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私は、第一王子のアロード様と会っていた。
とりあえず、私は彼の隣まで移動する。離れて話すより、その方がいいと思ったからだ。
近づいてわかったが、彼からは特に覇気のようなものを感じない。イルファー様のように、目に見えた恐ろしさがないのだ。
そのことが、逆に私を恐怖させていた。腹の底で色々なことを考えているかもしれない。その考えが浮かび上がってくるからだ。
「……そんなに身構えないで欲しいな。弟の婚約者に怖がられると、結構傷つくよ。別に、取って食おうと思っている訳でもないから、もっと気楽にしてもらえないかな?」
「あなたが、どういう人物か、まだ私は完全に把握できていません。それがわかれば、態度も軟化できるかもしれません」
「なるほど、まあ、それは最もなことだね。僕達は、ほぼ初対面。お互いの内面を知らなければならないということか。もしかしたら、意外と気が合うかもしれないしね」
私は、アロード様のことを把握しきれていない。そうは言ったが、これまでのやり取りで、少しだけ彼のことがわかった。
彼は、意外にもお喋りだ。私が何か聞く前から、色々と喋ってくれている。それは、私にとって少しだけありがたいことだ。
「それで、何から話すべきなのかな? ああ、一応、君の目的を聞いておいた方がいいか。君は、僕に何を求めているのかな?」
「……私は、イルファー様を助けたいと思っています。あなたと彼の関係は、拗れていると聞きましたから」
「やっぱり、そういうことだよね。ただ、それに関しては、別に僕から言えることがないというのが辛い所だ」
私の質問に、アロード様は微妙な顔をした。彼も、イルファー様との関係には困っているのだろう。
言えることがない。その言葉の意味は、なんとなくわかる。きっと、彼はイルファー様に対して、何か思っている訳ではないのだろう。
「あなたは、イルファー様に対して、何も思っていないのですか?」
「それは、少し違うね。僕は、イルファーを大切な弟だと思っている。何も思っていない訳ではないさ」
「言い方が悪かったようですね……彼のように、複雑な思いを抱いている訳ではないということですね?」
「ああ、そうだね。最も、最近のイルファーを見ていると、色々と思う所はあるさ。もっと気楽にすればいいと思ったり、余計なことを考える必要はないと思ったり、でも、イルファーと同じ思いを抱いている訳ではないね」
アロード様は、私の質問にはっきりと答えてくれた。
イルファー様のことを語る彼からは、先程感じた底知れなさが感じられない。ただの兄であるかのように見えるのだ。
恐らく、本当にただの兄として語っているのだろう。王族であるなど関係なく、彼は兄として弟のことを心配しているのだ。
とりあえず、私は彼の隣まで移動する。離れて話すより、その方がいいと思ったからだ。
近づいてわかったが、彼からは特に覇気のようなものを感じない。イルファー様のように、目に見えた恐ろしさがないのだ。
そのことが、逆に私を恐怖させていた。腹の底で色々なことを考えているかもしれない。その考えが浮かび上がってくるからだ。
「……そんなに身構えないで欲しいな。弟の婚約者に怖がられると、結構傷つくよ。別に、取って食おうと思っている訳でもないから、もっと気楽にしてもらえないかな?」
「あなたが、どういう人物か、まだ私は完全に把握できていません。それがわかれば、態度も軟化できるかもしれません」
「なるほど、まあ、それは最もなことだね。僕達は、ほぼ初対面。お互いの内面を知らなければならないということか。もしかしたら、意外と気が合うかもしれないしね」
私は、アロード様のことを把握しきれていない。そうは言ったが、これまでのやり取りで、少しだけ彼のことがわかった。
彼は、意外にもお喋りだ。私が何か聞く前から、色々と喋ってくれている。それは、私にとって少しだけありがたいことだ。
「それで、何から話すべきなのかな? ああ、一応、君の目的を聞いておいた方がいいか。君は、僕に何を求めているのかな?」
「……私は、イルファー様を助けたいと思っています。あなたと彼の関係は、拗れていると聞きましたから」
「やっぱり、そういうことだよね。ただ、それに関しては、別に僕から言えることがないというのが辛い所だ」
私の質問に、アロード様は微妙な顔をした。彼も、イルファー様との関係には困っているのだろう。
言えることがない。その言葉の意味は、なんとなくわかる。きっと、彼はイルファー様に対して、何か思っている訳ではないのだろう。
「あなたは、イルファー様に対して、何も思っていないのですか?」
「それは、少し違うね。僕は、イルファーを大切な弟だと思っている。何も思っていない訳ではないさ」
「言い方が悪かったようですね……彼のように、複雑な思いを抱いている訳ではないということですね?」
「ああ、そうだね。最も、最近のイルファーを見ていると、色々と思う所はあるさ。もっと気楽にすればいいと思ったり、余計なことを考える必要はないと思ったり、でも、イルファーと同じ思いを抱いている訳ではないね」
アロード様は、私の質問にはっきりと答えてくれた。
イルファー様のことを語る彼からは、先程感じた底知れなさが感じられない。ただの兄であるかのように見えるのだ。
恐らく、本当にただの兄として語っているのだろう。王族であるなど関係なく、彼は兄として弟のことを心配しているのだ。
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