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26.ことの始まり
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「しかし、何から話せばいいものか……」
メリーナ嬢は、ため息をついていた。
話してくれる気にはなったものの、彼女もすぐに整理できるという訳ではないのだろう。
私もラフェシア様も、メリーナ嬢の言葉を待つ。別に焦っているという訳でもない。時間はまだいっぱいあるのだから。
「……ことの発端からお話ししましょうか。そもそもの始まりは、モルダン男爵家のシャルメラ嬢という令嬢がアヴェルド殿下と関係を持ったことでした」
「シャルメラ嬢が、ことの発端だったのですか?」
「ええ、彼女が舞踏会――恐らくは、リルティア様と婚約が決まる前の話でしょうが、そこで二人が出会って関係を持ったのが始まりのようです」
メリーナ嬢の言葉に、私は少し驚いてしまった。
シャルメラ嬢は、名前などしか私は聞いたことがない。ただ、まさかことの発端だとは思っていなかった。そのため、思わず声をあげてしまったのである。
「シャルメラ嬢は、ある程度計算の上でアヴェルド殿下と関係を持ったようです。彼女は肉体関係を持った後、持ち掛けた……モルダン男爵家について、ある程度融通を効かせてくれないかと」
「……シャルメラ嬢という令嬢は、計算高い令嬢だったようね」
ラフェシア様は、ゆっくりとため息をついた。
シャルメラ嬢は割り切ってアヴェルド殿下と関係を持った。それも初めてわかった事実である。
となると、彼に愛を抱いているのはネメルナ嬢だけということになる。メリーナ嬢は、当然そういう人ではないのだろうし。
「モルダン男爵は、そんなシャルメラ嬢と同じように計算高い男爵であるようです。彼は、それ程多くを求めませんでした。ある程度の税金などを誤魔化すだとか、そういったことをしていました。対価として、シャルメラ嬢を差し出して……」
「……」
「そんなことが続く中、オーバル子爵家のネメルナ嬢という令嬢が、アヴェルド殿下と出会いまいました。そこで彼女は、アヴェルド殿下に恋心を抱いたようです。そしてそのまま、関係を持ちました」
ネメルナ嬢の名前が出て、私は彼女のことを思い出していた。
彼女のことだ。多分、熱烈にアヴェルド殿下にアピールしたのだろう。
そしてアヴェルド殿下も、それを断るような人ではないはずだ。例えシャルメラ嬢とのことがあっても、関係なんてない。
ただ、問題はそれだけではないはずだ。
エルヴァン殿下の話では、オーバル子爵家もモルダン男爵家と同じことをしていることになる。事情はさらに、根深いものなのだろう。
メリーナ嬢は、ため息をついていた。
話してくれる気にはなったものの、彼女もすぐに整理できるという訳ではないのだろう。
私もラフェシア様も、メリーナ嬢の言葉を待つ。別に焦っているという訳でもない。時間はまだいっぱいあるのだから。
「……ことの発端からお話ししましょうか。そもそもの始まりは、モルダン男爵家のシャルメラ嬢という令嬢がアヴェルド殿下と関係を持ったことでした」
「シャルメラ嬢が、ことの発端だったのですか?」
「ええ、彼女が舞踏会――恐らくは、リルティア様と婚約が決まる前の話でしょうが、そこで二人が出会って関係を持ったのが始まりのようです」
メリーナ嬢の言葉に、私は少し驚いてしまった。
シャルメラ嬢は、名前などしか私は聞いたことがない。ただ、まさかことの発端だとは思っていなかった。そのため、思わず声をあげてしまったのである。
「シャルメラ嬢は、ある程度計算の上でアヴェルド殿下と関係を持ったようです。彼女は肉体関係を持った後、持ち掛けた……モルダン男爵家について、ある程度融通を効かせてくれないかと」
「……シャルメラ嬢という令嬢は、計算高い令嬢だったようね」
ラフェシア様は、ゆっくりとため息をついた。
シャルメラ嬢は割り切ってアヴェルド殿下と関係を持った。それも初めてわかった事実である。
となると、彼に愛を抱いているのはネメルナ嬢だけということになる。メリーナ嬢は、当然そういう人ではないのだろうし。
「モルダン男爵は、そんなシャルメラ嬢と同じように計算高い男爵であるようです。彼は、それ程多くを求めませんでした。ある程度の税金などを誤魔化すだとか、そういったことをしていました。対価として、シャルメラ嬢を差し出して……」
「……」
「そんなことが続く中、オーバル子爵家のネメルナ嬢という令嬢が、アヴェルド殿下と出会いまいました。そこで彼女は、アヴェルド殿下に恋心を抱いたようです。そしてそのまま、関係を持ちました」
ネメルナ嬢の名前が出て、私は彼女のことを思い出していた。
彼女のことだ。多分、熱烈にアヴェルド殿下にアピールしたのだろう。
そしてアヴェルド殿下も、それを断るような人ではないはずだ。例えシャルメラ嬢とのことがあっても、関係なんてない。
ただ、問題はそれだけではないはずだ。
エルヴァン殿下の話では、オーバル子爵家もモルダン男爵家と同じことをしていることになる。事情はさらに、根深いものなのだろう。
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