家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗

文字の大きさ
24 / 31

23.兄の婚約者

しおりを挟む
 私とウェリーナお姉様は、イルフェンお兄様の婚約者であるリフェルナ様と会うことになった。
 事前にお兄様から色々と聞いていたため、私もお姉様も結構緊張していた。ただ、彼女が私達に好意的であるということはわかっていたので、その点には安心感はあったのだが。

「初めまして、でよろしいのかしら? もしかしたらどこかで会っていたかもしれないけれど、お互いに面識が会ったとは言い難い訳だし……」
「そうですね、初めましてでいいと思います」
「それなら、改めて初めまして、お二人とも。私は、リフェルナ・ロナッセン。あなた達のお兄様、イルフェン様の婚約者となった者です」

 リフェルナ様は、私達にそのように挨拶してきた。
 その挨拶は、とても丁寧なものだった。まだイルフェンお兄様が言っていたような片鱗は見られない。
 やはり、あれはお兄様の勘違いだったのではないだろうか。大袈裟に言っていた。きっとそうなのだ。

「えっと……私は」
「あなたは、ウェリーナさんね?」
「え? ええ、そうですよ」
「イルフェン様から話は聞いているわ。少し口うるさい所もあるけれど、大切な妹だと……幼い頃は、自分にべったりついて来ていたけれど、最近は甘えられなくなって少し寂しいとも言っていたわね」
「……そ、そうですか」

 私は、自分の考えが間違っていたということを理解した。
 リフェルナ様は、すらすらとウェリーナお姉様のことを語り始めた。その様子は、明らかに普通ではない。

 というか、イルフェンお兄様はなんてことを彼女に話しているのだろうか。
 なんというか、そちらも少し気持ち悪かった。もう少し当たり障りのない話ができなかったものなのだろうか。

 多分、ウェリーナお姉様も二重に引いているのだろう。表情から、それはわかる。
 もっとも、リフェルナ様には悟られていないはずだ。流石に、客人の前でわかりやすく表情を歪めることはないのである。

「仰る通り、私はウェリーナ・サディードと申します。リフェルナ様、これからどうかよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。あなたとは、仲良くしたいと思っています。というのも、私は末っ子で……ずっと妹や弟が欲しいと思っていたのです」
「は、はい……」

 リフェルナ様は、ウェリーナお姉様としっかりと握手を交わした。
 それがかなり力強かったのだろう。お姉様の表情は、少し苦しそうだ。
 そして、それは他人事ではない。次は、ほぼ確実に私の番だ。
 とりあえず私は深呼吸して、息を整える。そもそも、お兄様の婚約者と会うということ自体緊張するものだったので、落ち着く必要があったのだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ
恋愛
伯爵令嬢ジゼルはある騒動に巻き込まれとばっちりに合いそうな下級生を庇って大怪我を負ってしまう。 学園内での大事件となり、体に傷を負った事で婚約者にも捨てられ、学園にも居場所がなくなった事で悲しみに暮れる…。 「好都合だわ。これでお役御免だわ」 ――…はずもなかった。          婚約者は他の女性にお熱で、死にかけた婚約者に一切の関心もなく、学園では派閥争いをしており正直どうでも良かった。 大切なのは兄と伯爵家だった。 何かも失ったジゼルだったが隣国の王太子殿下に何故か好意をもたれてしまい波紋を呼んでしまうのだった。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

処理中です...