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第28話 私と義弟
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「……後は、私達のこれからよね?」
「……あ、ああ」
そこで、私は話を変えた。
それは、私とアルスのこれからについてのことだ。
「私とアルスの婚約は、継続しているのよね……」
「ああ、まだ続いているよ」
「それは、どうするの? このまま、アルスは私と結婚するの?」
私とアルスは、現在婚約している。
それは、私が犯人であり、一度ついた悪評がとれないことを危惧して結んだものだ。
だが、その悪評は思ったよりもすぐに覆ったのである。王族に立ち向かった家として、フォルドラ家の評価はむしろ上がったのだ。
そのため、当初の予定とはかなり変わった。
私の悪評がないのだから、アルスとの婚約も必要ないのである。
「……姉さん、この際だから言わせてもらうけど、僕は姉さんのことを一人の女性として愛しているんだ」
「え?」
そのようなことを聞いた私に、アルスは驚くべきことを言ってきた。
それは、私のことを愛しているという告白である。
流石の私も、これにはかなり動揺した。心臓が鼓動を早くし、私の体が熱を帯びていく。
「昔から、姉さんのことが好きだった。姉さんは、僕のことを弟だとしか思っていなかったみたいだけど、僕は違ったんだ」
「そ、そうだったのね……」
「ごめんね、姉さん。嫌だよね、弟としか思っていない人からの好意なんて……」
私に対して、アルスは少し申し訳なさそうにしてくる。
どうやら、私がアルスからの好意を嫌だと思っているらしい。
しかし、それは間違いだ。驚きはしたが、アルスからの好意はまったく嫌ではない。
「大丈夫、私はアルスからの好意を嬉しく思っているわ」
「え?」
「驚いたけど、全然嫌ではないわ」
「そ、そうなんだね……」
私の言葉に、アルスは少し安心したような表情になる。
恐らく、私がどういう反応をするか、不安だったのだろう。
今まで、姉弟として過ごしてきたのだ。その思いを打ち明けるのには、かなりの勇気が必要だっただろう。
本当にこの弟は、強い弟だ。私は、この弟の勇気に、答えなければならないだろう。
「こ、今回の出来事で実感したけど、アルスはとても頼りになるし、魅力的な男性だと思っているわ。それに、私元々アルスのこと大好きだったし……」
「そ、それは……あ、ありがとう」
「だ、だから、その……これからも、よろしく……」
私は、アルスにそう告げていた。
それは、私からアルスに対する告白への答えのようなものだ。
今回の出来事で、私はアルスに惹かれていた。優しく頼りなり、私を守ってくれたアルスに対して、そのような思いを抱き始めていたのだ。
そのため、婚約は継続したかった。今の状況は、私達が結ばれるのにとてもいい状況だ。 もしこの機を逃せば、私は他の人と婚約を結ぶことになるだろう。そんなのは、嫌なのである。
「姉さん……わかった。これからも、よろしく。姉さんのことは、僕がずっと守っていくよ」
「ええ、頼りにしているわ、アルス」
私の答えに、アルスもそう返してくれる。
こうして、私は義理の弟であるアルスと結ばれることになったのだ。
「……あ、ああ」
そこで、私は話を変えた。
それは、私とアルスのこれからについてのことだ。
「私とアルスの婚約は、継続しているのよね……」
「ああ、まだ続いているよ」
「それは、どうするの? このまま、アルスは私と結婚するの?」
私とアルスは、現在婚約している。
それは、私が犯人であり、一度ついた悪評がとれないことを危惧して結んだものだ。
だが、その悪評は思ったよりもすぐに覆ったのである。王族に立ち向かった家として、フォルドラ家の評価はむしろ上がったのだ。
そのため、当初の予定とはかなり変わった。
私の悪評がないのだから、アルスとの婚約も必要ないのである。
「……姉さん、この際だから言わせてもらうけど、僕は姉さんのことを一人の女性として愛しているんだ」
「え?」
そのようなことを聞いた私に、アルスは驚くべきことを言ってきた。
それは、私のことを愛しているという告白である。
流石の私も、これにはかなり動揺した。心臓が鼓動を早くし、私の体が熱を帯びていく。
「昔から、姉さんのことが好きだった。姉さんは、僕のことを弟だとしか思っていなかったみたいだけど、僕は違ったんだ」
「そ、そうだったのね……」
「ごめんね、姉さん。嫌だよね、弟としか思っていない人からの好意なんて……」
私に対して、アルスは少し申し訳なさそうにしてくる。
どうやら、私がアルスからの好意を嫌だと思っているらしい。
しかし、それは間違いだ。驚きはしたが、アルスからの好意はまったく嫌ではない。
「大丈夫、私はアルスからの好意を嬉しく思っているわ」
「え?」
「驚いたけど、全然嫌ではないわ」
「そ、そうなんだね……」
私の言葉に、アルスは少し安心したような表情になる。
恐らく、私がどういう反応をするか、不安だったのだろう。
今まで、姉弟として過ごしてきたのだ。その思いを打ち明けるのには、かなりの勇気が必要だっただろう。
本当にこの弟は、強い弟だ。私は、この弟の勇気に、答えなければならないだろう。
「こ、今回の出来事で実感したけど、アルスはとても頼りになるし、魅力的な男性だと思っているわ。それに、私元々アルスのこと大好きだったし……」
「そ、それは……あ、ありがとう」
「だ、だから、その……これからも、よろしく……」
私は、アルスにそう告げていた。
それは、私からアルスに対する告白への答えのようなものだ。
今回の出来事で、私はアルスに惹かれていた。優しく頼りなり、私を守ってくれたアルスに対して、そのような思いを抱き始めていたのだ。
そのため、婚約は継続したかった。今の状況は、私達が結ばれるのにとてもいい状況だ。 もしこの機を逃せば、私は他の人と婚約を結ぶことになるだろう。そんなのは、嫌なのである。
「姉さん……わかった。これからも、よろしく。姉さんのことは、僕がずっと守っていくよ」
「ええ、頼りにしているわ、アルス」
私の答えに、アルスもそう返してくれる。
こうして、私は義理の弟であるアルスと結ばれることになったのだ。
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