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私は、イルファー様の弟であるエルクル様と話していた。
エルクル様は、真面目な人である。その丁寧な挨拶から、それが読み取れた。
彼のことはわかったので、次はその隣にいる婚約者のことを聞いた方がいいだろう。彼女のことは少し知っているが、二人の口から聞いておきたい。
「それで、そちらの女性は……」
「ええ、紹介させてもらいます。こちらは、僕の婚約者であるフローナ・レフェイグ侯爵令嬢です」
「フローナ・レフェイグです。よろしくお願いします」
「ええ、よろしくお願いします」
彼の婚約者は、フローナ様という人である。
それは知っていた。王子の婚約者が誰かは、貴族なら当然把握している。
そもそも、私は彼女と会ったことがあった。同じ貴族であるため、何度か顔を合わせたことがあるのだ。
ただ、私は少しだけ驚いていた。彼女の印象が、前に会った時と異なっていたからだ。
「驚いていますか?」
「え?」
「いえ、あなたが彼女を見て、表情を変えたので、そうなのではないかと思ったのです」
「あ、はい……申し訳ありません」
そんな私に、エルクル様は質問してきた。
どうやら、結構露骨に表情に出てしまっていたようだ。
これは、失礼だったかもしれない。もう少し、態度に出さないようにするべきだっただろう。
「謝らないでください。あなたの驚きは理解していますから……」
「あ、はい……」
「彼女は、昔と少し変わりました。それで、あなたは驚いたのですよね?」
「ええ、そうなのです……」
エルクル様もフローナ様も、私の態度は気にしていないようだった。
二人も、どうして私が驚いているからわかっているから、そのように言ってくれるのだろう。
フローナ様は、以前はとても冷たい印象を受ける人だった。何が起きても、無表情であり、正直怖い人だったのだ。
それが、今はとても柔らかい顔をしている。その変化に、私は戸惑っていたのだ。
「私は、エルクル様に変えてもらったのです。冷たくなっていた私の心を、彼が温めてくれたのです」
「あはは、なんだか恥ずかしいですね……」
エルクル様とフローナ様は、二人で笑い合っていた。
その様子を見て、二人がとても仲が良いことがわかる。
恐らく、二人は本当に好き合っているのだろう。利益だとかそういうことではなく、恋愛的な意味でも婚約者なのだ。
「どうかしたのか?」
「あ、いえ……」
そこで、私は思わずイルファー様のことを見ていた。
彼と私が、あのようになれるのかと思ったからだ。
正直言って、イルファー様とあのように仲良くできるとは思えない。私達は、どこまで行っても、利益を求める関係になるのではないだろうか。
そう思って、私は少し悲しくなった。それを悲しいと思える気持ちが自分の中にあったことは、少し驚きである。
エルクル様は、真面目な人である。その丁寧な挨拶から、それが読み取れた。
彼のことはわかったので、次はその隣にいる婚約者のことを聞いた方がいいだろう。彼女のことは少し知っているが、二人の口から聞いておきたい。
「それで、そちらの女性は……」
「ええ、紹介させてもらいます。こちらは、僕の婚約者であるフローナ・レフェイグ侯爵令嬢です」
「フローナ・レフェイグです。よろしくお願いします」
「ええ、よろしくお願いします」
彼の婚約者は、フローナ様という人である。
それは知っていた。王子の婚約者が誰かは、貴族なら当然把握している。
そもそも、私は彼女と会ったことがあった。同じ貴族であるため、何度か顔を合わせたことがあるのだ。
ただ、私は少しだけ驚いていた。彼女の印象が、前に会った時と異なっていたからだ。
「驚いていますか?」
「え?」
「いえ、あなたが彼女を見て、表情を変えたので、そうなのではないかと思ったのです」
「あ、はい……申し訳ありません」
そんな私に、エルクル様は質問してきた。
どうやら、結構露骨に表情に出てしまっていたようだ。
これは、失礼だったかもしれない。もう少し、態度に出さないようにするべきだっただろう。
「謝らないでください。あなたの驚きは理解していますから……」
「あ、はい……」
「彼女は、昔と少し変わりました。それで、あなたは驚いたのですよね?」
「ええ、そうなのです……」
エルクル様もフローナ様も、私の態度は気にしていないようだった。
二人も、どうして私が驚いているからわかっているから、そのように言ってくれるのだろう。
フローナ様は、以前はとても冷たい印象を受ける人だった。何が起きても、無表情であり、正直怖い人だったのだ。
それが、今はとても柔らかい顔をしている。その変化に、私は戸惑っていたのだ。
「私は、エルクル様に変えてもらったのです。冷たくなっていた私の心を、彼が温めてくれたのです」
「あはは、なんだか恥ずかしいですね……」
エルクル様とフローナ様は、二人で笑い合っていた。
その様子を見て、二人がとても仲が良いことがわかる。
恐らく、二人は本当に好き合っているのだろう。利益だとかそういうことではなく、恋愛的な意味でも婚約者なのだ。
「どうかしたのか?」
「あ、いえ……」
そこで、私は思わずイルファー様のことを見ていた。
彼と私が、あのようになれるのかと思ったからだ。
正直言って、イルファー様とあのように仲良くできるとは思えない。私達は、どこまで行っても、利益を求める関係になるのではないだろうか。
そう思って、私は少し悲しくなった。それを悲しいと思える気持ちが自分の中にあったことは、少し驚きである。
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