わがままな妹の方が可愛いと婚約破棄したではありませんか。今更、復縁したいなど言わないでください。

木山楽斗

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 私は、レルミアと対面していた。
 彼女は、私と何か話したいことがあるらしい。
 雰囲気からして、以前までのように文句を言いに来た訳ではないだろう。何か、大切なことを言いに来たのだ。

「……それで、私に一体どういう話をしに来たのかしら?」
「……お姉様に、謝りたいと思っているのです」
「謝りたい……」

 レルミアの言葉に、私は驚いた。
 変わったとわかっていても、彼女からそのような言葉が出たことに混乱してしまったのである。
 人間、短期間でここまで変わることがあるのだろうか。裏がないと信じたいが、今までからの変化に戸惑わずにはいられない。

「私は、今まであなたに失礼な態度を取ってきました。そのことを、謝罪したいのです」
「えっと……」
「お姉様が困惑しているのはわかっています。今までの私から考えれば、信じられないことでしょうね……」

 混乱する私に、レルミアは少し笑みを浮かべた。
 それは、自嘲気味な笑みだ。今までの自分を振り返って、色々と考えているのだろう。
 そんな彼女を見ていると、その変化が本当だと思える。彼女の性格は、真っ当なものになっているのだ。

「あなたは、変わったのね?」
「ええ、変わりました。自分でもわかるくらいに、私は違う人間になったと思います」
「そうね……」

 レルミアは、晴れやかな表情をしていた。
 以前までの表情とはまったく違ういい表情だ。
 彼女がこういう表情をできるようになったのは、ルヴィドの尽力によるものだろう。彼の力は、本当に偉大である。

「お姉様、今まであなたに色々とひどいことをしてしまって、申し訳ありませんでした……謝って済むことではないとわかっていますが、本当にすみませんでした」
「レルミア……」

 レルミアは、私にゆっくりと頭を下げてきた。
 彼女は、本当に変わっていた。いや、変わったのではないのだろうか。
 レルミアは、今まで両親がルヴィドの影に怯えていたため、あのような態度を取っていたはずである。だから、こちらの彼女の方が本当の彼女なのかもしれない。

「気にしないでいいわよ。反省しているなら、これ以上何か言うつもりはないわ。私達にも非も訳だし……」
「……ありがとうございます」

 私の言葉に、レルミアは複雑な表情になっていた。
 気にしないでとは言ったが、本人としてはそういう訳にはいかないのだろう。
 だが、それは私にはどうすることもできないことである。だから、本人の中で決着がつくのを待つしかないのだろう。
 こうして、私はレルミアから謝罪されたのだった。
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