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14.訪問者からの知らせ
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ルバイトの調査によって、ランベルト侯爵家は特に動いていないことがわかった。
それはアリシアにとって、安心できる情報である。その知らせがあったということは、母のお墓参りに行けるからだ。
アリシアとしては、すぐにでも行きたかったお墓参りだが、ランベルト侯爵家が何かする可能性がある以上、ルバイトの決定を待つしかなかった。
それについて、アリシアに異論があった訳ではない。彼女も納得して、今まで過ごしてきたのである。
母のお墓がわかっているという状況は、アリシアを落ち着かせていた。
見通しがつかなかった今までと違って、心穏やかに時間を過ごせたのである。
しかしそんな折、アルバーン侯爵家に来客があった。
その人物の来訪にルバイトが焦っている様子に、アリシアは少し驚いていた。彼はいつも冷静なのだとばかり、思っていたからだ。
「まさか、あなたがこちらを訪ねて来るなんて……」
「アルバーン侯爵……いえ、ルバイトさんと呼んだ方がよろしいでしょうかね?」
「ええ、それで構いません。あなたからの呼ばれ方は、そちらの方がしっくりと来ますから」
突然やって来た人物は、 丸い眼鏡と長い髪を後ろで束ねた初老の紳士である。
その人物に、アリシアは少し怯んでいた。彼の掴み所がない雰囲気に、調子が狂ってしまったのである。
「ルバイト様、こちらの方は?」
「アリシア、こちらは俺の剣の師であるベルトンさんだ。今は王子の家庭教師をしているとても偉大な方だ」
「偉大なんてよしてくださいと、いつも言っているでしょう。えっと、あなたはアリシアさんですね。お話は聞いています。それに私も色々と調べました」
「……調べた?」
ベルトンの言葉に、ルバイトは眉を動かした。
彼の顔は、一気に険しくなる。それを見てアリシアは、少し不安になっていた。
ベルトンという人物は、ルバイトと親しい人だと思っていた。
それなのにかなり警戒しており、アリシアは少し混乱してしまったのである。
「ベルトンさん、あなたが何故アリシアのことを調べるのですか?」
「……王の命令です」
「王の命令とは、穏やかではありませんね?」
「いえいえ、ご安心ください。私はあなたの味方ですから」
「……本当ですか?」
ルバイトはベルトンのことを、かなり恐れているようだった。
それを見てアリシアは思う。ベルトンはもしかしたら、王子の家庭教師以上の役目があるのかもしれないと。
それを知っているからこそ、ルバイトが恐れた。
アリシアは状況をそのように理解した。
「ええ、本当ですとも。というよりも、国王様はあなたの味方です」
「国王様が? どうして、俺の味方なのですか?」
「それはあなたが国王様の甥だからです」
「……なんですって?」
ベルトンの言葉に、ルバイトは目を丸めていた。
かなり驚いているのだろう。彼は固まってしまっている。
それはアリシアも同じだった。
ベルトンが告げたことは、にわかには信じられないようなことである。
アリシアとルバイトは、顔を見合わせた。
この不可解な状況に、二人は思わずそうしてしまったのだ。
それはアリシアにとって、安心できる情報である。その知らせがあったということは、母のお墓参りに行けるからだ。
アリシアとしては、すぐにでも行きたかったお墓参りだが、ランベルト侯爵家が何かする可能性がある以上、ルバイトの決定を待つしかなかった。
それについて、アリシアに異論があった訳ではない。彼女も納得して、今まで過ごしてきたのである。
母のお墓がわかっているという状況は、アリシアを落ち着かせていた。
見通しがつかなかった今までと違って、心穏やかに時間を過ごせたのである。
しかしそんな折、アルバーン侯爵家に来客があった。
その人物の来訪にルバイトが焦っている様子に、アリシアは少し驚いていた。彼はいつも冷静なのだとばかり、思っていたからだ。
「まさか、あなたがこちらを訪ねて来るなんて……」
「アルバーン侯爵……いえ、ルバイトさんと呼んだ方がよろしいでしょうかね?」
「ええ、それで構いません。あなたからの呼ばれ方は、そちらの方がしっくりと来ますから」
突然やって来た人物は、 丸い眼鏡と長い髪を後ろで束ねた初老の紳士である。
その人物に、アリシアは少し怯んでいた。彼の掴み所がない雰囲気に、調子が狂ってしまったのである。
「ルバイト様、こちらの方は?」
「アリシア、こちらは俺の剣の師であるベルトンさんだ。今は王子の家庭教師をしているとても偉大な方だ」
「偉大なんてよしてくださいと、いつも言っているでしょう。えっと、あなたはアリシアさんですね。お話は聞いています。それに私も色々と調べました」
「……調べた?」
ベルトンの言葉に、ルバイトは眉を動かした。
彼の顔は、一気に険しくなる。それを見てアリシアは、少し不安になっていた。
ベルトンという人物は、ルバイトと親しい人だと思っていた。
それなのにかなり警戒しており、アリシアは少し混乱してしまったのである。
「ベルトンさん、あなたが何故アリシアのことを調べるのですか?」
「……王の命令です」
「王の命令とは、穏やかではありませんね?」
「いえいえ、ご安心ください。私はあなたの味方ですから」
「……本当ですか?」
ルバイトはベルトンのことを、かなり恐れているようだった。
それを見てアリシアは思う。ベルトンはもしかしたら、王子の家庭教師以上の役目があるのかもしれないと。
それを知っているからこそ、ルバイトが恐れた。
アリシアは状況をそのように理解した。
「ええ、本当ですとも。というよりも、国王様はあなたの味方です」
「国王様が? どうして、俺の味方なのですか?」
「それはあなたが国王様の甥だからです」
「……なんですって?」
ベルトンの言葉に、ルバイトは目を丸めていた。
かなり驚いているのだろう。彼は固まってしまっている。
それはアリシアも同じだった。
ベルトンが告げたことは、にわかには信じられないようなことである。
アリシアとルバイトは、顔を見合わせた。
この不可解な状況に、二人は思わずそうしてしまったのだ。
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