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51.薄暗い中で
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「そもそも、辻斬りというのは、この辺りのことなんですか?」
「ああ、それに関してはそうだ。最近、近くの町で出たらしい」
「そうなんですか……」
そもそも辻斬りというのが遠くの町の話なのだと思っていたが、そういう訳ではないらしい。
それなら、本当に遭遇する可能性もあるということだ。そう考えると、なんだか少し不安になってくる。
「例えば、こういう人通りがない所なんかは、危ないんじゃないか?」
「まあ、そうですよね……確かに大通り離れましたし」
色々と話している内に、私達は大通りから離れていた。
辺りも暗くなってきたし、人通りもない。そういう狂った人間が、好みそうな場所である。
しかし、そう簡単にそんな者と遭遇することがあるのだろうか。いくらこの辺りにいるからといって、この町にいるのだろうか。
「あれ? もしかして……あんな人とか怪しいんですか?」
「うん?」
そこで、私はある人を発見した。その人物は、仮面を被り、フード付きのマントを纏った全身黒ずくめの男だ。
正直言って、滅茶苦茶怪しい。だが、ここまで露骨だと逆にそうじゃないのではないかと思わないでもない。
「お嬢ちゃん、下がっていな」
「……そうですね」
ドルギアさんは、ゆっくりとその人物の方に近づいて行った。その顔は今までと違い、真剣だ。
そんな彼を見ながら、私も少し構えておく。万が一ということもある。ここは、私もある程度の準備をしておく必要があるだろう。
「おい、あんた。少しいいか?」
「……」
「俺は、騎士なんだが……二、三質問をさせてもらっていいか?」
ドルギアさんの呼びかけに、男はまったく答えない。騎士に対してこの態度は、普通ではないだろう。彼が辻斬りかどうかはともかく、何かあることは確かだ。
「辻斬り……そうだ。彼は、刃を持っていない……」
辻斬りという言葉を考えて、私はそんなことに気づいていた。その黒ずくめの男は、得物を持っていないのだ。
辻斬りという言葉のイメージから、私は長い剣を凶器として使うと考えていた。だが、彼はそんなものは持っていない。
ということは、彼は辻斬りではないのだろうか。いや、よく見てみると彼の余っている服の袖から覗いているのは。
「ドルギアさん、危ない!」
「……ああ、そのようだな!」
私の呼びかけとほぼ同時に、黒ずくめの男は動き出した。その右手を振り上げて、ドルギアさんに切りかかってきたのだ。
彼の右腕からは、銀色に輝く刃が伸びている。どうやら。彼の右手は義手か何かで、剣のようになっているようだ。
「ああ、それに関してはそうだ。最近、近くの町で出たらしい」
「そうなんですか……」
そもそも辻斬りというのが遠くの町の話なのだと思っていたが、そういう訳ではないらしい。
それなら、本当に遭遇する可能性もあるということだ。そう考えると、なんだか少し不安になってくる。
「例えば、こういう人通りがない所なんかは、危ないんじゃないか?」
「まあ、そうですよね……確かに大通り離れましたし」
色々と話している内に、私達は大通りから離れていた。
辺りも暗くなってきたし、人通りもない。そういう狂った人間が、好みそうな場所である。
しかし、そう簡単にそんな者と遭遇することがあるのだろうか。いくらこの辺りにいるからといって、この町にいるのだろうか。
「あれ? もしかして……あんな人とか怪しいんですか?」
「うん?」
そこで、私はある人を発見した。その人物は、仮面を被り、フード付きのマントを纏った全身黒ずくめの男だ。
正直言って、滅茶苦茶怪しい。だが、ここまで露骨だと逆にそうじゃないのではないかと思わないでもない。
「お嬢ちゃん、下がっていな」
「……そうですね」
ドルギアさんは、ゆっくりとその人物の方に近づいて行った。その顔は今までと違い、真剣だ。
そんな彼を見ながら、私も少し構えておく。万が一ということもある。ここは、私もある程度の準備をしておく必要があるだろう。
「おい、あんた。少しいいか?」
「……」
「俺は、騎士なんだが……二、三質問をさせてもらっていいか?」
ドルギアさんの呼びかけに、男はまったく答えない。騎士に対してこの態度は、普通ではないだろう。彼が辻斬りかどうかはともかく、何かあることは確かだ。
「辻斬り……そうだ。彼は、刃を持っていない……」
辻斬りという言葉を考えて、私はそんなことに気づいていた。その黒ずくめの男は、得物を持っていないのだ。
辻斬りという言葉のイメージから、私は長い剣を凶器として使うと考えていた。だが、彼はそんなものは持っていない。
ということは、彼は辻斬りではないのだろうか。いや、よく見てみると彼の余っている服の袖から覗いているのは。
「ドルギアさん、危ない!」
「……ああ、そのようだな!」
私の呼びかけとほぼ同時に、黒ずくめの男は動き出した。その右手を振り上げて、ドルギアさんに切りかかってきたのだ。
彼の右腕からは、銀色に輝く刃が伸びている。どうやら。彼の右手は義手か何かで、剣のようになっているようだ。
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