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17.派手な部屋

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「あ、ここが私の部屋なんです」

 しばらく歩いて、私達はルメティアの部屋の前まで来ていた。
 彼女は、躊躇することなく部屋の戸を開け放つ。私もリーンも、そんな彼女に続いて部屋の中に入っていく。

「そこに座ってください。今、お茶をお入れしますから」
「ああ、ありがとうございます」

 ルメティアの部屋は、なんというか装飾に溢れた部屋だった。
 ベッドには天蓋がついているし、カーテンやカーペットも含めて派手だ。
 ちょっと胸焼けしそうになる部屋の片隅で、彼女は紅茶を入れている。それ中々に、絵になる光景だと思えた。

「……すごい部屋でしょう?」
「え? ええ、そうですね。素敵な部屋だと思います」
「ルメティアは、小さな頃からこういう趣味なんです。部屋にあるものは、父上や母上にねだって買ってもらったんです」
「へえ、そうなんですか……」

 小声で私に話しかけてくるリーンは、少しだけ語気が強かった。
 それはラルード様に聞いた兄妹の不和が関係しているのだろう。
 しかし、今の二人はどう考えたって仲の良い兄妹だ。その不和というものは、とっくに解消されているものなのだろう。

「お待たせして申し訳ありません。さて、何から話しましょうか?」
「ああ、わざわざありがとうございます」

 紅茶を入れてきたルメティアは、リーンの隣の椅子にゆっくりと腰掛けた。
 二人の距離は、明らかに近い。それだけで、仲の良さが伝わってくる。

「えっと、それじゃあまず私から質問していいですか?」
「質問、はい。なんでしょうか?」
「その、アノテラ様はお兄様のことをどう思っていますか?」
「え?」

 ルメティアは、少し表情を強張らせながら質問してきた。
 その内容は、少々大胆なものである。故に私は、少し面食らっていた。

「アノテラ様、すみません。いきなり、変な質問をしてしまって……」
「リーン兄様、別に変ということはないでしょう?」
「いやだって……」
「リーン様、私は大丈夫です。お気になさらないでください」

 気遣ってくれるリーンに対して、私はゆっくりと首を振る。
 なんとなく、私はルメティアの意図がわかってきた。彼女はつい先日自分の兄を襲った悲劇を気にしているのだろう。
 婚約破棄、それは大きな出来事だ。その出来事は、ルメティアにとって二度と起きて欲しくないことなのだろう。

「ルメティア様は、ラルード様のことを心配しているのですね?」
「え、えっと……」
「ふふ、いい妹さんを持たれましたね、彼は……それに、いい弟さんも」
「あ、その……」

 ラルード様は、弟や妹に恵まれている。私は、そのように思っていた。
 それはきっと、彼の人柄がそうさせたのだろう。ラルード様は、絶対に優しき兄であったはずだ。そんな彼は、恐らくとても慕われているのだろう。
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