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私は、イルファー様とともにある人物の元に来ていた。
その人物とは、私の両親である。二人とも、イルファー様の突然の訪問に、かなり緊張しているようだ。
「さて……私がここに来た理由を、あなた達はお分かりか?」
「いえ、まったく想像できません。婚約の話については、まとまったはずですが、まさかそのことですか?」
「違う。私がここに来たのは、レルミア・フォルフィスについて言いたいことがあったからだ」
「レルミアですか?」
イルファー様の言葉に、二人は目を丸くしていた。
私はあまり驚いていない。何も言わずに連れてこられたが、妹の話をするためであることはなんとなくわかっていたからだ。
「私は、このフォルフィス家の人間には高い能力があると思っている。それは、この家が厳しい教育を施して優れた人間を輩出してきたからだ。だが、あの少女の教育には失敗したようだな?」
「失敗などと……」
「姉の婚約者を奪い、その新たな婚約者も奪おうとしたあの少女を愚かだとは思わないのか? それ程までに、あなた達は腐っているというのか?」
「それは……」
イルファー様は、二人の痛い所をついていた。
どれだけ言い訳をしても、レルミアの行動は非難されるべきものだ。それを、両親は理解している。理解していながらも、それを止めなかったのだ。
それ程までに、両親はレルミアを可愛がっている。頭で理解していても、そのわがままを聞いてしまう程、彼女を失いことを恐れているのだ。
「あなたも、かつてはこのフォルフィス家の厳しい教育を受けて育った。つまり、道理を理解していない訳ではないだろう。だが、あなたは失敗した。その失敗は一度ではない。二度失敗したのだ」
「二度失敗……」
「一度目は、家出をしたというルヴィドの教育。二度目は、レルミアの教育だ。そのどちらも、あなた達は不適切な教育しか施せなかった。だから、今のような現状になっている。何か、反論はあるか?」
イルファー様の言葉に、お父様もお母様も何も言えなかった。
その沈黙は、反論がないことを示している。心の底で、二人は自分達の教育が間違っていたと自覚しているのだ。
「ルヴィドに関しては、言うまでもない。お前達が、一人の少年の苦しみに気づけていたなら、それは事前に防げたものだ」
「ですが……」
「わからなかった。そう言い訳することは簡単だろう。だが、お前達が気づかなければ、他の誰が気づくという? その罪を自覚するがいい」
ルヴィドの話をする時、イルファー様の目は今までと違った。
彼は、弟と別れる時、表情一つ変えなかった。だが、彼との絆は確かにあったようだ。その目が、それを示してくれている。
そのことが、私は嬉しかった。弟の味方であった人がいたという事実は、どうしようもなく安心できることだったのだ。
その人物とは、私の両親である。二人とも、イルファー様の突然の訪問に、かなり緊張しているようだ。
「さて……私がここに来た理由を、あなた達はお分かりか?」
「いえ、まったく想像できません。婚約の話については、まとまったはずですが、まさかそのことですか?」
「違う。私がここに来たのは、レルミア・フォルフィスについて言いたいことがあったからだ」
「レルミアですか?」
イルファー様の言葉に、二人は目を丸くしていた。
私はあまり驚いていない。何も言わずに連れてこられたが、妹の話をするためであることはなんとなくわかっていたからだ。
「私は、このフォルフィス家の人間には高い能力があると思っている。それは、この家が厳しい教育を施して優れた人間を輩出してきたからだ。だが、あの少女の教育には失敗したようだな?」
「失敗などと……」
「姉の婚約者を奪い、その新たな婚約者も奪おうとしたあの少女を愚かだとは思わないのか? それ程までに、あなた達は腐っているというのか?」
「それは……」
イルファー様は、二人の痛い所をついていた。
どれだけ言い訳をしても、レルミアの行動は非難されるべきものだ。それを、両親は理解している。理解していながらも、それを止めなかったのだ。
それ程までに、両親はレルミアを可愛がっている。頭で理解していても、そのわがままを聞いてしまう程、彼女を失いことを恐れているのだ。
「あなたも、かつてはこのフォルフィス家の厳しい教育を受けて育った。つまり、道理を理解していない訳ではないだろう。だが、あなたは失敗した。その失敗は一度ではない。二度失敗したのだ」
「二度失敗……」
「一度目は、家出をしたというルヴィドの教育。二度目は、レルミアの教育だ。そのどちらも、あなた達は不適切な教育しか施せなかった。だから、今のような現状になっている。何か、反論はあるか?」
イルファー様の言葉に、お父様もお母様も何も言えなかった。
その沈黙は、反論がないことを示している。心の底で、二人は自分達の教育が間違っていたと自覚しているのだ。
「ルヴィドに関しては、言うまでもない。お前達が、一人の少年の苦しみに気づけていたなら、それは事前に防げたものだ」
「ですが……」
「わからなかった。そう言い訳することは簡単だろう。だが、お前達が気づかなければ、他の誰が気づくという? その罪を自覚するがいい」
ルヴィドの話をする時、イルファー様の目は今までと違った。
彼は、弟と別れる時、表情一つ変えなかった。だが、彼との絆は確かにあったようだ。その目が、それを示してくれている。
そのことが、私は嬉しかった。弟の味方であった人がいたという事実は、どうしようもなく安心できることだったのだ。
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