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14.伯爵からの謝罪
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「……誠に申し訳なかった。あなた方には、謝ることしかできない」
私とエルクドさんに対して、マルディード伯爵はゆっくりと頭を下げてきた。
その様に、私達は顔を見合わせている。思っていた以上に、反省している様子だったからだ。
「倅のジグルドは、数々の愚行を働いた。あいつをそのような男に育てたのは他ならぬこの私だ。情けない話ではあるが、私は育て方を間違えてしまった」
「……こういう言い方をするのは、良くないのかもしれませんが、仰る通りです。マルディード伯爵、あなたのご子息は数々の間違いを犯しており、また現在進行形で犯しているといえます」
「色々と聞いています。本当に愚かしいことこの上ない……」
私の言葉に対して、マルディード伯爵はため息をついた。
父親として、ジグルド様の行いに呆れているということだろうか。
しかし、彼も人のことが言える程に清廉潔白ではない。彼を見つめるエルクドさんの鋭い視線に、私はそれをはっきりと思い出した。
「マルディード伯爵、あなたもかつて間違いを犯した。俺という存在は、その証拠です」
「エルクド、君にも本当に申し訳ないことをしたと思っている。まさか、あの時の彼女が妊娠しているとは気づいていなかった。気付いていれば……」
「気付く気付かないの問題ではないでしょう。俺という存在を生み出したことこそが、あなたの短絡的な行動が原因なのだから。まあ、それがなければ、俺は生まれなかったということですから、それを責めるのは俺ではありませんが」
エルクドさんは、マルディード伯爵に対して複雑な感情を抱いているようだった。
口振りからして、伯爵はエルクドさんのことを知らなかったのだろうか。いやしかし、少なくとも彼の母親のことを覚えていたならば、調べたりするはずだ。となると、彼はずっとエルクドさんの母親のことから目をそらしていたということだろうか。
「君のことは、きちんと認知するつもりだ。マルディード伯爵家の一員として、できれば君を迎え入れたいと思っている」
「今更俺を貴族の世界に引き入れるのですか?」
「君が嫌だというなら、それでもいい。ただ、今の私が頼れるのは君しかないのだ」
「……どういうことですか?」
マルディード伯爵の態度に、私もエルクドさんも首を傾げることになった。
彼の言葉の意味が、よくわからないのだ。エルクドさんを頼るしかないというのは、一体どういう状況なのだろうか。いまいち意味が伝わってこない。
「そのことを説明するためには、ジグルドの元に赴く方がいいだろう。二人とも、ジグルドには怒りを覚えているだろうが、それで構わないだろうか?」
「ええ、私は構いませんよ」
「俺も別に大丈夫です。今回は襲われないでしょうからね」
マルディード伯爵の言葉に、私とエルクドさんは頷いた。
よくわからないが、ジグルド様の元に行くのはこちらとしても都合がいい。
彼には色々と言いたいことがある。それをジグルド様がどこまで聞き入れてくれるかはわからないが、とにかく彼には一言二言言わなければ気が済まないのだ。
私とエルクドさんに対して、マルディード伯爵はゆっくりと頭を下げてきた。
その様に、私達は顔を見合わせている。思っていた以上に、反省している様子だったからだ。
「倅のジグルドは、数々の愚行を働いた。あいつをそのような男に育てたのは他ならぬこの私だ。情けない話ではあるが、私は育て方を間違えてしまった」
「……こういう言い方をするのは、良くないのかもしれませんが、仰る通りです。マルディード伯爵、あなたのご子息は数々の間違いを犯しており、また現在進行形で犯しているといえます」
「色々と聞いています。本当に愚かしいことこの上ない……」
私の言葉に対して、マルディード伯爵はため息をついた。
父親として、ジグルド様の行いに呆れているということだろうか。
しかし、彼も人のことが言える程に清廉潔白ではない。彼を見つめるエルクドさんの鋭い視線に、私はそれをはっきりと思い出した。
「マルディード伯爵、あなたもかつて間違いを犯した。俺という存在は、その証拠です」
「エルクド、君にも本当に申し訳ないことをしたと思っている。まさか、あの時の彼女が妊娠しているとは気づいていなかった。気付いていれば……」
「気付く気付かないの問題ではないでしょう。俺という存在を生み出したことこそが、あなたの短絡的な行動が原因なのだから。まあ、それがなければ、俺は生まれなかったということですから、それを責めるのは俺ではありませんが」
エルクドさんは、マルディード伯爵に対して複雑な感情を抱いているようだった。
口振りからして、伯爵はエルクドさんのことを知らなかったのだろうか。いやしかし、少なくとも彼の母親のことを覚えていたならば、調べたりするはずだ。となると、彼はずっとエルクドさんの母親のことから目をそらしていたということだろうか。
「君のことは、きちんと認知するつもりだ。マルディード伯爵家の一員として、できれば君を迎え入れたいと思っている」
「今更俺を貴族の世界に引き入れるのですか?」
「君が嫌だというなら、それでもいい。ただ、今の私が頼れるのは君しかないのだ」
「……どういうことですか?」
マルディード伯爵の態度に、私もエルクドさんも首を傾げることになった。
彼の言葉の意味が、よくわからないのだ。エルクドさんを頼るしかないというのは、一体どういう状況なのだろうか。いまいち意味が伝わってこない。
「そのことを説明するためには、ジグルドの元に赴く方がいいだろう。二人とも、ジグルドには怒りを覚えているだろうが、それで構わないだろうか?」
「ええ、私は構いませんよ」
「俺も別に大丈夫です。今回は襲われないでしょうからね」
マルディード伯爵の言葉に、私とエルクドさんは頷いた。
よくわからないが、ジグルド様の元に行くのはこちらとしても都合がいい。
彼には色々と言いたいことがある。それをジグルド様がどこまで聞き入れてくれるかはわからないが、とにかく彼には一言二言言わなければ気が済まないのだ。
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