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19.真面目な王子
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「という訳で、イルドラ殿下に少し相談したいのです」
「……ウォーランに事実を知られたか。それは中々に厄介だな」
私の報告に、イルドラ殿下はゆっくりとため息をついた。
兄弟の仲はあまり良くないのだろうか。その表情からは、嫌そうな感じが伝わってくる。
「イルドラ殿下は、ウォーラン殿下と仲が悪いのですか?」
「いいや、そういう訳でもないさ。ウォーランは人当たりがいいからな。兄弟の仲でも、誰とでも馬が合う」
「ああ、誠実な方ですからね。アヴェルド殿下の浮気にも、憤っていました」
「まあ、そうだろうな……」
ウォーラン殿下は、噂通りの真っ直ぐな人であるらしい。
そういった人には、好感が持てる。ただ、王族としてそれが良いことなのかどうかは微妙な所ではあるかもしれない。貴族もそうだが、やはり暗躍というものが上に立つものには、ある程度必要であるだろう。
「ただ、あいつも一応話がわからないという訳でもない。リルティア嬢が素直に事情を話せば、無粋な真似はしないはずだ。いやそれ所か、味方してくれるかもしれないな。兄上に対して、今はかなり怒りを感じているはずだし……」
「協力していただけるというなら、願いたい所ではありますね。アヴェルド殿下が糾弾されるのは、もう少し後がいいですから」
「となると、善は急げだ。ウォーランに掛け合うとしよう」
「ええ、そうしていただけると助かります」
イルドラ殿下の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼が間に入ってくれるなら、こちらとしてもありがたい。やはり兄弟の方が、話も早いだろう。
「……それにしても、兄上は予想していた以上の悪漢だな。まさか、リルティア嬢も含めて四股もしているなんて、思ってもいなかったことだ」
「それはそうですね。まあ、もう何人いても驚きはありません。一人浮気していたら、二人浮気している。二人いたら、三人目もいる。そういうものなのかもしれません」
「……待てよ。もしかして、まだいるのか?」
「その可能性も、あるかと思いますが……」
「はあ、仕方ないな。それについても、調査するべきだな。兄上も隠しているだろうし、わかるかどうかは微妙な所だが……」
私の言葉に、イルドラ殿下は頭を抱えていた。
アヴェルド殿下の行いは、王家の大きな失態として取り上げられることになるだろう。
それはもちろん、彼にとっても大きな打撃になる。アヴェルド殿下の印象に、王族全てが引っ張られることになるからだ。
今回の件では、イルドラ殿下には随分とお世話になっている。
その恩を返すためにも、何かあったら協力するべきであるだろう。私は、お父様にそう進言することを決めたのだった。
「……ウォーランに事実を知られたか。それは中々に厄介だな」
私の報告に、イルドラ殿下はゆっくりとため息をついた。
兄弟の仲はあまり良くないのだろうか。その表情からは、嫌そうな感じが伝わってくる。
「イルドラ殿下は、ウォーラン殿下と仲が悪いのですか?」
「いいや、そういう訳でもないさ。ウォーランは人当たりがいいからな。兄弟の仲でも、誰とでも馬が合う」
「ああ、誠実な方ですからね。アヴェルド殿下の浮気にも、憤っていました」
「まあ、そうだろうな……」
ウォーラン殿下は、噂通りの真っ直ぐな人であるらしい。
そういった人には、好感が持てる。ただ、王族としてそれが良いことなのかどうかは微妙な所ではあるかもしれない。貴族もそうだが、やはり暗躍というものが上に立つものには、ある程度必要であるだろう。
「ただ、あいつも一応話がわからないという訳でもない。リルティア嬢が素直に事情を話せば、無粋な真似はしないはずだ。いやそれ所か、味方してくれるかもしれないな。兄上に対して、今はかなり怒りを感じているはずだし……」
「協力していただけるというなら、願いたい所ではありますね。アヴェルド殿下が糾弾されるのは、もう少し後がいいですから」
「となると、善は急げだ。ウォーランに掛け合うとしよう」
「ええ、そうしていただけると助かります」
イルドラ殿下の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼が間に入ってくれるなら、こちらとしてもありがたい。やはり兄弟の方が、話も早いだろう。
「……それにしても、兄上は予想していた以上の悪漢だな。まさか、リルティア嬢も含めて四股もしているなんて、思ってもいなかったことだ」
「それはそうですね。まあ、もう何人いても驚きはありません。一人浮気していたら、二人浮気している。二人いたら、三人目もいる。そういうものなのかもしれません」
「……待てよ。もしかして、まだいるのか?」
「その可能性も、あるかと思いますが……」
「はあ、仕方ないな。それについても、調査するべきだな。兄上も隠しているだろうし、わかるかどうかは微妙な所だが……」
私の言葉に、イルドラ殿下は頭を抱えていた。
アヴェルド殿下の行いは、王家の大きな失態として取り上げられることになるだろう。
それはもちろん、彼にとっても大きな打撃になる。アヴェルド殿下の印象に、王族全てが引っ張られることになるからだ。
今回の件では、イルドラ殿下には随分とお世話になっている。
その恩を返すためにも、何かあったら協力するべきであるだろう。私は、お父様にそう進言することを決めたのだった。
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