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63.警戒される騎士
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「……さて、それじゃあ、行くとするか」
「はい……」
話している内に、私達はトゥーリンの定食屋の目の前まで来ていた。
まだ開店時間ではないので、私達は裏口に向かう。恐らく、二人は準備中なので、そこから呼びかければ、出て来てくれるはずだ。
「トゥーリン、ナーゼス、いるか?」
「……その声は、おっさんか?」
「ああ、そうだ」
ドルギアさんが呼び鈴を鳴らしながら呼びかけると、中からナーゼスさんがやって来て戸を開けてくれた。
彼は、まずドルギアさんの顔を見て驚いていた。次に、私の顔を見ると、少しその表情が強張る。
「……おっさん、これはどういうことだ?」
「おいおい、いきなり攻撃的だな……」
「彼女に、何かしようというのか?」
「……まあ、事情はしっかりと話してやる。だから、中に入れてくれ。トゥーリンにも聞かせたい」
「……わかった」
ナーゼスさんは、私達を中に招いてくれた。
とりあえず、話を聞こうとは思っているようだ。ただ、その目は訝し気にドルギアさんを見ている。なんというか、何を話してもあまり納得しなさそうだ。
「あら? ドルギアさんに、ルルメアさん? どうして、二人が一緒に?」
「ああ、色々と事情があってな。お前達に、少し話を聞いてもらいたいんだ」
「そ、そうなんですね……よくわかりませんが、とりあえず、どうぞ」
トゥーリンさんは、困惑しながらも私達に座るように促してくれた。
私とドルギアさんは、ナーゼスさんとトゥーリンさんと向かい合うように座り、いよいよ話ができる体勢になる。
「まあ、周りくどいのは好きじゃないから、最初に結論から入らせてもらう。騎士団は、このお嬢ちゃんを保護することに決めた」
「保護? それは、どういうことだ?」
「このお嬢ちゃんから話を聞こうと思っていたんだが、事情が変わったんだ。お嬢ちゃんは、とある人物から命を狙われている。騎士団が保護しなければ、危険なんだよ」
「なんだって……?」
ドルギアさんの言葉に、二人は不安そうな顔をした。その視線が、ほぼ同時に私の方を向く。
その心配するような眼差しに、私は苦笑いを浮かべるしかない。この場合、どういう表情をするのが、正解だったのだろうか。
「本当なのか?」
「ええ、本当です。私は、実際に昨日命を狙われました。ドルギアさんが偶々尾行してくれていなければ、危なかったと思います」
「そんな……」
二人が私を心配してくれていることは、とても嬉しい。まだ知り合ってからそれ程経っていないというのに、ここまで親身になってくれる二人は、本当にいい人なのだろう。
だからこそ、私は二人の元から去らなければならない。この二人に危害が及ぶなんてことは、絶対に避けなければならないことなのだ。
「はい……」
話している内に、私達はトゥーリンの定食屋の目の前まで来ていた。
まだ開店時間ではないので、私達は裏口に向かう。恐らく、二人は準備中なので、そこから呼びかければ、出て来てくれるはずだ。
「トゥーリン、ナーゼス、いるか?」
「……その声は、おっさんか?」
「ああ、そうだ」
ドルギアさんが呼び鈴を鳴らしながら呼びかけると、中からナーゼスさんがやって来て戸を開けてくれた。
彼は、まずドルギアさんの顔を見て驚いていた。次に、私の顔を見ると、少しその表情が強張る。
「……おっさん、これはどういうことだ?」
「おいおい、いきなり攻撃的だな……」
「彼女に、何かしようというのか?」
「……まあ、事情はしっかりと話してやる。だから、中に入れてくれ。トゥーリンにも聞かせたい」
「……わかった」
ナーゼスさんは、私達を中に招いてくれた。
とりあえず、話を聞こうとは思っているようだ。ただ、その目は訝し気にドルギアさんを見ている。なんというか、何を話してもあまり納得しなさそうだ。
「あら? ドルギアさんに、ルルメアさん? どうして、二人が一緒に?」
「ああ、色々と事情があってな。お前達に、少し話を聞いてもらいたいんだ」
「そ、そうなんですね……よくわかりませんが、とりあえず、どうぞ」
トゥーリンさんは、困惑しながらも私達に座るように促してくれた。
私とドルギアさんは、ナーゼスさんとトゥーリンさんと向かい合うように座り、いよいよ話ができる体勢になる。
「まあ、周りくどいのは好きじゃないから、最初に結論から入らせてもらう。騎士団は、このお嬢ちゃんを保護することに決めた」
「保護? それは、どういうことだ?」
「このお嬢ちゃんから話を聞こうと思っていたんだが、事情が変わったんだ。お嬢ちゃんは、とある人物から命を狙われている。騎士団が保護しなければ、危険なんだよ」
「なんだって……?」
ドルギアさんの言葉に、二人は不安そうな顔をした。その視線が、ほぼ同時に私の方を向く。
その心配するような眼差しに、私は苦笑いを浮かべるしかない。この場合、どういう表情をするのが、正解だったのだろうか。
「本当なのか?」
「ええ、本当です。私は、実際に昨日命を狙われました。ドルギアさんが偶々尾行してくれていなければ、危なかったと思います」
「そんな……」
二人が私を心配してくれていることは、とても嬉しい。まだ知り合ってからそれ程経っていないというのに、ここまで親身になってくれる二人は、本当にいい人なのだろう。
だからこそ、私は二人の元から去らなければならない。この二人に危害が及ぶなんてことは、絶対に避けなければならないことなのだ。
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