わがままな妹の方が可愛いと婚約破棄したではありませんか。今更、復縁したいなど言わないでください。

木山楽斗

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 私は、部屋に戻ってベッドの上で寝転がっていた。
 とても疲れているので、ゆっくりと休んでいるのだ。

 とりあえず、イルファー様の問題はほとんど解決した。これからはアロード様とも、上手くやっていけるだろう。
 彼の弟達も紹介してもらった。皆、いい人そうなので、私も上手くやっていけるはずだ。

「ふう……」

 私は、ゆっくりと目を瞑った。自然に、そうなってしまったのである。
 正直、とても眠たいのだ。疲れが溜まっているため、体が睡眠を求めているのだろう。
 だが、今は眠っていいような時間ではない。夕方のこの時間に眠っても、あまりいいことはないのだ。
 だから、私はゆっくりと目を開ける。なんとか、眠気に打ち勝つのだ。

「姉さん、少しいいかな?」
「え?」

 そんな私の耳に聞こえてきたのは、戸を叩く音と弟の声だった。
 どうやら、ルヴィドが訪ねて来たようである。
 そういえば、私は彼の頼みでイルファー様の元に行ったのだ。ルヴィドが、気になって私の元を訪ねて来ることは、自然なことである。

 だが、彼に対して結果を報告する訳にはいかなかった。
 私の弟とイルファー様は最近会ったばかりだ。それなのに、ルヴィドがそんなことを聞いているはずがないのである。

 私と弟だけの会話でも、その設定は守らなければならない。どのような時も、油断しないようにするためだ。
 それは、イルファー様の願いでもある。だから、私はルヴィドに何も言うことはできないのだ。

「今、開けるわ」
「姉さん、疲れている所悪いけど、少し話をしてもいいかな?」
「ええ、構わないけど……」

 私が思っているようなことは、ルヴィドも理解しているはずである。
 そのため、私に素直に聞いてくるという愚行は犯さないだろう。
 もしそんなことを言ってきたなら、私は説教しなければならない。なので、できるだけそんなことはしないで欲しい所だ。

「実は、レルミアのことを少し相談したくてね……」
「相談?」
「少し困ったことというか、僕にはわからないことがあるんだ」
「そうなのね? 私が力になれるなら、相談くらいいくらでも乗ってあげるわよ」

 よくわからないが、ルヴィドはレルミアのことで相談があるらしい。
 それは、イルファー様のことを聞くためなのだろうか。それとも、単純に相談があるのだろうか。
 どちらにしても、私はルヴィドの話を聞いてあげるつもりだった。イルファー様のことが気になるならそれとなく伝えたいし、本当に困っているなら普通に相談に乗ってあげたいからだ。
 こうして、私はルヴィドと話すことになるのだった。
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