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109.傷一つなく
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「……え?」
ルミーネに近づいたマルギアスさんは、驚いたような声をあげた。
何かあったのだろうか。その反応に、私達は警戒する。
「……息はあるようです。恐らく、眠っているだけかと」
「眠っているだけ? いや、そんな穏やかなものではないだろう。それなら、周りの惨状はどういうことなんだ?」
「……見た所、彼女に傷はありません」
「傷がない? この状況でか?」
「ええ……」
マルギアスさんの言葉に、ドルギアさんは困惑していた。
それは、当たり前だろう。彼女の周りは、血塗れだ。それで傷もなく眠っているだけなんて、信じられることではない。
「もしかしたら、あれはグーゼス様の血でしょうか?」
「その可能性はあるが……その場合、あんな所で寝るか?」
「彼女は狂気に取り憑かれていますから、常人とは違う考え方をしているのかもしれません」
「それはわからなくはないが……」
私の言葉に、ドルギアさんはあまり納得していないようだった。
それは理解できる。私も、自分で言っていてそんなことはないだろうと思っているからだ。
彼女は、常人とは違う考え方をしている。グーゼス様をあんな姿にしているのだから、それは確実だ。
だが、こんな血塗れで眠る程に正気を失っているとは考えにくい。私が考える彼女は、そういう所はむしろ潔癖な気がするのだ。
「あれが演技で、罠という可能性もあるだろう」
「ええ、そうですね……でも、マルギアスさんが近づいても、特に反応がありませんね」
「まったく、どういうことなんだ」
ルミーネは、無防備である。それは、罠を仕掛けているとも考えられるだろう。
ただ、それならマルギアスさんが近づいた時点で動きがありそうな気もする。もちろん、一網打尽にするためにぎりぎりまで待っているのかもしれないが。
「……悩んでいても仕方ないか。おい、お前達、あいつを拘束しろ」
少し悩んだ後、ドルギアさんは部下達にそのような指示を出した。
確かに、今の状況はルミーネを捕まえるこれ以上ない好機である。罠という可能性もあるが、それに警戒しながら彼女を拘束するのが一番だろう。
「何をしてくるかはわからない。警戒を解くんじゃないぞ」
ドルギアさんの指示を受けて、騎士達はルミーネの周りを囲んだ。その後、彼らは彼女との距離を詰めていく。周囲を警戒しながら。
「うっ……」
「むっ……」
次の瞬間、ルミーネが声をあげた。
彼女は、そのままゆっくりと体を起こす。
ルミーネに近づいたマルギアスさんは、驚いたような声をあげた。
何かあったのだろうか。その反応に、私達は警戒する。
「……息はあるようです。恐らく、眠っているだけかと」
「眠っているだけ? いや、そんな穏やかなものではないだろう。それなら、周りの惨状はどういうことなんだ?」
「……見た所、彼女に傷はありません」
「傷がない? この状況でか?」
「ええ……」
マルギアスさんの言葉に、ドルギアさんは困惑していた。
それは、当たり前だろう。彼女の周りは、血塗れだ。それで傷もなく眠っているだけなんて、信じられることではない。
「もしかしたら、あれはグーゼス様の血でしょうか?」
「その可能性はあるが……その場合、あんな所で寝るか?」
「彼女は狂気に取り憑かれていますから、常人とは違う考え方をしているのかもしれません」
「それはわからなくはないが……」
私の言葉に、ドルギアさんはあまり納得していないようだった。
それは理解できる。私も、自分で言っていてそんなことはないだろうと思っているからだ。
彼女は、常人とは違う考え方をしている。グーゼス様をあんな姿にしているのだから、それは確実だ。
だが、こんな血塗れで眠る程に正気を失っているとは考えにくい。私が考える彼女は、そういう所はむしろ潔癖な気がするのだ。
「あれが演技で、罠という可能性もあるだろう」
「ええ、そうですね……でも、マルギアスさんが近づいても、特に反応がありませんね」
「まったく、どういうことなんだ」
ルミーネは、無防備である。それは、罠を仕掛けているとも考えられるだろう。
ただ、それならマルギアスさんが近づいた時点で動きがありそうな気もする。もちろん、一網打尽にするためにぎりぎりまで待っているのかもしれないが。
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少し悩んだ後、ドルギアさんは部下達にそのような指示を出した。
確かに、今の状況はルミーネを捕まえるこれ以上ない好機である。罠という可能性もあるが、それに警戒しながら彼女を拘束するのが一番だろう。
「何をしてくるかはわからない。警戒を解くんじゃないぞ」
ドルギアさんの指示を受けて、騎士達はルミーネの周りを囲んだ。その後、彼らは彼女との距離を詰めていく。周囲を警戒しながら。
「うっ……」
「むっ……」
次の瞬間、ルミーネが声をあげた。
彼女は、そのままゆっくりと体を起こす。
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