誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。

木山楽斗

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12.遠い王都に

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「……あれは」

 私は、精霊の森の上空に来ていた。
 魔力によって、私はここからエルドー王国の上空の様子を窺っている。

 そこには、確かに龍がいた。
 以前よりもかなり近づいている。この数日で、さらに距離を縮めたようだ。

「……」

 私は、改めて夢の光景を思い出していた。
 火の海に包まれる町。逃げまとう人々、その光景が鮮明に蘇ってくる。
 あれが、現実に起こるというのだろうか。私はぼんやりとそんなことを考える。

「……私には関係がないこと、か」

 しかし、私はその考えが振り払った。
 あの国がどうなろうとも、私には関係がないことだ。

「……うん?」

 そこで、私は何か違和感のようなものを覚えた。
 それが何かはわからない。だが、あの龍を見ていると、なんだか変な感じがするのだ。

「……下りよう」

 私は、ゆっくりと下降していく。
 すると、シャルピードとロッピリオが駆け寄って来る。

「ミレイナ、すごいね……まるで、ロッピリオみたいだ」
「本当だぜ……というか、俺よりも高く飛べるんじゃないか?」
「あはは……」

 二人は、私が空に飛び上がったことに驚いているようだ。
 確かに、この森の者達には私の力はまだ見せていない。小さい頃の私しか知らない二人からすれば、信じられないことだろう。

「まあ、これでも聖女をやっていたからね……人並外れた魔力があるんだよ」
「そいつはすごいな……まあ、でも考えてみれば、小さな頃から魔力に溢れていたか」
「そうだね……確かに、そうだった」
「あれ? 二人とも、知っていたの?」
「ああ、気づいていたよ。君の体にとてつもない力が宿っているということには……」

 私は知らなかったが、二人は私の体に多大な魔力が宿っていると知っていたようだ。
 確かに、私を連れ去ったエルドー王国の者達は、私の魔力にすぐに気づいた。もしかしたら、他人からすれば、私の魔力というものはわかりやすいものだったのかもしれない。

「だけど、まさかここまでとは思っていなかった……本当に、成長したんだね」
「うん……まあ、色々と学ばされたからね」
「そうか……」

 私は、魔法を自在に操ることができる。
 エルドー王国で聖女になるために学ばされたこの技術は、今でも私の身に沁みついている。
 これが役に立つものではあることはわかっている。だが、あの国の身勝手で与えられた技術は、今となっては少々複雑なものだ。

「まあ、いいじゃないか。せっかく身に着けた力なんだから、存分に利用すればいい」
「……そうだね、ロッピリオの言う通りだ」
「……うん、そうかもしれないね」

 二人の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 せっかく利用できる力なのだから、利用する。それでいいのだろう。
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