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70.信じられる人
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「……どうしてでしょうかね」
「え?」
「私はずっと、勘違いをしていました。いえ、逃げていたという方が正しいのかもしれません」
「……そうでしたか」
私の言葉に、リオネル様は最初驚いたような顔をしていた。
しかし彼の表情は、すぐに元に戻る。どうやら私の言いたいことを、察してくれたようだ。
それはありがたい。私も自分の気持ちを今は上手く言葉に作れそうになかったから。
「チャルリオ伯爵令息との婚約などもありましたからね。そういったことについては、目をそらす方が都合が良かったのかもしれません」
「……ですが、今の私ははっきりと言うことができます。リオネル様のことが好きだと。できることなら、あなたの妻になりたいと」
「……ありがとうございます」
リオネル様は、私に対してとても感慨深そうな顔をしてお礼を言ってきた。
ただこれは、お礼を言わせるようなことではないはずである。お互いに思いを抱いていた。ただそれだけのことなのだから、私達の立場は対等だ。
「勝算がない訳ではないと思っていましたが……正直、とても安心しています」
「安心、ですか……まあ、そうなりますよね」
「実の所、両親からの了承はもう得ているのです。エポイル伯爵家にも直に話がいくと思います。その前に伝えられて良かった」
「そうだったのですか……」
チャルリオ様と婚約破棄したことによって、私は現在特にしがらみがない状態である。
その状態の私に、公爵令息との婚約の話が来れば、お父様もお母様も快く了承してくれることだろう。相手は私がよく知るリオネル様である訳だし。
そう考えると、自然に笑みが零れてきた。とても安心することができたからだ。
「アルリア嬢、僕は完璧な人間ではありません。よく間違いを犯します。あなたにはそんな僕の間違いを正してもらいたい」
「正す……」
「例えば今回の件の時のように……まあもちろん、どうしようもない時はあるのかもしれませんが、それでも僕は真っ直ぐに歩いていきたいと思っているのです」
リオネル様は、私に中々難しいことを求めてきた。
それが私にできるのか、少々不安だ。しかしながら、やり遂げてみせる。公爵夫人になるのだから、それくらいはできなければならないだろう。
「リオネル様、どうからこれからもよろしくお願いします」
「それはこちらの台詞ですよ、アルリア嬢……必ず幸せにします」
「それについては、心配はしていません。リオネル様ですからね」
一つだけ明確なことは、私の未来は幸せだということだ。
色々なことがあったし、これからも色々なことがあるだろう。だけど、それでも大丈夫だ。リオネル様が隣にいてくれるのだから、何も心配はない。
それがチャルリオ様を発端とする一連の事件で、私が知ったことである。これからも二人で支え合って、未来を切り開いていくとしよう。
END
「え?」
「私はずっと、勘違いをしていました。いえ、逃げていたという方が正しいのかもしれません」
「……そうでしたか」
私の言葉に、リオネル様は最初驚いたような顔をしていた。
しかし彼の表情は、すぐに元に戻る。どうやら私の言いたいことを、察してくれたようだ。
それはありがたい。私も自分の気持ちを今は上手く言葉に作れそうになかったから。
「チャルリオ伯爵令息との婚約などもありましたからね。そういったことについては、目をそらす方が都合が良かったのかもしれません」
「……ですが、今の私ははっきりと言うことができます。リオネル様のことが好きだと。できることなら、あなたの妻になりたいと」
「……ありがとうございます」
リオネル様は、私に対してとても感慨深そうな顔をしてお礼を言ってきた。
ただこれは、お礼を言わせるようなことではないはずである。お互いに思いを抱いていた。ただそれだけのことなのだから、私達の立場は対等だ。
「勝算がない訳ではないと思っていましたが……正直、とても安心しています」
「安心、ですか……まあ、そうなりますよね」
「実の所、両親からの了承はもう得ているのです。エポイル伯爵家にも直に話がいくと思います。その前に伝えられて良かった」
「そうだったのですか……」
チャルリオ様と婚約破棄したことによって、私は現在特にしがらみがない状態である。
その状態の私に、公爵令息との婚約の話が来れば、お父様もお母様も快く了承してくれることだろう。相手は私がよく知るリオネル様である訳だし。
そう考えると、自然に笑みが零れてきた。とても安心することができたからだ。
「アルリア嬢、僕は完璧な人間ではありません。よく間違いを犯します。あなたにはそんな僕の間違いを正してもらいたい」
「正す……」
「例えば今回の件の時のように……まあもちろん、どうしようもない時はあるのかもしれませんが、それでも僕は真っ直ぐに歩いていきたいと思っているのです」
リオネル様は、私に中々難しいことを求めてきた。
それが私にできるのか、少々不安だ。しかしながら、やり遂げてみせる。公爵夫人になるのだから、それくらいはできなければならないだろう。
「リオネル様、どうからこれからもよろしくお願いします」
「それはこちらの台詞ですよ、アルリア嬢……必ず幸せにします」
「それについては、心配はしていません。リオネル様ですからね」
一つだけ明確なことは、私の未来は幸せだということだ。
色々なことがあったし、これからも色々なことがあるだろう。だけど、それでも大丈夫だ。リオネル様が隣にいてくれるのだから、何も心配はない。
それがチャルリオ様を発端とする一連の事件で、私が知ったことである。これからも二人で支え合って、未来を切り開いていくとしよう。
END
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