わがままな妹の方が可愛いと婚約破棄したではありませんか。今更、復縁したいなど言わないでください。

木山楽斗

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 私は、レルミアと話していた。
 王族との婚約が、とても大きなものだと理解したのか、妹の表情は先程に増して曇っている。
 そんなに、私の婚約が気に入らないのだろうか。わがままな妹ではあるが、ここまで落ち込むのは正直意外である。

 今まで、私は彼女がわがままなだけだと思っていた。しかし、この反応を見ると、彼女が私に対して敵意を持っているように見える。
 私のことを嫌っていたとは、少し驚きだ。だが、理解することはできる。お父様やお母様と違って従順ではない私のことを嫌いになるのは、この妹に関しては納得できることだ。

「……もう何も言うことがないなら、私は行くけど、構わないわね?」
「くっ……」
「別に、あなたが何を思っていてもいいけど、もうこれ以上、私に迷惑をかけないでもらえるかしら? お互いに関わらない方が、気分が良くなるとは思わない?」

 そんな妹に対して、私はあることを持ち掛けた。
 お互いに関わらない。それが、今の私達にとって、一番いいことではないだろうか。

 私は、妹に関わっているととても不快になる。それは、レルミアも同じだろう。思い通りにならない私に、不快になるのだ。
 それなら、お互いに関わらなければいい。そうする方が、絶対にいいはずである。無駄に負の感情を燃やさなくていいのだから、心情的にとても楽になるはずだ。

「それは……私に勝ったとでも思っているということですか?」
「は?」
「今回のことだけで、勝ち誇らないでもらいたいものです。私は、必ずあなたより優位に立たせてもらいます。例え、今は負けていても、これから勝たせてもらいます」
「……何を言っているの?」

 レルミアの言葉が、私にはまったく理解できなかった。
 何故、この妹は勝ち負けなどという話を持ち出しているのだろうか。
 今回の件、といよりも、私達の関係に勝ち負けなどある訳がない。どこまで行っても、私達は仲が悪い姉妹というだけだろう。

 まさか、王族と婚約したから勝ちとでも言いたいのだろうか。
 それなら、それは大きな勘違いである。誰と婚約しようとも、それは家のためのことだ。侯爵家であろうと、王族であろうと、家の利益になることは変わらない。
 そこに優劣などはないはずだ。地位が上でも下でも、それは家のためになる。どちらも必要なことだろう。

 もしかして、この妹は単に地位だけを見ているのだろうか。
 王族という地位を持った人と婚約したから勝ち。そのような勝利など、誇れるものではない。それで勝ち誇るなど、私は恥ずかしいことであると思う。
 だが、この妹は違うのかもしれない。そういう風にしか、物事が考えられないのだろうか。
 それは、とても哀れなことである。やはり、レルミアを甘やかすべきではなかっただろう。わがままで視野の狭い妹になってしまったことを、私は悲しく思うのだった。
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