わがままな妹の方が可愛いと婚約破棄したではありませんか。今更、復縁したいなど言わないでください。

木山楽斗

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 私は、ルヴィドとの話を終えて、ベッドで寝転がっていた。
 彼と話したおかげで、私の目は少し覚めていた。だが、ベッドに寝転がると段々と眠気が襲ってくる。
 それなら、ベッドに寝転がらなければいいのだろう。しかし、私はその誘惑に負けていた。
 なぜなら、とても疲れているからだ。正直、もう座っていたくもないのだ。

「本当に、色々なことがあったわね……」

 本当に色々なことがあったが、やっとゆっくり休める。
 やはり、慣れ親しんだ自分の部屋のベッドはとてもいい。ここでなければ、本当の意味で体を休めることなどできないだろう。

「もう眠ろうかしら……」

 そうしていると、自然と瞼が落ちてきた。
 どうやら、そろそろ限界であるようだ。

「失礼します……」
「え?」

 そう思っていた私は、戸を叩く音とある声で瞬時に目を覚ました。
 その声が、私の部屋を訪ねて来る。その事実は、とても驚くべきことだったのだ。
 状況が呑み込めないが、対応しなければならないだろう。これは、絶対に向き合わなければならないことである。

「今、開けるわ」

 戸の傍まで行って、私は一度深呼吸をした。 
 その後、ゆっくりと戸を開けていく。すると、見知った少女の顔が見えてくる。

「……レルミア、どうかしたの?」
「お姉様と、話したいことがあります……」
「そうなのね、入って」

 私の部屋を訪ねて来たのは、妹のレルミアだった。
 この妹と話すのは、随分と久し振りである。なんというか、彼女の印象は随分と違う。前までと比べて、とても穏やかなのである。
 彼女のことは、ルヴィドに任せていたが、その経過は聞いていた。そのため、彼女がとても穏やかになったことは知っている。
 だが、実際に接してみるととても驚いてしまった。短期間で、ここまで人は変わる。その事実に、私はかなり動揺している。

「……」
「……」

 向き合って座ってから、レルミアは何も言わなくなった。
 恐らく、何から切り出すか迷っているのだろう。それは、私も同じだった。彼女になんと声をかけていいのか、まったくわからないのである。
 彼女と私の関係は、あまりいいものではなかった。そのため、簡単に何かを言うことはできないのである。

「あの……」
「あの……」

 だが、このままではいけない。そう思って言葉を出したのだが、レルミアと被ってしまった。
 彼女も同じようなことを考えたのだろう。なんというか、私達はかなり似た者同士だったようだ。
 しかし、考えてみれば、それは正しいことなのかもしれない。私達は姉妹なのだ。本来なら、似ていて当たり前なのである。
 こうして、私と妹の少し気まずい話し合いが始まるのだった。
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