を確かめたくて、私は鈴木君に直接尋ねてみることにした。
「鈴木君って、ぽっちゃりな女の子が好きなの?」
私の質問に、クラス中の女の子の注目が集まっている。
彼女たちもやはり気になるのだろう。
学年全女子の知りたい質問と言っても過言ではなかった。
「ぽっちゃりしている女の子は可愛いと思う」
鈴木君は認めた。
情報は正確だったのだ。
「芸能人で言えば、例えばどんな人?」
そこで鈴木君があげたのは、モデルやアイドルなど、私の目から見てスタイルの良い人達ばかりだった。
「その人達ってぽっちゃりだったかな?スタイル良いと思ってた」
おそらく私と同じ感想を抱いただろう取り巻きの女の子が、代表して聞いてくれた。グッジョブ!
「みんなほっぺがぷくっとしてて可愛いよ」
鈴木君は答えた。
私は会話に混ざりながら混乱していた。
私の中のぽっちゃりの定義と鈴木君のぽっちゃりの定義は違っているようだ。
「鈴木君のぽっちゃりとデブの境界ってどのへん?」
今や鈴木君の周りにはたくさんの女の子が集まっている。
その中の1人が、核心をつく質問をした。
「う~ん。ほっぺとか二の腕がちょっとぷにぷにしてるのがぽっちゃりで、50キロ以上はデブだからぽっちゃりとは言わない。だから40キロ台でほっぺとか二の腕がぷにっとしてる子が好きかな。50キロ以上のデブはアウト」
“50キロ以上のデブはアウト”
私はその言葉にショックを受けた。
同時に私は鈴木に背負い投げを決め、倒れた鈴木の腹の上でジャンプをした。
鈴木をめったんめったんのぎったんぎったんにしてやった。
もちろん頭の中で。
鈴木は『50キロ以上はデブだからぽっちゃりとはいわない』と言う名言(迷言?)を残したままその数か月後に転校していった。
もし鈴木がそのまま中学に残っていて誰かと付き合っていたら、その彼女は少女漫画でよくあるいじめに遭うことができただろう。
間違いなく鈴木が、人生で遭遇した男子の中で一番のモテ男だった。
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